戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

132 / 143
どうも、マスクドライダーです。

今回はリクエストシリーズ第2弾として、真と簪の結婚式をお送りしたいと思います。私の周囲が結婚みたいな話が無いですから、流れが少し変な部分があるかも知れません。

ネットで流れを調べつつ、幼き日の親戚の結婚式を思い出しながら書いたのですけれどね……。うん……?私ですか?カノジョ……?はて、知らない言葉ですね。

……ってか、それはまた別の話として……ゴーストの話がしてぇ!第1話……えぇ、今後の展開が期待できる良い1話だったと思います。

あ、あと変身音の語呂がいいですね……ラップ調を意識してるんでしょうけど。『レッツゴー覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!』『決闘!ズバット!超剣豪!』……私は好きですよ、ええ。

……全くこの話題関係ない!でも話したい!あぁ……特撮ファンの血が騒ぐ……!私が発狂する前に、本編の方行きましょう!

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


番外なお話・ハッピーウェディング!

「簪……。少し、話があるんだ」

 

「うん……?真剣な……お話……?」

 

「ああ、これ以上ないってくらい……真剣な話だ」

 

「……解かった。話して……?」

 

 皿洗いをしていた簪の手が止まった……そのタイミングを見計らい俺は声をかける。学園を卒業して、簪と同棲を始め2年弱……俺は人生の分岐点へと立たされていた。

 

 落ち着け……学園に居る頃からそれなりに準備はしてきたし、まず失敗しないって事は『ほぼ』100%解ってるだろうに。後は俺が、ゆっくり落ち着いて口に出すだけなのだから。

 

 簪には俺の真剣っぷりが伝わったのか、テーブルを隔てて俺から見て真正面へと正座で腰掛けた。俺もそれまでは足を崩していたが、しっかりと正座で座り直す。

 

「まぁ……なんだ。いきなりで困るかも知れないけどな、プレゼントが2つほど……ある」

 

「本当……?特に記念日とか……そうじゃ無いよね……」

 

「う~ん……。むしろ今日が記念日になるかも……って、まぁいいか。とりあえず……」

 

 簪は俺の記念日という言葉に反応するが、今日は何も特別な事は無い。今日も単に、俺は仕事帰りだもんな……。本当は休み取って、どことなりもっとふさわしい場所でするべきなんだろうけど。

 

 生憎だが、やっぱり俺にはそういったキザなのは似合わない。だからこそ、俺の出来るなりのサプライズは考えたんだ……落ち着けよ。俺は、少し手元を震わせながら懐からある物を取り出す。

 

「1つ目は、コレな」

 

「コレ……印鑑?どうして……」

 

「印鑑ってか、実印な。理由は……俺の苗字を名乗ってほしいからだ」

 

「!? それ……って……」

 

「はい、こっち2つ目。簪……俺と、結婚してくれ」

 

 俺はカタリと、筒状の小さな箱を簪の前に置いた。それは加賀美家の新しい実印である。それもただの実印では無い……『加賀美 簪』の為に用意された実印である。

 

 簪は実印の意味を語った時点で、俺が何を言いたいかは察しただろう。だから俺は、有無も言わさず四角い小さな箱を簪の目の前に置いた。それを俺の手で開けば、そこに入っているのは……結婚指輪だ。

 

 学園に居る頃から、テストパイロットして稼いだバイト代。ZECTに正式に入社して稼いだ給料。俺は簪との結婚に必要な金額が溜まり次第に、いつだろうとこうするつもりだった。

 

 それは前述の仕事が両方ともに異様に稼ぎが良かった……と言うのもあるが、この際それは置いておくことにしよう。もちろんだが、悩みはした。早めにプロポーズする事は、それだけ簪の道を狭めてしまうことだから。

 

 しかし俺は、耐えられなかったのだ。自分の都合と簪の都合を天秤にかけて、俺の方が傾いたのだ。だが……だからこそ、それ以上に簪を幸せにしてやるという覚悟はある。

 

「言葉じゃきっと、俺は簪への想いを伝えきれない。だから……こうやって形あるものを選んだんだ。でも……これだけは言わせてほしい」

 

「…………」

 

「絶対に簪を、幸せにしてみせる。だからどうか、俺を信じて着いて来てほしい」

 

 俺は、いつか簪に似たような台詞を送った。それは確か……いや、今でも良く覚えている。俺が……最初で最後に好きになった女の子へ……伝えた言葉だ。

 

 実にシンプルで、面白味も何も無いかも知れない。しかしだ……逆を言えば、俺は……そういう言葉しか出て来ない程に簪の事を愛している。こればっかりは、どうしようもない……天地がひっくり返ろうとも、俺は簪にシンプルな言葉しか送れないだろう。

 

「……は……い……。私で……良ければ……一生……貴方の傍に……居させて下さい……」

 

「……そうか……そうか……!あぁ……簪っ、ありがとう!」

 

 やはり断られる事なんて無かったが、不安は一気に消え失せ……俺の胸中には『幸せ』という感覚がいっぱいに広がる。それを簪と共有して居ると考えると、俺は更に幸せだ。

 

 思わずテーブルの向こう側へと回り込んで、簪を思いきり抱きしめる。その後しばらくは、2人で熱いキスを交わす。これまでにない……頭がどうにかなってしまいそうなほどに、気持ちのいいキスだった。

 

「真……」

 

「どうした……簪」

 

「真に……はめて欲しい……」

 

「ああ、そうだな……肝心なのを忘れてたな」

 

 キスが終わると簪は、そんな事を言い出した。一瞬だけ何の事だと思ってしまったが、すぐさま指輪の事をだと理解する。値は張ったのに、それがぶっ飛ぶくらい俺は浮かれていたに違いない。

 

 俺はそっと指輪を手に取ると、簪の左手を優しく広げさした。そして丁寧に丁寧に、左薬指へと指輪をはめる。指輪は薬指へとすっぽりとはまって、簪の元へと帰って行ったかのように思えた。

 

「真は……私の初恋で……。何も知らなかったけど……貴方と、こうなる事を夢見てた……」

 

「夢、叶ったか?」

 

「うん……!本当に……冷めちゃわないか……心配……。そのくらいに今……私は幸せ……!」

 

「そうか、それじゃ……一生かけても覚めない夢にしねぇとな」

 

 しばらく簪は、黙って自身の左薬指を見つめ続けていた。そしてそのまま指を握りしめながら、簪は泣き笑いして今の気持ちを俺に語る。そんな簪の様子に、俺は耐えられなかった。劣情を覚えてしまったのだ。

 

「その……真……」

 

「……ダメとは言わせねぇ。俺はもう……我慢するのは止めたんだ」

 

「あ、あうぅ……」

 

 俺は簪をお姫様抱っこで持ち上げると、せっせと寝室の方へと足を運ぶ。俺の向かった先で、簪はこれから怒る事が予測できたらしい。だがもう言葉通りに、止まる気は一切なかった。

 

 これまで何度も簪とは身体を重ねてきたが、今日は何か……いつも以上に頑張れそうだ。腕の中に居る簪が抵抗しないのを、俺は肯定だと認識して……簪をベッドへと放り投げた。

**********

「……という訳でして、娘さんとの結婚を……許して下さい!」

 

「うん、良いわよ~」

 

「思いのほか軽いっ!?あ、あの……黒鋼さん?」

 

「これからは……お義父さんと呼びなさい……」

 

 一番近い休みを使って、更識家に結婚の報告をしに来た。と言うよりは、許しを得に来たと表現した方が近い。だって……絶対に反対されると思ったもの。

 

 ウチの家族?そんなもん、言うまでも無く大喜びだよ。う、う~む……ここまで歓迎されると、少し調子が狂う様な気も……。それはきっと、俺はまだ若輩って自覚があるからだろうな。

 

「お父さん……気が早い……」

 

「そんな事は無いんじゃない?だって結婚するんでしょう」

 

「あの……お母さん……。お煎餅……」

 

「まぁまぁ固い事を言わないで。あっ、貴方達も食べる?」

 

 そうなんだよ……緊張感が無い事この上ないんだよ。さっきから……と言うか、俺達と対面してる時から鞘香さんは終始ボリボリと煎餅を食べていた。

 

 あ、でも勧められたなら貰っておこう。何処で買ってるのかは聞いた事は無いが、更識に備蓄してある煎餅は美味いんだこれが。黒鋼さん含めた俺達4人は、和やかな様子で煎餅をボリボリ……。

 

「って違う!?えっと、何か想像してたのと……イメージがですね」

 

「私が……反対すると……。そう……思ったのだろう……?」

 

「うっ……。え、えぇまぁ……はい」

 

「私達、決めたのよ。娘の決めた事には、口出ししないって」

 

 ぶっちゃけた話……黒鋼さんには大反対を受けるだろうと予測していた。前回……同棲の許しを貰いに来た時は、本当……凄かったもの。もう……あれだ……死ぬかと思ったとしか言いようがない。

 

 俺が立ち上げた訳でも無いが、加賀美派なる連中の説得がなければ……どうなっていた事か。俺がしみじみとそう思っていると、鞘香さんがポツポツと語りだした。

 

「簪ちゃんにも楯無ちゃんにも……更識の格式うんぬんで、迷惑をかけてるもの」

 

「特に……簪ちゃん……。長きに渡る……周囲の過度な期待……。私達は……簪ちゃんを……救ってやれなかった……」

 

「…………」

 

 家柄……か。よくよく考えれば、親父もそうなんだよな……。加賀美家……っつーか、爺ちゃんの立ち上げたZECTに反発して、爺ちゃんの元を去った。

 

 簪は、やっぱりもっと辛かったのかも知れない。語りだす両親を目の前に、少しばかり表情が暗くなる。俺はそれを見て、そっと簪の手を取った。それに対して簪は、何かに耐える様に俺の手を握り返す。

 

「でもね、あっさりと簪ちゃんを救っちゃった男が1人……」

 

「お、俺っすか?いや、俺はそんな大それた事は……」

 

「夏に簪ちゃんが帰って来たときは、驚いたわよ。ね、あなた?」

 

「うむ……。簪ちゃんは……私達に対しても……遠慮気味だった……。だが……それは消え失せていた……」

 

 救ったってか、それは少し違う。というよりは、散々言ってきた事だ。別に俺が何をしたって事は無くて、簪は元から強かった。……今となっては、俺は簪の内なる輝きに惚れたのかもな……。

 

 違う……惚気話に移行してどうするよ。まぁ……お互いさまって事にしておこうじゃないか。俺も簪のおかげで、だいぶ変われたし。

 

「だから……前回以降に……サーヤちゃんと……話し合ったのだ……」

 

「私達は、2人の道は邪魔しないってね。ま、私はずっと賛成派だったけど?」

 

「それは……むぅ……。済まなかったな……真くん……」

 

「いえ、気持ちは解ります。……怖かったですけど」

 

 俺が正直にそう言うと、黒鋼さんは少し項垂れる。その様子を見た簪と鞘香さんが、クスクスと笑う。厳格そうな黒鋼さんが笑われる光景は、少しシュールだ。

 

 柔らかい笑みで黒鋼さんを見ていると、視線を感じたのか目が合ってしまう。だが予想に反して、黒鋼さんも穏やかな表情だ。どうやら本当に、心から俺の事を認めてくれたようだ。

 

「そういう事だから、2人の好きなように生きて頂戴」

 

「2人の道を……全力をもって支えよう……」

 

「はい……ありがとうございます!やったな、簪」

 

「うん……。何事も無くて……」

 

 ええ、本当……そこだけが心配でしたよ。16の時の正月しかり……俺は更識に来ると大抵は肉体を酷使する羽目になる。つーか、言っちゃえば怪我な。

 

 アレ……?更識とか関係なしに、俺って基本的にいつもボロボロな様な気が……。……加賀美家の呪いか?俺達はボロボロになる運命なのか?俺がそう思っていると、突然に背後の襖が開いた。

 

「よっしゃあ!これでようやく……加賀美派の本格旗揚げだ!」

 

「一生ついて行きますぜ、真兄さん……いや、若旦那!」

 

「どいつもこいつも……!俺は!そんなんじゃないっていつも……だぁっ!寄るな、男臭い!」

 

「先代、旦那様!今日は宴と行きましょう!」

 

「それが良いわね。よ~し……それじゃあ皆、大広間へレッツゴー!」

 

 いや……鞘香さん?俺のこの状況は、どうにもしてくれないんですか?加賀美派とか、そんな派閥を更識内に作る気は無いんですけど。それでなくても頭の固い爺共が、俺の存在を鬱陶しがってるってのに。

 

 鞘香さんが言うには、それを除けば俺は絶大な支持らしいけど……。なんでこうなる?ラボラトリの連中もそうだが、俺にカリスマなんて皆無に……。

 

「つーか、降ろしてくれよ!ナニコレ、俺は神輿!?今日って祭りだったっけ!?」

 

「流石は若旦那だ!今日もツッコミが冴えまくりですね!」

 

「んな事を褒められても嬉しくねええええ!簪いいいい!助けてくれ!」

 

「フフ……頑張って……若旦那……」

 

 俺は更識の屈強な男達に抱え上げられて、もはやなす術が無い状態だ。しかもそのまま移動を始めるのだから、本当に神輿にでもなった気分である。

 

 苦肉の策として、簪に助けを求めてみる。だが俺は、知っていた……こういう時の簪は、変にノリが良いと言う事を。更識家が、本当に暗部かどうかを疑い始める俺であった……。

**********

「真ってさ、致命的に白が似合わないな」

 

「うむ……顔つきがそうさせるのだろう」

 

「それが父と祖父の言う事か!?」

 

 更識に挨拶へ向かってから数か月が過ぎ、今日は俺と簪の晴れ舞台……結婚式当日である。ベタかも知れないけど、教会で純白の……みたいな感じの式になっている。

 

 今は控室で、着替えを行ったところだ。タイミングを見計らって、親父と爺ちゃんが現れるが……俺の純白のタキシード姿を見て、開口一番にそんな事を言い出した。

 

「似合ってないのは重々承知だっての……」

 

「ハハハ、拗ねるなって。とにかく、おめでとう……真。良いか、絶対に簪ちゃんを幸せにしてやれよ?」

 

「真、今日はおめでとう。孫の門出を祝う事が出来るのを、心から嬉しく思う」

 

「……さ、最初からそういう台詞だけにしとけ」

 

 2人の言葉が心から嬉しくて、少し涙が出かけた。クソッ……不意打ちは卑怯じゃねぇか……。やっぱりそうやって、俺の事を泣かせようとしてるに違いない。いや……きっとそうだ。

 

 その手には乗るか、コンチクショー。俺は気付かれないように目元を擦ると、いつもの通りに皮肉を言いまくる。流石に、今日はプロレスまでには発展しないだろうけど。

 

「真、小父さん、お爺さん」

 

「どうも、今日はおめでとう」

 

「ん、よう……一夏に弾。サンキュー」

 

「おっ、真……ビックリするくらいに似合わねぇな!」

 

「弾……テメッ!もうその話はすんなや!」

 

 控室に現れたのは、一夏と弾だ。この2人を招待せん訳にはいかんだろう。まぁ……IS学園に通ってた都合上で、同性の同い年なんかこの2人くらいだけど。

 

 で……弾の野郎も俺の姿を見るなり似合って無いと言いやがる。もちろん弾は冗談で言っている訳だが、俺からすればその言葉はもうお腹いっぱいなのだ。

 

「俺達の中なら、真が一番乗りか。俺も……誰か良い人が見つかるかな」

 

「「死ね」」

 

「なんでだよ!?」

 

 俺や弾からすれば、意味の解らん事を一夏が呟いた。それを聞いた俺達は、同時に同じ言葉を一夏にプレゼントする。さっきまで小競り合いをしていたのに、俺と弾は拳を合わせて団結する。

 

 ってか、そういや弾と虚さんってどうなってんだっけ?虚さんとは顔を合わせる機会が減ったし、弾は虚さんよりも会う事は少ない。ま……聞かないでおく事にしよう。なんたって、今日の主役は俺と簪なのだからな。

 

 しかし……この調子で田所さんや三島さんも来るのだろうか?そうなりゃまぁ……凄まじいカオス空間が出来上がりそうな予感だ。どちらにせよ、簪よりは大変じゃないだろうけど……。

**********

「キャーッ!簪ちゃん……綺麗!素敵!」

 

「うへへ~、本当によく似合ってるね~」

 

「う……うへへって……。2人とも……苦しい……」

 

「お嬢様、気持ちは解りますが控えてください……。ほら、本音も」

 

 ウェディングドレス姿の簪を見て、楯無と本音はすぐさま抱き着いた。妹が先に嫁へ行くことを、楯無は特に気にしてはいないらしい。どちらにせよ、楯無がその気になれば男の1人や2人は軽く落とせるハズだ。

 

 だが2人の喜びようは、そのまま簪へと物理的ダメージとなって現れた。見かねた虚がすかさずフォローを入れるが、あまり2人に反省の色は無いように見える。

 

「虚さん……ありがとうございます……」

 

「いえ、私はお嬢様のストッパー役なので。それよりも簪お嬢様、大変似合っていますよ……。とてもお綺麗です」

 

「あ、ありがとう……ございます……」

 

 虚にとっては、簪も妹の1人の様な物だ。あくまで従者として接してはいるが、心より簪の結婚を喜んでいる。どちらかと言えば、この2人が実の姉妹でも違和感は何処にも無い。

 

 やはり自由な姉、もしくは妹を持つと苦労するのかも知れない。その反動でしっかり者となったとすると、全てに納得がいくような……いかないような。

 

「それより、他の方もおいでですよ」

 

「もしかして……皆……?」

 

「お邪魔しま~……わぁっ、簪……すごく綺麗だね!」

 

「うむ、わざわざドイツから飛んで来た甲斐があるというものだ」

 

 わらわらと控室に入って来たのは、簪にとって大事な友人達である。いつもの専用機持ち5人だ。現在は祖国に戻っているセシリア、鈴、シャルロット、ラウラの4人も無理にでも都合を合わせて出席したのだ。

 

 変わらぬ友人たちの様子に、簪は嬉しそうに駆け寄る。今となっては懐かしい光景だが、6人で輪になるようにキャッキャッとはしゃぎ始める。

 

「しかしねぇ……意外だわ。あのヘタレがこんな早くプロポーズするなんて」

 

「そうですわね、てっきり真さんの事ですから……」

 

「『俺が1人前になってから~』……とか、そんな感じと思っていたが。とにかく、おめでとう……簪」

 

「うん……皆……ありがとう……。来てくれて……嬉しい……」

 

「水臭いわね!真のがうつったんじゃない?」

 

「あっ、ねぇ簪。真に、なんてプロポーズされたの?」

 

「あ……えっと……自分の苗字を……名乗って欲しいって……」

 

 学園での生活を見ている限りでは、ヘタレと言うのが皆の共通認識だった様だ。それだけに、早い結婚が意外だったのだろう。本人が聞いたら声を荒げるだろう台詞を、皆は次々ととばしてゆく。

 

 そして話題は真のプロポーズへと変わり、一気に場は盛り上がる。どちらかと言えばストレートであろう真の台詞に、ここに居る面子は『らしさ』を感じた。

 

「あ~……皆様、盛り上がっているところを大変申し訳がないのですが……」

 

「むっ、もうそんな時間か……。行くぞ皆の物!」

 

「ラウラさんは、軍人っぷりに磨きがかかっていますわね……」

 

「ア、アハハ……。それじゃ、簪。僕らは先に待ってるから」

 

「ブーケトス、アタシが居る方に投げてよね!」

 

 式場の案内係が時間を知らせに来たのだが、あまりの盛り上がり様に少し遠慮気味だ。しかし仕事はしなくてはならない。恐縮そうな様子で語りかけると、皆はそれで大人しくなった。

 

 先陣切って式場へと向かって行ったラウラを、皆が苦笑いしながら追いかける展開となった。一気に場は静まり返ってしまうが、それはこれから式が始まる合図の様に簪は思えた。

**********

『新郎の入場です』

 

 教会で式を行っている以上は、様式の流れになる。まず俺が最初に入場して、黒鋼さん……ってか、お義父さんだな……お義父さんから、簪を引き渡して貰う形となる。

 

 アテンダーと同時の入場とは言え、祭壇の前まで突っ切るのはなかなか度胸がいるな。だが……一生に一度の晴れ舞台だ……失敗は許されん。そう……堂々とだ。

 

 変にキョロキョロする事はしないが、招待した面子が揃っている事が確認できた。……調整が大変だったろうに、来てくれるとは嬉しい物だ。なおさら堂々と……だな。俺は、こちらから見て祭壇の右側へと立つ。

 

『続いて新婦の入場です』

 

 クルリと後ろへ振り返ると、協会の大きな扉がゆっくり開かれた。その先に居るのは、腕を組んだ簪とお義父さん……だが、俺にはもはや簪しか映ってはいない。

 

 サイズ合わせでも見たりはしたが、何度見ても……綺麗だ。純白のウエディングドレスは、淑やかな簪にはよく似合う。何度言っても足りないくらいに、綺麗だ……。

 

「娘を……頼む……」

 

「命に代えても」

 

 徐々に近づいて来たお義父さんは、俺に簪を手渡す前に声を震わせながら呟く。そして差し出された簪の手を取って、残った手はお義父さんと固い握手を交わす。

 

 男同士だからこそ、この握手だけで色々と伝わった。俺もお義父さんに対して、この握手で色々と伝えたつもりだ。お義父さんが安心したような表情を見せてくれたので、伝わった……と思っておこう。

 

「なぁ……簪」

 

「何……?」

 

「俺達の未来、まだまだ始まったばかりだ。これも、1つの通過点でしかねぇ。ゆっくり歩いて行こう……俺達の未来を」

 

「うん……約束……守って貰うから……」

 

 約束……簪とは、いろいろと約束をしたものだ。ずっと一緒……一緒に未来を見ていく……そうだな、俺は約束を破ってばかりだから……守って見せよう……この約束だけは。

 

 簪の左手を強く握りしめると、再び祭壇の方へ……一歩、また一歩と近づいて行く。そう……コレは俺と簪の未来への一歩だ。何処までも続く簪との未来は、此処から始まるのである。

 

 

 




末永くお幸せに!(涙声)

えぇ……作者のなのに、なんかこの2人が結婚ってのは……感慨深いものが……。うぅ……ちょっと、どなたかティッシュかハンカチ持って無いです?

普通は誓いのキスとかの描写を入れるんでしょうけど、あえてそこはカットしました。2人の思い描く未来は、皆さんの手で作り上げてあげてください。

もしかすると、式の合間にハプニングがあったりするかもですね。それは皆さん次第……でも破滅の未来は勘弁な!

ちなみに末広がりって事で8888文字を狙ったのですが、途中で断念……。美味い事やりくりして、今回は8000文字ピッタリになってます!……どうでも良いか。

この調子で、ドンドンとリクエストシリーズを更新してゆきます!さぁて次回は、どなたのリクエストになるでしょう?

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。