何やら……ペース配分が心配になってきました。と言いますと、今回はシャル&ラウラVSクリぺウスから、一夏&箒VSグラディウス……なのですが。
なんか……思ってたよりも、長い!本当は、パパッと場面転換していく予定だったのに!あぁ……次回を書くのが既に怖いぃ……。
本当、次回とか……メチャクチャ中途半端になったらすみませんね……。私も、全力を尽くして纏める努力をしますので!
それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。
「今だ、シャルロット!」
「うん!」
ズガン!ズガン!ズガン!ズガン!
クリぺウスと交戦中のシャルロット&ラウラ組は、非常に順調と言えよう。始めこそシュバルツェア・レーゲンのレーザー手刀を吸収され、焦りはしたが。
幸いシャルロットのラファールは、全ての武装が実弾兵器である。シュバルツェア・レーゲンも、リボルバーカノンがあり、何もエネルギー兵装だけと言う事は無い。
今もクリぺウスの隙を作り、シャルロットが至近距離でショットガンを乱射。それなりのダメージがあったようで、クリぺウスの装甲は白煙を上げる。
『――――――――』
それでも、後ろへ2、3歩だけ後退しただけだった。一体どれだけ固い装甲なのやら……決して、見かけ倒しではないらしい。
するとやはりクリぺウスも立ち止まって、二人の様子を観察しているようだった。この二人に対して、どう行動するのが適切か……機械の下した判断は……。
「……へっ!?」
「なるほど……立体映像か」
突如クリぺウスの後ろから、もう1機のクリぺウスが出現した。そこからさらに、2機が4機に、4機が8機に……と言った風に、ねずみ算式で増殖していく。
これに対してシャルロットは非常に驚いているが、ラウラは至って冷静である。事実、ラウラの指摘は大正解であった。分身の正体……それは、超精密に出来た立体映像だ。
すぐさま正解を当てたラウラの思考回路は、単純明快。『分身などは、物理的にありえない』……だ。さすれば、答えなど自ずと見えて来る。
「シャルロット、冷静になれよ」
「そうは言うけど……これ、どれも同じ反応なんだけど……」
クリぺウス達の立体映像は、ハイパーセンサーも上手に騙していた。シャルロットの言う通り、索敵範囲内にあるクリぺウスの反応は、全て同じ個体の物なのだ。
つまりは、どれもクリぺウス本体である事を指している。この中から本体を捜すとなると、かなりの難易度だろう。クリぺウスは見えている範囲内だけでも、狭い通路を埋め尽くすほどだ。
「……ラウラ、どうしよっか?」
「決まっているだろう、本物に当たるまで徹底的だ」
「……弾薬、もつかなぁ……」
ラウラに問いかけつつ作戦を求めるシャルロットだったが、何とも男前な返しをされて肩を落とす。ここに来て、ラファールが実弾兵器しか積んでいない事が足を引っ張るのだ。
実弾兵器と言う事は、弾切れの概念はエネルギー兵器よりもしっかりしている。弾薬が尽きれば、そこでお終いだ。シャルロットが選択したのは、一回の射撃でもそこそこの攻撃範囲が見込めるショットガンだった。
「準備は良いか?」
「うん……いつでも!」
「そうか……。では、行くぞ!」
二人が攻め込むのと同時に、クリぺウスの大群も行動を開始した。大半が幻影なのだが……恐ろしい事に、大半の武装が必ず毒針となっている。
それこそ、大半はただのまやかしだ……当たりすらしない。しかし、もし本物のクリぺウスとしたら?それは……最悪の結果を意味するだろう。例え絶対防御があろうとも、クリぺウスの毒針に触れる事は許されない。
シャルロットはなるべく発射回数を抑え、ショットガンを放つ。ラウラはレーザー手刀を用いて、それぞれクリぺウスの幻影へと攻撃を加える。
シュン……
「有難い事だ。どうやら攻撃判定が出さえすれば、勝手に消えてくれるらしい」
「うん!これなら……!」
攻撃を加えた幻影は、それと同時に消え去ってしまう。これには、二人も思わずほくそ笑む。そうして、次……また次へとクリぺウスの幻影を消滅させていく。
調子よくいっていたが、いつまでたっても本物に辿り着かない。あくまで確率の問題ではあるが、いい加減にラウラは違和感を感じていた。
数的には、当初の約半数と言った所か。自分たちに攻撃を加えるチャンスは、いくらでもあったはずだ。ならばなぜしてこない……?ラウラは、着眼点を変更する。
そもそもクリぺウスの目的は、単に弾薬やエネルギー切れ狙いなのか、攻撃の機会をうかがっているのか……。そのどちらでもないとすれば、あと残っているのは……。
「もしや……!?」
「? ラウラ……?」
「シャルロット、不味いぞ!クリぺウスとやらが、もしこちらからのエネルギー攻撃以外で吸収行動が行えるとすれば……!」
「ラ、ラウラ!?後ろ!」
バチバチバチバチ……!
そう……クリぺウスの目的は、最初から分身による攪乱……からのクリーンヒット狙いでは無かったのだ。大量の分身を映し出した途端に、本体のクリぺウスは闇へと消える。
その間に何をしていたのかと言うと、鎮座してあるワームからエネルギーの吸収を行っていたのだ。通信が妨害されず、情報共有さえされていれば起こりえないミスだろう。
それだけでなく、ラウラのミスは多々ある。こうしてシャルロットへの忠告を行おうとしたのも、また一つのミスだ。その間にエネルギー吸収を終えたクリぺウスは、既にラウラの真後ろで掌をかざしていた。
「しまっ……!」
ズドォオオン!
「ラウラっ!!!!」
もはや目も当てられないほどの……直撃だった。いったい何機分ものワームのエネルギーを、吸収したのだろうか?それこそ零落白夜を吸収した時のような光弾が、ラウラを襲う。
比較的に避けやすい光弾……それの最初の犠牲者は、まさかのラウラ・ボーデヴィッヒだった。親友とも言っていいラウラの惨劇に、シャルロットは心から悲痛な声を上げる……。
**********
一夏と箒は、苦戦の一途を辿っていた。あらゆる方面において、カウンター型であるグラディウスとは戦い辛いようだ。真もある種ではカウンター型だが、全くタイプは違う。
剣、盾、毒針……どれもこれもが、厄介でしかない。二人はまだ目撃してはいないが、エネルギーシールドと立体映像による分身機能も付いている。
対ISとして、予想外の万能性を衛士達は誇っていた。何より、白式の零落白夜でさえも吸収できてしまうのが一番大きいのだろう。
「くっ!」
「一夏!」
零落白夜が通じない……。やはりこの事実は、深く一夏の精神へと影響していた。効かないと言う事もショックだったが、これによって自身が今まで『ソレ』に頼り切りだった事が解る。
既に一夏は、どうしていいか分からない状況だった。思い返せば今までの戦闘……全て決め手は零落白夜だったとも言っていい。
必殺技が使えないような状態で、グラディウスを倒す方法があるのか?一夏は、そうとさえ考えてしまっている。そんな精神状態では、明鏡止水も乱れてしまい……一夏には、グラディウスの動きは見えていない。
つまるところ、防戦一方だ。エネルギー自体は絢爛舞踏によって増幅されているにしても、いずれ決定打を貰うのも時間の問題なのかもしれない。
「させんぞ……!」
「箒!?」
『――――――――』
グラディウスのシールドバッシュによって、一夏は吹き飛ばされる。さらにそこから毒針攻撃を仕掛けるが、間に割って入って来た箒によって、防がれてしまう。
当たってしまえば終わりなだけに、もちろん箒も肝を冷やしながらだ。しかし冷静に腕ごと雨月で弾く事で、何とか事なきを得た。
体勢を崩されたグラディウスは、その場で後方宙返りをして距離を置く。すぐさま両腕の武装をを剣へと変化させ、箒へと切りかかった。
『――――――――』
「舐めるなよ……剣術ならば、遅れは取らんぞ!」
ガン!ガン!ガギィ!
まともな近接攻撃を仕掛けてくれる分には、箒としては有難い。受けて立つ!と言わんばかりに、グラディウスの剣撃へと食って掛かる。
両者とも、一歩も引かない斬り合いだ。そんな斬り合いの後方で、一夏は動けないでいた。後ろに回り込んで斬りかかるなど、出来る事は多々あるはずだ。
普段の一夏ならそうしているのだろうが、今は相当に腑抜けてしまっているらしい。ましてや、箒の邪魔にはならない方が良い……などと考えていた。
そんな姿を真や鈴辺りに見せたのならば、すぐさま殴られているところだ。事実、箒もそうしたいくらいなのだが……グラディウスが居る限りそれは叶わない。
「ええい……一夏!何をボーッとしている!」
「箒……」
いい加減に我慢の限界だ!と言った様子で、箒が声を荒げた。その間もグラディウスによる猛攻が続くが、箒としては一夏をどうにかする方が重要らしい。
それもそうだ……箒が好きになった一夏は、こんな男ではないハズなのだから。箒の知っている織斑 一夏と言う男は、常に仲間の為に剣を振るう……そんな男だったハズだ。
「零落白夜が効かなかったからと言って何だ!お前が千冬さんから受け取った物は……それだけではないだろう!」
「千冬姉……」
「思い出せ……あの人の背中を!零落白夜の様な物理的『力』でなく、もっと大事な『力』を……千冬さんから託された『力』を!」
「…………」
そう言われて思い出されるのは、自分が幼いころに過ごした千冬との思い出だ。両親の居ない一夏にとって、千冬は親であり姉だった。気高く、孤高で……厳しくも、優しい姉……。
そんな姉の生き様こそ、一夏の人生の目標であった。だからこそ、姉の背中を追い続けていたのだ。世界最強の姉……自慢の姉……。
では、姉の強さの源とは?一夏は考える……。姉が振るう剣は、誰が為の物だ?……考えるまでも無かった。それは、いつだって誰かのためにある剣だった。
千冬が一夏へ示した『力』という物は……やはり目で見える物でなく、感じる物だ。自分はまだ、未熟。それでも、その『力』を感じられた時が、必ずあったハズ。そう、他でも無い……姉の様に。
(そうだ……俺が千冬姉から受け継いだ雪片は、誰かのために振るってこそ……初めて『最強』なんだ!)
だからこそ今も、自分を叱ってくれた幼馴染の為……他の場所で死闘を繰り広げているであろう友の為。全力で、この剣を振るおう。さすれば、姉の示した道が……。否、もはやそうでは無い。
(千冬姉には、教えてもらうまでだ。千冬姉の背中を追いかけている限りは、いつまでたって追い抜ける訳が無い!千冬姉から学んだ『力』で示すのは、あくまでも……俺の道だ!)
「立つんだ一夏!私は、お前を……!」
『――――――――』
ガギィッ!
「くっ……!」
流石に一夏の方へ意識が向き過ぎたのか、箒は雨月も空裂も弾かれてしまった。そうなってしまえば、隙だらけ……待っているのは、毒針による刺突だ。
箒は決死と言った様子で、無理矢理にでも体をひねる。何とか肉体部分への直撃は避けたが、グラディウスの毒針は紅椿の腕部を捉えていた。
すさまじい音、蒸気、異臭を放ちながら、紅椿の腕部装甲は見る見る溶け落ちていく。腕に到達するのも時間の問題……。箒が、直撃を覚悟したその瞬間だった。
「おおおおおおおおっ!」
「一夏!」
ウィング・スラスターをフルスロットルにし、一夏がグラディウス目がけて突っ込む。刺突攻撃中につき、グラディウスは対応がワンテンポ遅れてしまう。
そのままトップスピードを保ちつつ、一夏は左腕を貫手の様に突き出す。左腕がグラディウスの胸部に触れるのと同時に、一夏は雪羅のレーザーブレードを出現させた。
『――――!!!!』
ギャギギギギ!
白式のスピードが相まってか、レーザーブレードはグラディウスの胸部装甲を貫く。そのままグラディウスを後ろへ後退させながら、レーザーブレードを引き抜き、至近距離で荷電粒子砲の月穿を放った。
「喰らえ!」
ズガン!
『!!!!!!!!』
吹き飛ばされたグラディウスは、凄まじい勢いで壁へと叩きつけられた。貫かれた部分へ月穿を受けたためか、胸部装甲へはヒビが入っている。
それでもグラディウスはすぐさま復帰するが……このダメージばかりは誤魔化しきれないようだ。胸部装甲からは、白煙と紫電が上がっている。この様子を見て、二人は何とか勝機が見えて来た。
「箒……サンキュー!いつも俺を叱ってくれてさ、本当……励みになるぜ」
「べ、別に私は……。お、お前が腑抜ける様子を、見ていられなかっただけだ!」
「ハハ……箒も厳しいな。でも、そのくらいが箒らしいよな」
なんとなく余裕のある二人に、グラディウスは困惑していた。もちろん、AIとして処理しきれない計算外の事態が起きている……と言う意味合いだが。
それでも、自身のやる事は変わらない。グラディウスはコレからどう二人を抹殺するべきか、それだけを考えていた。一夏と箒もそうだ……グラディウスへ、どうやって止めを刺すか……。
「箒、俺に考えがある」
「む、そうか……。内容次第だが、それで行くしかないかもしれん。それで、考えとは?」
「零落白夜を、アイツに吸収させる」
「何ッ……どういう意味だ!?」
「ああ、その後にな……」
「…………。な、なるほど……最初からそう言ってくれ」
一夏のとんでもない発言に、箒は目を見開きながら何を言っているんだこのバカは……みたいな視線を向けつつ大層に驚く。しかしその後に続いた一夏の言葉で、まともな作戦であると考えたらしい。
だが一夏の出した提案は……恐らくチャンスは一回。それを逃せば、それ以降のグラディウスは同じチャンスをくれない事だろう。でも決まってしまえば、確実にグラディウスの首を取れるような作戦ではある。
「分かった……それでいこう」
「ああ、頼むぜ箒。コンビネーションが大事だ!」
そう言いながら一夏は、ドッシリと雪片を構えた。一方グラディウスも、とりあえずの処理が終わったらしく剣と盾を構えて立つ。
言葉では言い表せないような緊張感が、辺りを包む。まるで、時代劇の立ち合いを思わせる……。先に動いたのは、グラディウスだった。
『――――――――』
「行くぞ、箒!」
「ああ!」
グラディウスは、足場を踏み鳴らしながら二人の方へ向かって来る。一夏もグラディウスへと向かって行き、箒はその後ろにピッタリ着いている。
あくまで一夏の目的は、零落白夜を吸収させる所にある。そのためグラディウスよりも先に動き、零落白夜を発動させた。これを見たグラディウスの行動は、決まったも同然だった。
「はああああ!」
ガギィ!バリリリリ……!
一夏の狙い通りに、グラディウスはレーザーブレードを剣で防いだ。これにより、零落白夜のエネルギーは全てグラディウスの物となる。
すぐさま一夏は、箒と手をつなぐ。目的は絢爛舞踏により、白式のエネルギーを増幅させる事。瞬間、白式と紅椿が金色に輝いた。
「よ、良かった……発動した!」
「ああ、順調だぜ……箒!」
『――――――――』
何をする気かは知らないが……そう言いたそうな様子で、グラディウスは掌を突き出した。来た!狙い通り!一夏と箒の脳内には、その言葉が過る。
巨大光弾が形成されつつある最中、一夏は雪羅をエネルギー無効化シールドへと変形させ。そのままグラディウスの掌へ押し付けるようにする。
バチバチバチバチ!
『――――――!?』
エネルギーを掌に集約させるも、その傍から雪羅のシールドにて妨害されてしまう。つまりは、イタチごっこという訳だ。
グラディウスは、白式のエネルギーの減りの速さを確認した。なるほど、その盾はすさまじく燃費が悪いらしい。吸収したエネルギーは膨大だ……ならば、このまま押し切れる。
『――!!!!!!』
バチバチバチバチ!!!!
「くっ……!」
グラディウスの下した判断は、攻勢であった。掌へ集中させているエネルギーの出力を、更に高める。確かにこのままいけば、白式のエネルギー切れの方が早いだろう。
しかし……一夏は思わず頬を緩ませた。まさか、ここまで作戦通りに行くとは!さて……一夏のピンチな状況に、箒は何処へ居るのだろうか、それは……。
「背後……取ったぞ!」
『――――!?!?』
そう、これこそが一夏の本来の目的だったのだ。あの光弾を出だしで止めてしまえば、グラディウスの足が止まると一夏はそう考えた。
その隙だらけの所を、箒に取らせる。幸いグラディウスは、既に大きなダメージを受けていた。レーザーブレードの貫通した胸部に、箒は一夏と同じように貫手を見舞う。
「はぁっ!」
ガシャン!
紅椿の掌は、グラディウスの胸部にスッポリ突き刺さった。だが、これで終わるはずも無い。箒は突き刺さったままの腕を天井目がけて持ち上げ、穿千を展開した。
「この勝負……俺達の!」
「私達の!」
「「勝ちだ!」」
ビシュウウウウン!!!!
『!?!?!?!?』
ドガアアアアン!!!!
零距離から放たれた穿千は、グラディウスを頭から真っ二つに切り裂いた。そうして音を立てて地面へと落ちると、裂けた部分から紫電が走る。
一夏と箒が慌てて距離を取ったあたりで、グラディウスは爆炎を上げて四散した。ハイパーセンサーのコア反応は、ロスト……。それすなわち、二人の勝利を意味していた。
「へへっ、やったな!」
「うむ!」
一夏は箒へと向き直ると、笑顔でサムズアップを見せた。それには色々な意味が込められているが、とりあえず箒も同じく親指を立てて返した。
……が、二人の表情はすぐに厳しい物となる。なぜなら、仲間がまだ戦っているかもしれないからだ……。だが残念ながら、出来る事はこれまでだ。
一夏と箒は潜水艦を目指して、来た道を戻る。果たして、仲間たちは上手くいっているのか……しかし、二人に出来る事は、信じる事のみだ。仲間の無事と、健闘を祈りつつ……一夏と箒の役目は、静かに終わりを告げた。
出た!クリぺウスさんの分身コンボだ!
分裂能力も、カッシスワームの代表する能力の一つかな……と思ったので、立体映像による分身と言う形で表現しました。
『バトライド・ウォー』だと、グラディウスが分裂したもんだから……なんで?って思ったのを思い出しましたね。
やはりカッシスワームと言えば、グラディウスのような部分でもあるのでしょうか?でも私も、あの3形態ならグラディウスが好きですね。
さて、次回は……セシリア&鈴VSディミディウス、シャル&ラウラVSクリぺウスの決着が付けば理想的……ですね。
それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。