戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

久々にですが、話題が無い……。……まぁいいか!たまにはこういう時があってもいいですよね!(諦め)ってな訳で……。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


キャッチボール(絆)ですが何か?

 突然だが加賀美 真の父である新は、警察官である。陸との反りが合わずに家を飛び出して、様々な苦労を経験しつつ叶えた夢だ。

 

 もはや軽く見積もっても15年は勤めていて、ベテランの域に達しているのかもしれない。そんなベテラン警察官は……自宅で爆睡していた。

 

「ズー……ズー……」

 

 今日は1月7日……世間的に言えば、冬休みの最終日と言った所か。新は本来の所は仕事なのだが、冬休みの最終日はいつも有給を取るのが常だ。

 

 それも全て、たった1人の愛する息子と過ごす為である。しかしいかんせんその息子が、驚くほどにドライだ。有給を取った意味も無くなる事の方が多い。

 

「ズー……ズー……」

 

 だからこうして、本来なら起きている時間でも睡眠中なのだ。件の息子の方も特に予定が無ければ爆睡している場合が多いのだが、どうやら今年は通例どおりにいかないらしい。

 

「起きろ、親父」

 

「あ~……?う~ん……あと10分……」

 

「いや、テンプレみたいな寝言を……学生じゃねぇんだから。オラよ」

 

ガッ!

 

「い、痛いっ!こらぁ!親を足蹴にする奴があるか!」

 

 まだ頭ぼやけていた新は、真が起こしに来ても曖昧な返事しか示さない。こうなると容赦がないのが、真という男である。軽くではあるが、新の腹部に足を乗せた。

 

 ここでようやく、新の意識は目覚めた。こんな事をするのは、自分の息子しかいない!半ば反射じみた勢いで、被っていた布団を蹴散らす。

 

「起きないからだろ」

 

「理不尽すぎる!?はぁ……いつもの事って諦めるしかないか。それで、どうかしたのか?」

 

「飯」

 

 そう短く答えると、真はせっせと新の部屋から出て行った。飯とは、朝食を作ったから起きろと言う事なのだろう。その事を新は、不思議に思っていた。

 

 平日ならいざ知らず……新が休日の場合は、真は朝食を作らない事が多い。本人は決して口には出さないが、そもそも真が朝食を作るのは新の為だ。

 

 ついでに昼食の弁当まで作る徹底ぶりなためか、必要が無いときには徹底して料理はしない。まぁとにかく、急いで向かわなければどやされると思い新はリビングへと急ぐ。

 

「これはまた……日本の朝ご飯って感じだな」

 

「だろ?手間かかるから滅多にしないし、新鮮なんじゃねぇかなと思って」

 

 食卓に並べられているのは、白飯、味噌汁、焼き魚と、どれを取っても日本の朝食そのものであった。意識して作ったのを指摘されたためか、真は反応を示す。

 

 無自覚であろうが……少し嬉しそうだ。親だからこそ分かる微妙な反応を、新は微笑ましく思った。しかしそれを少しでも悟られると、真は拗ねる。必死に平静を保ちつつ、新は席へと着いた。

 

「よし、そんじゃ……いただきます」

 

「おう」

 

 新は両手を合わせいただきますを言うと、とりあえず味噌汁を一口すする。相も変わらず……この息子の手でつくられた事が信じられない美味さだ。

 

 そうやって新がほっこりしていると、真も手を合わせ無言で食事の手を進める。新にはどこか、その様子に違和感を覚えた。警官としての勘か、それとも親としての勘か……。

 

「……親父」

 

「ん、どうかしたか?」

 

「今日って、暇だよな?その……キャッチボールしねぇか」

**********

(やっぱ変だろ……)

 

 真の方からキャッチボールに行こうなどと言って来るのは初だった。思い返せば、不思議な子ではあったな。いつ頃からだろうか?真が他人を嫌うようになったのは……。

 

 確か……幼稚園を卒園する頃までは、それはもう……お父さんお父さんと、懐いてくれていたと言うのに。小学校に入ると同時ほどには、眉間に皺が寄り、どこで覚えて来たのかとてつもなく頭の良い事を言い出して……。

 

 それも子供が覚えたての言葉を真似するのではなく、普通に使いこなして……。自分の息子を『普通』では無いと言うつもりはないが、やはり親としては微妙な気持ちではあった。

 

 手がかからない子ではあったが、俺は逆にそれが悲しい。なにかこう……孤独を貫く真を見て、俺は何もしてやれなかったんじゃないかって……。

 

 親としてやれる事なんて、真がしっかりしている反動で分からなくなっている俺がいた。だからせめて、コミュニケーションくらいは取ろうと思い……こうやってキャッチボールに誘っていたんだが……。

 

 俺が努力している間にも……真はいつの間にか料理を覚え、洗濯を覚え……小学校中学年頃には、もう完璧に主夫の風格であった。本当……微妙な親子関係だよな……。

 

「あっ、そうだ……。真~……ニチアサの撮り溜めした奴を纏めといたぞ~」

 

「おう、サンキュー。いつも悪いな」

 

 考えている最中に思い出したが、『そこ』も不思議な子ではあった。何と言うか真は……本当に特撮が大好きで、色々と利用させてもらったもんだよ。

 

 遊園地に行かないか?って言ったら『行かねぇ』と即答だったのに、ヒーローショーやってるぞって言ったら……すぐ飛びつくからな、我が息子は。

 

 こと特撮に関しては、まるで人が変わる。そこだけ言えば、子供らしい一面を見せてくれた。その事が俺は嬉しくて嬉しくて……。

 

「親父~。昼飯に食いたいもんとかあるか?学園に戻らねぇとだから……リクエストくらい聞いてやらぁ」

 

「そうか~?んじゃ……カレーが食いたいなぁ」

 

 学園……IS学園……か、まさか息子がISを動かすとは、思ってもみなかったものだ。それだけで無く、光葉や真が背負っていた物も全て……真がIS学園に行く事で発覚したんだよな。

 

 辛かったろう……自分がそんな重い物を背負ってるなんて……。悔しいが、それこそ俺が親として出来た事なんて、何一つなかった。

 

 だけど、真は変わった。IS学園に行って、仲間が出来たと……あの真が言ったのだ。人として大きく成長したのは全て、真がIS学園に行ったからだろう。

 

 真がIS学園に行く事は、必然で……そうしたら真が皆と出会う事も必然だった訳だ。何と言うか、運命の悪戯だよな。学園に行かなきゃ真は変われなかったし、学園に行かねば真は真実を知る事が無かった。

 

 でもそれが真にとって、プラスかマイナスか……なんてのは、言うだけ野暮か……。とにかく、真が学園に帰ったらまたしばらくは会えないのだから……今はキャッチボールを楽しむか。

 

「そらっ!」

 

バシイ!

 

「っ~……!親父、本気で投げんのは止めろっつったよな……?」

 

「ハハ、悪い悪い」

 

「ったく……しょうがねぇなぁ。ホラよっ」

 

 ……おかしい。真が、皮肉で返して来なかった。やはり今日の真は、どこか変だ……。と言うかこの違和感……前にもどこかで感じた事があるような……。

 

 俺は記憶を探るうちに、あの時の事を思い出した……。確か真の出産を控えた光葉も……こんな感じで、今となっては解る……何処か、自分の死を悟っているかのような……。

 

「何やってんだよ、親父。キャッチボールになんねぇじゃん」

 

「真……お前、まさかとは思うけど……死ぬつもりじゃ無いだろうな?」

 

「…………」

 

 俺が一向にボールを投げないせいで、真の方から近づいて来た。俺はグラブをそこらあたりに投げ捨てて、真の肩を掴んで揺らしながら問い詰める。

 

 しかし真は、何も答えてくれない。その事が、肯定であると言っている様な物だった。勘弁してくれよ……否定してくれ!光葉だけでなく、真も居なくなってしまったら俺は……!

 

「今ニュースで騒がれてるアレ……あるだろ?」

 

「あ、ああ……勿論。嫌でも耳に入るさ」

 

「冬休み明けて、いつになるかは解かんねぇけどさ……。アレに、攻め込む事になると思う」

 

「!?」

 

 それから真は、冬休み前にあった事をポツポツと語り始めた。どうやら真のクローン……ソル?との決着を着けるための舞台となるのが、例の要塞内部となるらしい。

 

 どう反応すればいいんだよ……。息子が、そもそも命を狙われていると聞いただけでも動揺しているのに。この言い方はまるで、死地にでも赴くような言い方じゃないか。

 

「勘違いすんな、死ぬ気は一切ない。それでも……最後かもしれないだろ……?」

 

「だったら……そんな……!そんな不安でいっぱいみたいな顔をするなよ!」

 

「不安は、あるさ……。でも怖くは無い。だって俺には、俺の心では……いつだって親父が応援してくれてるから」

 

『不安はありますよ、ですが……怖くはありません。私には、新さんが着いていますから』

 

 出産を控えた光葉が、俺に対して確かにそう言った。ほとんど……同じ台詞じゃないか。性別も見た目も違うのに、なぜか真の姿に光葉の面影を見た……。

 

 いや、光葉は……真の中で生きている証拠なのかもしれない。あぁ……卑怯だよなぁ……光葉も真も……。そんな事を言われたら……馬鹿で、熱血な……いつもの俺でいなきゃならないじゃないか。

 

「真……キャッチボールだ」

 

「へ?お、おう……」

 

「投げるぞ!」

 

「オーケー、来い!」

 

 流れをぶった切るようにそう言われて、真は急いで俺との距離を離した。その隙に俺は投げ捨てたグラブを左手に嵌めて、ボールをきつく握りしめる。

 

 真がグラブを構えたのを確認すると、俺はそれに向かって思い切り……いつもの本気など比じゃないボールを投げつける。スパーン!と、気持ちの良い音が河川敷に響き渡った。

 

「いっつ……!」

 

「悔しかったら、必ず投げ返しに来い!俺達のキャッチボールは、まだまだ終わらない……約束だ!」

 

「…………親父。ああ、分かった……このボールは、それまで取っておく」

 

 相当に痛かったのか、真はとてつもない表情で俺の投球を受けた。そしてグラブに収まったボールを掴むと、こちらに向けて突きつける。

 

 しかしそうなると、あのボールは真の手からは受け取れないな。時間はまだあるし……これから後はどうしたもんか。そう思っていると……我が最愛の息子がグラブを外してこちに走って……ドロップキックをかまして来る。

 

「うおっ!?何すんだ!」

 

「何すんだじゃねぇよ、このクソ親父!手ぇ見ろこれ……真っ赤になっちまったじゃねぇか!」

 

「待て待て!なんかいい感じになったんだから……茶を濁すのはお父さんどうかと思うぞ!」

 

「うるせぇ!それとこれとは話が別だっての!」

 

 いつもだったらもっと反論してるんだけどなぁ……やっぱり俺たち親子は、こうでないといけない!そうと決まれば再びグラブを投げ捨てて、真と取っ組み合いを始める。

 

 くっ……こうしてみると、本当に物理的に大きくなってやがる。俺の身長が178cmで、真は184cmになったとか言ってたっけ?何も体格がすべてでは無い……警官仕込みのテクニックで、圧倒してやるぜ!

 

 しかし……一進一退の攻防が続き、気付けば時間は昼前……。それに気づいた真は、勝負なんかほっぽり出して家に全力疾走で帰って行った。まぁ……昼を逃すと、IS学園に帰るのが遅れるもんな。

 

 やっぱり少し抜けているところも……光葉に似たのかもしれない。俺は真の広い背中に、様々な想いを馳せつつ……離れていく真を全力疾走で追いかけた。

**********

「アタシ達……命令違反とかって、何度目だったかしら?」

 

「ふむ……嫁と戦友は皆勤賞だな」

 

「無人機、VTシステム、福音、キャノンボール、今回……わぁ……」

 

「シャルロット、憐みの目で見るのは止めようぜ?」

 

 3学期が明けて数日……真の元に、ついに連絡があった。カエルム・スカラムが、徐々にジョウント目がけて降下し始めたとの事……。連絡があった翌日の明朝……専用機持ち9名は、校門前に集っていた。

 

 日がようやく上り始めた頃と言う事もあってか、寒い事この上ない。しかし……出撃前にリラックスムードを作っておくべきと考えたのか、鈴がそっと口を開いた。

 

「それよりも……今回は……もっと大変……」

 

「簪さんの言う通りですわ。わたくし達は、世界の方針へ逆らう事になるのですから」

 

「前回の件で、悪者にされてたものねぇ……私達♪」

 

「楯無さん、楽しそうに言う事じゃありません……」

 

 そう……今までは、あくまで学園内で処理できる命令違反だった。しかし今回の件に限っては、国際会議で不干渉が通達されている。

 

 そうなれば、もはやどういう処分が下されるか分かった物では無い。それでもだ……カエルス・スカラムをどうにかしないと、世界が危ないのである。

 

「諦めろ箒……その人は、そういう女だ」

 

「アハハ……弟くんに『女狐』って言われてた時期が懐かしいわね」

 

「昔を懐かしむとか……年か?」

 

「もう……すぐそう言う事を言うんだから!」

 

 すぐさま人を食って掛かる真に対して、楯無は真の髪の毛をワシャワシャする事で反撃した。真は我関せずだったが……悲惨になった髪型を見て一夏が吹き出す。

 

 それは許す事無く、一夏は真のヘッドロックの餌食となった。この流れを見て、今度はシャルロットが笑い出す。その微笑みは、やがてこの場に居る全員へ伝染する。

 

「んじゃ……そろそろ行くか?」

 

「戦友よ、出撃の前に演説か何かしたらどうだ?」

 

「良いわね、それ。ホラホラ、何とか言いなさいよ!」

 

「はぁ!?なんで俺が、リーダーみたいになってんだよ……」

 

 鈴は完全なる便乗だが、ラウラは何もふざけて言っているわけでは無かった。真が失踪した際の士気の変動……それすなわち、頭が居ないも同然のような下がりっぷりだった。

 

 だからラウラはこう考える……真は、人の上に立つ才能を十分に持っていると。それこそツンデレと言う名の飴と鞭を無自覚に行っていた男だ。ラウラの考えに、あながち間違いはない。

 

「……そんな期待の眼差しで見られても何も出ねぇかんな。簪も……何とか言ってやってくれ」

 

「真……頑張って……」

 

 いつの間にやら8人は、真の前に整列するかのように並んでいた。それぞれが力強く真を見つめて、何を言ってくれるのかと言葉を待ち受けている。

 

 真はこんな事は性に合わないため、簪に助けを求める。しかし……簪も『向こう側』であった。ここで何も言わないと、それこそ士気の低下につながりかねない。真は渋々ながらも言葉を紡いだ。

 

「あ~……なんだ。お前らのこたぁ……正直なとこ、迷惑な奴らだって思ってた。俺は1人にしてほしいのに、勝手に集まっては俺の周りでギャーギャー騒いで……煩いったらねぇよ」

 

 そう言いながらボリボリと、真は後ろ頭を掻く。過去形から話し始めるあたり……後々に盛大なデレが待っているだろうと、8人は既に表情が柔らかい。

 

「でもお前らは……いつの間にか、俺にとっては友達……ってか仲間で……。今では……お前らに会えてよかったって、心からそう思える」

 

 真が反抗的だった時も……確かに肩を並べて戦った。いくら拒否しようと、やはりあの時からすでに……真は仲間意識が芽生えていたのかもしれない。

 

「何を隠そう……お前らのおかげで立ち直れたからな。本当……感謝してもしきれねぇよ。でもどうせお前らは、水臭いって言うんだろ?だからこそ……言わせてほしい言葉がある」

 

 失意の中だった……真っ暗闇を歩いていた……。しかし、そこにさした眩い光こそが、紛れも無く……IS学園の人々や、ZECTの人々……そして、愛する両親であった。

 

 真は今思い出そうとしても涙が溢れて来てしまいそうだった。だからこそ、伝えたい言葉と想いがあると言うのに……照れのせいかなかなか言葉が出て来ない。真は自分の頬を強く叩くと、ようやく口を開いた。

 

「あ、ああ……あ……ありがとう!俺の……仲間でいてくれて、ありがとうな!だから、その……なんだ。アレ……ぶっ潰そうぜ、俺達だったら……絶対できる!なんたって俺達は、最高の仲間だから!」

 

 真がそう言い切ると、8人はかなりの盛り上がりを見せる。ラウラは1人自分の予想が当たったと妙に得意気だったが、他はなぜそんな様子なのかはわからなかった。

 

 8人に囲まれてワイワイ言われている真は、頭から煙が出そうなほどに照れている。いい加減にしてほしいのか、だぁっ!と輪から飛び出て出撃を促す。

 

「ほら、下らねぇことやってねぇで……行くぞ!ガタックゼクター!」

 

『―HENSHIN―』

 

「あっ……待てって、置いて行くなよ相棒!」

 

 真はせっせとガタックを装着して、エクステンダーに飛び乗りその場を飛び去った。そこから一夏を筆頭に、真を追いかけるように飛び立つ。

 

 そうして、向かうはカエルム・スカラム……ただ一つ!夜明けとともに、真達と亡国機業との最後の戦いが、幕を開けようとしていた……。

**********

「止めなくて良かったの?」

 

「……関係者以外は立ち入り禁止です……篠ノ之博士」

 

 真達が飛び立つ姿を、千冬が静かに見つめていた。そこに現れたのは、意外や意外……篠ノ之 束その人だった。姿を見せるなりに教師っぽい事を言う千冬に、束は困ったような視線をぶつける。

 

 そうして2人とも黙ったまま、秒読みで小さくなっていく真達を見守った。完全に姿が視認できなくなった所で、ようやく千冬は先ほどの質問に答える。

 

「止めて聞くような連中じゃないぞ、あの馬鹿共は」

 

「確かにね、いっくんとま~くんに感化されちゃったかな?」

 

「あの馬鹿2人は、どことないカリスマがあるのだろう」

 

 千冬は、真に感謝している部分はあった。一夏は心から気を許せる同性の友人が少ない。そのため楽しそうに真の事を語る一夏を見れて、嬉しかったのだ。

 

 その真が皆と世界を救うために動いているとなると、もはや止められないだろう。そう思って、何も言わなかったのだ。もちろん千冬としても全員は心配だが……。

 

「ちーちゃんが協力してあげれば、案外早く片付いちゃうかもね」

 

「いや、私はここに居た方が良い。もし奴らに責任の矛先が向いたときは……いくらでも私の責任に出来るからな」

 

「……ちーちゃん」

 

 まるで、自嘲するような様子で千冬はそう言った。織斑 千冬は、ブリュンヒルデとしてIS界においての絶対的な地位を確立している。

 

 真達の行動がどういう結果になろうとも……千冬は全ての責任を自分1人で被ると決めていた。確かに千冬が命令したと言えば、各方々も納得するかもしれない。

 

「その時は、私も一緒の方が説得力もあるよね?」

 

「束、お前……」

 

「束さんのせいでしたー!って言ったらさ、きっとあの子達へは興味を失っちゃうと思うよ」

 

「フッ……国際指名手配犯が言うと、説得力が違うな」

 

 千冬の冗談に、束はプリプリと怒って見せる。もちろんそれも冗談だが、どさくさに紛れて千冬に抱き着こうとして、冗談では済まされない仕打ちを貰う。

 

 束へのお仕置きならぬ折檻が終わると、千冬は両手をパンパンとはたいて埃を払った。そして、すぐさま復帰した束とカエルス・スカラムを睨みつける。

 

「ところでだが、束。お前は結局……他人に興味は?」

 

「ん、まぁ……興味ないってのは嘘だけど、やっぱり人は好きじゃないかな。でもさぁ……」

 

「…………」

 

「あの子達を見てるとね、人間って生き物も……悪くないって思えてくるから不思議だよ」

 

 他人に興味が無いのと、人間嫌いではどちらがマシか程度の差だ。しかし千冬は、目を細めて向こうを見ている束にフッ……と笑って見せる。

 

「死ぬなよ、お前達……」

 

 そう言う千冬の表情は、教師でも無く姉でも無く……何か微妙な表情であった。それから千冬は、時間ギリギリまで束と揃ってカエルム・スカラムを見つめ続ける。

 

 

 




やはり加賀美家の絆は、キャッチボールで紡がれる。

新視点に挑戦してみたんですが、案外難しいもんでした……。なんか皆の知っているカガーミンとかけ離れてる気もしますが、そこはご愛嬌で。

あえて今回を新視点にしたのは、真に自分の心境を語らせないためです。国語の教科書みたいになっちゃいますけど……。

今回の話に関しての真の心境は、皆様が勝手に解釈して頂けると幸いです。まぁどうやったって、基本的にはいつもと変わらないと思いますが。

さて……ついに始まった最終決戦……。嘘じゃないですよ……本当にこれが、最後の戦いになると思います。ぜひぜひ皆さん、真達の勇士を見守ってやって下さい。

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。
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