退形成性星細胞腫の5年生存率は僅か20%とされていた―――だが、今は違う!(ギュッ) 作:推したい人
アンケートの期限は三日を予定しています。
あと、タグの捏造設定が存分に仕事します。それに感想返信でストーカーについて話してましたが、彼の処遇については先延ばしになります。申し訳ありません。
そして、皆様のお気に入りと評価のお陰で短編日間ランキングにて1位。ルーキー日間ランキングにて3位という好成績を収めることが出来ました。
ありがとうございます!!
時刻は夜20時過ぎのゴールデンタイム。
N県T村の診療所にて、いつもの面々*1で遅めの夕食を取り終え、コーヒーを飲んでいた医師富永研太は時計を確認すると、リビングのテレビを点けていいかと神代一人に許可を求めた。
「構わないが、何故だ?」
「じ、実は、これから始まるバラエティに推しのアイドルグループが出演するので……」
リモコンを取りお目当てのチャンネルに変更する。
すると、画面に煌びやかな衣装を身に纏い、瞳に星を宿したアイドルが映る。どうやら番組は始まったばかりで、ちょうど今司会から話題を振られていたようだ。
「ア……アイちゃーーーん!!モ、モエーーー!!」
あまりの尊さに奇声を上げる富永。そんな彼に女性陣から冷たい視線が注がれる中、一也が質問する。
「誰ですか?」
「ええ!?知らないの!?アイちゃんだよ!B小町の!!」
信じられないものを見るかのように、富永は絶句する。
そして、しょうがないなと嘆息した彼は、いかにアイが素晴らしいアイドルか解説しようと口を開こうとし―――。
「アイは4年前にデビューした時からB小町のセンターに立ち続けている、今最も勢いのあるアイドルの一人だ」
アイドルに関心を持っているとは思わなかった
「へえ~、そうなんですか。デビュー当時からずっとセンターなんて凄いですね」
「ああ、彼女はグループ内で突出した実力でもってB小町を牽引し地位を高めた功労者であり、絶対的な大黒柱だ。しかし、それゆえに彼女が卒業すればB小町は空中分解するという説を唱える者もいたが……」
Kがテレビに視線を向ける。そこには、B小町としては一番の新参者『さりな』が笑顔を振りまく様子が映っていた。
「現在は、彼女に猛追する新メンバーがいるようだ」
「あっ、それってさりなちゃんのことですか!?Kも分かってるんですねぇ~~~。そうなんですよ皆さん!実はこのさりなちゃんって子が凄く可愛くてですね~―――」
興奮した様子でいかにさりなが素晴らしいか語る富永。
そんな彼に少し引きながら、麻上がKに疑問を投げかける。
「それにしても、K先生がアイドルに詳しいだなんて思いもしませんでした。もしかして、ファンだったりします?」
「いや、ファンというほどでもないが、B小町とは少し因縁があってだな―――」
理由を説明しようとしたその時、プルルルル……、と傍らにある固定電話に着信が入る。
「はい、もしもし」
すぐさまKが受話器を取り対応する。
『そ、その声は一人か!俺だ、俺だよ!』
「その声は……壱護か。久しぶりじゃないか」
『ああ、こうして話すのは何年振りか……って違うんだ。それは今重要じゃなくて……』
ガシガシガシ、と受話器から頭を掻きむしる音が聞こえる。
「一旦落ち着くんだ壱護。そう慌てていては伝わるものも伝わるまい」
『そ、そうだな。ありがとな一人。…………実は任せたい患者が一人いるんだ』
「難しい患者なのか?」
『いや、症例自体は一般的なんだが……その……』
斎藤の歯切れが急に悪くなる。
しかし、Kは急かすような真似はしない。
彼は
相当の覚悟を持ってこの電話に臨んでいることを、Kは見抜いていた。ならば待つだけでいい。
『内密に、極秘に頼みたいんだ。できれば村の人達にも知られずに。診察する人員も必要最低限で』
「分かった。いつ頃こちらに到着するんだ?」
『……理由は聞かないのか』
「お前の人となりはよく知ってるつもりだ。相応の理由があるのだろう?」
『……恩に着るよ』
「気にするな、俺とお前の仲じゃないか」
フッ、と微笑むK。
「幸いオペの予定はしばらくない。いつでも受け入れられる」
『なら三日後の午後で頼めるか?』
「分かった。その日は午後の外来を休診させておく」
『助かるよ一人。村に到着する一時間前には連絡する』
「承知した」
『……本当にありがとう。またな』
通話が切られ、ガチャリと受話器をKは置く。そして、思案する。
斎藤壱護は患者の個人情報を明かさなかった。壁に耳あり障子に目あり。万が一の可能性を潰す為だろう。
しかし、どうしてもKの頭には一人の女性が浮かび上がってきてしまう。数分前に見た映像から感じ取ったごく僅かな違和感が、斎藤からの依頼というファクターと結びついてしまったから。
(……念には念を入れるか)
◆
三日後の15時。
デスクにてどっしり構えているKとは裏腹に、看護師の麻上は少々ソワソワしていた。
なにせ、わざわざ平日午後の外来を休診し富永を往診に行かせてまでプライバシーを守る必要がある患者がもうすぐ来院するのだ。
鴨下病院に勤めていた頃を含めても初めての経験。いくら優秀な看護師とはいえ、落ち着けという方が無理な相談であった。
(患者の詳しい情報は訊いていないということだけど……
富永を往診に送り出した後、Kに指示され用意した医療機器を横目に思案していると……。
ブルルルルゥ……キキィィ……バタン。
診療所のすぐ側に車が駐車される音が聞こえた。どうやらKが言っていた患者が来たようだ。
「俺が応対する。麻上くんはいつでも検査を始められるように準備しておいてくれ」
「分かりました」
Kが問診表を片手に外へ出る。その間にも、麻上は指示通り準備を進める。
それから五分後だろうか。
Kが金髪の男性と
(やっぱり妊婦さんだったのね)
エコーと採血、尿検査までなら分からないが、妊婦用の検診衣まで用意するとなるとよほどの鈍感でも察することができるだろう。富永を追い出すように往診に行かせたことにも納得が行く。
そして、極秘にと念押しされた理由も察せた。なにせ妊婦は明らかに未成年だ。しかもお腹の膨らみ具合から察するに10週といった所だ。明らかな訳アリだ。
だが、いくら外聞が悪いとはいえ、しっかりとした病院なら守秘義務があり理解もある。
(わざわざ東京からこの村まで来る理由にはちょっと弱い気がするけど……)
好奇心がムクムクと膨らんでいく……が、麻上夕紀はプロの看護師だ。
すぐさま邪念を振り払い、検査の準備を進めていく。
―――しかし、それでも。
妊婦が帽子を取り外した瞬間、動揺のあまり一瞬動きを止めてしまった。
『うわぁぁぁぁあああああ……そんなぁぁぁあああ~~~……』
思い返されるのは、昼休憩中に流れたニュースを見て悲嘆に暮れた富永の姿。
ニュースの内容は、富永が今一番推しているアイドルが体調不良により長期間の活動休止に陥るというもの。
そのアイドルの顔が、目の前の妊婦と完全に一致する。
そう、つまり―――
「一人、頼むから物凄い便秘だと言ってくれ」
「だとしたら既に死亡している」
「大丈夫だよ社長!今朝も順調そのものだったから!」
―――極秘の患者の正体は、妊娠という大スキャンダルを抱えたアイだったのだ。
安心してください。
さりなちゃんではないですよ!
今後のストーリー展開についてアンケートします。具体的にはこの小説でアイの出産というエピソードをどのタイミングで投稿するかです。
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妊娠期間中のエピソードは閑話で後からやる
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妊娠期間中の話をじっくりやってから出産