戦いの神(笑)ですが何か?   作:マスクドライダー

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どうも、マスクドライダーです。

今回の話も三人称なのですが、どうにも誰かの視点で書いていないせいか、パッと真視点に戻した時に混乱しそうです……。

もうすぐ真視点での話になる予定なので、地の文とか頑張らないといけませんね。それでなくとも、表現力が乏しいと言うのに。

さて、今回はさほどシリアスではないと思いますよ。いわゆる箸休めという奴です。代わりにグダッてるかもですけど!

それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。


皆の想い(和衷共済)ですが何か?

「千冬姉、話って?」

 

「……織斑先生だ」

 

 真が陸の元で真実を聞いている頃、IS学園では簪や本音をはじめとした真と関わりの深い人物が、会議室へと集合を掛けられた。

 

 面子は、生徒会メンバー及び一年専用機持ち。このメンバーが集められた時点で真に関わる話である事は、全員察しがついていた。

 

 真にいったい何があったのか、その答えは千冬が知っている。臨海学校のあの夜……束に教えられた事だ。千冬は真が帰ってこない理由を、真実を知ったのだと推測した。

 

 だからこそ、語るべきなのだろう……真の仲間であるこの面子には。語った所で気を沈めさせるだけなのだろうが、それでも……知る権利くらいは十分にある。

 

「……加賀美の失踪に関する事だ」

 

「何か~……知ってるんですか~?」

 

「話して……下さい……」

 

 真の名を出した途端に、二人は食いつく。当然だろう……真が失踪したとなると、この二人が黙っていられるはずも無い。特に簪は、アレを見てしまったのだから……。

 

 狂った高笑いを上げ、自分を責めるような言葉を呟く真を……。簪だけでなく、あれは残りの四人からしても異様な光景として、深く印象付いていた。

 

「ただし、多少の覚悟は問われるぞ。それでも……聞くか?」

 

 千冬は、会議室に集まっている大人数を見渡した。本人としては、脅しにかかったつもりなのだが……効果は薄いらしく、全員が力強い顔つきで千冬を見る。

 

 そこでようやく、自分の問いかけが愚問であったことに気が付いた。大きく深い溜息を吐くと、自分自身も話す覚悟を決め……口を開く。

 

 ソルの正体が、真のクローンである事。真の母である光葉が、亡国機業の実験体であった事。そして真が、ISを進化させる能力の持ち主である事。陸と同等の情報を、全て語った。

 

 かなりの予想外な事実に、全員どう反応していいか困惑した様子だ。とっくに千冬の説明は終わっているが、誰一人として口を開かない。

 

「……知ってたん……ですか……?知ってて……黙っていたんですか……!?」

 

「簪ちゃん、落ち着きなさい。知っていて話さなかったとしても、織斑先生を責めるのはダメよ」

 

「でも……!」

 

 簪は目に涙を溜めながら千冬に詰め寄ろうとするが、寸前のところで楯無に遮られた。楯無とて冷静でいられるはずはないが、同じく人の上に立つ事の多い身分であるため、千冬の気苦労が窺えた。

 

 本人がいずれ知るであろう残酷な事実を、本人より先に知っていれば……それはもう、普通なら真の顔など見れるはずも無い。そうやって千冬は、長い事耐えて来たのだ。

 

「いや、更識妹の言う通りだろう。私は……事実から逃げていたのだからな」

 

「そんな……千冬姉!自分を責めるような事は止してくれ!」

 

「……済まない」

 

 誰に対してか、何に対してかも検討が付かないが、千冬は小さいが確かにそう呟いた。決して他人に弱みを見せない千冬が、こうしている姿など……弟である一夏さえ始めて見る。

 

「織斑先生……。それを教えたのは、姉さんですか?」

 

「そうだ」

 

「くっ……姉さん……!済まない皆!私の姉が……」

 

 話を聞いていた箒は、ある予感を抱いていた。それは、自らの姉が要因であると言う事。つまりはこれまでの事件の大半に、身内が関与していると言う事となる。

 

 それを知った箒は、悔しそうに歯噛みしながら、皆に向かって深々と頭を下げた。だが他の専用機持ち達には、箒を責めようなどという気持ちは全くない。

 

「思い出せ、箒。お前も巻き込まれた内の一人だ」

 

「そうですわ、一緒に戦った仲ではありませんか」

 

「しかし……」

 

「ハイハイ、しかしとか言わない。アタシらが良いって言ってんだから、それでいいでしょ」

 

すんなりと許されて半ば納得のいかない箒だが、今重要なのは自分と自分の身内の事では無い。悔しそうな表情のまま、全員に感謝の意を示した。

 

 話はいったん真の事へと戻るが、特にコレと言って何がある訳でも無く……この場は解散となった。全員の表情は、重い。しかし、そんな中でも希望を捨てていない……何か強い光のようなものを感じさせる。

**********

「あ~……もう!」

 

「お嬢様、何をイライラなさっているのですか?」

 

「あの狸よ、狸!朝から暇があればず~っと電話してるのに!」

 

 放課後の生徒会室で、楯無は頭が痛そうに携帯電話を虚に突きつけた。狸と言うのは、陸の事だろう。目的はもちろん、真の真実を知っていたかどうかだ。

 

 返事が無い時点で答えは出ているようなものだが、楯無は本人の口から肯定の言葉が聞きたかった。あの狸の口から認めさせなければ、その一心だ。

 

「同盟は、今後どうするおつもりで?」

 

「向こうの出方次第よね……。真君を利用する目的で黙っていたのなら……見過ごすわけにはいかないわ」

 

 楯無の開いた扇子には、『断罪』の二文字が。その表情は、どことなくいつもより険しかった。それは楯無が『楯無』としてでは無く、単なる真の友人として放った言葉だからだろう。

 

 とは言え、イライラしても何も始まらないのは確かだ。楯無は虚から差し出された紅茶で、精神のリラックスを図る。心なしか、気持ちがスッとなるのを感じた。

 

「……心配……ですね」

 

「ええ……全力で捜させているのだけれど」

 

 真の失踪を知った楯無は、更識の力を借りて真の捜索をしていた。……が、まだ音沙汰も無い。更識ともなれば、すぐに見つかっても良いような物だが。

 

 真の運がいいのか、隠れ方が上手いのか……よく分からないが、何故だか見つからない。この事に若干だが感心した楯無ではあるが、やはり歯痒さの方が勝っていた。

 

「短絡的な行動に、出ていないでしょうか……?」

 

「……こればっかりは、どうとも言えないわね。でも……」

 

「でも……?」

 

「私は信じる。彼がいつか、きっと帰って来るって。彼は、強い子だもん」

 

 何も楯無に、確信がある訳でも無い。だけれど楯無の表情は、笑顔交じりで力強かった。この表情に感化された虚も、頬を少し緩ませ『そうですね』と答える。

 

 楯無は、飛んでこない憎まれ口を寂しく感じつつ。虚は、いつも律儀に述べられる感謝の言葉を思い出しつつ、それぞれのやるべき事を取りかかった。

**********

「…………」

 

「ラウラ、どうかしたの?さっきからずっとそうだけど……」

 

「ああ、いや……戦友の事を考えていてな」

 

 IS学園の学生寮の一室で、ラウラはずっとベッドの上で深く考え込んでいるようだった。シャルロットも真関連の事だろうとは思っていたが、聞かざるを得ない。

 

 それまで目を閉じていたラウラだが、パッチリと開眼しシャルロットと視線を合わせる。その途端、大きな大きな溜息を吐いた。

 

「こうしてみると、私達は戦友の事を何も知らんのだな……」

 

「って、言うと?」

 

「戦友の向かいそうな場所を考えてみたのだが、ZECTくらいしか思い浮かばん」

 

 そう言われて、早速シャルロットもうんうん唸りつつ真の向かいそうな場所を考えてみるが……まるで駄目だ。ラウラの言った通り、ZECTくらいしか分からない。

 

 真が特撮好きであることくらいは知っていたが、何もそんな心身状態ではありえないだろう。シャルロットはブンブンと首を横に振った。

 

「と言うよりは、今会えたところで……何も言ってやれん」

 

「……悔しいけど、そう……だね。僕らは……真の苦しみを分かってあげられるハズないよ……」

 

 ラウラとシャルロットは、ある意味で真と似たような境遇の出生ではある。……が、真の置かれている状況は、特殊過ぎるのだ。

 

 母親が実験体……。死と引き換えに自身を産み、それと同時にクローンも生まれ……。こんな事実を知った真にどんな言葉を投げかけようと、届く訳が無い。

 

「でも……ラウラ。僕らがしてあげられるのは、もっと他にあると思わない?」

 

「……何か、してやれるような事があったか?」

 

「いつも通り、だよ」

 

 自信満々にそう言い放つシャルロットだったが、ラウラはいま一つピンと来ていないようだった。証拠と言ってはなんだが、ラウラの首はだんだんと横に捻られていく。

 

 まるでミミズクのようなその様子に、どこかおかしかったシャルロットは少しだけクスリと笑う。咳払いをして気を取り直すと、どういう意味かを説明し始めた。

 

「僕らの気が沈んでたらさ、真もきっと帰って来づらくなっちゃうと思うんだ」

 

「…………」

 

「だから僕らは、何事も無かったみたいに……いつも通りに、騒がしく馬鹿っぽく『おかえり』って、そう言ってあげられれば、それで十分……だと良いなぁって」

 

「フッ……最後の方は、自信無さげだな。だが……言う通りなのかもしれん」

 

 話している内に、だんだんと声が小さくなるシャルロット。最終的にはラウラから目を逸らし、指と指とをツンツンと合わせて見せる。

 

 頼りない感じではあったが、ラウラはシャルロットの言葉に納得が出来る様子だった。今度は大きくゆっくりと、首を縦に振った。

 

「帰ってきたら、思い知るだろうな。奴がどう思おうと、自分の居場所は私達の元だと言う事を」

 

「フフッ、そうだと良いね。あの真が、素直に認めてくれるところは想像つかないけど」

 

「それも言えているな」

 

 どことなく暗い雰囲気は消え去り、帰ってきた真がどういった反応を示すかを想像した。二人から出てくる真の言葉は、何処かツンデレっぽい台詞ばかりだった……。

**********

「……居る訳、ないわよね」

 

「あら……鈴さん?奇遇ですわね」

 

 放課後の図書室……真が最も立ち寄る場所だ。鈴はなんとなく、足を運ばずにはいられなかったのだ。入って早々呟かれる落胆の言葉。鈴は、もしかしたらひょっこり帰って来てるかも……なんて思っていたのだ。

 

 同じことを考えていたのが、今しがた現れたセシリアだった。鈴とセシリアは目を合わせると、何だか気まずそうに苦笑いを浮かべる。とりあえずココで話す内容にはなら無さそうなので、連れだって歩く事に。

 

「アイツってさぁ……ぶっちゃけ、嫌な奴じゃん?」

 

「ほ、本人の居ない所で貴女は……。完全に否定しきれないのが、なんとも言えませんけれど……」

 

「でも、そんな奴でも……アタシ達の中心だったんだって、思い知らされるわね」

 

 いきなり突飛も無い事を呟いた鈴に、今度こそセシリアは露骨にゲンナリとした表情を浮かべた。とは言いつつセシリアも……否定が出来ないでいた。

 

 その事になんとなく自己嫌悪を感じつつ、次いで出た鈴の言葉に耳を傾ける。これに関しては、セシリアも全面肯定だった。

 

「あの方、結局は善き人ですからね」

 

「そうなのよね~……アイツが、ずっと嫌な奴だったら……アタシがこんなに心配するはずないし」

 

「鈴さん……?」

 

「今だから言えるけど、アタシ……あいつの事は嫌いだったわ。まぁ、本当に最初の頃だけだけどね」

 

 鈴の吐き捨てるようなカミングアウトに、セシリアはどうリアクションをして良いのか困惑しているらしい。この時に、鈴は思い出していた……忘れもしないファーストコンタクトを。

 

 道に迷って困っていると言うのに、興味もなさそうに話を聞く真。そっけない態度で、どうにも鈴はいけ好かなかった。しかしそれも、すぐに認識が変わったが。

 

「アタシもさ、あんまり素直に物を言える方じゃないから……アタシと一緒なんだーって思うようにしてみたんだけど……」

 

「そうしたら、彼の言葉の裏が見えて来た……と言う事ですね」

 

「そうそう、それそれ」

 

 鈴はパッと表情を明るくしながら、セシリアを指さした。鈴は思い出す……口ではどうこう言いつつも、やっぱりいつも助けてくれる真の事を。

 

 真はいつも否定するが、結局のところ素直でないと言う周りの評価は大正解なのだろう。どうにも照れくさいから、憎まれ口を叩いてしまう……自覚が無いようだが。

 

「このアタシがこれだけ心配してあげてるんだから……お返しに一発くらい殴ったってバチ当たんないわよね!」

 

「フフ……そうですわね。わたくしも、平手打ちの一つくらい入れさせてもらう事にしましょう」

 

 多少エレガントではありませんが、なんて言いながらセシリアは、髪の毛をバサッと手の甲で払った。鈴の方はかなりイタズラっぽい表情をしながら、握り拳を固めている。

 

 もはや手加減の様子は見られず、二人は計画的にコンボを叩きこめるように話し合いを始めた。真に与える予定の激痛は、その友情の裏返し……と言う事にしておこう。

**********

「…………」

 

 真が居ないだけだと言うのに、一夏にはこの1025室が広大に感じられていた。自分のベッドに転がりながら、腕を天井に向かって突出し考え込んでいるらしい。

 

 そんな時に、部屋のドアが音を立てた。どうやら、来客らしい。のそりとベッドから降り、少しだけドアを開く。するとそこに居たのは、箒だった。

 

「箒……」

 

「少し……良いだろうか?」

 

「ああ、入ってくれよ」

 

 箒の思い悩む表情を前に、何の躊躇いも無く箒を部屋に通した。箒もやはり真関連での訪問なのだろう。一夏は箒をベッドへと座らせた。

 

 しかし箒は、俯いたまま口を開こうとしない。そんな箒に一夏は、特に何も思う所は無い。ここで何か用事があるんだろう?なんて言うのは簡単だ。だからこそ一夏は、じっくりと箒を待つ。

 

「真を……倒せる可能性が大きいのは、私と一夏だと……」

 

「そうだな、束さんが……そう言ってたみたいだな」

 

「一夏は、どう思う?」

 

「どうって……」

 

 ゆっくりとそう呟いた箒だったが、この言葉を皮切りに再び黙り込んでしまう。その間に、一夏は箒の真意を考えていた。確かに白式と紅椿ならば、ガタックやカブトに対抗しうる。

 

 しかし、それをわざわざこの場で言う必要が見当たらなかった。一夏が困惑していると、箒は恐る恐ると言った風に、再度口を開く。

 

「一夏は、奴を……真を斬る事が出来るか?」

 

「え……?」

 

「私とて、真の事は信じている。だが……万が一でも真が寝返ったとして、私は奴を斬る事は……」

 

ベチンッ!

 

「っ~~~~!?い、いきなり何をする!」

 

 そこまで言いかけて、箒の額を一夏のデコピンが襲った。それもかなり強力な奴で、まるで手加減など感じられない。箒の額はジンジンと痛み、見事に赤く染まっている。

 

 当然ながら箒は、抗議の言葉を一夏へとぶつけた。何が何でもいきなりすぎたのだろう。箒は額のついでに顔まで真っ赤にするが、一夏はデコピンの意味を答えた。

 

「箒、そんな事は……最初から考えなくたっていいんだよ。箒が言った通りに、真は俺達を裏切ったりはしない!」

 

「だっ、だから私も……そう信じている!」

 

「だろ?だったら俺達が考えて良いのは、あのソルって奴を倒す事だけだ」

 

 憎きソル……と言っても、真とソルの間に実際何があったのかは、一夏は知らない。知らないが。奴が自分の親友を苦しめている事は明白だった。

 

 あの場に自分が居て、真を引き留めてやれたかどうかは、正直なところ自信はなかった。だが、それでももっと自分にはできる事があると、一つ答えは見つけたらしい。

 

「俺達があの二人を倒せる可能性があるって言うんだったら……ソルだけで良いんだ。ちょっとでも可能性があるんだったら、俺はそれに賭けたい」

 

「一夏……」

 

「それにさ、俺達がソルを倒しちゃえば……真も少しは悩まなくて済むんじゃないかって、そう思うんだ」

 

「…………」

 

 一夏の決意は、固かった。他でも無く真の為に、ソルを倒すと今しがた決意を固めたばかりだ。クロックアップを相手に戦える可能性は限りなく低いが、それでも……だ。

 

 この時になって、箒は自身の愚かしさに気付いた。自分は真を信じると口にしつつも、真が寝返ったときの事など考えて……と。箒も迷いは一切捨て、一夏へと向きなおった。

 

「一夏……。倒そう、私達で必ず……」

 

「ああ!」

 

 一夏と箒は、固い握手を交わす。まるで紅椿が絢爛舞踏を発動させるときのソレだ。なんとなくそう思った一夏は、紅椿ありきの白式なのだなと、実感させられた。

 

 そのため純粋に感謝の言葉を述べたのだが、それが箒を照れさせることとなる。結果的に一夏は、なぜか箒を怒らせたと的外れな事を考えるのだが……まぁ、いつもの一夏だったと言うオチだ。

**********

「…………」

 

 真が学園に居ない……それだけで、簪の足取りはいつもより重かった。それでも簪の足は、ある場所へと向かっていた。それは、IS学園内のZECT専用区画だ。

 

 あそこには、ガタックに関わる諸々の大半が置いてある。もしかすると、真の足取りを追える可能性も残されているかもしれない。

 

 簪は、ただその一心だった。これ以上に真が苦しむ事は、簪が耐えられない。それほど簪にとっては、真が大切な人であると言う事だ。

 

 恐らく大した成果は無いだろう。しかし簪は『それでも!』と自分に言い聞かせ、研究所へと入った。すると、既に誰かが居る様だ。

 

「本音……」

 

「あ~、かんちゃんだ~。ちょっと待っててね~っと」

 

 ZECT関連の施設は、基本的に一般人は立ち寄らない。と言うよりは、何処か避けているようだが……この際そこは置いておこう。

 

 誰もが避けるZECTの研究所に姿を見せるとなると、本音くらいしかいないだろう。どうやら何かの作業をしていたようで、キリのいい所で手を止めた。

 

「何……してたの……?」

 

「てんだ~君の~、修理だよ~」

 

 そう言われて作業台を見てみれば、ガタックエクステンダーが鎮座していた、圧し折れた顎の一方は、不恰好ながらも繋がっている。

 

 本音はエクステンダーの修理等を習っているわけでは無いが、見よう見まねで挑戦したのだ。外側は、地面に激突した際に散った各所を直せば、とりあえずは完成と言った所だろう。

 

「すごいね……」

 

「いやいや~……かなりおおざっぱだし~、正しい処置かどうかも謎なんだよね~」

 

 今のZECTは慌ただしい。もちろん全力を挙げて、真の行方を追っているからだ。それ故、エクステンダーの修理方法など聞ける雰囲気では無かった。

 

 だからこそ我流というか、本音の持てる技術を集約させ、とりあえず飛行できるところまで持って行くのが目標だった。それには、クナイで貫かれた基盤を直し、システムを組み直さなければならない。

 

「そうじゃなくって……」

 

「へ~?」

 

「真の為に……動けて……」

 

 簪が凄いと表現したのは、そちらの方だった。自分は此処に辿り着くまでに、様々な負のイメージが沸いて出てきた。それなのに本音は、いつもと変わらぬ様子だ。

 

 その上、こうやってエクステンダーの修理まで行って……。本当に、凄い事だ。感心するような簪の視線に、本音は照れくさそうに言う。

 

「そんな事無いよ~。私もね~……かがみんが居なくて~……辛いんだ~」

 

「…………うん」

 

「でも~……やっぱり一番辛いのはかがみんだから~」

 

「…………うん」

 

「だから~、辛くっても頑張らないと~!……って思ったら~、なんとなくここへ来ちゃって~」

 

 本当になんとなくココに導かれた本音は、回収された大破状態のエクステンダーを見つけた。そして真の事を想うと、居ても立ってもいられなくなり、エクステンダーの修理を開始した。

 

 簪からして見れば、そこが凄いと言いたいのだが……。当の本人が否定するのだから、これ以上は何を言っても無駄そうだ。

 

「……真の影響……なのかな?昔の私だったらきっと……何も出来ずに、ただ泣いてた……」

 

「かんちゃ~ん……。でも~、今は違うって事だよね~?」

 

「うん……私も、真の為に何かしてあげたい……。だから……手伝っても良い?」

 

「もちろんだよ~!帰ってきたときに~、ビックリさせてあげなきゃね~」

 

 見えない可能性を追うよりも遥かに有意義だと、簪はエクステンダーの修理を願い出る。断る理由は無いどころか大歓迎な本音は、嬉しそうに目を輝かせた。

 

 そうして二人は、作業へと取りかかる。真が帰ってきたときの驚いた表情を想像しながら。ガタックよりも簡単な構造なようで、思った以上のペースで作業は進んで行った。

 

 こうして真の居ないIS学園の一日は、もうすぐ終わりを告げる。誰しもが真の事を想い……いち早い帰還を望んでいる。それぞれに、それぞれの想いを抱きながら。

 

 しかし……それに反するかのように、真の心は崩壊へ進む一方だった。皆の言葉が物理的に届かないのが、悔やまれるところだろう……。

 

 皆の想いが、報われる事はあるのだろうか?それは全て、真に委ねられた事だ。どういう道を選ぶのか、どう生きるのか、それは全て……真が決めなければならないのだから……。

 

 

 




真、慕われております。

本当に真の周りが良い人過ぎる……。とは言っても、私の独断と偏見ですが……。と言うか、言っちゃえばアンチっぽい発言させるのは、序盤~中盤くらいまでの予定でした。

真が心的に成長しちゃったからこそ、辛い状態にある……。みたいな表現がしたかった故ですね。仲間として認識して貰わなければ、はならないでしょうし。

次回は……またしても奴らが動く予定です。やはり仲間が傷つけられる中……真の目に光が……!?

それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。

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