少年は秋名を攻める。   作:アキ・レーシング

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ひっさびさの投稿でホントに申し訳ない…ちょっと別小説を書いていた勢いでこちらも更新いたします………


終わりは突然に。

しばらく日が過ぎ、土曜日になった。

 

池谷先輩に電話で交流戦に出ると言ってしまった手前、秋はため息が止まらなくなっていた。

 

 

秋「なぁんで電話で交流戦出るって言っちゃったのかなぁ...」

 

玲「どした? 話なら聞いてやるぞ?」

 

秋「うっわビックリした!?」

 

 

独り言をつぶやいていた秋は父親である玲にいきなり声をかけられると思わず蹴りを入れそうになった。

当の本人は「あぶねぇあぶねぇ~」とへらついており、ニヤニヤしながら秋のほうを見ている。

 

 

秋「親父...帰ってたのか」

 

玲「あれ..連絡入れてたはずなんだけど...? もしかして携帯電話不携帯してる系男子?」

 

秋「うるせーよ」

 

 

玲に言われて携帯を確認してみると、確かに彼からメールが送られているのを発見した。よく見たら昨日の時点で明日には家にいるとの旨のメールであり、どことなく気まずい雰囲気になってしまう。

 

 

玲「...」

 

秋「なぁ親父...」

 

 

両者の間に流れる沈黙を破ったのは秋のほうだった。携帯をしまい、椅子に座って父親に向き合う。

父親の方も息子からのただならぬ雰囲気に気づき、ふざけるのをやめて彼に向き合った。

 

だが秋の口から発せられたのは予想外の言葉だった。

 

 

秋「歯に青のりついてんぞ。たこ焼きでも食ったか?」

 

玲「うわマジかよ!? じゃなくてあのシリアスな雰囲気でそれ言う!?」

 

秋「勝手にシリアスだと思ったのは親父の思い違いだろ...」

 

 

高校生かというくらいノリのいい馬鹿丸出しな父親を横目に、秋は自分のR34について考えを巡らせていた。

最近はいつもよりも長い時間乗れておらず、前から調子が悪いエンジンが更に悪くなっているかもしれない。そうなった場合、R34ではなく、玲が「死ぬまで借りるぜ!」と彼の知り合いの車屋に言って借りてきたというS15を借りなければならないのだが、それを言い出せないでいた。

 

父親もストリートレースの世界に身を置いていた人だ。それを言ったら「自分で頑張ってなんとかしろ」と言われ「俺がお前くらいの頃は...」と自慢話をさせられるのが目に見えていた。しかも当日というのもある。

 

 

玲「そういえば今日だっけか? あのS13乗ってた坊主が言ってた交流戦ってのは」

 

秋「あぁ。マジでめんどくさいんだよな...R34も本調子じゃねぇし」

 

 

玲からの言葉に合わせてちゃっかり話しておく。調子が悪いのではなく、本調子じゃない。つまり、乗ってる途中で良くなるかもしれないし、ダメかもしれない。と、そう言っておく。

 

最悪S15を貸してもらえないかな...と話を続けられれば良かったが、流石にそこまでは甘くないのがこの親父である。

 

 

玲「まぁなんとかなるだろ。エンジンの調子くらいどうにかなるさ。多分な」

 

秋「親父のそういう楽観的なところ嫌いだわ~...」

 

玲「それじゃ今から走りに行くか? まだ時間はあるようだし」

 

秋「...分かった。それじゃ行こうか」

 

 

その会話から十数分後。群馬のストリートを勇ましいRB26サウンドを響かせながら駆け抜けていくR34の姿があった。

 

 

秋「やっぱ調子悪くないか? 途中から加速がトロくなってる。いつも6000回転くらいからブーストかかるのに。しかも4速の入りも悪いし...」

 

玲「どんなセッティングしてんだか...」

 

 

しばらく公道を走るうちにたどり着いたのは長めのストレート、ほかに走る車はおらず少し本気で踏もうとしたとき、最悪の事態が起きてしまう。

 

 

玲「あっ」

 

秋「くっそ!?」

 

 

2速から3速にギアを上げ、ブーストがかかってきた時だった。異音と共にエンジンから煙が上がる。マフラーからは白い煙が出てきており、秋は車を路肩に止めてエンジンを切る。玲は携帯電話を取り出し、光弥にレッカーを頼む。20分後にはレッカー車が到着し、R34は明弘の店に届けられた。

 

 

明弘「やっぱりか...タービンブローだな。それも全損クラスだ。エンジンの使いまわしはもう出来ない」

 

 

来て早々、マシンの状態を確認した明弘から話されたのはもうこのエンジンは死んだ。ということ。

玲はなーんも考えてなさそうだったが、秋はR34を無理やり動かしたことにとても後悔していた。

 

自分が走り屋になってからかなりの間、お世話になっていた車だったし、エンジンもそれなりに手が入っていた代物だった。

 

宝石のように仕上げられた車でも、つまらないミス一つでゴミになる。その瞬間を目の当たりにし、無気力になっていた。

 

 

 

玲「秋、少し休んで来い。後はなんとかする。」

 

 

 

その言葉に静かに頷いた秋は、ガレージの外に出て、明弘のショップのデモカーの1台である後期型のS14のシートに座りこんだ。

 

 

秋「やっちまったなぁ...マジでどうしよ...」

 

 

S14の中で静かに涙を零す秋。そこにいる誰もが彼をそっとしといてやろう。という雰囲気になり、話しかける者は誰もいなかった。

 

 

玲「なぁ秋のつるみ仲間さんよ」

 

明弘「明弘でいい。それでどうかしたのか?」

 

玲「話したいことがある」

 

 

 

そういう玲の口元は少しだけ、笑っていた。




どうなるんだ主人公くん!

それではいつになるかは分かりませんが、また次回!

レストアマシン、どうする?

  • ジュリア GTV2000
  • メルセデス 190E 2.5-16
  • スカイライン R30型
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