戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

私は今朝のドライブのCM中に知ったんですが、鎧武の第二段が公開されるんですね!新が好きって時点でお察しでしょうが、鎧武で言えばザックが大好きです。

それ故に、ザックが主役とかもう見るしかない!え?戦極?ダークヒーローとか悪役……的な感じではカッコイイですけどねぇ。

どっちかって言いますと……『私の趣味だ。良いだろ♪』とかそんなのが印象深くてですね……。ま、まぁ鎧武の登場人物は、印象に残る人は多いですよね!

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


VS織斑 マドカ(狂)ですが何か?

「目を覚まさせる……?フッ、笑わせるな……目ならとっくに覚めている!」

 

ドン!ドン!ドン!

 

「なっ!?待てマドカ、話しを……!」

 

 戦闘開始直後に、マドカは一夏へと猛攻を仕掛けた。明鏡止水は乱れていないので、避ける事はたやすいが……。一夏の此度の戦闘にあるのは、あくまでマドカの説得にある。

 

 別に一夏はマドカが心揺らいだ事は知らないのだが、マドカの説得は決して諦めたくは無かったのだ。自分にとってマドカがどういった存在かは、まだハッキリとは分からないが……。

 

 それでも一夏にとっては、もはやどうでも良い事だった。お人好しは百も承知、おせっかいは百も承知、偽善は百も承知……。それでもマドカとは、まだまだ解りあえると信じていた。

 

「私にはソルがいる……。いらない……ソル以外には何もいらない……!」

 

「くっ……!」

 

 しかし時として、現実は非情である。ほんの数週間だけ遭遇しなかった……それだけだと言うのに、マドカはまるで別人のように変わってしまっている。

 

 『ソル』……この名詞が出て来ない事がほとんどない。それもそのはず……マドカは、知ってしまったのだ……女として、男に尽くす悦びという物を。

 

 今まで無自覚に殺していた感情だけに、一度芽生えてしまえば墜ちるのも早かった。以前よりマドカは、ソルに依存している部分が強い。

 

 今のマドカにとっては、ソルの役に立ちソルの為に生きる事が全てなのだ。それを説得しようとすれば、生半可な覚悟では到底無理な話だろう。

 

「とりあえず、話だけでも絶対に聞いて貰うぜ!」

 

 一夏はこのままでは話すらマトモに出来ないと悟り、本格的に攻勢に出る覚悟を決める。もとより甘かったのだ……話だけしようと言うのは。例えマドカが、今までのマドカだとしても。

 

 恐らくこれが他の女性陣、もしくは真ならばマドカの言動から全て把握できただろう。しかしこの男は、鈍感王の名をほしいままにする織斑 一夏である。

 

 彼はなんとなーく、マドカにとってソルが大事な存在である『それだけ』しか解っていない。もはや呆れを通り越す勢いだが、まぁ……それが一夏であるとあえて言っておこう。

 

「うおおおおっ!」

 

「良いだろう……返り討ちにしてくれる!」

 

 一夏は雪片を構えて、マドカへ向けて突っ込んで行く。束の仕掛けた2度目の無人機戦以降は、一夏に小細工を労する必要はないに等しい。むしろ……何も考えない方が回避率は格段に上がるのだから。

 

 実際に一夏は、サイレント・ゼフィルスのレーザーBTの射撃をことごとく掻い潜る。先に何処から来るか解るが、やはり手数が多いと単純に感じるのに手間がかかってしまう。

 

(それでも届く!)

 

ズバッ!

 

「くっ……!フッ……フフフフ……!」

 

「!?」

 

 軽々とは言わないが、間合いに入ったマドカを一夏は雪片で切り裂いた。しかし……違和感を覚えてしまう。マドカはこんな簡単に、攻撃させてもらえただろうかと。

 

 それこそもし一夏が零落白夜を使っていたのだとしたのなら、決着はその時点で着いていたかも知れない。それほどのクリーンヒットだった……にも関わらず、一夏の背後に居るマドカは不気味に笑って見せる。

 

「フフフフ!アハハハハハハ!」

 

ズドォン!

 

「何っ……!?ぐああ!」

 

 マドカはクスクスとどころか、腹からこみあげるような笑い声をあげる。そして振り返り様に、一夏へスターブレイカーの引き金をひいた。

 

 マドカの笑い声のせいか、一瞬の動揺が一夏に産まれた。そのせいで回避が遅れて、背中へモロにレーザーを受けてしまう。スターブレイカーなどと名前が着いているのは、眉唾ではないらしい。

 

(け、けっこう効いたな……!)

 

 一夏がマドカを正面で捉える間も、マドカは大声で無いにしても笑っているらしい。訳が分からない……もはや一夏の脳内は、説得どころでは無くなりかけていた。

 

 とにかく一夏は無駄な考えを払いのけて、明鏡止水の維持のみを心がける。一夏にとってコレは生命線だ。本来は意識せずとも発動させたいのだが……やはりまだまだ一夏が発展途上と言う事だろう。

 

「もうすぐ……もうすぐだ。織斑 一夏を殺した後は……加賀美 真を殺す……。そうすれば……ソルは……ソルは……」

 

「!? おい……ちょっと待てよ!マドカ、ソルが大事なんだよな?アイツの邪魔をしても良いのか!?」

 

 マドカの笑い声に混ざった呟きを、一夏は聞き逃さなかった。どうやらマドカは、一夏よりも真を殺す事に執着し始めたらしい。それだけに、一夏は反応を示したのだ。

 

 一夏は真の……ソルとの決着をつける事に対する並々ならぬ覚悟を知っていた。真の言いたい事も、同性だからか痛いほどに解る。男同士の決着に横槍を入れるなどと、一夏からすれば考えられない話だ。

 

「だ……まれ……!黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!」

 

「っ!?マ、マドカ……?」

 

「アイツが……加賀美 真が居るから……ソルは完全に私を見ない!ソルはアイツとの決着に拘る……私は既に、貴様も織斑 千冬などどうでも良いのに!アイツが……アイツがソルから私への興味を奪う!アイツが死ねばソルは、私だけを見てくれる!私だけを大事に思ってくれる!私との世界を作ってくれる!」

 

「マドカ……」

 

 盛大に喚き散らすマドカを見て、ようやく一夏は察する事が出来た。今のマドカは……病んでいるのだと。愛しすぎるからこそ、狂ってしまったのだと……。

 

それとマドカの目はとっくに覚めているという台詞……確かにそうだと、一夏はある種の納得を覚える。だとすれば、単純にマドカに言葉を投げかけるのは無駄に等しい。

 

「そうか……お前はもう、ソルのものなんだな……。だったら俺は、何も言わない」

 

「アイツが居なければ……今ごろ私とソルは……!アイツさえ居なければ……!」

 

「歪んでたって、狂ってたって良いさ。マドカが、1人じゃないならな。だから……とりあえず、真の邪魔はさせない!そのために俺は、マドカ……お前を倒す!」

 

「邪魔は貴様だ!私とソルの邪魔を……するなああああっ!」

 

 お互いに、お互いの話などほとんど聞いていなかった。一夏は言いたい事だけ言わせてもらう……そんな感じだが、マドカはもっと別の意味での話だ。

 

 マドカが反応しているのは、ソルとの関わりがある言葉だけだ。それ以外の時間は、全てソルに関する事を呟いている。何を言っても取りつく島も無いのだから無意味だろう。

 

ドガガガガガガ!

 

「すげぇ猛攻だ……!だけど!」

 

 雄叫びとともに始まるマドカの猛攻に、一夏は臆す事無く立ち向かう。と言うよりは、6基のレーザーBTに取り囲まれて回避を続けている状況だが。

 

 しかし……どんなにその思いがプラス方向の物だとしても、感情的になればなるほど明鏡止水の質は落ちていく。直撃は避けているが、レーザーは徐々に白式を擦れはじめる。

 

(こんなんじゃダメだ……。よしっ、ひとまず落ち着かないとな)

 

 一夏は深呼吸をしながら、何も考えずに心を落ち着かせてゆく。するとどうした事か、やはり一夏には見えて来る。次にBTがどう動いて、自分の何処を狙って来るかが。

 

 四方からの同時攻撃を回避すると、一夏は1基のBTへすぐさま詰め寄る。刃を振るときには想いを……だ。一夏は気合の入った声を上げると、そのままBTを切り裂いた。

 

「はああああっ!」

 

ザン!ドガァン!

 

「小賢しい……!」

 

ドンッ!

 

「おっと!?あ、危なかった……」

 

 マドカは一夏の明鏡止水がどういったものかは知らないが、攻撃の際には回避している時と比べて隙が多い事に感づいた。その一瞬の隙を突かれて、スターブレイカーの高火力レーザーが飛んで来る。

 

 これを一夏は、何とか回避するが……胴体部に擦れてしまった。普通のISなら擦れた程度は仕方ないと済ませれるが、超が付くほどの短期決戦型の白式には見過ごせるものでは無い。

 

(ぐっ……落ち着け、落ち着けよ俺!乱れたら元も子もない!)

 

 一夏は明鏡止水のオン、オフをある程度は操れるが、極度の動揺や緊張などのストレスがある一定量まで達すると、その時点でしばらくは明鏡止水が行えない。

 

 だからこそ自分に言い聞かせるように、集中を続けた。一夏の感覚的に言わせれば、まだまだ平気なようだ。そこから更に呼吸を整えて、再度マドカへ責め直す。

 

「行くぞ!」

 

「……フッ」

 

 猪突猛進な一夏に対して、マドカは少しばかり口元を歪ませる。だが特に何の変りも無く、残った5基のレーザーBTでの射撃を行うだけだ。

 

 どちらかと言えば、一夏にとっては避けやすい位置に分類される。静かに物言わぬ一夏は、あっという間にマドカのほぼ正面までたどり着く。そして、脱力からの……斬撃!

 

「はあっ!」

 

ガギィン!

 

「し、しまった!」

 

「ク……フハハハハ!やはり攻撃への転化は、隙が大きいらしいな!」

 

 マドカはシールドBTを操って、雪片を出だしで止めた。攻撃の際に明鏡止水が解ける一夏は、これを読む事は出来ない。この場合は一夏が未熟なのでは無く、たった一度見ただけで合わせてくるマドカが凄いのだ。

 

 攻撃が簡単に防がれたことによって生じる同様に、マドカは知らず知らずのうちにつけこむ形となった。目にも止まらぬ速さで5基のレーザーBTを一夏の背後へ回すと、一斉にレーザーを放つ。

 

ドガガガガガ!

 

「ぐああああっ!?」

 

「その程度で私を倒そうなどと……片腹痛い!」

 

 レーザーの総攻撃を受けた一夏に、マドカは追い打ちを仕掛けようとスターブレイカーを構える。だが一夏もここで攻撃を受けるほど甘くは無い。

 

 すぐさまシールドBTから手を引くと、雪片でスターブレイカーに斬りかかり銃口を正面から逸らした。マドカが引き金を引いたのは次の瞬間の事で、レーザーは明後日の方向へ飛んでいく。

 

「こっちの番だ!」

 

「させるか!」

 

ギャリリリリ!

 

 マドカはサイレント・ゼフィルスのパススロットからナイフを取り出すと、反撃で仕掛けた一夏の雪片を防いだ。刃と刃がぶつかり合って、当たりに火花が散る。

 

 剣の扱いには自信がある一夏だが、マドカの扱う技術と対抗するにはまず土俵が違う。マドカの技術は、いかようにして手早く相手を殺すか……だ。マドカは手首をクイッと捻って、雪片の刃を華麗に躱す。

 

「そこだ……!」

 

「くそっ!」

 

 マドカは一夏の首を狙ってナイフを突き出す。もちろんISに乗っている以上はそれで殺せはしないが、マドカに染みついた癖の様な物だろう。

 

 一夏は必至に頭を横へとずらして、マドカのナイフを避けた。長剣の雪片を持ったまま懐に潜り込まれると、色々とマズイ。そう考えた一夏は、マドカを足場にするように蹴りつけ、蹴った反動で距離を取った。

 

「はぁ……はぁ……」

 

「フフフフフフ……!これならそう時間もかかりそうも無いな……。ハハッ、ハハハハハハ!」

 

(『また』かよ、畜生……)

 

「あぁ……もうすぐだ……!もうすぐ……ソル……お前の元へ!」

 

 一夏が『また』と表現したのは、マドカのこの状態の事を指している。一夏への興味は完全に消え失せて、その身を抱きしめるようにしてソルと呟く。

 

 そうまるで、発作の様に一夏は感じた。だからその発作がまた起きた……そう言いたいのだろう。正直言って隙だらけだが、この無防備の状態に斬りかかるのは一夏のポリシーに反する。

 

(……って、それはやっぱり俺の我儘だよな……?やっぱり、そんな事を言ってる場合でもねぇのか……?)

 

 これがただの試合ならば、一夏はいつまでもマドカを待つだろう。だがこれは、世界の命運をかけた戦いとも言って良い。流石にポリシーと世界とを天秤に掛ければ、一夏にも迷いが生じた。

 

 これに一夏は大いに頭を悩ませる。幸いマドカの情緒不安定も長い様で、その間も一夏はうむむ……と唸る。周囲から見れば、何とも混沌とした絵がここに完成した。

 

『織斑 一夏……』

 

「!? この声……ソルか!?」

 

「っ!貴様ごときが……軽々しくソルの名を口にするな!」

 

『馬鹿が……。驚くのも解るが、今のマドカの前でオレの名を口にするとは……』

 

 悩んでいると、突然にソルから回線が繋がった。あまりの驚きにソルの名を口にすると、マドカはそれに反応を示す。怒りに満ち満ちた様な口調と共に、レーザーBTの猛攻が再開する。

 

『驚くだろ!?マトモに話すのこれが初めてだぞ!』

 

『だろうな』

 

『だろうなってお前……俺になんの用事だ!』

 

 一夏はマドカの攻撃を回避しつつ、秘匿通信でソルとの会話を続けた。そのおかげか回避はさほど上手くいっていない。あくまで掠らせているだけだが、直撃も時間の問題だろう。

 

 もしやソルの目的は、自分の妨害……?一瞬だけそんな事を想った一夏だったが、ソルの口ぶりを思い出す。どうやらゆっくり話がしたかったようなので、妨害は違う。一夏は、ソルが口を開くのを待った。

 

『オレの都合だが、今は貴様にしか頼めない事がある』

 

『俺に頼み……?お前が、俺にか?』

 

『そうだ。……マドカを、斬れ』

 

『ッ……!?お……前……!ふざけてんのか!マドカがどれだけお前の事を想ってるか、見たら解るだろ!?それを……!』

 

 命令口調なのはこの際気にしないとしてだ、一夏はソルの言葉に怒りを覚えた。平常心を失うのはそれ=敗北なのだが、そんな事よりも怒りの方が勝る。

 

 一夏は言葉だけ聞いて、ソルが何故そんな事を頼んで来たのかをまるで考えていない。一夏とマドカの戦いの様子を見守って来たソルにとっても……断腸の想いなのだから。

 

『……貴様から見て、今のマドカはどう映る?』

 

『…………』

 

『答えずとも解る。歪んでいるだろう?マドカをああしたのは……間違いなくオレだ』

 

 一夏は図星を喰らって、ますます黙り込む。マドカの様子を一概にそう言いたくは無かったのだが、やはり否定しようは無い。

 

 あの時のソルは、マドカの心に自分以外の存在がある事を許せなかった。半ば嫉妬に駆られて惑わされるなとマドカに告げ、マドカを自分だけのモノにしたかった。

 

『その様がコレとは……笑わせる。オレが人間味など得ていなければ、こうはならなかったろう』

 

『後悔してるのか?』

 

『いや、そう言いたいのでも無い。ただな……マドカはやはり、揺らいでいる。オレと、貴様ら姉弟での間でな』

 

『……俺にはそうは見えないけどな』

 

 ソルが言うには、まだマドカは織斑姉弟に関心があるらしい。そう言われてマドカの言動を思い出したり、今のマドカを良く観察してみるが……やはりそうは見えないし思えない。

 

 と言うよりは、事情さえ話せば万人がそうは見えないと答えるだろう。恐らく同じく亡国のメンバーであるスコールやオータムでさえも。

 

『オレも保証はせんがな、あくまで長い事マドカを見た経験則……とでも言っておこう』

 

『じゃあ……そうだとして、マドカは俺達とお前の何に悩んでるんだよ』

 

『…………。マドカは、貴様の双子の妹……つまり実の妹に当たる。貴様ら姉弟の元に行きたい気持ちと、オレの元に残りたいという気持ちが、せめぎ合っていると俺は見た』

 

『実の……妹!?じゃ、じゃあなんでマドカは亡国に!?』

 

『……マドカの事情は心得ているが、なにぶん話せば長い。恐らくその間に貴様は落ちるだろう』

 

 ソルの衝撃発言に、一夏は思わず目を見開いた。落ち着けと頭の中で唱えているが、もうそろそろ明鏡止水の限外点に達してしまいそうだ。

 

 それはもう……話せば長くなるだろう。なにせ、ソルとマドカの出会いまでさかのぼらなければならない。回避しているのがやっとの状態で、長話などしていられない。

 

『じゃあ……お前の頼みの真意って……』

 

『…………。オレはマドカを愛している。オレが要因でマドカが苦しむ姿など……見てはいられん……!』

 

『だから、斬ってくれって事なのか?』

 

『ああ、もしオレが加賀美に負けた時の保険にもなる。そうすれば、貴様らの元へ行くというマドカの望みは叶う』

 

 ソルはカエルム・スカラムの内部で、自分の爪が掌に食いこむほど拳を握っていた。それは自分のふがいなさか、それともマドカが苦しんでいるのが解るからか……。

 

 痛みを感じて多少は冷静になったのか、ソルは長い溜息を吐く。そうすると、一夏の反応が鈍い事に気が付いた。一夏は歯を食いしばるような仕草を見せると、少し声を震わせながら言う。

 

『それでお前は……満足なのか?』

 

『……オレは、マドカが幸せならそれで良い。貴様らならば、オレよりはよほど……』

 

「甘ったれんな!」

 

『…………』

 

 ソルの言葉に、一夏はとうとう声が出てしまう。マドカは一瞬だけ何が何だかわから無いような様子を見せたが、気にせずに攻撃を再開した。

 

 貴様に何がわかる……。ソルは、そう言い返しそうになったが……口を堅く閉ざした。それはもちろん、一夏の言っている事もまた真実だからだ。

 

『お前……マドカの事を愛してるって言ったよな!俺は……正直そういうのよく解かんねぇよ。だけどな、本当にマドカの事を愛してるっていうんだったら……お前がキチンと責任もって幸せにしろ!』

 

『ちょっと待て、貴様……自分の言っている事が解っているのか?今からオレは、加賀美と戦うのだぞ。加賀美を殺したオレに、マドカを任せるつもりか』

 

『ああ……その辺は心配するなよ、お前は真に勝てないから』

 

『……だからオレが負けたとすれば、オレは死……』

 

『なんでそういう発想しか出来ないんだよ!?お前に勝った真が、お前を殺すって思うか?』

 

 一夏の言っている事は、ソルからすれば滅茶苦茶だった。まさか説教されると思ってもみなかったソルは、目を見開きながらモニターに映っている一夏を見る。

 

 だがやはり……一夏の言っている事もあながち間違いでは無い。敗北は死と直結する環境で育ったソルからすれば、仕方の無いような事かも知れないが……。

 

『……ハイパー同士の対決は、そんな甘い物では無い。意識せずとも殺めてしまう場合が……』

 

『もう良い!とにかくお前は、負けて死なない!絶対に真が、無理矢理にでも連れて帰るに決まってるだろ!俺の相棒は、素直じゃないけどそういう奴だよ!』

 

『まぁ……そう言われれば、そうだが……』

 

『だから、負けてとっとと返って来い!そんで、マドカを迎えにきてやれよ!』

 

 あまりの一夏の無茶苦茶っぷりに、珍しくソルがどもった。敵とは言え、こんなにハッキリと負けろと言って来る者は初めてだ。

 

 ソルは思わず笑いが込み上げて来て、ククク……と声を漏らす。ひとしきり笑うと、調子を取り戻したのか咳払いをしてみせる。

 

『それで……頼みは聞いて貰えるのか?』

 

『……ああ、マドカの為だからな!』

 

『感謝する。それならば、もう少しそのまま避けていろ。それで……オレが良いと言ったら零落白夜だ』

 

 まだ避け続けろと……?と、一夏の顔は少し青くなる。しかしもう少しの辛抱だと言い聞かせて、自分を奮い立たせる。その間にソルは、マドカへと回線を繋げた。

 

『マドカ、聞こえているか?』

 

『ソル!?見ていてくれたのか!』

 

『マドカ……もう、良いんだ。これ以上はオレの為に苦しまなくて良い』

 

『え……?どうして……そんな事を言う?わ、私は……私は!お前の為に!』

 

 ソルの言葉に、マドカは盛大な混乱を見せた。攻撃の手も完全に止まって、一夏は動きを止める。しかしだ……まだソルは良いと言っていない。

 

 一夏はじっと待つ……ソルが良いと言うその時まで。それこそ神経と研ぎ澄ませて、零落白夜に全てを乗せる準備を始める。ただ……ソルとマドカの為に。

 

『解っているさ……だが、逆だ……オレもお前を想っているからこんな事を言っている』

 

『な、何が気に障ったんだ?ソル……ハッキリと言ってくれ……!悪かった所があるなら直す!だからお願いだ……私を、見放さないでくれ!お前が隣に居てくれないと、私は……私は……!』

 

『ああ、安心しろ……必ずお前を迎えに行く。オレとお前は……いつまでも一緒だ』

 

『ソル……』

 

『……織斑 一夏。後は……頼んだ』

 

「……ああ、解った!」

 

 バイザーのせいで一夏は分からないが、マドカの表情は恍惚としていた。その隙に一夏は、零落白夜をフルパワーで発動する。そしてこっそりでは無く、勢いよくマドカへと詰め寄った。

 

 瞬時加速を使えるエネルギーはもう残ってはいないが、白式にはそれ以上の気迫が宿っていた。そして一夏の渾身の力が宿った刃は、マドカへと振り下ろされる。

 

「マドカ……少しだけ、辛抱しろよ……」

 

「しまっ……!?」

 

「せええええい!」

 

ズバァッ!

 

「ソ……ル……」

 

 全力の零落白夜は、サイレント・ゼフィルスを強制解除させるのは容易かった。最後にマドカはソルと呟いて、意識を手放した。

 

 一夏は空中でマドカをキャッチすると、安心しきったような寝顔に安堵の溜息を吐く。そうすると白式の回線にソルの苦しむような声が漏れた。そのままソルは、こう続ける。

 

『しばらく、しばらくの間で良い……。マドカを、預かっていてくれ』

 

『ああ、任せろよ。義兄の役目だからな』

 

『そうなるのか……?まぁ良い……後は、加賀美の勝利でも祈っていろ。言っておくが、オレは負けんぞ』

 

『真は……理屈じゃないぜ?まぁ……良いや、またな』

 

 一夏はソルに対して、わざわざ『またな』と声をかけた。短いやり取りだったにもかかわらずに、まるで友達の様な声のかけ方だ。

 

 ソルは短くフンッと鼻を鳴らすと、黙って回線を切った。ブツリと回線が切れた音がすると、一夏は少しばかり苦笑いを浮かべてから合流地点へと向かっていく。

 

 

 




戦闘と言うよりは、会話がメインな感じですが……勘弁!

元からこうするつもりだったんですが、そしたらもっと思い切り長くした方が良かったかもですね……。

マドカがなんで亡国に居るのとか、まだ謎のままですし。もしかしたら次回で明かせるかも知れない……ってところでしょうか。

そんな訳で次回は、まだ良く解からないんです……。真VSソル戦の前に、少しばかり過去編を挟む『かも』です。もしなければ、そのまま真VSソルで行こうと思います。

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。
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