退形成性星細胞腫の5年生存率は僅か20%とされていた―――だが、今は違う!(ギュッ) 作:推したい人
あと、一也と同年代かどうか判明するのはこの次のお話になりました。
予定通りとはいかなかったッス。
許してください何でもしますから!(何でもするとは言ってない)
アイドルグループ『B小町』。
結成されたのは今から四年前。絶対的エースであり不動のセンターのアイが牽引する形でジワジワと人気を上げていったこのアイドルグループは、新メンバー『さりな』という起爆剤の投入によって芸能界のスターダムを駆け上がっている。
つまり、今が一番大事な時期であり、スキャンダルなんてもっての外なのだが……。
「このエコー画像が示す通り、君のお腹には双子が宿っている。妊娠10週といった所だ」
「「双子……」」
よりにもよって、B小町の心臓部とも言えるアイにスキャンダルが発生してしまった。
「双子……」
自分の
その事実を噛みしめるように呟きお腹に手を当てるアイの隣で、斎藤が頭を抱えながら口を開いた。
「アイ、赤ん坊に罪はないし妊娠出産は祝福されるべきものだと俺は思ってる。お前の保護者として、本来なら祝福して進んで協力してやるべきなんだろう。……だが、それでも……」
と、そこで斎藤は口を噤んだ。そして、パクパクと何度か口を開閉したかと思うとガリガリと頭を掻きむしり俯いてしまった。
その様子を見て、場にいる全員が察した。確実に斎藤は『本当に生むつもりなのか?』と質問するつもりだったのだろう。
しかし、それは暗に『堕ろしてくれ』とお願いしているようなものだ。
無理もないだろう。彼は弱小規模ながら『苺プロダクション』という芸能会社の社長だ。稼ぎ頭であるB小町、その中核であるアイの妊娠出産という大スキャンダルが世に知られれば、アイも会社も一巻の終わりであることは確実な以上、余計なトラブルは早急に解決したいのが普通だ。
だが、斎藤壱護は
ゆえに、自身の倫理観と苺プロダクション社長としての使命感がぶつかり合い苦しんでいるのだ。
診察室を沈黙が支配する……が、意外にもこの沈黙は長く続かなかった。
「大丈夫だよ佐藤社長」
自身に満ちた顔でアイがギュッと親指を立てる。
「
「
◆
私も感じ取れなかった異変に最初に気づいたのは、さーちゃんだった。
「先輩、最近ちょっと変じゃないですか?」
バラエティの収録が終わり、局から用意された楽屋弁当をモリモリ食べている最中、対面で同じく食事しているさーちゃんが質問してきた。
「えっそう?そんな自覚はないんだけどなー」
「いやいや変ですよ。前は一個で十分だった楽屋弁当が二個に増えてて、加えて差し入れのデザートまで確保してますし」
彼女が指さす方向には、一口サイズのレモンケーキが置かれている。その数
「デザートは別腹って言うし、収録で体動かしたんだからこれくらいフツーだよフツー!」
「いや、それでも異常だと思いますけど……。他にも常に眠たそうにしていて、今日の収録でも危うい場面ありましたし」
彼女の指摘通り、確かに私は収録中に不意の眠気に襲われて居眠りに陥りそうになった。さーちゃんの咄嗟の機転がなければ共演者やスタッフにバレていたかもしれない。
「だからじゃないですか?ほんの僅かですけどおっぱいとお尻、ついでに
お腹、という単語に内心反応してしまう。通常ならさらっと聞き流しちゃうけど、
だから、強硬手段に出た。
「おっおっおー。誰にもバレなかったのによく気が付いたねさーちゃん!そんなに私の事が大好き?―――私はさーちゃん大好きだよ!!」
「あっ、あっあっあっあっあっ」
いきなり抱き着いてさーちゃんを処理落ちさせたのだ。
さーちゃんは仲間でありライバルでもあるけど、その前に私の強火ファンだから、困ったときはこうやればいつも誤魔化されてくれていた。反応が可愛すぎてやりすぎちゃって、ファンに一種の名物扱いされちゃったけど。
そしてさーちゃんと別れた後ドラッグストアに寄り妊娠検査薬を購入。タイミングも良かったので帰宅後即使用してみた所……陽性だった。
さて、これは困ったぞ。と頭を悩ませる。
堕ろすつもりはないから、隠しきれなくなる前に佐藤社長だけには話を通すつもりではある。問題はさーちゃんだ。
彼女は
しばらくウンウン唸っていた……が、不意に天啓が舞い降りる。
そうだ!いずれバレるなら早めに味方に付けちゃおう!
今思えばハイリスク過ぎる穴だらけな策だったけど、意外な反応でもってこの策は成功した。
『分かりました!不肖ながらこのさりな、先輩のサポートに全力で当たります!!』
当初はびっくりしたが、理由を聞いて納得した。
先輩だから正直に話しますけど……と前置きされて聴いた話によると、さーちゃんには現在遠距離恋愛中のとっても大好きな『せんせ』という命の恩人がいて、20歳になって親から独立したら即結婚する約束をしているとのこと。
『結婚したら即孕みます。野球チーム作れるくらい産みたいです』
だから先輩のお手伝いして予行演習するんです!WinWinです!と据わった目で力説していた。
……うん、自分が言うのもなんだけど、その『せんせ』が間違いを犯さないように祈っておこう。
こうして、私は心強い味方を得たのだ。
「あっ、先輩。社長にならこの話してもいいですよ。近いうちにせんせを紹介するつもりでしたから!」
(……さーちゃん、私に負けず劣らずぶっ飛んでるね、うん)
◆
「嘘だろ俺全然気づかなかったぞ……」
アイが暴露したB小町第二の爆弾によって憔悴した斎藤の肩に、Kはポンと手を置き慰める。
『壱護、今日はとことん付き合うぞ』
『……おう、ありがとな一人』
そんな会話が聞こえた気がした。
「とにかく、妊娠していると分かれば余計な負担を掛けさせる訳にもいくまい。麻上くん、来客用の部屋まで彼女を案内してやってくれ。俺は壱護と話すことがある」
「分かりました。さ、星野さんこちらですよ」
麻上がアイと共に診察室を出る。残ったのはカルテにペンを走らせている一人と頭を抱えている斎藤の二人で、しばらく沈黙を保っていたが……意を決した斎藤が口を開いた。
「なあ一人、頼みがあるんだ」
「彼女が住む家なら早急に手配する。バリアフリーにも対応させるから安心しろ」
「……なんでもお見通しって訳か」
「診察するだけならば、後部座席いっぱいに彼女の荷物を置く必要はない。出産するまでここに置いてもらえるよう頼むつもりなのだろう?」
「ああ、この村は人の目を避けるにはうってつけだからな」
「だが彼女を隠し通すなら村の人達の協力は必要不可欠だ。挨拶回りはしっかり済ませておけ」
「分かった。菓子折り持って回らせてもらうよ。つーわけで今から街まで買い物に行ってくる」
「そんなもの用意せずとも受け入れてくれると思うが?」
「義理とはいえ大事な一人娘を預けるんだ。これくらい当然の事だ」
斎藤は立ち上がると、Kに向け頭を下げる。
「だから頼む。あいつに元気な双子を産ませてやってくれ」
「安心しろ。彼女の子どもは安全に、確実に取り上げて見せる(ギュッ)」
◆
なお、今回の話のオチ。
「―――という訳で家が手配できるまでウチで預かることになった星野アイくんだ」
「星野アイです♪よろしくお願いします」
診療所のメンバーが帰ってくるタイミングがバラバラだった為、一人とアイはそれぞれ個別に説明と自己紹介をすませた。
以下に羅列するのは、それぞれの反応だ。
一也「星野さんと言うんですね。よろしくお願いします」
村井「普段はここから少し離れた薬品庫にいます。よろしく」
イシさん「あんれま~別嬪さんやねぇ。困ったことがあったら何でも言いなさんな!」
……一人足りないって?
まぁ、彼の反応は特別に、詳細に描写しよう。
「よ、よろしくね~」
説明と自己紹介を受けた富永はアイに挨拶すると、フラフラとリビングから出て行く。
そして、なんとか自室まで辿り着くと……
(お……推しのアイドルが妊娠してる……ッ!!)
あまりの衝撃に耐えきれなくなったのか、崩れ落ちるように膝から床に倒れこむと、夕食の準備ができたと一也が呼びに来るまで気絶してしまうのだった。
当初の予定にはなかったのですが、さりなちゃんも一枚噛ませることにしました。
こうすれば違和感なく一也たちと絡ませることができますからね!
今後のストーリー展開についてアンケートします。具体的にはこの小説でアイの出産というエピソードをどのタイミングで投稿するかです。
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妊娠期間中のエピソードは閑話で後からやる
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妊娠期間中の話をじっくりやってから出産