とても嬉しく、励みになっています。
「ほう、こいつが新しいデュエルの装備か」
ヴェサリウスの格納庫でデュエルに取り付けられた新装備『アサルトシュラウド』のマニュアルを読みながら整備兵の説明を聞く。
アサルトシュラウドはデュエルの火力不足を補うために補給物資と一緒に送られてきた俺宛のプレゼントだ。まぁ元々はクルーゼ隊に配備されたジンの為の装備だったが、急遽デュエルの装備にさせられた。おそらく火力不足を補うためだろう。
115mmレールガン『シヴァ』に220mmの5連装ミサイル。
更には背部と脚部に追加されたスラスターで高い機動力を確保している。
欠点としては重量が40t近く上がり、計100t近い機体重量になってしまったことだろうが、宇宙空間では大した問題ではない。
アークエンジェルが第8艦隊本隊と合流してしまった今、低軌道会戦とかいうどちゃくそ難易度の高い戦闘に参加しなくてはならない。補給艦と共にやってきたMS部隊12機がいるとはいえ、かなり厳しいだろう。
だがここを逃せばアークエンジェルとストライクの破壊は更に難易度が上がってしまう。
自立飛行能力を持たない機体で飛行中のアークエンジェルを洋上で攻撃する。無理げーだろ。
「イザーク、アスランが呼んでるぜ。ブリーフィングの時間だ」
「了解した」
ディアッカに呼ばれた俺はブリーフィングルームに向かう。低軌道会戦に向けた最後のブリーフィングだ。
「足付きが地球に降下する前に拿捕、又は撃沈する」
アスランが俺達に向け作戦目標を伝える。しかしそれがどれだけ難しいか解っているのだろうか。
「アスラン、第8艦隊はかなりの数だ。そして足付きは艦隊の中央にいるだろう。俺達四機でどう攻めるつもりだ?」
「おいおいイザーク、数が多いって言ったって所詮はただのデカブツに旧式のMAだろ?所詮ナチュラルの寄せ集めだ。俺達の敵じゃないぜ」
アスランへの問いにディアッカが答える。こいつは何でこんなに楽観的なんだろうか?
「油断は駄目ですよディアッカ。クルーゼ隊長は第8艦隊の司令官を知将と言っていました。きっと一筋縄ではいきません」
ニコルの訴えをディアッカは鼻で笑う。
だが、俺はニコルの考えに賛同だ。それにディアッカの言う通り第8艦隊がただの案山子だったとしても、一番の不安要素があることを忘れてはいけない。
「して、上手く第8艦隊の防衛線を抜けたとして、ストライクはどうする?」
全員に向けた俺の問いにブリーフィングルームは静寂に包まれる。
俺達はヘリオポリスから今までストライクに対し有効的なダメージを与えられていない。先日の戦闘でもアークエンジェルに取り付いたニコルのブリッツがストライクにボコボコにされている。報告によれば突然ストライクの動きが変わったとのことだったが・・・十中八九種割れだろうな。
因みに俺はその戦闘に参加していない。ストライクからクライン嬢を受け取った後、クライン嬢お迎え部隊までクライン嬢の乗ったシャトルを護衛する任務を任されていたからだ。そのお迎え部隊にヴェサリウスへの補給艦が随伴していたため、往路でクライン嬢の護衛、復路で補給艦の護衛をおこなっていたのだ。
俺が別任務に就いている間にアスラン、ディアッカ、ニコルがアークエンジェルを強襲し、種割れキラ君にニコルがボコボコにされたって訳だ。
ただ護衛任務のお陰で顔に傷を負って「痛い」って言わなくて済んだのは素直に感謝したい。
「アスラン、ストライクのパイロットはコーディネーターなんだろ?説得で何とかならないのかよ?」
「・・・キラは・・・ストライクのパイロットは俺達の仲間にはならない。足付きに護りたい友人が居るそうだ」
「ちっ、ナチュラルの味方かよ、そのキラって奴は」
「意思の強さは一級品だな。それに仲間を裏切るようなタイプじゃなさそうだ。まぁ直接話した時の第一印象だがな」
再びブリーフィングルームに沈黙が流れる。
「キラが・・・アイツが地球軍に味方すると言うのなら、俺はアイツを討つ」
「いいんですかアスラン?」
「あぁ、もうこれ以上仲間を危険に晒すわけにはいかない」
アスランの意思は固いらしい。まぁ確かにフレイの甘言でアークエンジェル絶対護るマンになりかけているキラがザフトに来ることはないだろう。アークエンジェルごと友人を捕虜にできれば話は変わってくるだろうが、そんなことができるなら今ここで悩んではいない。
「では、ストライクは撃墜する方向でいいんだなアスラン?」
「・・・あぁ、その通りだ」
「・・・了解だ」
俺の最終確認に「そうだ」と答えるアスラン。
これで方向性は決まったな。
「次の攻撃、ストライクは俺が相手をする。ディアッカは足付き、アスランとニコルは護衛の第8艦隊をやれ」
「待てイザーク。ストライクは俺がっ」
「今まで助けようとしていた友人を躊躇なく討てるなんて言葉は信用できん。それに対艦戦闘においてイージスとバスターの火力、そしてブリッツのミラージュコロイドは非常に有効だ。作戦を成功させるには有効な配置だと思うが?」
反論するアスランを遮る。
「指揮権は俺にあるんだぞイザーク!これは指揮権の侵害だぞ!」
「その指揮官様の精神状態が信用できないから言っているんだ」
「落ち着いてくださいアスラン!イザークも言い過ぎです!」
段々と口調を強めるアスランをニコルが宥める。
「俺はイザークの意見に賛成だ。確かに昨日までダチだと思ってた奴を簡単に討てるとは思わない。アスラン、お前は少し頭を整理する時間が必要だ。ま、最終判断はクルーゼ隊長がするんだけどな」
ディアッカは俺の案に賛成らしい。
「で、イザークはストライクを落とせるのか?」
「・・・さぁな」
「おいおい、自信がないのにストライクの相手をしようってのかよ?」
ディアッカが変なものを見る様に俺を見る。
「優先目標はあくまで足付きだ。母艦を失ったMSなど後でいくらでも料理できる」
「そう言って四人で囲んでストライクに瞬殺される未来が見えるね」
「馬鹿者!最初から負ける気で戦う奴がどこにいる!」
そんな俺とディアッカのやり取りを見て気が抜けたのか、アスランから怒気が消える。
「・・・わかった。今回はイザークの作戦に乗ろう。で、作戦の詳細は?」
「ブリッツのミラージュコロイドで敵艦隊の外郭防衛線に奇襲を仕掛ける。その後混乱した防衛線を四機で突破、ルート上にいる敵艦隊を撃破しつつ足付きへ向かう。その後ディアッカは足付きを、アスランとニコルは邪魔な敵艦を撃破しつつ可能であればディアッカの援護。俺はストライクの足止めをおこなう」
「そんなに上手くいきますか?」
ニコルの疑問は尤もだ。
「密集陣形の艦隊は陣内に入ってしまえば攻撃ができない。なぜなら同士討ちの可能性があるからだ。つまり第8艦隊は俺達を攻撃することが難しく、逆に俺達は邪魔されることなく足付きを攻撃できるってわけだ」
「敵のMAはどうするつもりだ?」
「そっちはジン部隊に任せる。MA部隊も味方の対空砲火の中を飛ぶ勇気はないだろうし、そもそもさせないだろう」
しかしどうしてもアークエンジェル攻撃に際し邪魔な敵艦は存在する。それを排除するのがアスランとニコルの役目だ。
「なんにせよ、ここで足付きを仕留めなければ地球に降下され俺達は更に不利になるんだ。ならば地球連合の艦隊の中だろうが飛び込むしかないだろう」
死にたくない一心で頑張っている俺だが、アークエンジェルがストライクを連れてアラスカに着くのだけは何としても阻止しなければならない。ストライクがアラスカに到着するということはそれを基にした量産機が完成するということだ、そいつは原作のストライクダガーと同じかもしれないし高性能かもしれない。そうなればプラントは終わりで俺も宇宙の藻屑だ。
「最終的な作戦許可の決はクルーゼ隊長だ。ブリッジに行こうぜ」
ディアッカが席を立ち出口に向かう。
低軌道会戦開始まで、あと僅かに迫っていた。