仮題:すくすくトレセン学園 作:きゅ~
誰か代わりに書いてください。
「みんな~大変だよ~!!」
トレセン学園の校舎に春一番がこだまする。
「ライスちゃんが、ライスちゃんがぁ……おまんじゅうになっちゃった!!」
「きゅ~」
『すくすくライスシャワー登場』
教室に飛び込んできたハルウララが抱えるぱかプチ(大)くらいの大きさのそれは、なんだかまるっこくて、もっちりして、もふもふして、ふわふわの尻尾が生えていて、『(・ω・)』こんな感じの脱力する顔をしていた。
「いい、ウララさん? ライスさんがこんなおまんじゅう?になるわけがないじゃない。それで、この子は何処で見つけたのかしら?」
「教室に来る途中の廊下に転がって寝てたの!」
ウララに問うたのはキングヘイロー。傍から見ると、完全にペットを拾って来た子供に対する母親のそれである。
「タキオンさんを探してきます!」
マンハッタンカフェは慌てて教室を飛び出した。
いくらなんでもそんなわけがないとは思いながらも、あのマッドサイエンティストが関わっていたら完全には否定しきれない。いや、むしろ原因に関わっている可能性が一番高いのはあの人では? 廊下を走りながらカフェは訝しんだ。
「……ふわふわ」
アヤベさんはチラチラと物欲しそうな目でガン見している。
「この薔薇の飾りがついた帽子……まさか、ライスさんがこんなカビ大福になるわけが……」
困惑したミホノブルボンが恐る恐る手を伸ばすと、不思議生物はきゅ~っと甘えるような鳴き声をあげて近寄り、手に頬ずりを始める。
ブルボンに電流走る。
「なるほど、この子は間違いなくライスさんです。仮にライスさんでなくてもかわいい物をライスさんと呼ぶのでこの子は間違いなくライスさんです」
「ブルボンちゃんが壊れた!?」
一瞬での変わり身であった。
「みんな騒いでどうしたの?」
おっとここでライスシャワー(本人)のエントリーだ。
ブルボンはライスと不思議生物を交互に見て叫ぶ。
「そんな、ライスさんが二人!?」
「ブルボンさんは正気になって!」
「タキオンさんを捕まえてきました!」
「知らないと言ってるのに酷いじゃないか~」
ギャグ特有の高速移動で確保されたアグネスタキオンを加え教室は更なる混沌に包まれた。
⌚
「それで、ウララちゃんが拾って来たライスのそっくりさんって何なのかな?」
「ふわふわ」
「ふぅん……こんな生物は見たことも聞いたこともないねぇ……」
「ぎゅ~」
「ライスさんを手荒に扱わないでください!」
「痛い痛い!」
「それ以上いけない」
ライスの疑問に的外れな回答をするアヤベさんに尻尾をふわふわされている不思議生物をにょい~んと引っ張って検分していたタキオンにアームロックをかけるブルボンを止めるカフェ。
そこに現れる孤独なSilhouette。それはまぎれもなくヤツさ。
「おいおいおい、そいつぁ『すくすくさん』じゃねーか。驚きだぜ。こんなとこにも生息してたんだな」
満を持してのゴルシの登場である。
「知っているのか、ゴルシ!?」
「ゴールドシップさん、詳しく……説明して下さい。今、私は冷静さを欠こうとしています。ライスさんはウチの子にします。お世話して一緒に暮らします。覚悟の準備をしておいてください! いいですね!」
もう離さない。君が全てさ。そんな気迫でタキオンから奪還したすくすくさんを抱えるブルボン迫真の懇願であった。
「何でそんな食い気味なんだよ……すくすくさんは急に何処かから現れて、気がついたら居たり居なかったりするらしい。まあ不思議生物だな。たぶん座敷童みたいなモンだろ。すくすくさんを飼いたいなら人が食える物なら問題なく食べるし、病気にも強いから適当に相手してても大丈夫だ」
さしずめこいつはすくすくライスシャワーだな。ほれ、ポッキー食うかとゴルシが差し出すと、すくすくライスは喜びの声をあげてポッキーに齧り付き、さくさくと音を立てて食べ始めた。
なにこれかわいい。私もやりたい。
周りで見ていたウマ娘達は持っていたお菓子を取り出してすくすくライスの元に集まる。
「マックちゃんも食べるか~?」
ゴールドシップはにやにやした表情でマックイーンにも一本差し出したが、マックイーンはパッケージに残った方を纏めて奪い取って食べた。ゴルシちゃんは悲しい。
「それにしてもすくすくさん?の事をよくご存じでしたわね。どちらでお知りになったんですの?」
「昔、動植物園の神社で胡散臭い奴に聞いたんだ。地球は青かった」
「言ってる意味が分かりませんわよ!?」
なるほど、そういうのもあるのか。すくすくライスを膝の上に抱えて餌付けしていたブルボンは隣に座るライスシャワーにもお菓子を差し出した。ライスシャワーは躊躇いながらも頬張り顔をほころばせる。
「美味しいですかライスさん」
「美味しいよブルボンさん」
すくすくライスとライスシャワーを我が物にしたブルボンは、この世の全てを手に入れた者の顔をしていた。ライスさんをペットにするならライスさんも部屋に連れ帰っても良いのでは?そんな邪念すら浮かんでいた。
「ところでウチの寮ってペット禁止だよね、どうするの?」
「大丈夫です、私に策があります」
ブルボンは妙に自信満々だった。
⌚
@放課後の寮長室
「失礼します、フジキセキさん。ペットを飼いたくて相談に来たのですが」
「隠さずに許可を求めに来たのは評価するけど、ペット禁止なのは理解しているかな? それで、何を飼いたいんだい。子猫でも拾ったのかい?」
「ライスさんです」
「……なんて?」
「ライスさんです」
「……」
「ライスさんです」
「…………その、他人の趣味に口を出す気はないけどあまり風紀を乱さないようにね。うん、大丈夫だから帰っても良いよ。ああ、同室の娘の許可は取るようにね」
「ありがとうございます。それではライスさんを部屋に連れて行こうと思います。失礼しました」
ぱたんと閉じた扉の前でブルボンは呟く。
「勝ちました」
⌚
@寮の自室
「おかえりなさいブルボンさん……えっと、それは?」
「この子はライスさんです。今日から一緒に住むことにしました」
「きゅ~」
ニシノフラワーは宇宙を背景にスペースフラワーになった。
――少女説明中
「なるほど、ウララさんが拾って来た子ですくすくさんっていうんですね!」
「きゅ~」
寮長の許可(自己申告)もあり、かわいくてもふもふしたものはみんな好きなので細かい疑問を持たずにフラワーもあっさりすくすくさんを受け入れた。
「どうです、ライスさんはもふもふでしょう?」
「すっごくもふもふさんです!」
二人ですくすくさんをもふもふしているだけで夜が更けていく。
「それじゃあ夜も遅いですし今日の所はおやすみしましょうか」
「そうですね、では私はライスさんと一緒に寝ることにします。フフフ、もふもふです」
「うふふふ、もふもふですねぇ。ではおやすみなさいブルボンさん」
「はい、おやすみなさいフラワーさん」
「きゅ~」
⌚
翌朝、目を覚ましたフラワーを出迎えたのは布団の上の重量感だった。
「きゅー」「きゅ~」
「……ふ、増えてる」