ハチナイ短編集   作:ゾネサー

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白戸さんちのお泊まり会

「パジャマパーティーがしたいの!」

 

「どしたん急に」

 

 六月の上旬。まだ本格的な梅雨入りこそしていないものの、曇りの日が続き、どことなく部室の気分も沈んでいるような頃だった。そんな気分を吹き飛ばすような熱のこもった発言に、近くにいた一年生は目を見開いていく。

 

「親睦を深めると言えば、世間一般ではパジャマパーティーが定番なのでしょう?」

 

「それなら私の家でする?」

 

 そんな中、白戸はあっけらかんとして言い放った。

 

(そろそろ慣れてきた……琴宮さんの冗談に! もう引っ掛からないっ)

 

 精一杯の素知らぬ顔をしながら、内心彼女は得意げだった。

 

「いいのですか? では是非!」

 

「…………。あれっ?」

 

 そしてやっぱり目を見開かされる羽目になるのだった。

 

「……た、ただいまー」

 

「「「「おじゃましまーす!」」」」

 

 その週の休日。午前練習を終えた彼女たちは白戸の家に集まっていた。

 

「まさかららがお友達を連れてくるなんてねえ。この子は中学の時は恥ずかしがり屋で友だちの話もしたがらなくて。あなたが琴宮さん? よくお話してくれるのよ〜」

 

「お、お母さん! 余計なこと言わなくていいから……」

 

 白戸が顔を赤くしながら話を遮ると、階段を上って自分の部屋へと案内した。

 

「綺麗な部屋だね」

 

「は、話が決まって慌てて掃除したんだ……」

 

「クッションかわいか〜!」

 

「モッフモフ〜」

 

「二人ともいきなり飛び込むのはずるいですよ」

 

「失礼、とかじゃないんだね」

 

「わたしもよろしいでしょうか?」

 

「ええと……いいよ?」

 

「それではお言葉に甘えて♪ えいっ!」

 

「「きゃー!」」

 

(……確かにずるい気がしてきた)

 

「私たちも行こう」

 

「えっ。わわっ……!」

 

「「「きゃー!」」」

 

 二階から聞こえる賑やかな声に両親が穏やかな笑みを浮かべる中、やがて喧騒は落ち着いていく。そしてついには極端に静かになった部屋が気になった母親は飲み物とお菓子を差し入れする名目で覗きにいった。

 

「まあ♪ お勉強なんて偉いわね〜」

 

「ふっ……学生の本分は勉強ですから」

 

「いやさっき『真面目か!!』言うとったやん」

 

「しーっ! 言わなきゃバレないんだから」

 

「憧れだったのです。誰かの家に集まって勉強を教え合うのが」

 

「ふふっ、じゃあ早速教えてもらおうかな。全然分からなくて」

 

「意外だね。水原さん、勉強できそうに見えるのに」

 

「推薦が決まってから硬球に慣れることばかり考えて、勉強はおろそかにしてたんだよね……」

 

「水原さんには沢山のことを教えて頂いてますし、少しでもお返しできれば嬉しいです♪」

 

「わ、私も……。おかげで最近は少しずつできることが増えてきたから……」

 

「私は教えただけだよ。上手くなってるのは二人が頑張った成果。でも遠慮なく甘えさせてもらおうかな」

 

「そういうことならあたしも教えてもらおっと♪」

 

「じゃあ私もお返ししてもらうとしますか」

 

「うん、いいよ。順番にね」

 

「……突っ込んでもええんやで?」

 

「夏目さんにもお世話になってるし、初心者なりにどういうところ意識してるのか教えてもらってすごく参考になってるから……」

 

「いい子か!!」

 

「いいお友達ができたのね〜」

 

「……! うんっ!」

 

 そうして休憩を挟みつつ三時間ほどの勉強を終えた頃。窓から差し込む夕日の下で全員が身体を伸ばす。

 

「ふっ!」

 

「全然伸びとらんぞよ!?」

 

 各々両手両膝を地面につけ、右脚を前に出しつつ、左脚を後ろに引いてつま先まで真っ直ぐ伸ばす。しかし身体が硬い條島はプルプルと震えつつも申し訳程度にしか引けていなかった。

 

「そんなことある?」

 

「あるよ〜。これ以上は……無理……」

 

「あまり無理はしないでおきましょう。その代わり両足の付け根を寄せるようなイメージで骨盤が正面を向くように……」

 

「やってみると〜……」

 

「ほんのり……背筋、伸びたかも……」

 

「そうしたら左膝を曲げて、左肘に乗せるように左手で持ち上げて……」

 

「……届かん……」

 

「ギリギリすぎて肘に上手く引っかからない……」

 

「いけ……た!」

 

「……乗った! 勝った! 第三部完!」

 

「そうしたら右手を上げて、頭の後ろで左手と繋いでください♪」

 

「ぐふっ」

 

「ふふ……美織(みおり)ちゃんもこっちおいで……」

 

「……水原さん。私の屍を越えて……ゆけ」

 

「越えて……みせる!」

 

 夏目が大仰に倒れ込んでリタイア組の膝を枕にするのを横目に水原はなんとか指示を体現してみせた。

 

「目線は斜め上に……ゆっくり呼吸して……」

 

「すー……はー……」

 

「はい。お疲れ様でした」

 

「はー……きつい……」

 

 條島は夏目の髪を撫でながら、左右を逆にして同じことをする琴宮を信じられないといった様子で見つめる。

 

「……あたしが柔らかくなるのはやっぱり厳しいんやろか」

 

 こうしてヨガの鳩のポーズを教えてもらう段取りになったのは、條島が自分の身体の硬さを相談したのが発端だった。しかしあまりにも大きな壁を感じ、思わず溜め息を吐いてしまう。

 

「そんなことはないと思いますよ。できるところまででも伸ばすのを続けていたら、骨盤の安定から始まり臀部や股関節……果ては上半身まで柔らかくなります。このようにね」

 

「わわっ。すごい……!」

 

「鳩の王のポーズ……。これはさすがに、始めたばかりの頃はできませんでした」

 

 背中を大きく反らせながら頭越しに両手でつま先を掴む琴宮の姿に今日一番の感嘆が漏れ出た。

 

「日々の積み重ねでできるようになったんやね」

 

「野球と同じ……なんだね」

 

「ええ!」

 

「そっか。あたしもちょっとずつ頑張ってみるんよ」

 

「私も……頑張ってみるっ」

 

「それにしてもすごいね……人間業とは思えないよ」

 

「いっそのこと本当に鳩なのでは?」

 

「クルックー♪」

 

 やがて日が傾き、夕ご飯をいただくうちに夜を迎える。そして迫るパジャマパーティーに向け、彼女たちは争いを始めていた。

 

「はい出たロン〜!」

 

「げぇー! もろ筋引っ掛けやん!」

 

「私の勝ち〜。なんで負けたか上がるまでに考えといて下さい」

 

「いってらっしゃい」

 

「楽しみにしてます♪」

 

「こう見えても私は上げられたハードルは潜るタイプでね……」

 

「ど、どういうこと?」

 

「ふっ……いずれ分かるさいずれな……」

 

 争いの内容は四人プレイのゲームでトップ、あるいは既に入った者より上ならば優先してお風呂に入る権利を得るというもの。自分の家ということで最初は遠慮していた白戸も入り、次のゲームが始められる。そして終わる頃には夏目もお風呂から上がってきた。もちろん……パジャマ姿で。つまるところお披露目の順番を決めていたのだ。

 

「上がったぞよ〜」

 

「…………!」

 

「こ、コメント無しは堪えるぞよ〜」

 

「か……」

 

「か?」

 

「カッコよか〜!」

 

 無難に纏めている普段の格好と違ってラフな装いに加え、湿り気を帯びたショートの黒髪が皆にボーイッシュな印象を抱かせていた。

 

「うん。ドキッとしちゃった」

 

「け、結構無防備なんだね……」

 

「そりゃパジャマは家で着るもんだからね〜」

 

「こうして見ると以前来ていただいた九十九先輩にも似ていますね」

 

「え? いやいや、さすがに言い過ぎだって〜。私なんて精々……倍満くらい?」

 

「謙遜しとるようで全然しとらん!?」

 

「裏が乗れば三倍満あるね」

 

「しかも強気にリーチしとる!?」

 

「ちなみに次は誰が入るの?」

 

「あ、私だよ」

 

「すいませんでした。調子乗りました」

 

「えっ」

 

「なるほど……! これがハードルを潜るということなのですね!」

 

「そんな謙遜しなくても……。夏目ちゃんは格好いいよ。もっと自信持って」

 

「さてはいい子しかいないね?」

 

 こうして水原が離れると次なるゲームが開始された。

 

「そろそろルールにも慣れてきました♪ 次は勝ってみせます」

 

「あたしも負けんよ〜!」

 

「わ、私もっ」

 

 ゲームの経験が少なかった琴宮も一戦目で白戸にサポートしてもらいつつ、経験豊富な者がいない二戦目でじっくり感覚を掴めたことで、彼女がリードしていく形で進んでいく。

 

「よしっ。追っかけリーチ!」

 

「ろ、ロンっ……!」

 

「おっと同テン! ダブロンだね。供託は貰ってくよ」

 

「あ〜ん! 最初の降り打ちで運気が下がっとーよ……」

 

 しかし落ち目の條島が次々と捕まり、それを挽回するために前に出てまた捕まる悪循環に陥ってしまい、終盤で三人はほぼ並んでいた。僅かに夏目が抜けていたが、條島がかなり無理して高打点を狙う状況から実質最後に抜け出した者の勝利……と誰もが思っていた時。

 

(……! 三色もチャンタもない安め……ここは見逃して……)

 

 僅かに腰を使った白戸の動きを夏目は見逃さなかった。

 

「ふふふ……白戸さん」

 

「ふわ!? な、な、なにかな……」

 

「このパジャマパーティーは後半になればなるほどハードルが上がるんだ。もし最後まで残っちゃったら……どうなるかな〜?」

 

「うっ! うう……ロン……。自風のみ……」

 

「ひゃっはー! 私の勝ちだぁぁぁ!」

 

「あ〜! 美織ちゃんずるか〜!」

 

「うう……こんな手で終わらせてごめんなさい」

 

「いえ……一つでも上の着順を目指すゲームですから。謝ることなんてありませんよ。それに……なるほど。チェスのような一対一ではなく四人で行うゲームだからこその心理戦もあるのですね。勉強になりました♪」

 

「そういうことそういうこと。おっ、水原さ……ん……?」

 

 そうこうしてるうちに髪を乾かし終えた水原が戻ってきた。

 

「わっ。可愛い……」

 

「本当に……。また意外な一面が見れたわ♪」

 

「私も気に入ってるんだ。ありがと」

 

 白を基調としたワンピースドレスに身を包んだ水原が口元に手をやると、フリルの付いた袖がひらひらと揺れ、どことなく上品な印象を与えていく。

 

(こんなんもう、お姫様やん)

 

 それを目にした條島の妄想が爆発する。

 

『今日は招いてくれてありがとう。あなたに、心を盗まれちゃった。ずっとこうしていたい……。でもわがまま言っちゃだめだよね。みんなに、迷惑かかっちゃうから。もし来世があるのなら、もっと自由に生きたいな……』

 

「ならあなたの身柄も盗みます!!」

 

「……え?」

 

「あっ! いやん♡  なんでもないんよ」

 

 條島は頭を軽く叩きお茶目に舌を出して誤魔化すと、次こそは勝ってみせると気合いを入れていた。

 

「さあデスゲームもいよいよラスト。どっちが生き残るか……高みの見物といきますか」

 

「ふふっ。随分ピースフルなデスゲームだね」

 

 しかしこれまでの流れでランに乗った夏目を水原と琴宮が追随する形になる。

 

(オーラス。倍直がなければツモられてもまずセーフか……)

 

「いくよ。リーチ!」

 

(水原さんは多分ドラドラ七対子、條島さんが苦しそうな国士無双、琴宮さんは発を鳴いてのドラ切り……。四枚目の発は一応切らないとして、他の字牌は打てるからここは現物の白対子落とし!)

 

「ロン……!」

 

「えっ!? 白単騎……? あっ!」

 

「三暗刻含みの小三元トイトイで倍満……! やはり安全そうな字牌を溜めてましたね」

 

「嘘でしょ!? ドラ残してたら三面張になって国士やってる條島さんから簡単に出るのに……」

 

「大きな目標を持つことが家訓ですので♪ それに夏目さんのおかげで四人だからこその駆け引きがあると学ばせてもらいましたから」

 

「野球もそうだけど上達が早すぎぞよ……!?」

 

「あ、上がったよ〜」

 

「わーん! 白戸さん! 琴宮さんに狙い打ちされた〜!」

 

「えっ。えーと……? ……よしよし」

 

(ヨガの時から気になってたけど、夏目さんの髪やっぱりサラサラだなあ)

 

「因果応報な気もするんやけど……」

 

「白戸さんは優しいですから」

 

「あとこのパジャマしっとりしてて寝心地よさそう〜!」

 

「えへへ。そうなんだ。睡眠は大事だから拘ったの。枕もね、首の角度を計算して……」

 

 白戸がウッキウキで枕を抱えて話すのを皆が穏やかに見守る緩やかな雰囲気のまま次のゲームが始められた。條島が最後に入るのは既に決まっているため、特別順位に大きな意味合いはなかったが……

 

「ロン!」

 

「なっ。筋引っ掛けとは卑怯ですぞ……!」

 

「当然の三色確定やん。あ、裏裏やんね。ラッキー♡」

 

「ぎゃふん!」

 

「それ本当に口にする人いるんだ」

 

 先程の降り打ちですっかり態勢が落ちた夏目を容赦なく踏み台にした條島がちゃっかりトップを掻っ攫っていったのだった。

 

「そ、そういうこともあるよ……。どんまいっ」

 

「あら。また慰めているの?」

 

「すっかりいじけちゃって……」

 

 枕に飛び込んできた夏目を白戸が受け止める羽目になると、少しして脱衣所から琴宮が話しかけてきた。

 

「そろそろ私も夏目ちゃんに競り勝ちたいな」

 

「うう……皆に目の敵にされちゃってる……」

 

「あはは……」

 

 そして琴宮が誰にも知られず微笑みを湛えると、脱衣所の扉が開いた。

 

「『森のみんなは仲良くしよう〜。だって仲間なんだからベア』♪」

 

「「「「ベアマックス!?」」」」

 

 そして皆の視線がベアマックスの着ぐるみパジャマを纏った琴宮へと集まり、彼女は嬉しそうに鼻を鳴らしていた。

 

「ビックリした……」

 

「鳩じゃなくて熊だった……」

 

「気合い入っとーね!」

 

「ええ。今日のために買ったのです♪ パジャマパーティーといえば全員で着ぐるみを着るものだと思っていたのですが……」

 

「事前に示し合わせてたらそういうこともあるかも?」

 

「決まってすぐだったし、みんな普段のパジャマでしたな」

 

「そういうことでしたか」

 

「それにしても……」

 

 そんな琴宮に対して皆が抱いた意見は一致していた。

 

「やけに……似合ってるね」

 

「本当ですか! ……がおー!」

 

 そして熊のように爪を見せて威嚇する琴宮が愛らしすぎて皆が皆同じタイミングで口元を押さえたのだった。

 

「ふふっ。タンヤオです」

 

「ええっ! 琴宮さん、それ四暗刻単騎……! 役満だよ……!」

 

「なんて、冗談です」

 

「ああっ。また騙された……」

 

「お待たせー! どう? 可愛い?」

 

 最後に條島が上着とズボンが別々になっているセパレートタイプのパジャマを着て登場すると、琴宮以外は前空きでボタン止めされている部分に視線を吸い寄せられてからすぐに目を逸らした。

 

「もも……。そういうセンシティブなの、よくないと思う」

 

「碧澄ちゃん!? ランジェリーとかじゃなくて、普通のパジャマだよ?」

 

「え、エッチなのはダメ! 死刑ですぞ!」

 

「そんなに重罪!?」

 

(何故主文後回しを……?)

 

「はわわわ……!」

 

「指の隙間からしっかり見とる!? いや、そもそも普通に見て大丈夫やから!」

 

 條島の異議もむなしく多数決で有罪に決まり、目に毒ということで電気が消された。

 

「じゃあ映画館よろしく暗闇の中で映画鑑賞といきますか」

 

「だ、だめだよ。目を悪くするよ……」

 

「それにもうそろそろ寝んと」

 

「ダブルいい子か!! まだ日を跨いだばかりぞよ!?」

 

「明日も練習ありますから。最後は恋愛トークに花を咲かせて寝ましょう♪」

 

「誰か監督と付き合わない限り、女子野球部じゃ咲かせる花が無いのでは……?」

 

「そ、そうだね。今日はもう寝よっか」

 

「……お話は明日もできますものね。おやすみなさい♪」

 

 それぞれの音吐でおやすみが告げられると、しばらくの間静寂が部屋を包み込んだ。

 

「……誰か、起きてますか?」

 

「……うん……」

 

「あら、白戸さんだけですか。わるい子ですね」

 

「私の部屋で皆が寝てると思うと落ち着かなくて……」

 

「ふふっ……おかげでまた一つ夢が叶いました。今日は改めてありがとう」

 

「そんな……私の方こそ楽しかった。まさかこんな日が来るなんて……」

 

「……?」

 

「……お母さんが少し言ってたけど、私中学の時は今より恥ずかしがり屋で……上手く、誘えなくて。野球部に入った時みたいに……簡単に諦めちゃってたんだ」

 

「そう……だったの」

 

 お互い寝転んだまま天井を見上げる。既に消した光がまだそこに残っているようにゆらゆらと揺れて見えていた。

 

「こんな私に琴宮さんは目標をくれた。おかげで少しずつ頑張ろうって、いつかは大きな夢を叶えるんだって。自信を……つけさせてくれた」

 

「……確かにわたしはあなたと野球を引き留めたわ。きっかけは与えたのかもしれません。でもね。努力をしたのは他の誰でもない、あなたなの。そればかりは誰も与えられないわ」

 

「あ……」

 

 琴宮は白戸の手を取った。そしてお互いに硬い手のひらの感触を味わった。

 

「あなたの努力がわたしに新たな目標を与えてくれた。わたしだけじゃないわ。誰かの頑張りを見て自分も頑張ろうって、誰かが上手くなってるから自分も負けないぞって。それが、今のわたしたち。お互い様……なのよ」

 

「……私……。野球部に入って、良かった」

 

「ええ……。わたしもです。ねえ、白戸さん?」

 

「うん?」

 

「この部はもっと強くなる……そんな中で、わたし達が最高の左中間を組めたら、素敵だと思わない?」

 

「いいね、それ。大きすぎるくらい大きな夢……」

 

 ようやく二人は顔を向け合った。振り返った琴宮の瞳に、白戸の視線が真っ直ぐと突き刺さる。

 

「でも、冗談にはさせないっ」

 

「……! ふふっ……沢山頑張らないといけませんね♪」

 

 こうして二人は静謐なひとときに身を委ねながら、一緒に眠りに就くのだった。

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