戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

どうでも良い話ですが、特撮関連の物品を、置く場所が無くなってきてしまった……。最近のライダーは、かさばりますね。

ベルトはもちろん、W・ガイアメモリ、オーズ・コアメダル……と言った風に、二期組はコレクションアイテムが多いですし、まぁ……それを集めるのが楽しいんですが。

どちらかと言えば、かさばるのはスーパー戦隊の方っすね。何って、合体ロボットがががが……かなり昔の戦隊から集め続けてるせいか、本当……置き場所が……。

皆さんどうやって保管してんだろ……?こんな集めてるのは、私だけじゃないでしょうし……う~む、気になる。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


主に、整備の話(続・平穏)ですが何か?

『それじゃ~かがみ~ん。がっちゃんを展開してみてね~』

 

「おう。変身!」

 

『-HENSHIN-』

 

 本音の指示通りに、ガタックを展開する。今日はガタックの故障個所が治っているかどうかの確認だ。場所は例のZECT区画で、区画内には機体の点検程度には使えるスペースがあり、そこで行っている。

 

 問題の個所は、ガタックのイメージインターフェースだ。とりあえず、動作は全てそちらに回しながら、確認を始める。するとどうか、いつもより過敏に反応している気さえする。

 

 続けて各武装を、順番に展開を繰り返すが、問題無く作動しているらしい。すると、脳内で青子が唸るような声を発するため、何事かと声をかけた。

 

『どうした……?』

 

『……整備以前より、全体のレスポンス速度が数段速まっています』

 

『良い事だろ、何を悔しがる必要があるよ……』

 

『良くはありません……この私が、よりによって布仏 本音に借りを……』

 

 ああ、はいはい……その類の話ね、分かった分かった。本音に助けられたのがよほど悔しいのか、青子はブツクサと呟くのを止めない。いちいち反応をくれてやるのも面倒くさいので、無視。

 

 作業台のモニターから見守っている本音に、サムズアップをすると、成功であると言う意思表示が伝わったらしい。ホッと安心したように大きく息を吐き、俺に戻ってくるように指示を出した。

 

 ガタックゼクターをベルトから取り外すと、それまで聞こえていた青子の声は聞こえなくなる。だが、まだ何やら言いたい事があるようで、俺の周りをまとわりつくように飛ぶ。

 

 青子には申し訳ないが、少し強めの命令口調で下がるように言った。俺の命令には絶対服従……言い方は悪いが、青子の性質は理解している。なんだか、悔しそうに飛び去って行った。

 

「がっちゃんも嬉しそうだったね~」

 

「……せやな」

 

 なるほど、事情を知らない人から見ると、そう見えるのか。目を逸らしながらの関西弁だったためか、不振がられるが……真実を言っても仕方が無いので、整備に関しての話に戻した。

 

「本当……ありがとな、助かった」

 

「上手くいったなら良いけど~……。動作に~、違和感は無かった~?」

 

「それどころか、反応速度が上がってたぜ」

 

 青子曰く……だけどな。俺がそう感想を述べると、本音は『フムフム……』と日誌のようなものにメモを取っているようだ。初歩的ではあるが、大事な事だろう……初心、忘れるべからずだな。

 

 ちなみにだが、反応速度が過敏過ぎても、返って操作に違和感を覚えるらしい。それはそれで一緒の障害なのか……。操作に違和感を感じたら、すぐ相談するように言われた。

 

 ガタックに、マニュアル操作が存在しない故の弊害だろう。ガタック以外の訓練機も動かした事はあるが、マニュアル操作は、どうも頭がこんがらがっていけない。

 

 やっぱりガタックは、操作しやすいのだなぁ……と、実感する出来事であった。こうなってくると、他人の意見も欲しい所だ。今後のZECTの技術を発信する前に、必要な事だろう。

 

「かがみ~ん?」

 

「ああ、悪い。ちょっとテストパイロットっぽい事を考えててな」

 

「そっか~……かがみんも大変そ~う。ZECTの威信~?とか色々かかってるも~ん」

 

「んにゃ、そこは余り気になんねぇな……誰にプレッシャーかけられるも無し……」

 

 本当は、もっと無双しなくちゃならんのだろうけども。爺ちゃんはガタックを俺に渡した時に、自衛の手段とでも思え……と言ったほどだ。そのおかげか、かなり楽な気分でISを動かせている。

 

 それだけで無く、岬さん達もだ。あの人達は、単に自分たちの作った技術が、活躍するのが楽しみらしい。俺が上手く扱えるかどうかは関係無く……な。

 

「のびのび~!それが良いよね~」

 

「本音が言うと、説得力が違うな」

 

「でしょ~?自他ともに認める『のほほん』さ~ん」

 

 一夏の奴は名前を知らなかったから、のほほんさんと呼んでたみたいだがな……。その名残か、今でも継続中ではあるが。本音以上に『のほほん』の四文字が似合う人間はいないハズ。

 

 俺が言った説得力ってのは、取りようによっては皮肉にもなり兼ねん。そこを全く気にしない辺りは、本音の美点だろう。本当……俺の変わりようは、大半で本音に毒気を抜かれたからだな。

 

「ZECTが良い企業で安心したよ~。かんちゃんも~、預けられるって言うか~」

 

「そこに関しては問題ないと思うが……」

 

 俺が簪とZECT……と言うか、ラボラトリとの関係で心配事があるとすれば……。それは、俺のように祀り上げられないかどうかだ。あれさえなければ……!あれさえなければ文句は無いのに……!

 

 俺のスルースキルが無いせいなのか……?……まぁ、俺はともかく、簪が嫌な思いをするのだけは避けなくては。それこそ、俺の命令くらいなら聞くかもしれんね、アイツら。

 

「あぁ……そう言えば……トーナメントが終わり次第。なんか弐式に問題が有ったら、整備室じゃなくてこっちに運べって、岬さんが言ってたな……」

 

「へ~……?それじゃ~、あいちん達は~?」

 

「いや、それは問題ない。ガタックは、遠慮してもらわんとならんがな」

 

 本音が少し悲しそうな顔で、相川……で良いんだよな?達が、弐式の整備に関われなくなるのかを聞いて来た。返答した通りである……弐式に関しては問題なし、ガタックはダメ……それだけの事だ。

 

 それを聞いた本音は、心底から嬉しそうな表情を見せた。それはもちろん、俺だって気持ちは同じだ。一緒に苦労して弐式を完成させたチームなんだし、簪がZECT所属になったからと言って、無下に扱いたくはない。

 

 教師は例外にしての話にして、ガタックを弄る権利が、この学園だと本音と簪しかいない事が問題なんだよなぁ……。忘れない内に、ガタックの整備を教えてもらうように頼んでおこう。

 

「本音……今回の事で、かなり反省したんだよ……。だから、俺にガタックの整備を教えてくれないか?」

 

「もちのろ~ん!かがみんが暇な時かな~」

 

「暇な時……つまり、生徒会の仕事も無く、部活の助っ人の予定も無く、模擬戦の予定も無い日か……。……俺はどんだけ忙しい日々を送っとるんだ!」

 

こうやって暇な時を模索してみると、全然……というか全く余裕が無い。だからこそ、整備関連をスルーしてたってのもあるが……本当に忙しすぎて、ツッコミを入れてしまうほどだ。

 

 生徒会、模擬戦はともかく……部活さえどうにかなりゃ違うんだろうけれど。かと言って、女子一同の不満が集中するのも避けなきゃならん。慣れたせいか気にならなかったが、やはりIS学園は肩身が狭い。

 

「……はぁ、スケジュールでも組んでみるさ」

 

「う、う~ん……無理はしないようにね~」

 

「ああ、気を付ける。んじゃ、片づけて行くか」

 

「は~い」

 

 今日は一応だが、打鉄弐式の事で集まる予定だった。ガタックも最終確認だけだったので、そちらが終わり次第に合流……とそういう流れだ。

 

 俺と本音は、分担して手早く片付けを終わらせる。と言っても……本当に細かな作業用品をしまう程度の事だけど。使う前と同じ状態であるのを確認し、研究所を後にした。

 

 各国の区画研究所は、整備室とはほど近いく、すぐにたどり着ける。近い方が、何かと便が良いだろうしな。足を運んだことは無いが、同乗の理由で格納庫も近いらしい。

 

「悪い、待たせた……」

 

「あー!加賀美君!」

 

「ガタック、大丈夫!?ちゃんと動く!?」

 

「ちょっ、落ち……落ち着けって」

 

 整備室に入った途端に、相川、鷹月の両名に詰め寄られた……いつも元気だな、このコンビは。まぁ、心配だよな……打鉄弐式を完成させたのに、今度はガタックが故障で出場できんとか、洒落にならん。

 

 しかし、ギャーギャー騒がれて会話にならない。ここは慌てず騒がず……落ち着かせることに専念し、二人の様子が平常に戻ると、問題は修正された事を伝えた。

 

「そっか、大丈夫か……良かった~」

 

「もう弐式が心配ないから、余計にねぇ……」

 

「そこは真面目にスマンかった」

 

「……でもいきなりズッコケた加賀美君はレアだね……すっごく面白かった」

 

 くっ……やはりその件に関しては、記憶に刻まれているか……!普通に脳の電気信号の方で動かしときゃ、ああはならなかったんだろうけどな……。ちくしょう、織斑先生め……とか言ってると、次会った時に叩かれそうな気がするのは何故だ。

 

「本音……聞いて言い?」

 

「な~に?かんちゃ~ん」

 

「ガタックの……故障個所と……どう処置をしたか……」

 

「う~ん……口で言うよりは~こっちを見た方が速いよ~」

 

 そう言って本音が懐から取り出したのは、例の自作したらしいマニュアルだ。本音が俺に見せても良いかの確認を取るが、構わないと答える。

 

 なぜかって、見たって恐らく理解が及ばないからだ。証拠に、後ろから覗いている相川、鷹月、櫛灘の三名は、頭から煙がプスプスと炊き上がっている。

 

 簪は……見ているだけではよく分からないな、しっかり読んでいるようにも見えるし、パラパラと流し読みしているようにも見える。やがて一通り目を通したのか、勢いよくパンッとノートを閉じた。

 

「……パッと見……良く分からない」

 

「簪をもってしてもか……」

 

「本体とアーマーが分離してる……特殊な構造だからかな……?手順が普通のISと比べて、複雑……」

 

 いやぁ……なんだかスミマセン……。俺が専用機をライダーにしてくれ……とか言ったからだよな。普通にロボットにしとけば良かったかも、俺はロボットアニメは見るし。

 

 この世界は、特撮に関してのみ前世とゴッソリ違うから、ガ〇ダムとかは普通に史実上……と言えばおかしいのかもしれないが、まぁ既存の物が存在している。

 

「ってか、俺の事はともかく……弐式に問題でもあったのか?」

 

「ううん……微調整の話し合い……というか……」

 

「まぁ、些細な事を話し合うって感じ?弐式は完成したばかりだし……」

 

 そうか、確かにガタックキャノンの威力調整を行う際は、話し合いをしてから、実際に試し撃ちだったな。それと同じで、前回の模擬戦の稼働率と、簪自身の気になる点を合わし、動かしながら調整を行うという訳か。

 

 俺の考えは正しいらしく、簪は打鉄弐式の稼働率データを映し出した。ふむ……すべての項目において、オールグリーンではあるんだよな……。そうすると、本当に些細な調整なのか。

 

「あえて言うとすれば、だけど……スラスター、本調子じゃ無い?」

 

「そう……なのかも……。急制動の時とか……」

 

 それは、確かに……前回の模擬戦で、なんとなく避けられそうな攻撃も多かった気がする。それは俺の詰めが甘いからかもしれないが……まぁ、それこそ微調整程度の事なのだろう。

 

「それと……山嵐」

 

「? 何か、問題あった?」

 

「問題……とは違うけど、マニュアルロックにも慣れておきたいかなって……」

 

「言われてみれば……慣れといた方が良いかもな。オートロックに障害がありません……なんて保証はできんし」

 

 俺の言葉に、簪はコクリと頷いた。最近のガタックがいい例だろうな……完全に油断していたせいで、故障したんだし。いつ何時、どう壊れても、なんとか出来る方法があるのなら、そちらにも慣れておいた方が簪の為だ。

 

それにしてもマニュアルの操作か……つまりは、演算処理を自身で行わなければならないのだろう?それを同時多発的となると、考えただけで脳が痛くなってきた。まぁ、だからこそ練習したいって簪は言っているんだよな。

 

「じゃあ的は加賀美君にするとして、ついでにスラスターの調整も同時にやっちゃおっか」

 

「なんですと!?模擬戦相手でなく、的扱いかよ!」

 

「動かすのは……明日にした方が良いね。簪ちゃん、スラスターは上方修正?下方修正?」

 

「おう、無視かコンニャロー……泣くぞ」

 

「前回の感じたと……多分、下方……」

 

 なんてこったい……簪までだよ……。知らん、もう知らんぞ……拗ねた。……のは良い物の、誰も相手してくれなさそうだ。かまってちゃんという訳ではないが、何もリアクションが無いのは寂しい。

 

 しかしこれはまた……俺が何も出来ない状態が続きそうだな。何も直接教えてもらわなくったって、見て学べばいいじゃない。思い立った俺は、いつも携帯しているメモ帳を取出し、行われている一連の作業手順を、事細かに書き記していった。

 

 もちろんそれだけでは追いつかない部分もあるので、映像の記録をガタックゼクターに任せてある。半ば盗撮気味な気もするが、別にやましい物が映っているわけでも無いし、咎められることは無いだろう。

 

 こうしてみると、今までの期間はもったいなかったのかもしれない。メモを取るだけにしても、かなり有意義な時間を過ごせたからだ。うん……今後は、大切と思ったらメモを取る癖をつけておこう。

**********

「さ、さっむ……」

 

 急に夜風に当たりたくなり、消灯時間ギリギリに出かけたのは良い物の……寒い。昼間は暖かいとは言え、少し薄着だったかもな。日が落ちればこんなもんか……ちっと考えりゃ分かるだろうに。

 

 と言うか、風に当たりに行かなくて正解だったかもしれない。今はまだ寮の中と言えば中だし、さっきまでは外に出ようと思ってた。これは、大人しくしといたほうがよさそうだ。

 

 だけど、ここまで歩いたついでだ。自販機で、コーヒーか何か買ってから部屋に戻ろう。部屋に戻れば、茶の類は豊富に備蓄してはあるが、今すぐにでも欲しい気分だ。

 

ガタン!

 

「ふぃ~……あったけ~」

 

 自販機の取り出し口から、ホットコーヒーを引っ張り出すと、両手でギュッと包み込む。俺の若干下がった体温にはちょうど良く、温もりを感じる。

 

 後は、冷めない内に飲んで、体の芯から温めれば良しだな。それこそ今すぐに、と行きたい所ではあるが、あまり遅いと一夏が煩そうだ。ここは、早めに帰るのが吉だろう。

 

「あれ……?真……」

 

「おお……簪。奇遇だな」

 

「…………寒くないの?」

 

「うん、メッチャ寒い」

 

 突然俺に声をかけて来たのは、他でも無い簪だった。本当に……これを奇遇と言わずして、何を奇遇か……と言うくらいには奇遇な遭遇だ。何回言うんだ、とかそんなありきたりなツッコミはスルーな方向で。

 

 簪は油断も隙も無く、それなりの防寒はしているので、かえって俺の薄着が気になるのだろう。簪の問いかけに、間髪入れずに肯定すると、可笑しそうに頬を緩ませる。

 

「そう言う簪は、わざわざ自販機まで来てどうしたんだ?」

 

「私……?私は……自販機しか売ってない飲み物があって……」

 

「急に飲みたくなった訳か」

 

 今度は簪が、俺の問いかけに答え、首を頷かせた。あるあるな話だと思う……なぜか自販機にしか売ってない……あるある。無性に特定の物が、飲み食いしたくなる……あるある。

 

 簪はコインを投入すると、件の自販機限定の飲み物を買った。それなら今日はここで解散……とはならず、何か簪は俺に話があるようだ。

 

「もうすぐ……本番だね……」

 

「そうだな、目と鼻の先……っつーか」

 

「…………」

 

「……もしかして、不安か?」

 

 トーナメントの話題を切り出した簪は、どうにも先ほどまでの和やかな雰囲気とは程遠く、後ろ暗くなった。ストレートに胸中を窺ってみると、簪はやはり不安を感じているらしい。

 

 そうか……考えても見れば、簪が学園に来て、初めて参加できる大会になる。いくら簪が代表候補生とは言え、不安くらい感じて当たり前だ。

 

「真は……平気?」

 

「ん~……全くって事は無いぞ。やっぱどっか、空気が違って来るのを感じるな……」

 

 それこそ俺も、初めの頃は内心で緊張していたものだ。セシリアと戦った時なんかは、特に……。まさかあんな早く、他国の候補生と戦う事になるとは思っておらず……覚悟というものが出来てなかった。

 

 だけれど、俺もそれなりに場数は踏んできた方だ。不安でいっぱいになる事は無い……にしてもやはり、適度の緊張は感じる。それはきっと、誰でも同じことだと思う……千差万別だろうが。

 

「ま、変に考え込むこたぁねぇって。俺と簪なら、必ずやれるさ」

 

「真……」

 

「簪、俺は……簪と二人で勝ちたい。って言うよりゃ……勝つぞ、簪」

 

「……うん。必ず……勝つ。誰にも負けない……真と、一緒なら……」

 

 上手く安心させることが出来たのか、簪は心なしかキリリッと言う風な表情となる。普通は凛々しいと表現すべきなのだろうが、どうにも可愛らしく見える簪の表情に、クスリと笑みをこぼした。

 

 なんで俺が笑っているのか分からないらしく、簪はしばらくアタフタして見せる。意味が分からなくとも形だけは反撃しようと思ったのか、簪は少し顔を赤くして、俺をペチペチ叩いた。

 

「ハハハ……参った、降参だ」

 

「むぅ……なんか、納得いかない……」

 

「とにかく、本番じゃあ頑張ろうな。目指せ、てっぺん!」

 

「お、お~……!」

 

 俺は笑った事を誤魔化しつつ、ビシッ!と天高々に人差し指を伸ばした。それを見た簪は、条件反射的に俺の姿を真似て見せる。これがまた可愛らしいが、笑うのは我慢しないと……無限ループになってしまう。

 

 しかしまぁ……良い物だな、こうやって協力し合うってのは。他人と関わる事を避けていた時期の俺が、なんとも小さい人間であると思い知らされる。

 

 いや……実質、小さい奴だったのだろう。群れる連中を鼻で笑い……ガキ扱いしていた。そんな俺の方が、よほどガキだったに違いない。

 

 鎧武の主人公である紘汰も言っていた……『違った自分になる事も、一つの変身だ』と。これも馬鹿らしいと思っていた、人がそんな簡単に変われるかと。だがそれは違う、今ならはっきりと言える。だって俺は、こんなにも見違えるほど『変身』できたのだから。

 

「簪……俺、この学園に来て良かった。こうして皆に巡り合えて、俺は……」

 

「真……?」

 

 急に出てきたこの言葉に、簪は何の事だか理解が出来ないようだ。当たり前だろうが、どうしても口づいてしまった。だってこう……目を閉じると、目蓋のの裏に浮かんでくる。

 

 簪や本音……皆揃って、俺を待ち受けてくれる光景が。この光景が、俺にとって掛け替えのない物で、恐らくだが、一生物の宝となるだろう。

 

「ありがとうな、簪」

 

「う、うん……?」

 

 本当に、いきなりの事で訳が分からないだろう。簪は困惑した表情に、拍車をかけた。うむ……感謝の念が沸き出てきたもんだからな……だがこのくらいにしておこう。

 

「消灯時間よりは、前に帰らないとな。またな、簪」

 

「うん……また。……あったかくしてね?風邪……引いちゃダメ……」

 

「肝に銘じておきます……」

 

 簪と会話していたおかげで、気が紛れていたらしい。薄着を指摘されると、なんだか肌寒いのが復活してきた。体を温めるために買ったコーヒーも、長話のせいで温めだ。

 

 ええい……もうしょうがねぇ、買ったコーヒーも飲んで、部屋に戻ったらなんか淹れよう。そんじゃ初めからそうしとけって話になるが、出かけなければ簪と出会えなかったのだから、ご愛嬌ってところだ。

 

 それにしても……簪の忠告通りに、風邪でも引いてしまいそうだ。……まぁ、そんなヤワな鍛え方はしていないつもりだが、それこそ油断は禁物……うん、良い台詞だ。

 

 感動的だな……とは続かんぞ?…………俺は一体、誰に話しかけているのだろうか?ま……まぁ、いいや、早く帰って温かくしよう。そんな感じで、体を小刻みに震わせながら、帰室する俺であった。

 

 

 




実りの無い話ばかりで申し訳ない……!

前回からパッと飛ばすと、どうにも違和感を感じたので……もう一話挟ませていただきました。そんな訳で、ガタックの修理完了の描写を入れておく。

整備の技術は、原作からするに簪>本音でしょうが……独自と言う事でご愛嬌。でも一つ思うのが、本音はなんだか、タダ者じゃない気がするんです。

能ある鷹は爪を隠す……と言いますか。まぁ、のほほんとしてるのは、完全に素なんでしょうがね。マイペースに至っては、私も見習いたい所です。

次回は、トーナメント本番を予定しております。やっとだね(ニッコリ)お察しの通り、トーナメントにはならないけどね!

それでは皆さん、次回もまたよろしくお願いします。
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