真夜中、公園で、二人は会瀬をしていた。 色とりどりの花びらが二人の周りでふわりふわりと暖かい風で揺れている。
月の光が、花々に柔らかく当たっていて、景色はなお美しく幻想的に見えた。
二人は手を繋ぎ、散歩道を進んでいる。
『お蕎麦、美味しかったね』
『ああ、そうだな』
言葉は少なくとも2人の間に気まずさはなかった。風が少し強くなってきて、木々がゆらゆらと揺れている。
半は、きょろきょろと辺りを見回して、誰もいないことを確認すると、壁にもたれかかった。半は清らかな声で言った。
『つかまえてごらん』
賽は投げられた。
官はまっしぐらに半の元へ飛び込んだ。彼らは胸が触れあい、腕の中に愛しい人がいる感動に浸った。
官の腕は半の体をすっぽりと抱き 、2人はお互いの鼓動を聞いた。
この場は外であるからこれ以上のことはできぬ。満たされぬ心が、それでも幸福感で打ち消された。
月が、身を寄せあっている二人を照らしていて、 その様子はため息が出るほど美しかった。
時間は刻々と過ぎている。明日も仕事だ。そろそろ解散の時間である。二人は身を離して身支度を始めた。タクシーを拾い、半の家まで送ってもらう。
会瀬の残り時間、約30分。
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ねえ、官。
きっと、君の家族も友達も、また、世間の人たちも、誰一人、僕たちを祝福はしない。
僕も君には、僕よりもっと綺麗で若い恋人を作って欲しい。
僕と違って、奥さんや子供がいる生活を送ってほしい。
君はいつも、僕のそば以外に居場所がないような雰囲気を出しているけれど、きっとそんなはずはないんだよ。
それでも僕は今、とてもとても幸せで、君を遠ざけることもまた、できない。
もし、自分一人だけ置き去りにされれば、きっと、君のことを考える。
探しても探しても見つからなければ、君の名前を大声で呼ぶだろう。
それでもなんの手応えもなければ、これまで味わったことのないほどの寂しさに襲われるだろう。
そうしてただ立ち尽くしているうちに、日がくれて、夜の寒さに凍えて、涙がでて、息もできない気持ちになるんだ。
こんな気持ちは、生まれて始めてだよ。
月がきれいだね。官。
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タクシーの中、お前は、私のとなりで健康的できれいな肌をちらりと見せて、すぅすぅと寝息をたてている。
そんなお前をさわりたい気持ちで見つめていると、ふとお前は顔を上げて、ふぁぁとあくびをしながら、ごしごしと腕でまぶたを擦った。
『官、楽しかったね。』
ふわりといちごのような香りがして、私は無性に胸が苦しくなった。