戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

取りあえず番外編第1弾は、前後編です。簡単に言えば、真が原作のカブトの世界へトリップしちゃうってお話ですね。以下は注意事項です。

・時間軸は、125話から126話の間
・今回はISはほぼ関係なし
・カブトの世界の時間軸は適当

以上の事に注意してご覧ください。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


番外なお話・カブトの世界へ(前編)

「うっ……頭が痛ぇ……」

 

 ズキズキと頭痛を覚えて、その場から起き上がった。どうやら俺は、何らかの原因で気絶していたらしい。この頭痛は、頭でも強く打ったのか……?

 

 周囲を見渡してみると、此処はどうやら公園らしい。そうか、俺はベンチに横たわっていたんだな。……公園?なんで俺は、こんな所に?状況を整理しよう。冷静になって、こうなった経緯を思い出すんだ。

 

「えっと、俺は確か……ZECTに……」

 

 そう……ZECTってか、正確に言えばラボラトリに居たんだった。デウス・エクス・マキナとの決戦を終えて、ガタックに異常がないか調べていたんだと思う。

 

 そんで……マスクドフォーム、ライダーフォームの順で調べて……最後にハイパーフォームだったハズ。あ~……確かフォームチェンジした途端に、月子が『調子が悪い』って言いだして……それから……。

 

 なんか……そうだ……!金色の粒子……タキオンが舞い始めて、青子が暴走がどうの騒いで……。……もしかすると俺は、タキオンの暴走で何らかの次元に転移した……?

 

「そうだ、携帯があれば……」

 

 俺はズボンのポケットをまさぐって、スマートフォンを取り出す。とりあえず……電話が通じるかどうか、試してみよう。俺は受話器のマークをタップすると、手当たり次第に電話をかけまくる。

 

 しかし……誰にやっても電波が届かない……とか、電話番号が存在しない……とか、入ってくるのはダメな通知ばかりだ。じゃあ……此処が何処で、いつなのかを調べてみよう。

 

「今、何年だ?」

 

ピコン♪

 

「はぁ!?嘘だろ……?」

 

『西暦2006年』

 

 スマートフォンの音声認識検索機能を使うと、画面に表示された日付は……遥か過去の物だ。続けて現在地を調べてみるが、どうやら東京都内にはいるらしい。

 

 そうか、見覚えが無いのは……過去の東京だからか。だとすると、この公園も……俺が産まれる頃には無くなっているのかも。ここが本当に過去の東京って事は、やはりタイムスリップしてしまったのだな……。

 

「弱ったな……。ソルと一緒でも……時間の逆行で精一杯だったのに」

 

 まぁ……だからこそ、ハイパーゼクターが暴走した可能性も大きいが。あれ以来……ハイパー化はしなかったからな。どうにかして、現代に帰らなければいけない。

 

 俺はとりあえず、その場で右手を軽く上げた。これは、ガタックゼクターに『俺の手元に来い』っていう合図だ。しかし……ガタックゼクターが現れる気配は無い。

 

「…………。……詰んだ?」

 

 うっそだろぉ……?この状況で、ガタックにすら変身出来ないなんて!2006年ってなると、篠ノ之博士は産まれてんのか?彼女にチャンスを賭けるしかない。

 

 あの博士なら、なんやかんやでタイムスリップさせてくれるかもしれない。よし……とりあえず、篠ノ之博士を捜すところから始めよう。俺がそう思って、公園から踏み出た瞬間だった。

 

ドンッ!

 

「アダッ!?おいコラ……何処に目ぇつけて歩いて……て!?」

 

「ああ、ゴメンな……急いでて……」

 

「カ・ガーミン!ショ・ミーンに構っている暇は無いぞ!」

 

「解ってる!君、本当にゴメンな?」

 

 誰かに思い切りぶつかられて、尻餅をついた。少なからず焦っている俺は、ぶつかってきた奴に敵意の視線を送る。そして相手を視界に捉えた途端に、思考が停止した。

 

 その人物は……加賀美 新その人だった。しかもその傍らにいるのは……神代 剣……。俺が放心していると、2人は急いで走り去っていった。

 

 お、落ち着け……考えを纏めろ。俺は現在2006年にタイムスリップ中で、此処は過去の東京。そしてその過去の東京で親父と剣らしき人物を目撃……となると、答えは1つだった。

 

「此処は……カブトの世界!?」

 

 此処は『インフィニット・ストラトス』の過去では無く……次元の違う場所。つまるところ……あの神が言っていた『創作物』であるカブトの世界の様だ。

 

 単純なタイムスリップでは無くて、次元の壁を越えてしまった!?なら……篠ノ之博士はこの世界に存在すらしないではないか。詰んだ!どうしよう……詰んだ!?

 

「そうだ……あの2人!」

 

 剣が親父を『カ・ガーミン』と呼んでるって事は、現在は中盤ってところだろう。親父では無く……天道ならなんとかしてくれる可能性もある!

 

 あの慌てようは、ワームの元へ向かったに違いない。多少のリスクはあるが……天道が現れるかもしれない。だったら……今はとにかく、あの2人を追いかけよう。

**********

「どぉら!」

 

「はっ!てやぁ!」

 

「ふぅ~……ふぅ……!もう……おっぱじまってるか……」

 

 息を切らせながら2人を追いかけると、港の方まで走って行きやがる。階段の下……そこにある広い通路では、既にガタックとサソードがワームと戦闘を開始していた。

 

 俺は近くにある花壇に隠れながら、戦況を確認した。これは……ワームの群れだな。サナギ態がひ~ふ~み~……とにかく沢山いる。周囲にZECTの気配なし……なら、親父はオフだったって事か。

 

ブブブブ!

 

(既に成虫態も……!?)

 

 遠くの方から、大きな羽音を鳴らしワームが飛来した。あれは……セミ?セミのワームなんて、本編に登場したかな?もしかすると俺って言うイレギュラーのせいで、この世界に乱れが産まれたのかも。

 

 えっと、セミのラテン語を携帯で調べて……っと。あ~……シケイダ?シケイダワーム?……って事にしておこう。シケイダワームは、サナギワームと共に2人へ襲い掛かる。

 

「くっ……数が多い。カ・ガーミン!」

 

「任せろ!」

 

「キャストオフ!」

 

『―CAST OFF―』

 

『―CHANGE SCORPION―』

 

「おおっ!」

 

「はああああっ!」

 

ズガガガガ!

 

 親父がマスクドフォームのままでバルカンを乱射し、サナギワームを蹴散らす。そんな親父を信頼してか、剣はキャストオフしてライダーフォームに。緑の爆炎を吹き飛ばしながら、シケイダワームへと向かう。

 

 そして剣がシケイダワームへ辿り着く頃には、サナギワームは全滅した。ナイスコンビネーションだな……この2人は。この調子なら、シケイダワームも……。

 

『カロロロロ……。ミ゛ーン!ミ゛ーン!ミ゛ーン!』

 

「なっ……何!?ぐあああ!」

 

「くっ……!なんて、鳴き声なんだ!」

 

(ぐおおおお!お、俺が一番……被害をこうむってる……!!!!)

 

 剣がサソードヤイバーを振り下ろそうとした途端に、シケイダワームは大声で鳴き始めた。鳴き声からして、どうやらミンミンゼミだな……。だとすれば、シケイダワーム 〇〇……みたいな感じで、個体名もあるかも。

 

 ダメ……だ!他の事を考えて、気を反らそうとしたが……!五月蠅い!脳が痛い!コレを長時間聞いていたら……頭がおかしくなりそうだ!親父、剣……どっちでも良いから頑張れ!

 

「キャッ……キャストオフ!」

 

『―CAST OFF―』

 

『―CHANGE STAGBEETLE―』

 

「おおおおらああああっ!」

 

 違う違う!相手に近づけない時は、大人しくマスクドフォームでバルカンぶっぱで良いんだって!親父のそういうところが好きだけど、今は気合を入れる時じゃないから!

 

 親父はライダーフォームになると、ダブルカリバーを手に気合でシケイダワームへ接近していく。……おお!?すげぇな……親父。ダブルカリバーの射程まで近づいたよ……。

 

『カロロロロ……』

 

「むっ!良いぞカ・ガーミン……それでこそマイベストフレンドだ!」

 

 親父が近づいたせいか、シケイダワームは鳴くのを止めた。そして殴る蹴るといった近接攻撃を開始する。わ~……なんか、ドラマじゃない生のライダー見ちゃってるよ……。

 

 一抹の感動を覚えつつ、2人の戦いを見守る。戦いは、2人が優勢だな……。どうやら、しっかりと鳴く余裕が無ければシケイダワームは鳴かないらしい。後は、クロックアップのタイミングか……。

 

「合わせろ、カ・ガーミン!」

 

「ああ!」

 

ギャリィン!

 

『ミ゛ッ!』

 

 ガタックとサソードの同時攻撃により、シケイダワームは大きく吹き飛ばされた。本当に良く飛ぶな……。って、コレ……アレ……俺の方に飛んで来て無い?

 

 シケイダワームは山なりに吹き飛ばされている。つまりは、階段の下から上まで飛んで来てる訳で……。そしてドシャリと大きな音を立てて、シケイダワームは俺の目の前へ不時着した。

 

『カロロロロ……』

 

「うぎゃああああ!?目……目が合った!嫌ああああっ!?」

 

「アレは、先ほどのショ・ミーン!?」

 

「なんでこんな所に!マズイ……クロックアップ!」

 

『―CLOCK UP―』

 

『ミ゛ーン!ミ゛ーン!』

 

 立ち上がったシケイダワームは、俺を見下ろしつつ背中を反らしている。誰がどう見たって、鳴く前の予備動作だと解るだろう。

 

 ISで悪の組織と戦っていた訳だが、あっコレは死んだかなって……そう感じた瞬間は何度もある。しかし今の状況は、それ以上に死を予感させていた。しかし……。

 

「ぐああああっ!!!!」

 

「!?」

 

「カ・ガーミン!おのれ……よくもマイベストフレンドを!」

 

 俺は気が付いた時には、親父に抱きとめられて階段を転げ落ちていた。どうやら親父はクロックアップを使って、俺を庇ったらしい。それと入れ替わるように、剣がシケイダワームへ斬りかかる。

 

 階段の下まで転げ落ちた親父は、俺を手放した。勢いが死なずにしばらく転がったが、すぐに立ち上がって親父の元へと駆け寄る。その時には、ガタックの変身が解除されていた。

 

「おい……親……じゃなくて、大丈夫かアンタ!」

 

「俺の事は……良いから……!早く、逃げろ……!」

 

「……嫌だ。俺は……俺に、アンタを見捨てる事は出来ないんだ!」

 

「? 君は……いったい……?」

 

 例え別の次元のだろうと、加賀美 新は……俺の父親なんだ。親父からすれば見ず知らずの俺を守った……それが、親父が加賀美 新である証拠だろ。

 

 だから……その息子である俺も、何処であろうと親父の息子でないとならないんだ!だから……俺は親父を見捨てない。戦うんだ……俺が、親父を守って見せる。

 

「なぁ……ガタックゼクター!親父を気に入ってるのは解る。でもだからこそ、今だけ俺に力を貸してくれ!」

 

「!? なんでガタックゼクターの事を……?それに、親父って……」

 

『キュイイイ……』

 

「あっ、おい……ガタックゼクター!?」

 

「……サンキュー!礼を言うぜ!」

 

 親父の周囲を飛び回っていたガタックゼクターは、俺の手元へと収まった。語りかけたは良いが、ボロボロにされなくて何よりだ。

 

 そして俺は、急いで親父の腰からベルトをひっぺがす。しっかりと腰に巻くと、剣と交戦中のシケイダワームを睨んだ。絶対に俺が……倒してやる!

 

「変身!」

 

『―HENSHIN―』

 

ババババババババ!

 

「な、何ぃ!?資格が、移ったのか!?」

 

 ISであるガタックは、一気にアーマーが展開される。しかしこのガタックは、純度100%といったところか。ベルトから波紋が広がって、複眼状の様にアーマーが徐々に広がってゆく。

 

 よしっ……ハイパーセンサーで……って、ISじゃないんだった。とにかくシケイダワームは、中距離が得意に見える。このままマスクドフォームで、バルカンを撃った方が良い。

 

「紫のアンタ!離れてくれ!」

 

「俺に指図を……」

 

「剣!今はその子に従ってくれ!」

 

「くっ……止む負えん!」

 

 俺は一飛びで階段の上へと向かうと、剣に向かって呼びかける。反抗的な態度を取られたが、親父がフォローを入れてくれた。俺は剣がシケイダワームから離れたのを確認して、バルカンをぶっぱなす!

 

 次々とプラズマ火球がヒットし、シケイダワームは苦悶の声を上げる。しかしだ……成虫態のワームを倒すには、バルカンは決定打にならない。

 

「紫の人!」

 

「俺はそのような名では無い!神に代わって剣を振るう男……神代 剣だ!」

 

ザン!ザン!ザン!

 

 剣は呼びかけただけで、俺の目的を察してくれた。そこで俺は射撃の手を止めて、剣とスイッチする。ひるんだシケイダワームには、サソードヤイバーが良く通る。

 

 そして剣が生んだ隙は、俺がバルカンで埋める。言うだけあって、剣はこちらに合わせてくれている様だ。この調子なら、このまま倒し切れるかも……。

 

『カロロロロ……』

 

ドシュン!ガギィッ!

 

「なっ……ぐおっ!うわああああ!」

 

「しまった!クロックアップ!」

 

 一瞬の隙を突かれてしまって、シケイダワームにクロックアップを使う事を許してしまう。どうやら狙いは俺の様で、見えない攻撃を喰らっている気分だった。

 

 マスクドフォームからライダーフォームになれずに、サンドバック状態だ。それを見た剣が、慌ててクロックアップを使用した。そして再度立ち上がった時には、戦闘の気配が消え失せている……。

 

「……逃がしたか。剣が倒してくれてると良いけど……」

 

「あっ……ちょっ……!おぉい、ガタックゼクター!?何で手元に来てくれないんだ!」

 

 どうやらクロックアップの勢いで、遠くまで行ってしまったらしい。今更追いつけないと判断した俺は、大人しく変身を解除した。

 

 それと同時にガタックゼクターが飛んでいくが、親父はジャンプしてそれを掴もうとしている。ガタックゼクターは、まるで嘲笑うかのように親父の頭上を旋回し続けた。

 

(…………。こっちに来な)

 

『キュイイイイ……』

 

「マジか、本格的に……資格が俺に移ったらしいな」

 

「嘘だろ……あんなに苦労したのに!」

 

 俺が頭の中でガタックゼクターを呼んでみると、俺の手元まで飛んできた。なんか知らんが、ガタックゼクターの有資格者になってしまったらしい。

 

 う~む……今回限りのつもりだったのだが、何か悪い事をしたな……。それこそ親父が有資格者になった経緯は、俺も良く知っている。自ら望んで放棄とかって、出来たっけ?

 

「お前!本当にいったい何者なんだ!?俺を親父って呼んだよな、それと関係してるのか!?」

 

「ま、待てって……!痛たたたた!肩をそんなに強く掴むな!」

 

「フッ……何やら面白い事になっているな」

 

「!? ア、アンタは……!?」

 

「俺か?俺は天の道を往き、総てを司る男……天道 総司……」

 

 親父に肩を掴まれ前後に揺さぶられていると、スタイリッシュな出で立ちの男が近づいてくる。その男は何処かドヤ顔で自己紹介をしてくるが、聞かなくったって知ってるさ。

 

 うおおおおっ!やべええええ!マジで天道だ!ヤッベ、テンション上がる!そ、そうだ……サイン!サインをもらって……って、そんな事をしてる場合じゃ無かったか。

 

「面白い事があるか!俺はボコボコにされたんだぞ!?」

 

「ならば、そっちの男の方が素質があるのだろう」

 

「んなっ……!?そ、そんな馬鹿な事が……」

 

「ところでだ……お前。少し話を聞かせてもらおう」

 

「……ああ、もちろん。だけど、なるべく人の居ない場所で……」

 

ぐううううっ!

 

 ……おもっくそ腹が鳴った。すげぇシリアスな雰囲気を醸し出してたのに、台無しにしてしまう。つーか、今何時……?昼過ぎ程か?う~……腹減った……。

 

「……腹が減っている様だな」

 

「うん……まぁ……」

 

「ならば調度良い……着いて来い。俺の家なら人の目を気にする必要も無いだろう。そもそも俺は……買い出しの途中だからな」

 

「えっ……作ってくれんの!?ヒャッホウ!アンタ最高だよ!」

 

「おい……ちょっと待てって!」

 

 良く見たら天道は、片手に袋を携えていた。恐らくは買い出しの途中に、親父か剣……もしくはそれを追いかける俺を目撃したのだろう。今になってご登場なのは、歩いて追って来たに違いない。

 

 なんか、天道には走るって行為が似合わない気がする。今もクルッと振り返って、せっせと家路に着き始めたからな。俺は天道の料理が食えると知り、ハイテンションでその背を追いかける。

**********

「未来からやって来た……俺の息子!?」

 

「ああ、俺の名前は加賀美 真。正真正銘……アンタの息子だ」

 

 天道の料理に舌鼓を打った後に、俺の事情を話し始めた。もちろん……多次元の話は避けて、あくまで同じ次元の未来から来た……って事にしておいたが。

 

 ハイパーゼクターの話もしていない。天道がそれを取得しているか分からない以上は、余計な発言はなるべく避けないとならない。だから気が付いたら此処に居て、過去の父親と遭遇して追跡した……と話す。

 

「マコト……そうか、マコトな……」

 

(ああ、そう言や……あの子と同じ名前だったな)

 

 親父は俺の名を聞いて、何処か納得のいった様子に見えた。そこでオレは思い出したが、俺の名前は……アラクネワーム パープラに擬態された少年と、同じ名前である。

 

 もしかすると、未来の自分はあの子と同じ名前を……とでも思っているらしい。ま……運命力か偶然かは知らんが、お袋がつけた名前だしな……あの子とは関連性は無さそうだ。

 

「それで、コレからどうするつもりだ?」

 

「どうするもこうするも……。どうして良いのか解からんってのが、正直な所だ」

 

「だろうな、状況が未知なだけに……帰り方が見えて来るはずも無い」

 

「ああ、アンタらには話せない事も多いしな……」

 

 未来から来たってのは嘘だが、この世界におけるこれから先の事は……いろいろと知っている。そこで迂闊に口を滑らせれば、それが未来を変えてしまう可能性だってある。

 

 いわゆる『バタフライ効果』って奴だ。眉唾ものだって認識だったが……俺の発言は多くに影響する。いつも以上に思慮深くいかなくては、それでなくてもイレギュラーが発生してしまっているし。

 

「取りあえずは、親父に資格を返す方法を考えないと……」

 

「? 自分の事より、優先しちゃっていいのか?」

 

「アンタ馬鹿だろ。資格が俺に移ってる事がZECTに知れたら、アンタはどうなるか解ったもんじゃ無いぞ。アンタに死なれちゃ、俺も産まれて来なくなるだろうが」

 

「お前……いろんな意味で、本当に俺の息子か……?」

 

 この世界のZECTは、もう黒も黒……真っ黒だからな。親父が資格を失ったとすれば、どう出て来るかは解からない。だからとっとと、資格を親父に返さなくては。

 

 まぁ……それで俺が産まれて来ないって事は無いと思う。しかし……親父が死ぬことは、それこそ未来が大きく変わってしまうだろう。そんな事態だけは、絶対に避けなければ。

 

「お前を反面教師にでもしたのではないか?」

 

「なんだと!?」

 

「無きにしも非ず……ってか、8割がた正解だよそれ」

 

「お前はどっちの味方だよ!?」

 

 天道が腕組みしながらそう言えば、すぐさま親父は噛み付いた。更にそれを俺が肯定すると、親父は俺にも文句を言った。天道が居るせいか、いつもの数段五月蠅いや……。

 

 はぁ……困ったなぁ……資格なんか返してる暇は無いのだけれど。これも何かの縁か……仕方が無い。とりあえずは、あのシケイダワームか剣を捜さないと……倒したか倒してないのか、ハッキリさせておくべきだ。

 

「はぁ……行くぞ、親父」

 

「行くって何処にだ?」

 

「化物退治に決まってんだろ。アンタが有資格者じゃないこの状況なら……俺の傍に居た方が安全だ」

 

「親の為に命を張るのは勝手だが、あまり無茶はしない事だ」

 

「ヘッ、サンキュー。飯……本当にありがとな」

 

 立ち上がった俺に、天道はどこか棘のある言葉を放つ。しかしそれは、天道なりに俺を気遣っての発言だろう。俺にはそれが解るだけに、少し笑顔交じりでそう答えた。

 

「さて、親父……悪いけど案内頼むよ。この世界は勝手が解からなくて」

 

「そうか、時代が違うんだったな……。解った、俺に任せろ!でも……親父って呼ぶのは止めないか?」

 

(……この『世界』だと?)

 

 親父と会話をしながら家を出始めた俺は、自身の些細な失言に気付く事は出来なかったのだ。きっと俺も……カブトの世界に来て舞い上がっていたのだろう……。

**********

「良いか?知り合いに会っても、口裏を合わせろよ?」

 

「そんなに心配か!?未来の俺は、そんなにダメ親父なのか!?」

 

「いや、尊敬してるし感謝もしてるけどさ……とにかくそそっかしいんだって」

 

 2006年の東京を練り歩く俺と親父は、ミーティングの様な事を繰り返していた。俺は東京都内の高校に転校する事になった親父の従弟で、現在は道案内の途中……って感じの設定だ。

 

 未来から来たって事は、親父と天道の他には広めない方が良い。本当は天道にだって、知られない方が良かったと言えば良かったのだが……。どちらにせよ、アイツに隠し事は出来ないだろう。

 

「ところで、何処も見覚えは……」

 

「全く無いって事はねぇけどさ、やっぱ様変わりしてるから訳わからねぇ」

 

 親父にそう言われて、周囲を見渡してみる。その町並みは、ISの世界と様子は似ている。同じ東京だからだろうが……それでも、時代の波には勝てないらしい。

 

 未来っつったって、何も町並みまでSF化してるってこたぁねぇしな。でもやっぱり、道案内は必要そうだ。前世の記憶でもあれば、もう少しはマシだったかも。

 

「兄貴、剣の居場所とかって心当たりは?」

 

「えっと……携帯……あっ、ダメだ……。お家復興がどうのって、携帯も解約したとか言ってたな……」

 

 時期的には、自身が没落貴族な事を知っている?親父が親友認定で、その辺りってなると……今は何話に相当するんだ。仮面ライダーの記憶ははっきり残っているんだが、近頃は単純に忘れ始めているんだよな……。

 

 まぁ……あまり参考にはならないかもしれない。それこそ時間軸がバラバラになっている可能性もありうる。向こうもこっちを捜してくれてると話は早いんだが……。

 

「見つけたぞ!」

 

「!? 危ねぇ!」

 

「うおわっ!剣……何のつもりだ!?」

 

 なんて考えてると、塀の上から剣が降ってきた。サソードには変身していないが、確実にサソードヤイバーで俺を殺りに来ていたぞ……。親父の言う通りに、何のつもりだよ。

 

 ギリギリのところで回避した俺は、後転をして剣との距離を開ける。対して親父は剣の隣……となれば、やはり剣は俺に用事があるらしい。

 

「何のつもり?カ・ガーミンよ、こやつはお前から資格を奪ったのだぞ!」

 

「だからって、そんな手荒な真似はダメだ!」

 

「良いよ兄貴、少し黙っててくれ。そんで……剣さん?アンタも話を聞いてくれ」

 

 基本的に剣は、うん……アホだ。アホってか、世間知らずってか……まぁうん、アホだ。先ほど作った設定に、多少の脚色を加えれば……簡単に騙せるに違いない。

 

 俺は自分の身の上を、家を追い出されたと言う事にした。そして行き場の無かった俺を、従兄である新が拾ってくれて……。それで従兄のピンチを助けたくて、仕方なく資格を奪ってしまった……と語る。

 

「な、何と言う事だ……。俺は……マイベストフレンドの弟分に、刃を向けたと言うのか!?」

 

「あ~……剣?何もそんなに思い詰めなくても……」

 

「こうなったら、自刃して償うしか!」

 

「わーっ!?落ち着けって!おい……真!見てないで止めるの手伝え!」

 

「へ~い」

 

 思いのほか、効き目が強すぎたらしい。剣はサソードヤイバーを自分の首にかける様な仕草を見せた。それを見た親父は、慌てて剣を止めにかかる。

 

 こういう時の剣は頑固な物で、止めるのに時間がかかった。そもそもこの男……人の話は全然聞かないしな。まぁ何とか、思いとどまってくれた。

 

「落ち着いたか?」

 

「なっ……!?刃を向けた俺に、気を遣う言葉を……!お前は紛れも無く、カ・ガーミンの従弟に違いない!」

 

「ああ、うん……それは解ったから。ちょっと聞きたい事がだな……」

 

「よし、今日からお前はマイブラザーだ!カ・ガーミンにとって弟分なら、そのベストフレンドたる俺にとっても弟と何ら変わりない!」

 

 あぁ……ヤバいな、久しぶりに人をぶん殴りたいって思ってしまった。全くこっちの話に聞く耳を持ちやがらねぇんですけど。俺が気が立っているのに気付かないのか、剣は俺と肩を組んで高笑いをしている。

 

 親父は、俺に落ち着くように促して来る。オーライオーライ……解かってるさ、手は出さない。ここで本当に殴ったって、良い事なんて何もないしな。

 

「剣さん、聞きたい事がある」

 

「水臭いぞ、マイブラザー。俺の事は兄様と呼ぶが良い!」

 

「はいはい……。剣兄様、あの怪物は仕留めたのか?」

 

「いや……俺としたことが、あの鳴き声が厄介でな……」

 

 そうか……逃げつつミンミン鳴きやがったか。それは確かに、仕留めきれなくても仕方が無いかもしれない。それにシケイダワームは、飛行も出来る様だし。

 

 しかしそうなると、どうしてもシケイダワームを倒さなくてはいけない。もしかすると、ガタックゼクターもシケイダワームを倒すまで……って解釈で、俺に資格を与えてるのかもしれない。

 

「いいや、剣兄様は悪くないさ。だけど被害が広がる前に、早く仕留めないと」

 

「ああ、マイブラザーの言う通りだ」

 

「それじゃ、手分けして探そう。剣兄様は、あっちの方面を頼む」

 

「任せろ、マイブラザー。俺はワーム探しにおいても頂点に立つ男だ!」

 

 そうやって剣を炊きつけると、俺が指差す方向へ走り去っていった。ふむ……これで手がかりは無しになったか。だとすれば、奴をどうやって見つけるかね。

 

「ま、厄介払いも出来たし……次行くか」

 

「厄介払い……?お前、もしかしてわざと!」

 

「ああ?そうに決まってんだろ。あんなオツムの弱い奴と一緒に居られるか」

 

「馬鹿野郎、剣が危ないかも知れないだろ!?俺は剣を追いかける!」

 

 あ~……親父の性格上は、本当の事を言うのは止めといたほうが良かったか。親父は剣の向かった方面へと、全速力で走りだす。あの坊ちゃん、普通に強いから1人でも大丈夫と思うんだけどな。

 

 親父は猛スピードなために、もうかなり先の曲がり角へと消えてしまった。仕方が無い……見失う前に、俺も親父を追いかけるとしよう。俺がそうやって走り出した瞬間に、大声が聞こえた。

 

「うわああああっ!?」

 

「!? 親父ッ!?」

 

 今のは確かに親父の悲鳴だった。俺の走るスピードは速度を増して、親父の消えた曲がり角まですぐにたどり着く。そこで俺が目にした光景とは……?

 

「重ねて済まない……マイブラザー。どうやら、厄介なことになってしまった」

 

「「真!」」

 

「あ、兄貴が……2人……!?」

 

 そこに居たのは、少し怪我をして蹲っている剣。そして、とっくみ合いになっている……2人の親父であった。これは間違いなく……擬態だ!もしかすると、シケイダワームかも知れない。

 

 しかし……間抜けもいたものだねぇ。よりによって親父に擬態するなんざ、馬鹿な野郎だ。理由は諸々だが……まぁ離しても仕方の無い様な事だ。この状況でただ1人、俺だけが不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

 




そんな感じで、天道登場。

今回はあまり出番はないですけどね、天道は後編から活躍の予定です。本当は、料理の描写も入れたかったです……。

ちなみにですが、これ以上カブトの登場人物が出る事は無いと思われます。なんで剣は出てきたかと言いますと、彼が居ると話が動かしやすかったからです。

新1人では、いまいちパッとしなかったので……彼が抜擢されました。他のキャラは登場しませんが、ご理解いただけると幸いです。

さて、次回は後編からスタート。擬態されてしまった新の運命は!?真は無事にISの世界へと帰る事が出来るのか!?

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。
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