スランプ……ッッ!ここに来て……圧倒的……スランプッッ!……どうしてでしょうね?なんとなく思った通りのが書けないです。
文章自体は、いつもと変わらないんでしょうけど……。何か、タイピングをする指が重かった感じが……。
それが急にきたもんだから焦る焦る……。まぁ、何とか頑張って纏められた?と思うので、不安を振り払うように投稿です!
それでは皆さん、今回もよろしくお願いします。
「ソル、ちょっといいかしら」
「……どうした?」
ソルがリビングにて、固形食糧を摂取していたところ話しかける人物がいた。それは他でも無く、亡国機業のトップであるスコールその人だ。
ソルはスコールと全く目を合わす事無く、栄養摂取の手を止めない。そんな様子に、まだ機嫌が悪いのかとスコールは思う。
本人にそのつもりはないのだろうが、やはり拗ねているのだろう。ソルは怒りや喜びは理解できるものの……そう言った複雑な人間的部分は持ち合わせていないのだ。
正確に言えば、持ってはいるのかもしれない。ただ……自分自身でそれがどういった感情か、それが理解できないのだろう。
本人はどう思っているのかは知らないが、スコールはソルの良き理解者だ。ソルの感情の欠如はどうしようも無い物とし、用件を話すためにソルの対面に座った。
「予定を、大幅に変更するつもりなのだけど……。貴方の意見が聞きたいわ」
「……もっと、具体的に話してもらおうか」
だいたいの言いたい事は理解できたが、スコールの言葉に内容は無かった。流石のソルでも、材料が無ければ判断しかねる。4分の1ほど残った固形食糧を口に放り投げると、ソルは回答を待った。
するとスコールは、少しだけ躊躇うような仕草を見せる。キョロキョロと周囲を確認すると、静かに立ち上がってソルのコートのフードを取り払った。
ソルの露出した耳に口元を近づけると、先ほどの言葉の内容を囁きソルだけに聞こえるような声量で言った。ソルはそれを聞くと、今にでも叫んでしまいたくなるような感覚を覚える。
「……って、事」
「いつから……そんな物を造っていた?」
「貴方が産まれるずっと前から」
「まぁ……そうだろうな。だが、俺にとってはどうでも良い話だ」
そう言うとソルは立ち上がって、窓から景色を眺める。何を想像しているのかなど、スコールにはお見通しだ。ソルの頭にあるのはただ一つ、真との一騎打ちのみ。
そこにあるのは、使命感や誰に言われるでも無い……。とにかく今のソルが望むのは、決着……その二文字のみだった。それはまるで、恋慕にすら見えて来る。
「大丈夫よ、そこで貴方の望通りにしてあげる。ただし……言い方は悪いけど、あくまでついでにね」
「ついで……か。貴様としては、一対一など非効率な訳だ」
「当たり前でしょう。彼の殺害も、立派な組織的目標よ」
言葉通りに、スコールとしては亡国の全戦力を真に集中させたいくらいの物だった。しかし……ソルは既に、自身の望んだ形でしか納得がいかない。
そちらの方やる気が出るなら、そうすればいい。スコールは、かなり妥協してそう思う事にした。だからこそ、手痛い犠牲を払ってもソルの為になるよう尽力したのだ。
すなわち、先行投資の様な物だ。実際……ソルは自らがプロデュースし、とんでもない武装を生み出したのだから。まさにソルの能力を、フルに盛り込んだ……そんな武装だ。
「……奴が全力かつ、奴と一対一のステージがあるのならば……後は、好きにすると良い」
「了解したわ。何か考えておくから」
「……エムとオータムは、良いのか?」
「ええ、全て話す事はしないわ。作戦には出てもらうけど」
隠すから、ややこしくなるのでは……?と、ソルは珍しくそんな事を考えるが口にはしない。言うだけ無駄であると思ったのだろう。
これで全ての話は終わったと、ソルは再びフードを被った。振り向くと、既にスコールも移動を開始していたため、完全にお開きだと判断した……その時だ。
「あっ、そうそう……。例の5機……アレも使うつもりだから。細かなチェック等を任せていい?」
「何……?構わんが、温存は良いのか?」
「出し惜しみしても仕方ないでしょう。向こうとこっちの戦力差を見るに、妥当なんじゃない」
IS学園側は、恐らくいつもの9機。対して亡国企業側は、4機……だが、スコールの口ぶりからするに、自身が出る気はないのだろう。
つまりはソル、マドカ、オータムの3機。更に『例の5機』を加えて8機……それでやっと十分と言った所か。マドカ一人で複数の専用機持ちを相手出来るが、流石に手に余るだろう。
そうなれば、ソルの戦闘の妨げになる確率も大幅に下がるという物。それに出す所で出さなくては、本当に宝の持ち腐れでしかない。
「ごめんなさい。それと、もう一つ……」
「今度は何だ……」
せっかくフードを戻したのに、スコールはまたソルに近づきフードを降ろして耳元で囁く。今度のソルは、随分と訝しむような様子だ。
話をすべて聞き終えると、スコールに対して不思議そうな表情を浮かべた。それなのにスコールは、『じゃあお願いね』と、何とも軽い対応だ。
「……それで、良いのだな?」
「ええ、構わないわ。貴方は、肯定的じゃないの?」
「今となってはどうでも良いが……。言っている事が、大分違うぞ」
ソルが何を囁かれたのか……やはり釈然としない様子だ。以前のソルなら今すぐにでも決行しそうなお願いに、かえって二つ返事を出来ないようである。
何故ならば、あまりにもスコールらしくないからだ。なんとなくではあるが、ソルは不信感を感じずにはいられない。しかし……命令ならばと、ソルは首を縦に振った。
「……了解した」
「ええ、頼んだわよ」
それだけ言うと、スコールは今度こそ去って行った。しばらくその背を見届けていたソルだったが、やはり様子がおかしい様に感じられる。
計画を早めるのなら、大いに結構。だがどうにも、慎重派なスコールが言い出す事ではない。何やら、前回の一悶着した影響なのだろうか?
(いや……あの女の心変わりなど……)
そう、やはりソルにとっては大きな問題ではない。計画を早めた事によって、ようやく自身の願いが成就されようとしているのだ。ソルは雑念を振り払うかのように、フードを被り直した。
もうすぐ……全てに決着がつく。ソルはストールの下で、真とそっくりな凶悪な笑みを浮かべた。気分が高揚するのを抑えられずに、今にも小躍りしてしまいそうなほどだ。
そんな自分が可笑しくて、ソルはついにクックック……と小さく笑い声を漏らす。いい加減にせねばと、ソルは自室に戻る。『例の5機』の研究資料を引っ張り出すと、研究所を目指すのだった。
**********
その頃……同時刻のZECTでは、陸が書類へペンを通していた。いつもと変わらぬ業務だが、陸に妥協は一切ない。凄まじいペースで書類は減っていく。
しかし……ふと陸の手が止まった。何か、予感がしたのだ。具体的に言えば、嫌な予感でしかない。陸は胸ポケットから携帯を取り出すと、すぐさま三島へと繋げた。
ピリリリリ…………
「三島、何か異変は?」
『会長……今、こちらから御電話しようと』
「では、何かあったのだな。すぐに私の元へ戻れ」
『……かしこまりました』
通話を終えた三島は、軽く戦慄を覚えた。全く何の脈絡もなしに、陸はなんとなくで脅威を察したのだから当然だろう。とにかく三島は、陸の元へと急いだ。
陸と別行動をしていたにしても、そう遠くへ離れる事はまず無い。三島も決して秘書ばかりしている訳では無いのだが。陸はそれを把握しているため、ゆるりと三島を待つ。
そうすると、だいたい陸の予想通りの頃に三島が会長室へと姿を現した。本来は焦っているのだが、それを表に出すなと習った出前……三島は、クールな様子で陸へと近付いた。
「会長」
「うむ、よく来た。それで……何が起きたと言うのだね?」
「ハッ、不審な置き手紙を発見したらしく。これが、現物です」
「どれ、貸してみなさい」
陸の差し出した掌に、三島は件の手紙を渡した。どうにもそれは、招待状の様な封筒へと入っている。しかしそういった予定を、三島が把握していないはずがない。だからこそ三島は、不審であると表現したのだろう。
陸は中からポストカードのような物を、丁寧に取り出す。それを眺める陸の表情は、穏やかではない。ただそれを、三島は固唾を飲んで見守った。
「……どうしたものか」
「如何なさいました?」
「とりあえず、これを見たまえ」
「…………」
陸が裏返した面を、三島はまじまじと見詰める。するとそこには、こんな文面が書かれていた。『我ラ亡霊 彼ノ地ヘ来タレリ』……と。
それと一緒に、位置指定をするように座標も書かれている。これが何を意味するかは、すぐに理解できた。陸の様に、どうしたものかと言いたくなろう。
「まるで、挑戦状ですね」
「事実、そうなのかも知れんな……。あの亡霊どもが、わざわざこうして手紙まで出すのだから」
「罠……でしょうか?」
「だろうな。それでいて、全戦力をぶつける気だろう」
二人は、あえて大まかな内容を言う事はしなかった。それだけツーカーが取れていると言うのもあるが、亡霊と言うキーワードさえあれば、関わりのある人間ならピンと来るはず。
三島の言う通り、罠である可能性も大きい。かと言って、無視するわけにもいかない。となると……真達に頼るしか、解決策は無いに等しいのだ。
「随分と、情けない話だ……」
「仰る通りで……」
「……三島。このビルに残っている者だけで構わん、幹部勢に緊急招集を掛けろ」
「岬主任と、田所司令はいかがなさいますか?」
「む、そうだな……その二名には、出て来てもらおう」
三島の提案にしっかり頷くと、三島はかしこまりましたと頭を下げる。会長室から出る途中ではあるが、既に携帯で関係各所へ電話を掛けながらの退室だった。
陸はと言うと、自身の孫やその友人達に戦いを強いなければならない……。その事を思うと、やるせない気持ちとなる。しかしそこは、ZECT総会長の使命の重さが勝る。三島と同様に携帯を取り出すと、孫へと繋ぐ。
「真……。心して聞け」
**********
「……って、事らしい」
陸から電話があったすぐ後に、真は自身を除く専用機持ち8名を集めた。時間帯的には授業中であったが、千冬の許可を得て今に至る。
亡国機業から、挑戦状とも取れる手紙が届いた事……。これが、激しい戦いになるであろう事を、皆に伝えた。一抹の申し訳なさを感じつつも、真は続ける。
「俺と簪に限っては……ZECTとしてこれを迎え撃つ事になる」
「同盟関係にあるから、私も参加ね~」
IS学園に所属しているとはいえ、大本がZECTである事もまた事実だ。真と簪は、半強制的な参加となる。更識の頭である楯無も、また同じ。
せっかく雰囲気を作っているのに、楯無の軽い調子に真は溜息を吐いた。ちょっと黙っててくれ……と、目線で伝えると真は数拍間を置いてから口を開く。
「前にも言ったが、お前らには選択肢がある。嫌だってんなら参加しなくても良い……だが……」
「アンタさ、いつも思うけど……殴られたいの?」
「はぁ!?どっから出てきたよ、その殴るってのは!」
「俺も鈴と同じ意見だ!水臭い事を言うのは無しだぜ」
一夏も鈴も、分かっている事を始めから聞くなと言いたいのだ。協力してくれと言って、皆が首を縦に振る事など真は最初から分かっていた。
真は頭の中で、単に爺ちゃんの代弁なんだが……と、困惑した様子だ。それは置いておこうと気を取り直すと、とりあえず全員に礼を言う。
「戦友よ、向こうの詳しい戦力は?」
「とりあえず、専用機3つは確実だろうと」
「カブト、サイレント・ゼフィルス、アラクネ……だよね」
「サイレント・ゼフィルス……今度こそ、わたくしが……!」
BT二号機であるサイレント・ゼフィルスを、強奪されたと言う浅からぬ因縁のあるセシリア。それだけで無く怪我まで負わされているのだから、ムキになるのも頷ける。
そんなセシリアの様子も気になるが、他にもう一人……。真は、サイレント・ゼフィルスという言葉に反応した一夏を見逃さなかった。だが今は、時ではないと気にしないフリをすることに。
「真、あのワームとか言うのはどうなのだ?」
「ん……まぁ、来る可能性が高いだろうな」
「え~……。また特殊なのが居るんじゃないでしょうね……?」
「奴ら、コア造れっからな。十分にありうる」
4つの工場を潰したとはいえ、やはりまだワームは残っている事だろう。鈴としては、緑の方は問題では無い。脳裏に過ったのは、紫色の個体だった。
相当苦戦して1機なのに……と、鈴は真の言葉を聞いてグデーッとなった。不確定要素だが、あるとして話せと陸から言われていたのだ。
「そんな事より、アイツら終わりにする気あるのかよ?」
「一夏、もちっと解りやすく……」
「ジョウント……」
「ああ、なるほど……そういう事な」
一夏が言いたかったのは、倒してもまたワープで逃げるのでは?と言う事だった。しかしそれでは真に伝わらず、簪が放った一言でようやく理解した。
真は、その事に関しても陸から何か言われていた。何だったかと思い出しながら頭を掻くと、ようやく思い出す。そう……保証は出来ないが、岬達がどうにかできるらしい。
「要は岬さんを信じろってこった」
「ああ、解った」
「んじゃ、他に何か無いか?」
真の言葉に、反応する者はいなかった。それを確認すると、真はパン!と大きく手を叩く。今回はこれで解散であると宣言しつつ、もう一度皆に礼を言った。
全員がその場から散り始めると、真は急いで一夏を捕まえようと試みる。しかし……何者かの手によって、それは遮られた。振り向いて見れば、簪が真の制服を摘まむ様に掴んでいる。
「簪……?」
「…………」
「黙ってちゃあ解んねぇぞ?何かあるなら、言ってくれ」
真はまるで子供と話す様に、簪と視線の高さを合わせた。口調も聞いたことの無いような穏やかさで、安心してほしい事が伝わる。
簪は俯いたままだが、真はいつまでも待つ覚悟だ。どうしても話せない様なら、それはそれで無理をさせる気は全く無いが。しばらく待つと、簪は震える唇で語り出す。
「大丈夫……だよね……?」
「今度の戦いの事か?そんな心配しなくても、簪や皆が……」
「真は……ソルと……一騎打ち……」
真の心配するなという言葉を、簪は静な声で遮った。それに対して、真は思わず口を閉じる。ここですぐさま否定が入れば、簪の心配も消えるのだ。
しかし……他でもない。真自身が、ソルとの一騎討ちを望んでいるのだから。だからこそ、簪は怖くなってしまったのだ。真とソルの決着の果てに、何が待っているのか……。
もちろん、真は勝つと信じている。だけれど、こうなってしまっては嫌なイメージしか湧いて来ない。恐らくソルに負ければ、真の命は……。
「簪……。俺は、文字通りに命をかけて挑むつもりだ」
「…………!」
「それだけの覚悟がねぇと、アイツには勝てない……」
「真……」
雨の中で、ソルと対峙した日の事を思い出す。ソルの心情の変化は、殺気にみちみちており……恐怖を感じるほどだった。それはきっと、ソルも覚悟があるから……。
真にとって覚悟とは、なんとなくの物でしか無かったのかも知れない。しかし今は、かけがえのない大切な人が目の前にいる。その子を守ろうと思ったら、覚悟なんて勝手に出来てしまった。
「俺は……必ずソルに勝つ。だからどうか、応援して欲しいんだ」
「…………」
「簪が勝てって言うんだったら……俺は、尚更あいつにゃ負けねぇ」
「…………」
「だって俺にとって、簪の応援ほど……力になるモンは無いからな」
真が精いっぱいの笑みでそう言うと、ワンテンポ置いてから簪は抱き着いた。真は中腰気味の体勢になっていたため、おっとっと……と簪を受け止める。
それからしばらく経つが、やはり簪は何も喋らない。だが今に限っては、真の温もりを噛みしめている様に見える。真も真で、簪の抱き心地を堪能していた。
「必ず……勝って……。お願いだから……」
「ああ、任せろ。それだけ言って貰えれば、俺はもう無敵だ」
簪は、すがるようにそう言った。しかし……本当は、こう言いたかったに違いない。勝たなくても良い……ただ無事でいてくれれば……と、だが簪は自分の気持ちを押し殺してでも真を支える事を選んだ。
真も……それは理解している。簪が何よりも、自分を優先している事くらい。それなのに自分は、ソルとの決着にに拘って……。真は簪に聞こえない程度に、歯を軋ませた。
そのままより一層に、簪を強く抱きしめる。それは、悔しさの表れなのだろう。だがそれも全て、愛する者を守るためだと肯定的に受け取った。
そのまま二人は、次の授業開始寸前までずっと抱き合っていた。ギリギリその事に気が付いた真は、苦笑いを浮かべる。いそいそと簪の手を引き、教室へと急いだ。
簪は、真の広く大きい背中をじいっと見つめる。その背がいつも以上に逞しく感じられたのは、きっと気のせいではないハズ。
……自分が一番……信じなくてはと、簪は一人頷く。自分のヒーローである真の勝利を願いつつ、簪は駆け足で真に着いて行った。
本当に、ソルが出ない回が無い。
いやね……なんとなくソルを『状況説明役』的な使い方をしてる感じが否めなくて、あれやこれややったんですが……上手くいかないもんですね。
まぁ亡国サイドからのが進めやすい……んでしょう。なんたって、色々と企んでる側ですから。あぁっと……たくらみに関しては、九章中で解明されますのでご安心を。
次回は……どうでしょう?真With織斑姉弟がメインで、マドカ関連のアレコレ……になると思います。
それでは皆さん、次回もよろしくお願いします。