1. 意外な繋がり (1)
あの一連の騒動からしばらくしたある日、いつものように書類の整理をしていると……ノアからモモトークで連絡が来た。
「先生、少しお願いしたい事があるのですが……よろしいでしょうか?」
"どうしたの?"
当然ノアからはこちらの様子など分からないとは思うが、話を聞く環境にするために書類を横にずらし、空になったコップにコーヒーを注ぐ。
「実は、トリニティ総合学園のセイアさんに聞きたい事があるのです。しかし、ティーパーティーとしての連絡先は分かるのですが、あくまで今回は個人的な用事なので本人に直接連絡した方が良いのではないかと。ただ、仮にもミレニアムのセミナー書記とトリニティのティーパーティーで派閥代表の1人……噂になることは想像に難くありません。その場に先生が同席してくだされば、他校からの目もある程度は避けられます。なので、先生の方から話を通していただけるとありがたいのですが、お願いできますでしょうか?」
"それは私がやっておくよ。でも、セイアに聞きたい事って何なの?"
セイアといえば、エデン条約の件が終わった後にも何回か会ったし、一応モモトークの連絡先を交換はしている。結局、個人としての付き合いはあんまりないけど……。それはさておき、ティーパーティーのホストとしてのセイアじゃないセイアに聞きたいことがあると言われても、あまりピンと来るものがない。
「コユキちゃんの能力について、もしかしたら分かることがあるのではないかと思ったんです。セイアさんは直感能力に優れているようなので……」
つい数日前にナギサに会って初めて知った事だけど、セイアは予知夢を見ることがなくなった代わりなのか、新たに直感能力に目覚めたらしい。第六感的な何かみたいだということしか私には分からないけど、確かにコユキの摩訶不思議な解読能力に通じるところはある気もする。
"了解。セイアに伝えておくね。"
「ありがとうございます」
"他に誰か連絡しておいた方がいい人はいる?"
「そうですね……ミレニアムからは私、ユウカちゃん、ヒマリ部長が出席する予定ですので、先生とセイアさんでトリニティから出席する生徒を集めていただけると助かります。あと1人か2人いると人数比としても同じくらいになりますし、セイアさんも話しやすいんじゃないでしょうか」
"1人か2人くらいか……"
「多少多くなっても構いませんが、あまり多すぎると不審がられると思いますので程々にお願いします。それでは、また日程が決まり次第またご連絡しますね」
生徒の持つ不思議な能力は私もキヴォトスに来てから気になっていることの1つだ。耐久力などはキヴォトス人の平均的なもののようだけど、それ以外のもの……ミカの怪力やセイアの予知夢、コユキの解読能力やノアの記憶能力などは一部の生徒が持つ特殊技能くらいのものとして、いわゆる『そういうもの』として認識していた。でも、改めて考えると不思議なものだ。ノアが気になるのも頷ける。で、トリニティでそれらに詳しそうな人といえば……。
(誰に連絡するか考えているうちに、いつの間にか夕方になっていた)