戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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はい……どうも皆さん……作者のマスクドライダーでございます。

タッグ戦の戦闘描写……難しすぎるっ!もう本当……今回は酷いですよ、ええそりゃあもう酷いですとも。だって、誰かを動かすと他の誰かが動いてなかったりするんですもの!

もう途中から半ば投げやりで書いてます。それゆえ雑で無理矢理な描写が多々あると思われますが、勘弁してやって下さい……。自分で書いててメンタルがガリガリ削られているものですから……。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


VS一夏&シャルル(タッグマッチ)ですが何か?

「…………」

 

「…………」

 

 凍りつくような空気が俺達側のピットに流れる。ボーデヴィッヒは余計なおしゃべりをしないから、彼女が口を開かない限りは俺も同じく口を開くことは無いだろう。

 

 簪の時とはまた別だな……以前よりも肌がピリピリしますとも。まぁ逸る気持ちを抑えられんのも分かるが、もう少し殺気をどうにかしてほしいものだ。

 

 ボーデヴィッヒがこう殺気立っているのには理由はある。それは、俺達の一回戦の相手が織斑とデュノアのペアだからだ。なんかこう……誰か仕組んでんじゃねぇの?と言いたくなる。

 

 試合がいきなりタッグマッチ制になったのも然り……因縁で片付けられるほどの規模じゃないんだぞ、この大会。学年別って言うぐらいだから大人数がエントリーしている……にも関わらず一回戦でボーデヴィッヒの当たりたかった相手と来た。

 

 しかもご丁寧なことにAブロックの第一試合……トップバッターだ。俺としても面倒な相手と初っ端から当たれて良かったが……なんとな~く「大人の事情」みたいなのを感じずにはいられない。

 

「……おい」

 

「……なんだ」

 

「準備は万端か」

 

「ああ、今日はすこぶる体調も良い」

 

 突然話しかけられて内心少し驚いたが、聞かれたことにはしっかり返事をした。ボーデヴィッヒの場合、本気で俺の体調を心配しているわけでは無いだろうけど……。言いたい事なんてだいたい想像がつく。

 

「フン……そうでなくては困る。貴様は大事な足止めなんだ、くれぐれも足を引っ張るなよ」

 

「ハッ……やっぱりな……」

 

「なんだ?言いたいことがあるならハッキリしろ」

 

「いえいえ、なんでもございませんとも」

 

 予想通り、俺をパートナーとして心配しているという事ではなく、相変わらずただの足止め役としての心配らしい。ボーデヴィッヒに悪ふざけ半分で返すと、あまりお気に召さないようだ。

 

「貴様……ふざけているのか」

 

「別に、俺が人をおちょくるのはいつもの事だし」

 

「クソッ……なぜ教官はこのような男を気に入って……」

 

 なんかボーデヴィッヒのつぶやきが断片的に聞こえた。教官とか言ってたか?さては織斑先生……ボーデヴィッヒに余計な事を吹き込んだな……?

 

『そろそろISの展開をお願いします』

 

 ピットに教師のアナウンスが流れた。それを聞き終わると同時くらいに片手をあげてガタックゼクターを呼ぶ。パシッとキャッチし速攻でベルトにスライド挿入する。

 

「変身」

 

『―HENSHIN―』

 

 ガタックに変身完了すると、またもやボーデヴィッヒの視線が気になる。だが、今回の視線には敵意は感じられず。まじまじとガタックの様子をうかがっているようだ。

 

「なんだよ」

 

「なに、そんな全身装甲のISで良く戦えるものだと思ってな」

 

「遠まわしに時代遅れって言いたいのな……」

 

 そういうボーデヴィッヒの機体、シュバルツェア・レーゲンにはどうやら最新鋭の技術が盛り込まれているらしい。ドイツの科学力は世界一……とハイテンションな軍人が言ってた気がする。

 

 なんかイメージインタフェースが普通のISよりも過敏であると調べた資料に書いてあったが、それを難なく乗りこなしているボーデヴィッヒはやはり優秀なのだろう。

 

 そして、なによりも厄介なのがアクティブ・イナーシャル・キャンセラーと呼ばれる特殊兵装だ。腕部から放出され対象物周辺に慣性を停止させる空間を作るんだそうな。

 

 俺はシュバルツェア・レーゲンに勝てる自信が全くない。もちろんクロックアップがあったとしてもだ。そもそもなんだそのチートな兵装……ってクロックアップも大概か。お、俺は筋肉痛のリスクを抱えてるし……(震え声)

 

『それでは、出撃お願いします!』

 

「行くぞ、決戦の時だ」

 

「まだ一応、一回戦なんですがそれは」

 

 ピットから飛び出てゆくボーデヴィッヒに、ヤレヤレ……とため息をつき俺も続いてピットから飛び出た。さて……今日もよろしく頼むぜ、ガタックゼクター!

********** 

「かっがみ~ん!」

 

「むっ?」

 

 アリーナに入ってまず俺がハイパーセンサーにとらえたのは、元気にこちらに向かって手を振っている本音だった。片腕を上げてこたえると、どうやら気付いてくれたらしく更に大きく手を振ってきた。

 

 本音の両隣りにいるのは鷹月と相川か……どうやら簪は今回も学校行事を抜けて整備室にて打鉄弐式を弄っているらしい。応援に来てほしかった……とは言わないが、いないならいないで寂しいかもな……

 

「おい、集中しろ」

 

「ああ、悪い」

 

 見れば、織斑とデュノアも既に開始位置へとついている。ぼーっとフワフワ浮いているのは俺だけだ。慌てて開始位置へと移動する。 

 

 両陣営4人が並んだところで、さっそく織斑とボーデヴィッヒは睨み合っていた。何やってんだか……この分を見ると、織斑の奴は試合開始直後から突っ込むだろう、賭けても良い。

 

『試合開始!』

 

「うぉぉぉぉぉぉ!」

 

 そらきた、読み通り。ボーデヴィッヒは何のためらいも無く織斑をAICに捕まえた。織斑の動きはピタッと停止し、隙だらけだ。にも関わらずあの自信満々の表情……デュノアの援護を期待してるな。

 

 ボーデヴィッヒが動けない織斑を相手にレールカノンを構える。と同時にデュノアも行動を開始した。さすれば、俺もお仕事開始と行きますか。

 

「させないよ」

 

「お前もな」

 

ガガギン!

 

 え~っと……あの装備はアサルトカノンのガルム……だったかな?とにかくデュノアは織斑を飛び越えつつガルムを射撃するが、俺はマスクドフォームの防御力を生かしボーデヴィッヒを身を挺して守った。

 

「えっ!?」

 

「うぉらっ!」

 

「くっ……」

 

「シャルル!」

 

 俺がガタックでダメージを受けてまでボーデヴィッヒを守ったのがよほど意外だったのだろう。デュノアが驚いている間に接近し、ハイキックをかますが……冷静に対処されシールドで防がれる。

 

「まだ!」

 

「何っ!?」

 

「チィッ!」

 

 デュノアは吹き飛ばされながらも瞬時にアサルトライフル「ヴェント」に切り替え無理矢理ボーデヴィッヒを銃撃。あまりの武器切り替え速度に対処できず、ボーデヴィッヒへの攻撃を許してしまう。

 

 ラピットスイッチがどうのこうのデュノアの資料に書いていたが……コレの事だったか。まさに異名にふさわしい切り替え速度だ。

 

「スマン。抜かした」

 

「いい。大したことは無い」

 

「じゃ、後は好きにやりな」

 

「貴様に言われるまでも無い」

 

 お互い背中合わせになっていた俺とボーデヴィッヒは、それだけ言葉を交わすと自らの目標に向かって一直線に進むのみ。

 

「悪いが、少し付き合ってもらう」

 

「う~ん……強引なアプローチだね。君がそんなに情熱的な人だとは思わなかったよ」

 

「ハッ、惚れるなよ?」

 

「それだけは無いから安心して!」

 

 一言二言だけ軽口を交わし合うと、デュノアは俺からの距離を遠ざける。徹底的に遠距離で挑む気だろうか?ならば、一応だがガタックバルカンで受けて立とう。

 

ガガガガガ!

 

 相変わらずのただひたすら何も考えずにガタックバルカンを乱射する。いつもの事だが、ガタックバルカンは距離が空いているせいでヒョイヒョイと避けられ、仕事をしていない。

 

 だが妙なことにデュノアは俺に反撃をしてこない。隙はいくらでもあるはずなのに……これでは、まるで何かを待っているような……。

 

『警告!後方からの攻撃!』

 

「そこだ!」

 

「つう……!」

 

 いつの間にか、織斑は俺に接近を試みていたようだ。かろうじて雪片は腕の装甲で受けたが、デュノアが攻撃を仕掛けてこない理由が分かった。

 

「追撃、いくよ!」

 

 デュノアは見計らったように俺への射撃を開始する。どうやら、俺から倒す作戦で来たらしい。まぁ先に潰せる奴から潰すのが戦いのセオリーではある。

 

「(仕方が無い……)キャスト……」

 

 俺は多少のダメージを受けるのを妥協し、キャストオフをしてライダーフォームのスピードを生かし、この場からの脱出を謀ったが……。

 

「どけ、邪魔だ!」

 

「ぐおぁっ!?」

 

 あろうことかボーデヴィッヒは俺に体当たりをしてその場から俺をどかし、腕部のレーザー手刀で織斑に切りかかる。なにやってんだ、この女!

 

「馬鹿!今割って入ったら……」

 

「隙だらけだよ!」

 

「ぐあ!」

 

 好都合と言わんばかりにデュノアは背中ががら空きなボーデヴィッヒを射撃。無理に織斑との間に割って入ったのだから、当然の結果だ。

 

「貴様!足止めもできんのか!」

 

「はぁ!?無茶苦茶言ってんじゃねぇ!テメェが勝手に割り込んできて……」

 

「口げんかしてる場合かな?」

 

「ちょっ……待ておま……ぐああああ!」

 

 ボーデヴィッヒのあまりにもな物言いに、つい反論していると。急接近してきたデュノアは至近距離からショットガン「レイン・オブ・サタディ」を乱射する。

 

 ほぼ零距離でのショットガンは半端ではない威力だ。ガタックの装甲がプスプスと白煙を上げている。不幸中の幸いは防御力の高いマスクドフォームで受けれたことだろう。だが、大幅にダメージを食らってしまった事に変わりない。

 

「クソが……見ろ!余計な事をするから俺もアンタも無駄にダメージ受ける結果になったじゃねぇか!」

 

「知った事か!貴様が足止めをしないからだろう!」

 

「だったらアンタもしっかり織斑を足止めしやがれ!」

 

「これは……なんていうか。想像以上だな……」

 

「うん……僕もまさか、ここまで相性が悪いとは思わなかったよ」

 

 織斑もデュノアも俺達がタッグとして機能しないであろうことは想定内だったようだが、さすがに今のような口喧嘩になるとまで思っていなかったようだ。

 

「だけどまぁ……勝負だからな、全力で行くぞ!」

 

「うん!」

 

 その後は俺が危惧した通りの展開だった。俺は技術面で上手くデュノアを抑えることができず、ボーデヴィッヒは織斑の事で頭がいっぱい……到底俺のフォローはできないし、むしろ俺の邪魔をする場面がまたチラホラとあった。

 

 その度に俺達は織斑、デュノアの両者から余計なダメージをもらう事になる。気付けば残量エネルギーもまだ余裕のある範疇とはいえ、向こうのペアとは差が広がるばかり……。

 

(このままでは……)

 

 何もできずに終わる。そんな事ではダメだ……やっぱりやるなら勝ちたいだろ。なんとかボーデヴィッヒの説得を試みなくては。俺は秘匿通信をボーデヴィッヒに繋げる。

 

『ボーデヴィッヒ!』

 

『何だ!』

 

『アンタ……このままでいいのか?このままじゃ、本当に何もできないまま負けるぞ』

 

「チッ……」

 

 ボーデヴィッヒは短い舌打ちで答える。どうやら、打開策が無ければ反撃はできないという自覚はあるらしい。だが、そのために俺と息を合わせるのはプライドが許さない……のかも。

 

 しかし!今はそんなプライド……かなぐり捨ててもらわなければ困る!とりわけ、それはボーデヴィッヒと為でもあるのだから。

 

『どうすれば良いのかは、アンタなら分かっているはずだ』

 

『私に……チームプレイをしろというのか』

 

『その通り』

 

『…………』

 

 俺の声に応えず、歯を食いしばるようにして黙り込んだ。誰かと協力することに対して、まだ迷いを捨てきれないでいるのか、ボーデヴィッヒは何の返事もしない。

 

 ええい!織斑とデュノアの攻撃を回避し続けるだけでもハードだってのに!ボーデヴィッヒの説得はエクストリームハードだ……。

 

『俺の提案は単純に奴らに負けたくない……その一心でアンタに協力を求めてる』

 

『…………』

 

『アンタも、何か負けられない理由があるんだろ?アンタが俺に協力してくれるってんなら……今度はもっとうまくやってみせるさ』

 

『妥協せざるをえんか……次足手まといになるようなら本気で私がお前を落すぞ』

 

『よし来た!反撃開始と行こうじゃないか』

 

 了承の言葉がボーデヴィッヒから発せられた途端に、俺は一度その場に止まった。織斑たちも俺達の様子が変わった事に気が付いたらしい。警戒しているのか、攻撃の手を緩めた。

 

「キャストオフ!」

 

『-CAST OFF CANGE STAGBEETLE-』

 

 今試合初のキャストオフになった。ずっとマスクドフォームで動いていたせいか、何か解放感に似たものを感じる。俺は掌に拳を叩きつけると、両肩のガタックダブルセイバーを手に取った。

 

「しゃあ!ようやく本領発揮だ!」

 

「!? 真が来るのか!」

 

 ボーデヴィッヒに協力の意思があるという事は、俺が織斑に攻撃しても良いということだ。それならば射撃が苦手な俺が、織斑の相手をした方が円滑に事が進むはず。

 

 ありがたいことに織斑も俺の方に突っ込んできてくれている。これならば問題なく接近戦に持ち込めそうだ。さて、ボーデヴィッヒ……デュノアの事は任せたぜ。

 

「まて、あくまでそれは私の獲物だ!」

 

「いぃっ!?」

 

 俺の動きはピタッと停止した。言わずもがな、シュバルツェア・レーゲンのAICがガタックに発動しているからである。ぬおぉぉぉぉぉぅ!動けん!

 

「いや……止まるのかよ!?」

 

 勢い余ったのか、織斑は俺の真横を通り過ぎて行ってしまう。おお、何かしらんがチャンスだ!ボーデヴィッヒが俺にAICをかけたのはほんの一瞬、俺は振り向く勢いを利用してローリングソバットで織斑の背中を思い切り蹴った。

 

「パスだ、ボーデヴィッヒ!」

 

「ぐあ!?」

 

「一夏!くっ……」

 

 織斑が危ういとなると自然にデュノアが援護に回るのは目に見えている。燃費が悪いからあまり使いたくはないのだが、俺はライダーフォームを保ったまま肩部のみをプットオン!

 

『-PUT ON-』

 

「そこだ!」

 

キィィィィン……ドォン!

 

「え……?うわぁ!」

 

 よし、デュノアは織斑をフォローに頭がいっぱいで自分の事に手が回らなかったらしい。ガタックバルカンのチャージショットは驚くほど簡単に決まった。

 

「貴様はこいつを食らえ!」

 

ドン!

 

「ぐああああああ!」

 

 織斑の方にもボーデヴィッヒのレールカノンが命中。ようやくしてクリーンヒットを与えることに成功だ。まぁ……予想してたコンビネーションとは少し違うが、結果が良かったならそれでいい。

 

「気を取り直して……今度こそだ!」

 

 近接戦闘を挑むときには錘にしかならないガタックバルカンを再びパージさせ、いまだ体制を整えられない織斑への追撃を狙う。その時、ガタックの脚部に何かが巻き付いた。

 

「なんだ……!?……ってのわ!」

 

 確認する前にものすごい力で振り回され、投げ飛ばされた。これは……シュバルツェア・レーゲンのワイヤーブレード!?ボーデヴィッヒ……お前本当!

 

「は、外した!?」

 

(何……?)

 

 俺が心の中でボーデヴィッヒに文句を言っていると、ガタックの装甲を擦れるか擦れないくらいの場所を弾丸が通り過ぎて行った。見れば、どうやらデュノアが俺を狙っていたようだ。

 

「ボーデヴィッヒ……お前……」

 

「協力が……必要なのだろう?分かっているさ、そのくらい……」

 

 それだけ言うとボーデヴィッヒはレーザー手刀にて織斑に切りかかっていく。……そうかい、それなら約束通り俺も上手くやらないといかんな。

 

「おおおお!」

 

ガギン!ギギギギ……!

 

「うぅっ……!」

 

 ワイヤーブレードに放り出された勢いそのまま、俺はデュノアに切りかかる。シールドで防がれるが、コレは十分に想定済み、だから俺が振りかざしたのはマイナスカリバーのみ。

 

「このっ!」

 

「ガードしたのが運の尽きだぜ」

 

ガギィィィィ……ン!

 

 ここまで接近すれば、デュノアはレイン・オブ・サタディにて攻撃してくるだろうと呼んだのは正解だった。が、撃たれる前に弾いてしまえば何の問題も無い。

 

 俺は残ったプラスカリバーでレイン・オブ・サタディを思いっきり弾いた。デュノアは武装をその手にとどめておくことはできずレイン・オブ・サタディは哀れにも落下していく。

 

「しまった!」

 

「よそ見している場合か?」

 

 シールドを押さえつけているマイナスカリバーの力を抜くと共に、ダブルカリバーを手当たり次第に振り回す。俺は両手にラファールを切り刻む確かな手ごたえを感じた。

 

「うわああああああ!!!!」

 

「シャルル!クソッ、どけええええ!!」

 

「チィッ!逃がさんぞ!」

 

 剣での対決は織斑の方が一枚上手なのか、ボーデヴィッヒを無理矢理押しのけ白式は猛スピードでこちらに突っ込んでくる。大してボーデヴィッヒはレールカノンで離れた織斑を狙うが……。

 

「そんな攻撃……!」

 

 織斑はレールカノンの弾丸を難なく回避……流石にそれくらいはやってのけるか、だがこれならどうだ。俺は急いでフルスロットスイッチを3回プッシュする。

 

『ーONE TWO THREE-』

 

「ライダーキック!」

 

『ーRIDER KICK-』

 

ガン!バチチチチチチチ!

 

 織斑が回避したことによってこちらに向かってきた弾丸……十分に利用価値がある!俺はライダーキックにてレールカノンの弾丸をサッカーボールのように蹴った。

 

「ぬ……おおおおおお!!!!」

 

バチィ!

 

「何っ!?ぐあっ!」

 

 デュノアの援護に回ろうと必死だったのか、急に進路を曲げて帰ってきたレールカノンの弾丸に織斑は対処が間に合わなかったらしい。今度は簡単に当たってくれた。

 

(なんとか上手くいったか……天道リスペクト……)

 

 原作にて、カブトがなんか似たような事をしていたのを思い出した。できるかどうかは分からなかったが、チャレンジ精神は大事なもんだな……。

 

「貴様は……その一々足を止めるのを何とかしろ!」

 

「うおおお!?」

 

「ああ……また避けられた」

 

 ワイヤーブレードで下方向に引っ張られたと思ったら、どうやらまたデュノアが俺の隙を狙っていたようだ。案外……狡猾なやつだな、デュノアめ。

 

「貴様……同じ轍を二度踏むのは……」

 

「あ~……はいはい……小言ならあとで聞く。それよりも……」

 

「息、会ってきたんじゃねぇ?」

 

「誰が……」

 

 そういうとボーデヴィッヒは俺から目を逸らした。口ではどうこう言いつつ、認められる部分はあるらしいな。おっと……集中集中……。かなり削れてきているとはいえ、まだ白式もラファールも健在だ。

 

「シャルル……使う事は無いと思ってた「作戦」を実行する時が来たみたいだぜ」

 

「だね……。僕らの油断が招いた結果かもだけど……」

 

 作戦……いったいこの2人は何をするつもりだ?俺は必要以上に警戒をし、織斑たちが動き出すのを待った。すると、なんてことは無い……織斑はボーデヴィッヒに、デュノアは俺に真っ直ぐ向かって来るだけだった。

 

(コレのどこが作戦だ……?いや……しかし……)

 

 俺の頭をよぎるのは一抹の不安。相手はあの織斑だ、いったい何を狙っているのか分かったものではない。ボーデヴィッヒはAICで織斑の動きを止められる……が、本当にそれで終わりなのか?

 

(チッ!迷ってても仕方ないここはどちらかを……確実に仕留める!)

 

「クロックアップ!」

 

『ーCLOCK UPー』

 

 力強くベルトの腰部分にあるクラップスイッチを叩く。すると周りの景色はスローモーションになり、その中を自在に移動できるのは俺のみだ。

 

 クロックアップ中とはいえ時間は有限……とっととどちらかを攻撃しなくては話にならない。どちらだ……俺はどちらを攻撃するべきだ?

 

 さっきも言ったが、真っ直ぐ突っ込んでいる織斑などボーデヴィッヒは難なく捕える事ができるはずだ。だが、なんだ……織斑のこの自信に満ちた表情は……。

 

(決めた……)

 

 俺が攻撃するのは、織斑だ。ラファールに俺やボーデヴィッヒを一撃で倒す装備が無いのに対し、白式には零落白夜がある。ボーデヴィッヒが織斑を止められるにしても、そのリスクを考えておけば白式を落した方が良い。

 

『-ONE TWO THREE-』

 

「ライダーキック!」

 

『-RIDER KICK-」

 

 二度目のライダーキックとなるが、俺はある異変に気付いた。一回目ほどの出力が出ていない……ガタックの右足に集約しているエネルギーは、弱弱しいという訳ではないが、70%くらいの出力だろうか。だが、やるしかない!俺はボレーキックのフォームで織斑の顔面をけりこむ。

 

「おおらぁっ!!!!」

 

ガギィン!

 

『-CLOCK OVER-』

 

「ぐあああああああ!!!!」

 

 ライダーキックが決まって数瞬、織斑は等速に戻ったとたんあらぬ方向へ吹き飛んでゆく、そして恒例となったが全身の筋肉に痛みが走る。

 

「さ、作戦通り……」

 

「!?」

 

「後は頼んだぜ、シャルル」

 

 馬鹿な!?初めから狙いは2人ともボーデヴィッヒだっただと!織斑……俺が自分を狙うのを分かっていたってのか?いや、俺に攻撃されなかった一方がボーデヴィッヒを狙う手筈だったのか!?まずいぞ、今のボーデヴィッヒは……。

 

「なっ、何が起きた……!?」

 

 目の前で、クロックアップという周囲から見ればあまりにも不可思議な出来事を目撃してしまったボーデヴィッヒは、事実が受け入れがたいようで少しばかり動揺しているらしい。

 

 迫ってきているデュノアよりも、急に消えてまた現れた俺と、俺に吹き飛ばされた織斑の事が目について仕方ないようだ。それを見た俺は、精一杯の声を上げた。

 

「ボーデヴィッヒ!油断を……」

 

「もう遅いよ!」

 

 くっ……!デュノアはすでにボーデヴィッヒの眼前まで迫っている。だが、こういう不測の事態を想定して白式を選択したのだ。ラファールに一撃でシュバルツェア・レーゲンを落す武装は……。

 

「無い……ハズだろ!?」

 

 聞いてねぇ……ラファールにあんなものが積まれてるなんて情報になかったはずなのに!あれは……あれは……パイルバンカー……!

 

「やあああああああ!!!」

 

「しまっ……!?」

 

ズガンっ!ズガンっ!ズガンっ!ズガンっ!

 

 パイルバンカー怒涛の四連打……クソッ……!最初、息が合わない間に削られている分シュバルツェア・レーゲンはもう……持たない……。

 

 ボーデヴィッヒが落されれば、残った俺は筋肉痛で全力を出せない状態ときた……。そう思うと、とんでもない絶望感が俺を襲った。

 

(何を弱気な!)

 

 俺はブンブンと頭を振って嫌な考えを振り払った。そうだ、ライダーキックの出力不足で仕留めきれなかったとはいえ既に織斑も虫の息!さっさと織斑を落してしまえばデュノアとの一対一に持ち込める。

 

 俺がダブルカリバーを構え、織斑の追撃を狙った瞬間、俺の頭にノイズが走ったかのような痛みが走る。それと同じくして、何か……声のようなものが聞こえた。

 

『―――……か……?…んじ……の……くを……のぞ…か……?……ちか……ほ……す……か……?』

 

「ずっ!?つぅぁ……かっ……はぁっ……ああ!!が……ぐああああああっ!」

 

 なんだ!?なんだなんだなんなんだ!!??この……とてつもない嫌悪感と……吐き気を催すほどの……「何か」が頭をうごめいているような感覚は!!!!????脳が……痛え!視界が霞む!意識が薄れる!

 

「!? 真!?」

 

 何の前触れも無く苦しみだした俺に、織斑は驚き心配するような表情を見せ俺の方に近寄ってくる。が、そうしている間に……今度はボーデヴィッヒが苦しみだした。

 

「ああああああっ!!!!」

 

 どうにもシュバルツェア・レーゲンの様子がおかしい……。装甲には電撃が走り、まるで暴走しているかのように見える。

 

 そして、思わず目を疑った。シュバルツェア・レーゲンの装甲はまるでスライムのようにグニャリと流動し、ボーデヴィッヒを包んでいく。

 

 その流動の仕方は、まるで生物を思わせる動きだ。証拠にスライム状の「何か」は、新たな生物を生み出すかのような胎動を続けている。

 

 そう言っている間にも「何か」は形を整えていっているらしい。蠢くのが止まり、そこに立っていたのは……第一世代型のI……S?

 

『………イ』

 

「ぐっ……おおおおお……!あっ!はぁ……はぁ…はぁ……!」

 

 まただ!クソが……声みたいなのが聞こえたと思ったら、また脳がギンギンうるせぇ!!!今度のはさっきと少し違う……まるで……大量のデータを脳に流し込まれているような……そんな感覚だ!

 

「クソッ……苦しんでもられねぇか……。織斑、とりあえずヤバそうだ。アレを止め……」

 

 声の正体は気になるが、とにかく今はボーデヴィッヒだ。ヤバいのは見ただけで分かる……今にも襲ってきそうな気がしてならない。

 

 そう思い、俺は織斑に声をかけたのだが……思わず言葉を途中で詰まらせてしまう。なぜかって、それは……織斑が見たことも無いような表情で謎のISを睨めつけているからだった……。

 

 

 




長くなっちゃうので中途半端ですがここまでという事で。

レールカノン弾き返しは、私が天道の「アレ」をいつかやりたいな~と思ってたのでここにぶっこんでおきました。本当にやったらまともにまっすぐ飛ばないでしょうけど……。

今回、真が苦しんでいるのは筋肉痛とは別の理由です。伏線……というのかどうかわかりませんが、謎はしばらく解決しませんのであしからず。自分で立てた伏線を自分で回収し忘れなければいいのですが……。

次回はVTシステムにより暴走を始めたラウラとの対決ですね。何気に初のクロックアップを使った後も戦闘が継続している状態ですね。筋肉痛の中がんばる真を上手くかければいいなぁと思っております。

それでは皆さん、また次回でお会いしましょう。
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