戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

この話を書きあげるのが、今までで一番苦労したかもしれないです。そりゃ原作で数ページに渡ってしか描写されてないのに、一話にしようとしたら難しいわな……。

まぁ一夏の誕生会だし、スラスラいけるだろ~……と思ってたら、まさかの難易度だった故、今回はいつもに拍車をかけてグダってるかもです。

うん、なんか本当に申し訳ない。半ばヤケクソで最後まで書いちゃったものですから、せっかくなので投稿しときましょう。

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


祝い事は賑やかに(誕生会)ですが何か?

 俺が立ち上がれるようになったのは、目覚めてから更に数日が経過してからだった。それまでは、起き上がる事や、ペンを持つ事すら敵わなかった。

 

 アレはアレで、何かの修行をしている気分だ……。なぜなら、ピクリとも体に力を入れてみろ……さすれば、あの激痛がまた体を走るのだから。

 

 と言うか、目覚めてからが酷かったと言えよう。飯時が過ぎたあたりに、いつもの連中、年上生徒会組、整備チームとが、一斉に雪崩込んで来たのだ。

 

 ワイワイ、ガヤガヤと煩いったらない。単に俺の心配をしてくれたのなら、文句は言わん……現実はそうでも無かった。連中は俺が抵抗できないのを良い事に、それはもう色々……色々!

 

 全員が全員そうとは言わんがな……。逆を言えば、セシリアとシャルロットの心底から俺を気遣った見舞いは、かなり心に沁みたものだ。

 

「「…………」」

 

グリィ……!

 

「ぬごぉ……!?何すんだアンタら!俺、怪我人、歩行に杖不可欠。分かる!?」

 

「何でカタコト……?」

 

 背中に激痛が走ったかと思って振り返ると、楯無先輩と虚先輩が、もの凄く良い顔をしていたので、大声で叱るように言った。しかし、本当に良い笑顔だ……一周回って怖いくらい。

 

「今、簪ちゃん以外の女の子の事を考えていたでしょ?」

 

「右に同じく、私の場合は本音ですけどね」

 

「ホワッツ!?なんで姉のアンタらが怒る!?」

 

 確かに考えていた事には考えていたが、どうして姉に怒られるのか、コレガワカラナイ。なんか本当に、周りから固められてる……以前に、逃げ場がないのは気のせいか。

 

 無論だが、今更簪と本音以外に気がいくこたぁねぇぞ、心配しなくても。そもそも俺は気は多くない方だと思う。照れたりはするが、それが必ずしも恋愛感情につながるわけでは無いし。

 

「お姉ちゃ~ん。私は~痛がってるかがみんを見る方が嫌だよ~」

 

「私も……真には……笑っててほしい……」

 

 なんだこの天使二人は、俺に二度目のお迎えが来たのだろうか?ていうかもうさ、この天使二人のお迎えなら、何処にでもホイホイついて行っちゃうね(迷走)

 

 と、とにかく……今の俺は割れ物注意なんだ。何人たりとも触れる事は許さん……手遅れだけど。俺の回避は、視認しなければならないのが難点だな。

 

「私としたことが、早計でしたね。ごめんなさい、真君」

 

「いや、良いんすよ」

 

「ごめ~んネッ☆」

 

「ただし女狐、テメーはダメだ」

 

「あっ、ごめんなさい!本当、反省してるから!」

 

 ここに来てふざける楯無先輩に、俺は久方のキツイ言葉を送った。俺が最近自重しているせいか、楯無先輩もふざける方向に行ったのだろう。

 

 だが、今の俺にとって、触れられる事は冗談では済まされない。キツイ言葉の後は、本気で反省しているようだから、これ以上は何も言わないでおこう。

 

「アハハ、たっちゃんも加賀美君の前では形なしだねぇ」

 

「つか、なんで黛先輩がナチュラルに?招待されてます?」

 

「されてないよ?でも行くしか無いじゃん、織斑君の誕生日会とか!」

 

 言うのが遅くなったが、俺達は一夏の誕生会へと招かれていたのだ。約一名は違うようだが、まぁ候補生の集まる誕生会とか、ネタの宝庫だよな。

 

 俺の事を考慮して、学園で開くよう予定を変更しようとしたらしいが、俺が却下しておいた。学園で一夏の誕生会とかやって見ろ、パニックになるわ。

 

 俺としても、リハビリには調度いい。一夏は申し訳なさそうにしていたが、主役の家でと言う事に決定したのだ。ってか、行かないと言う選択肢もあったか……時すでに遅しだな。

 

「私も……良いのかな?何も用意してないけど……」

 

「それを言ったら、私と虚ちゃんも同じよ?」

 

「そうですよ。他でも無く、本人から誘われたのですから」

 

 あっ、そうそう……そうなんだよ。いつの間にか、簪と一夏が和解してやんの。事件以降に生徒会室に入ったら、普通に会話してるので面喰った。

 

 それどころか、面喰ってる俺を見て、何か問題でも?……みたいな感じで不思議がられた。不思議だっつの……俺の気苦労を返せ、気苦労を。

 

「あ~。あのお家じゃないかな~」

 

「やっとか……長く苦しい戦いだった……」

 

「お疲れ様……まだ何も始まってないけど……」

 

 本音が指差した方向には、一夏から教えてもらった特徴と合致する家がある。と言うか、表札を見れば一目瞭然ではあるが。織斑……なんて苗字が他に居るはずも無い。

 

 という訳で、織斑家のインターホンを虚先輩が鳴らした。既にガヤガヤと家からが声が漏れているが、インターホンを皮切りに、ドタドタと足音が響く。

 

「皆!いらっしゃい」

 

「よっ、一夏。誕生日おめでとう」

 

 誕生会に誘われたのなら、第一声としておめでとうを言うのが礼儀だろう。俺の一言を合図に、他の女子一同も『おめでとう』と一声かけた。

 

 礼儀だろうとか言っときながら、合ってる……よな?いかんせん、人様の誕生会なんぞに呼ばれたことが無いから、勝手が分からん。それこそ、俺が祝った事のある誕生日と言えば、親父くらいのもんだぞ。

 

「ハハ……サンキュー!ま、上がってくれよ。真は本当ゴメンな……手、貸した方が良いか?」

 

「構わんし、手もいらん。常に二人控えててくれるからな」

 

「両手に華って奴か」

 

 俺が両手だとすれば、お前はどうなんでしょうかねぇ……?全身?いや、全身じゃ足りんな、別に一夏が好きって女子はあの五人の話じゃ……って、それは俺も同じか……派閥があるくらいだし。

 

 こ、この話はここまでだ!とにかく俺は、簪と本音の手を借りつつ一夏宅へと上がった。壁を伝ってリビングへ行くと、既にいつものメンバーは揃ってるな。

 

 それとは他に、知らねぇ顔が……二つか。赤髪の男子と女子、女子の方が年下みたいなのを考慮すると、兄妹だろうな。目立つ頭と言うか、前衛的と言うか……。

 

「ああ、そっちの二人、中学の時の友達なんだ」

 

「ふ~ん……。加賀美 真な、よろしく頼む」

 

「おー!お前が一夏の話してたやつか。俺は、五反田 弾ってんだ。で、こっちは妹の蘭」

 

「ど、どうも……」

 

 どうやら、俺の話は弾に通じてるらしく、非常に朗らかな様子で話しかけられた。だが、妹の方は露骨に俺の事を怖がっているらしい。人は見かけによらないんだぜ?中身も人によっては怖いかもしれんが。

 

 んな事一々気にしてたら、ここまではやって来られない。とはいえ、単に見た目を怖がられているのだから、対処のしようは無いだろう。さて……どうした物か。

 

「蘭、安心しなさい。コイツ、見た目も口も最悪だけど、中身は良い奴だから」

 

「フォローになってねぇだろうが、他にもなんかあるだろ」

 

「何?ツンデレって言ってほしいの?」

 

「鈴にそれ言われちゃ、俺もお終いだな」

 

 俺に丸々隠れるようにして、鈴がヒョコッと顔を出した。そうか、中学が同じなら、鈴も知り合いって事になるんだよな。……俺に隠れるのは良いが、触れてくれるなよ?

 

「なんだ、仲良いな」

 

「フフン、アタシのコミュ力の賜物よね」

 

「単に話しやすいってだけだ。まぁ……別に仲悪かないのは確かだが」

 

「ね、ホラ。ツンデレでしょ?」

 

 誰がツンデレか。本当だったら、デコピンの一発でも入れてやる所なのに、本調子でないのが悔やまれる。ってか、五反田妹が混ざれてねーし……。しゃーねー、少し頑張るとしよう。

 

「見てくれの事は本当申し訳ないが、慣れてくれ。なるべく俺も仏頂面は止めっから、な?」

 

「は、はい……。えっと、ありがとうございます」

 

「おう」

 

「仏頂面じゃない真かぁ……フフッ……」

 

「シャルロット、今度覚えとけよ」

 

 何とか、怖がられはしない……か?どうやら今の一言で、別に悪い人間では無い事は、分かって貰えたようだ。こればっかりは、徐々に慣らしていくしかねぇな。

 

 自覚はあったが、面と向かって怖がられるのも案外ショックなもんだ。それが年下の女の子となると、罪悪感がオマケで付いて来る。

 

「真さん、立っているのは辛いのではなくて?」

 

「ん?まぁ……そうだな」

 

「でしたら、どうぞソファにお座りください」

 

「む、セシリアの言う通りだな。よし、真のスペースを確保だ」

 

「戦友よ、何ならマッサージでもしてやろうか」

 

 一夏の誕生会に来たと言うのに、なんだこのVIP待遇は。どちらかと言えば介護されてる気分だ。とりあえず大人しくソファには座らせてもらう事にしよう。

 

 ラウラの提案は、断っておく。今の状態で指圧とかされたら、そのまま意識がどっかに飛んで行く事だろう。ぞろぞろと席が空いたのを確認すると、簪と本音の手を借りて着席した。

 

 その様子を五反田兄妹は、不思議そうな感じで眺める。だろうね、そりゃお前……明らかにガタイの良い野郎が手厚い介護を受けてるんだから。

 

「加賀美……お前、大丈夫か?」

 

「大丈夫じゃねぇ、それと真で構わん」

 

「そか?なんか気難しいって聞いてたからさ」

 

 どの時点の俺の話を聞いたのかは知らんが、間違ってはいない。でもそれを本人の前で言うのは、どうなのだろうか?弾の様子から察するに、冗談半分なのだろうけど。

 

 ってか、俺と弾がコンタクトを取ってる間に、向こうは豪い騒ぎになってんな。おぅ……簪と本音も楯無先輩に巻き込まれてら。ちょっと目を離した隙に、いったい何があった?

 

「混ざってきたらどうだ?」

 

「やー……あの中に混ざる勇気は無ぇな。それよりちょうど良かった……真と話して見たかったんだよ」

 

「俺とか?期待してるようなモンとは、違うと思うがな」

 

 でも確かに、中学時代の友達がIS学園に行って、その友達の俺の事は気にならなくはないか。でも俺に話せることなんて、ほとんどないと思うけど。

 

「実際どうよ、IS学園」

 

「そうだな……ま、慣れるまでが大変で、慣れても大変な時は大変って感じだ」

 

「なんだそりゃ……」

 

 俺の言ってる事は、当たらずとも遠からずだと思うぞ。例えば放課後の寮内で女子と遭遇すると、油断した格好であることが大半だ。始めの頃は目のやり場に困っていたが、最近ではそうでも無い。

 

 つまりは、慣れだ。自然に相手の顔を見る事が身に着いたのか、女子の格好が気にならない。と言うか、向こうも俺と一夏が居る事を意識するようになったのか、比較的に最近は、油断しているのは少ないと言える。

 

 慣れても大変ってのは……俺がツンデレ扱いされるって点についてだな。うん……いつも否定はしてるが、なんか慣れた。慣れたが、不服だ……まぁ察しろ。

 

「あぁ……やっぱ羨ましいぜ、女の園……」

 

「甘ぇ甘ぇ……いっぺん入ったら分かる。思った以上に大変だってな」

 

「一夏も同じような事言ってたけどよ……。やっぱさ、男だったら誰しも夢見るだろ?」

 

「いや、知らんけども」

 

 弾はアレだな、モテようとしてバンドを組もうとするタイプだと思う。恐らく、ギターかベースをやってるに違いない。だけどしっくりきそうだな……別に顔も悪いわけでは無いし。

 

 さらにもう一つ、閃いた。アレだ……見た目は良いが、言動が残念でモテないタイプだ……絶対。そんでもって、いざって時にヘタレる……間違いない。

 

「あっ……もしかして、真も一夏と同族……」

 

「ねぇよ、普通は気付く」

 

「だよなぁ……。アレのせいで、俺がどんだけ苦労したか……」

 

 そうか……中学の頃から、アイツの朴念仁に付き合わされていたんだよな……。どこか遠い目で一夏を見る弾は、不憫でしかない。

 

 俺としては、尊敬のレベルに値する所業だ。さぞかしジェラシーを感じる事も多かっただろう……それでも一夏と友達をやっていられるとか、単純にすげぇ。

 

「……後は、任せてくれよ」

 

「ああ、頼んだ……俺はもう疲れたよマコラッシュ」

 

「誰が薄幸少年の忠犬か」

 

 なんだか今の短いやり取りだけで、絆を育めた気がするのは気のせいだろうか。同じ苦労を分かち合える者同士だ、気のせいでは無いと信じたい。

 

 俺としては、それを抜き差ししても、弾とは有効な関係を築けそうだ。なんか普通に良い奴だし、しっかり冗談も通じる。弾もIS学園にいてくれたら、心強かっただろうに。

 

「と、所でだけどな、真。話がガラッと変わるんだが……。あのメガネのお姉さまは……」

 

「虚先輩が、どうかしたか?」

 

「俺、学園祭の時に会ってんだ。そんときはダメだったんだが……その……」

 

「ふぅ~ん?へぇ~?ほほぉ~う?つまり、お近づきになりたいと」

 

 俺が意地悪な笑みをニタリニタリと向けると、弾は何か言いたそうに俺を見る。だが俺が怪我人である事と、頼みを聞いて貰う側の立場として、何も言えないらしい。

 

 その代わりにと言ってはなんだが、髪の色と同じくらいに顔を赤くし、大きく頭を二度頷かせ、肯定の意を示した。俺も男だから気持ちは分かるぞ……うん……虚先輩はこう……グッとくるんだよ。

 

「なんだ……出来る限りの事は協力してやらぁ」

 

「本当か!?お前良い奴だな!」

 

「……なんか違う気がするが、まぁ良いだろ」

 

 弾は興奮した様子で俺に握手を求めるが、『俺に触れるな』と一喝すると大人しくなった。……なんだろうか、本当に中二病と勘違いされそうだ……全ては右手の包帯が悪い。

 

「何するにしたって、二つに一つだろうよ」

 

「そ、それはどういう意味だ……?」

 

「一蹴されるか、手応えを感じるか、どっちかだ」

 

 両極端な話だが、的を得ているはず。虚先輩が興味が無いのなら、ふっつ~に俺や一夏がされてるような対応になるだろう。職業病に近いのではないか?プロのメイドだし。

 

「でもなぁ……一蹴、既にされてる気がするぜ……」

 

 ガッカリした様子の弾に、虚先輩に会った時の事を聞いてみた。するとどうやら、話しかけようと思って出てきた言葉が、『今日はいい天気ですね』だったそうな。

 

 天気の話をし始めるのは、コミュ障の証だと何処かで聞いた気がする。まぁ……緊張してたらそんなモンだろ、それはノーカンと言う事にして、話を勧めよう。

 

「俺の個人的な感想だがな、虚先輩……きっと年下趣味だと思う」

 

「マジでか!?」

 

「ああ。結構世話を焼かれたんだが、いつも楽しそうだぞ、あの人」

 

「サラリと羨ましい事を言いやがって……!」

 

 男としては見られてねぇと思うんだよな、どちらかと言えば、弟みたいな扱いをされてる。俺も俺で、最近は姉でもいたらこんな感じかな……とか感じ始めたし。

 

 結論として、やっぱり虚先輩は、他人の世話を焼くのが好きなのだろう。これが布仏の役目だから……なんて感じは見られないし、率先してやれないと、あれほど他人に気を使うのはまず無理だ。

 

「後はゆっくり落ち着いて、話すところからだな」

 

「それが出来れば、苦労しねぇって」

 

「アホ、まずそこから頑張んねぇと始まらんだろうが」

 

「分かったよ……。手応えがあったときの反応は、どんな感じなんだ?」

 

「ん~……恐らく、たどたどしくなる。虚先輩が男慣れしてるって事は、まず無い。そこは安心しろよ、保証する」

 

 それこそ俺や一夏の言動で、照れている虚先輩なんて見た事が無い。つまりは、照れる反応があったら、それは少しでも脈があると見て良いのではないか?。

 

 逆にいつも通りの虚先輩なら、脈は全く無いだろう。だからこその両極端な表現ってこった。そっちの方が分かりやすくて良いだろ、ダメならダメで。

 

 虚先輩にしつこいアプローチとか、命がいくつあっても足りなさそうな気がする。……物理的及び、社会的に消えてしまう。あくまで想像だけどな、えぇ……想像ですとも。

 

「結局、一か八かかよ……」

 

「今日は、チャンスはいくらでもある。行動するしないは勝手にしな、後は知らん」

 

「さっきから……何してるの……?」

 

「ん?なに。ちょっとした作戦会議だ」

 

 弾はブツブツと一人で、自分を励ましにかかっている。心が随分と遠くに行ってしまったようで、俺が話しかけても無駄らしい。

 

 溜息を一つ着くと、簪は楯無先輩の間の手から逃れたらしく、傍から見ると謎の状況に、解説を求めてきた。とりあえず多くは語らずに、適当に誤魔化す。

 

「そう……。ところで、真……クラッカーは……鳴らせる?」

 

「いや、普通にムリ。今の俺は、ガキにも負けるぜ!」

 

「何で得意げなの……?それと……彼は……」

 

「そっとしといてやってくれ、奴は今……モチベーションを上げてるところだ」

 

 簪がクラッカーを差し出して来たと言う事は、もうすぐ本格的に始まると言う事だろう。何をするにでも痛みを伴うこの状態で、クラッカーの紐を引っ張るのも無理だ。

 

 それに合わせて簪は、弾をどうするべきか、判断しかねるのだろう。弾はまだまだ帰って来るにはかかりそうなので、俺と同様に辞退で構わん。

 

 という訳で、俺と弾を除く女子達がクラッカーを鳴らし、一夏の誕生日会が開園した。……と同時に修羅場も開演。やっぱ来なきゃよかったと思った(小並感)

 

 あの蘭って子も良くやるってか、肝が据わってんな……。鈴の挑発に、果敢に食ってかかってら。こりゃ一夏の野郎は、誰を選ぼうがカカア天下に違いない。

 

「かがみん、かがみん。プレゼント渡さないと~」

 

「おう、そうだな。悪り、手貸してくれ」

 

 確かに俺も、ボーッと見ている暇では無いな。本音の手を借りてソファから立ち上がると、一夏の方まで寄っていく。順番的には、シャルロットの次だな。

 

 しかし……大会前に完成させといて良かった……本当にそれは思う。今の状況で何か作ろうなんて気は、全く持って起こる気がしない。小マメに物事をこなす癖が、付いていたおかげだろう。

 

「オラよ、くれてやる。ありがたく思え」

 

「真もか?ありがとう。これは……リストバンド?かっこいいデザインだな、何処で買ったんだ?」

 

「あ?……手作りだよ」

 

「まぁ……お上手ですわね。流石は、真さん」

 

「真って、女子力が高いよね」

 

「シャルロット、お前は俺が嫌いなのか?」

 

 なんだか、本当に事あるごとにシャルロットに馬鹿にされてる気がする。いや……確かに昔は酷ぇ事を言ったが、あの件に関しちゃ謝罪はしてるぞ。

 

 まぁ……シャルロットの言葉に、悪気が無い事くらいは俺も分かってる。分かるが、どうにも的確に俺の何かを抉る一言をポツって呟くんだよなぁ……。

 

「っと……シャルロット、なんか悪ぃな、腕に身に着けるもんで被っちまった」

 

「え?い、良いよ良いよそんなの!ほら、一夏も喜んでるし」

 

「ああ、コレは運動の時とかに着けさせてもらうさ」

 

 シャルロットの渡したものは、なにやら機能が満載で、いかにも高級そうな腕時計だった。悪い事に白式の待機形態が腕に引っ付くからな……片腕埋まるから、どうしても同時という訳にはいかない。

 

 だが一夏の言う通りに、俺のは学園生活用に向いている。シャルロットの方の時計は、遊びに行くときにでもつけるのだろう。ま……モロ被りでなくて良かった。

 

「おりむ~。私のはね~」

 

「待った、本音は最後」

 

「? どうして~?」

 

「オチ担当だから」

 

 俺の言葉を、本音はよく分かっていないらしい。となるとあの狐のパペットは、本人としちゃぁ本気のプレゼントとして渡すつもりのようだ。

 

 それもやっぱりオチだろ、どう考えても。そうすりゃ、どことなく殺伐とした空気も収まるはずだ。楯無先輩は煽るし、黛先輩はさっきから写真ばっか撮っててアテにならん。

 

 弾と虚先輩は……マジかよ、自分で言っといてなんだが、割と良い雰囲気じゃねーか。ある意味では、俺の見立てが正しかったと言う事だな。

 

「真……傍観が、一番……」

 

「そうだな……」

 

 触らぬ神に祟りなし、と言った所だろう。そのうち治まる事を、祈っておくしかあるまい。しかし、一夏を巡っての争いを、俺は楽しいと感じている。

 

 いつもと言うか、学園の時には本当に胃が痛いのだが、やっぱり特別な席だからかもしれない。……たまにはこういうのも悪くは無い。何より、プレゼントを渡して喜ばれたのは、結構嬉しかったしな。

 

 この面子の誰かが誕生日の時は、何かしら作ってみる事にしよう。それが……俺に出来る連中に対する恩返しだ。だが、今は動くべき時では無い。大人しくしていないと、とばっちりを受けては堪らない。

 

 終始カオスな状況は続いたが、それを含めて賑やかな誕生会になった。また次があれば、このメンバーで集まりたいものだ。その頃には、一夏が誰かとひっついてると尚いい……そう思う俺だった。

 

 

 




数馬……?誰ですか、それ?

始めは数馬も居たんですが、もうどうしようもないくらいにグダグダになったので、存在をカット。

原作でもほとんど描写されてないうえに、名前しか出なくて台詞が無い時もしばしば……。彼は一体何者なのでしょうか……?

まぁ弾と楽器の練習をしてるみたいですから、内面は似たり寄ったりだと思うんですけどね。いかんせん情報が少なすぎて、意味の解らないキャラになっちゃったので、ボッシュートです。

次回から、飛ばして進めた「キャノンボール・ファスト編」に入ります。それに入ると、もう終盤と言った所でしょうか……?

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。
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