気が付いたらイザークになってました(白目)   作:トロロ将軍

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休暇の延長

「足付きが紅海へ抜けたという情報が入った」

 

バナディーヤの屋敷でバルトフェルド隊長がコーヒーを飲みながら俺にアークエンジェルの行先を伝える。お茶請けはアイシャさんの作ったクッキーだそうだ。

 

「僕の部隊も結構な被害を受けたよ。まさかレジスタンスがあんな武装を持っているなんてね。お陰でバクゥが三機やられてしまった」

 

そしてバルトフェルド隊長率いる本隊はアークエンジェルへの総攻撃を敢行した。しかし目標地点にアークエンジェルはおらず、代わりに明けの砂漠の待ち伏せを受けたらしい。

勿論貧弱なレジスタンスにやられるほどバルトフェルド隊は弱くない。今回の敗因は明けの砂漠が対MS用の歩兵装備を用意していたことが原因だ。

 

なんだよ対MS用の歩兵装備って。イグルー2のリジーナでも持ってたのか?

いや、それよりも何故明けの砂漠がそんな兵器を持っているのかだが、まぁ見当はつく。

 

「連合の支援を受けている可能性が高いですね」

 

「恐らくな。まぁ反プラント勢力を連合が支援するのは連合として当然だろう。しかし、今後はアフリカの統治もやりにくくなるな」

 

今までは小銃やバズーカ砲などの軽装備で戦ってきた明けの砂漠。正直相手にすらならない存在だったが、対MS兵器を持っているのなら話は変わってくる。現に不意を突かれたとはいえバクゥを三機もやられているのだ。

 

「今後はお仕置きだけなんて甘いことは言ってられないかもしれないな」

 

バルトフェルド隊は今後アフリカの占領維持のために対レジスタンス対策を強化することになる。今後バルトフェルド隊長は大量の現地人を殺すことになるだろう。まぁ本気でザフトに抵抗しようというのなら仕方のない話ではあるが、バルトフェルド隊長としてはやるせないだろうな。

 

「そうそう、イザーク君のデュエルだけどね、ジブラルタルから連絡がきて、ちょっと時間が掛かるって言ってたよ」

 

「そうですか。・・・クルーゼ隊との合流はまだ先になりそうですね」

 

ストライクに達磨にされたデュエルは現在ジブラルタル基地で修理を受けている。やられ方が派手だったため大規模な基地でなければ修理できないらしい。

 

「暫くはバナディーヤでゆっくりすると良い。休暇の延長だと思ってな」

 

そう言ってバルトフェルド隊長は「仕事がある」と言って去って行った。

俺もコーヒーを飲み干し与えられた部屋に戻りベッドに寝転がる。

 

「・・・原作と乖離してきているのか?」

 

原作ならばバルトフェルド隊長がストライクと戦い、自身の負傷とアイシャさんの死が起きている筈だったが、実際には本隊と離れていた輸送部隊とアークエンジェルが遭遇した。結果バルトフェルド隊長は負傷せず、アイシャさんも生存している。

勿論知り合いの生存は喜ばしいことだが、ここまで原作と乖離してしまっては今後何が起こるかわからない。

 

「ストライク・・・キラ・ヤマト」

 

あの時、キラに見逃されることで俺の命は助かった。その時感じた生への喜び。それとは別の感情。

 

「・・・いったい何なんだこの気持ちは」

 

よくわからないこの感情について考えるのを止めた俺は、夕食までの睡眠をとることにした。どうせデュエルの修理が終わったらまた休むことなく激戦の連続なのだ。今くらいは休ませてほしい。

 

そう思い目を瞑ると、俺の意識は深い眠りへと落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アスランが行方不明だと?」

 

あれから数日。俺はディアッカからザラ隊の結成とその隊長であるアスランが行方不明になったという報告を通信で受けていた。このイベントは原作通りだ。唯一違うのは俺がその場にいないことくらいだろう。

 

「で?栄えあるザラ隊の最初の任務は隊長の捜索になったという訳か」

 

「そうなんだよ。しかもニコルの奴が「早く探さないと」って焦っちまってさ。もう勘弁してほしいぜ」

 

モニターの向こうのディアッカはやれやれといった表情をしている。

 

「奴とて伊達に赤を纏っている訳じゃないからな。心配はしていない」

 

「まぁな。そこは俺も大丈夫だと思ってる。それにもしもアスランに何かあったってお前がいるだろイザーク。もしもの時はジュール隊結成だな」

 

「不吉なことを言うな馬鹿者。それに今アスランがMIAになったらジュール隊じゃなくてエルスマン隊だぞ。合流したら俺が貴様の部下になってやる。ありがたく思うんだな」

 

「ハハッ。お前が俺に使われている姿なんて想像できないぜ」

 

「数日後にはカーペンタリアに飛ぶ。そうしたらザラ隊に合流だ」

 

「OKイザーク。アフリカ土産を待ってるからな」

 

やはり同期との会話は良いものだ。バルトフェルド隊の面々も良くしてくれてはいるが、やはり軽口を叩ける相手との会話は楽しい。

しかしそんな楽しい時間はすぐに終わってしまう。明日朝一でアスランの捜索が行われるからもう休むそうだ。そうして通信の切れたモニターを見ながら俺は通信室の椅子にもたれ掛かる。

 

アスランの行方不明。これに関しては原作イベントだから大丈夫だろう。恐らく明日には発見して救助できる筈だ。

 

「・・・そろそろバルトフェルド隊長との約束の時間だな」

 

今日はバルトフェルド隊長、アイシャさんと三人でコーヒーブレイクの約束をしている。今日のコーヒーはバルトフェルド隊長のおすすめブレンドだそうだ。

 

「俺も市場で見つけたお菓子でも持っていくか」

 

カーペンタリアへの移動まであと数日。俺は二人と最後の思い出を作るため、通信室を後にするのだった。

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