私たちのBlueArchive   作:青影

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2.【電子の箱庭】

 

 

 

 ここはある日の特異現象捜査部の部室。今はちょうど私とエイミで、どうにか例のシミュレーターをこの部屋まで運び終わったところだ。

 

「部長、これ邪魔じゃない?」

 

「邪魔だなんて失礼ですね。……と言っても、エイミにはまだこれが何かすら教えていませんでしたね」

 

「うん。急に運んで、って言われただけ。何かの機械だということは辛うじて推測できるけど……そもそも、どこからこんなものを買う資金が出てきたの?」

 

「あら、私は偽造も横領もしていませんよ?ただ、先生に少しお願いをしただけです」

 

「先生、部長にどんな弱みを握られたの?」

 

"別に弱みは握られてないからね!?"

 

「そうですよ。清楚系病弱美少女ハッカーの私がそんな汚い手を使う訳がないでしょう?」

 

「えー。本当に?」

 

「本当ですよ。私がそんなことをする相手がいるとしたら、せいぜいあの頭から足首まで合理が詰まっていそうな女くらいなものです」

 

「そう、ならいいけど。それで、結局これは何なの?」

 

「そうです、説明しようとしていたところでした」

 

 ヒマリはより一層狭くなった部室の中で車椅子を器用に扱い、机の上にあった紙の束を手に取り説明を始めた。

 

「まず、これの名称からですね。名前の候補は幾つかあったのですが……【電子の箱庭】。これからは、そう呼称するすることにしましょう」

 

「シンプルかつ分かりやすい名前だね」

 

「シンプルかつ分かりやすい名前にしたつもりですから。凝った名前をつけても、どうせ略称で呼ぶでしょう?それならいっそのこと、最初から分かりやすい名を、と思った次第です」

 

"呼びにくい名前だと大変だよね。アトラ・ハシースとか、ウトナピシュティムとか……"

 

「先生、何度か呼び間違えてたよね」

 

"大丈夫、もうちゃんと覚えたから!"

 

「はーい、続きを話しますよ?……次は使用用途ですね。これはズバリ、キヴォトス全域のシミュレート、です。仮想運営、とも呼べるかもしれません」

 

「キヴォトスをシミュレートする機械だったんだ。それは確かに、大きくても仕方ないのかも」

 

"……仮想運営、っていうのは?"

 

「そう難しいことではないですよ。パラメーターを弄ったり、どこかの選択肢で別の選択を選んだ結果をシミュレートすることができる、というだけです。そして、ついでにその過程も見ることができる。キヴォトス全域を使ってシミュレートするのですから、それは最早仮想運営と言っても過言ではない、というだけのお話ですよ」

 

「それこそ不可能じゃない?今のキヴォトスだって、全部の場所が解明されてる訳じゃない」

 

「そこについては『あくまでシミュレート』だと割り切るしかないです。キヴォトスの謎が完全に解明されているなら、私もわざわざこれを欲しがったりなんてしませんでしたよ、全く。……これで先生に大きな借りができてしまいましたね」

 

"まぁ、今は気にしなくていいよ。ちょうど私も気になってた事がこれで調べられるかもしれないから必死に素材集めをしてたんだし。"

 

「そういえばそう言っていましたね。では、先生のお陰で作れた訳ですし、最初はそれから調べてみましょう。一体何を調べたいんですか?」

 

 私は、キヴォトスに来てから……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()があった。何か、違和感がある。そもそもこの世界が、とかは置いておくとしても、看過できない問題があった。今改めて考えると、余計に怪しく感じる事。そう、それは────

 

"────私がキヴォトスに来た日。その日、何故七囚人が脱獄したのか。それを調べたいんだ。"

 

 

 

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