百合ゲークラッシャーVS百合ゲーオタク〜百合豚JDは原作主人公に百合ハーレムを作らせたい〜   作:カオス箱

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お久しぶりです。
ちょっと色々ありましたが、なんとか書けたので出します。

AMOREリメイクに着手しすぎてアクロスも百合クラも全くかいてませんでした!


第11話 地底迷宮の冒険

 

 

 太陽の光がろくすっぽに届かない大穴の底に居座る事十分弱。

 壁掛け松明の近くに身を寄せ合っていた少女達だったが、ふいに陽毬がこんな事を言い出した。

 

「よし、動こう」

「本気で言ってる? 」

 

 間髪入れずに炸裂する真智のツッコミ。

 

「こんな暗闇の中を進んでくのは無謀の極みやで。キオちゃんはともかく、ウチらは初歩的な魔術すら使えへんか弱い一般人。ここで大人しく救助を待つ方が吉やで」

「いや、わたしは行くよ。だってこうしてるうちに歌恋ちゃんがあの忌々しい糞間男の毒牙にかかってるかも知れないんだよ⁉︎ 心配すぎて鼻の穴108個に増えちゃいそう! 」

「増えろ増えろ、勝手にスポンジボブにでもなってろ。だいたい、なんでアンタはそこまであの子に拘るんや。いくら原作ヒロインやからとゆーても、その入れ込み用はちょっと引くで」」

 

 正論で陽毬を押し留めようとする真智と、間男に手を出される前に歌恋を見つけだしたい陽毬がぶつかり合う。

 おろおろするばかりでなんにもできないルカに代わって、キオがふたりを諫めようと間に割って入る。

 

「陽毬、落ち着いて。確かに先手を打ちたい気持ちは分かるけど、別にあの男がここに来ているとは限らないだろう? ともかく、今は身の安全を確保するのが先だ。闇雲にダンジョン内を彷徨いてケガでもしたら、あの男に対抗したくてもできなくなってしまうだろう? 」

「そうだよね……ごめんキオちゃん」

「すごいな、アッサリと引き下がった」

 

 キオの介入によって、2人の諍いは呆気なく終幕を迎えた。そのしずまり具合は、同じ異世界人である真智から見てもちょっと引くレベルだった。

 ともあれ、これで場の空気も落ち着いてきたことだし、ようやく本格的な話し合いに移行できる。

 そう思いながらキオが口を開いた直後、今度はルカがキオに抱き着いて泣き始めた。

 

「もーっ! さっきから私ほっぽり出して何皆で盛り上がってんのーっ! 私を放置するな~っ! 」

「ルカ、今から大事な話をするところだから抱き着かないで。涙とか鼻水とかめっちゃ降りかかってるから」

「キオを私色に染め上げてやるんだーい! キオの一番の親友はこの私なんだーいっ! 」

「デカい赤ちゃんがおるんやけど……捨てていってええよな? 」

「そっとしておこうよ。ルカちゃんは長い間病院暮らしだったから、仲間外れになるのが怖いんだよ(公式設定)」

 

 ポジティブなヤンデレムーブもとい赤ちゃんムーブをかまし始めたルカを前にして、辛辣な言葉を吐き捨てる真智。

 対して陽毬は、さりげなく(は全然ないけど)原作知識をひけらかしながらルカを擁護する。

 このままでは一向に話が進まないので、キオは心を鬼にしてルカをガン無視しながら話をすることにした。

 

「まあいいや、このまま話を続けよう」

「子供あやしながら家事する母親みたいや……」

「ははは……」

 

 真智の的確すぎる感想に、キオは思わず苦笑いする。

 

「で、どうするの? 」

「多分だけど、マキナが救助の手立てを用意してくれてる筈だから、そこは大丈夫だと思う。――その上でボクは聞く。陽毬、キミはどうしたい? 」

「決まってる。先に進む! 」

 

 即答だった。

 元より歌恋に会うためにこのダンジョンに来たのだ。陽毬には引き返すという選択肢は無い。

 キオもそれをわかっているのか、陽毬の返答を聞いた後、彼女はニヤリと笑いながら、ルカと真智に声をかける。

 

「という訳で先に進むことになったけど、異論はないね? あっても認めないけど」

「ありませんっ! キオちゃんの言う事ならなんでも従います! 」

「みーとぅーっ!」

「なんでアンタらはそんなにテンション乱高下できるんや……」

 

 もうなんか、突っ込むだけ無駄な気がしてきた。

 小金真智15歳(前世抜き)は、ここにきてようやくツッコミ役の不憫さを心で理解したのだった。

 

 


 

 

 気を取り直して、一行はダンジョンを探索することにした。

 まずは、近くに見えていた横穴に足を踏み入れる。

 歩く事数分。横穴を少し進んだ先には、レンガ張りの長い通路が続いていた。

 

「ここもだいぶ暗いな」

「天井高すぎて全然見えへんわ……上も前後も真っ暗闇やな」

 

 ぽつぽつと壁掛け松明があるものの、灯っている炎は非常に弱々しい上に数が少なく、闇を晴らす役割を果たせてはいない。

 目に映るありとあらゆる要素が容赦なく恐怖を増幅させてくるが、今のともかく進むしかないのだ。恐怖を押し殺して、少女達は暗闇の先へと歩を進めてゆく。

 

「さーて出発だーっ! 」

 

 ――無駄にハイテンションな陽毬を除いて。

 

「なんでそんなにハイテンションでいられるんや……? 」

「だってダンジョンだよ!? 現実世界じゃ絶対に入ることのなかった場所にいるんだよ!? こんなんで恐れてたら異世界転生失格だよ! 」

「怖いもんは怖いんやって……」

「慎重に行動した方がいい。いくら学校側が管理しているダンジョンだからといって、危険が全くない訳じゃないんだから。罠とかあるかもしれないし」

「ないない、そんなアホみたいな――」

 

 ルカは笑いながらダンジョンの壁を小突く。

 ――その時、カチリという音がしたのを、キオは確かに耳にした。

 キオは足を止め、恐る恐るルカに訊ねる。

 

「えっと…………ルカ? 今何やったの? 」

「……………………なにもしてないけど」

「今の間は絶対心当たりあるヤツやぞ。フラグ回収早すぎるやろ」

 

 真智が呆れたようにそう言った直後。

 

 ズドン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! と大きな音を立てて、ルカのすぐ後ろに壁が落ちてきた。

 

 

「なっ、なんや!? なにが起きたんや!? 」

「トラップだ! 」

 

 壁の向こう側から聞こえるキオと真智の焦り声で、ルカは自分達が分断されたのだと気づいた。

 壁を叩いてみるが、当然ながらびくともしない。

 これは非常にマズイ。

 陽毬もルカも魔術なんかろくすっぽに使えない素人。そんな彼女達が唯一の頼みの綱であるキオとはぐれてしまうというのは、ほぼ致命傷と言っても過言ではない。

 あわあわと取り乱す陽毬とルカだったが、そこに、壁越しにキオが声をかけてきた。

 

「聞こえるかい2人とも」

「う、うん! 」

「バッチリ聞こえるぜ! 」

 

 少しでもキオの声を大音量で耳に入れるべく、壁にへばりつきながら答える2人。

 その様子は、傍から見れば変態でしかない。

 

「しばらくの間、そこでじっとしていてくれ。合流できるような道か、罠の解除機構を探してみるから」

「う、うん。信じていいんだよね? 」

「任せろ、ボクが絶対に守るから」

 

 壁越しに小さくなってゆく足音を聞きながら、陽毬は小さく頷く。きっとキオならやってくれる筈。今はキオと真智を信じるしかない。

 そう決意した陽毬は、背後でうずくまっているルカに声をかける。

 

「逸れちゃったね……どうするルカちゃん」

「陽毬のせいでキオと離れちゃったじゃんかあっ! どーすんのどーすんの⁉︎ このままふたりで仲良く地底で野垂れ死ぬとか嫌だ嫌だ! 」

 

 泣き喚くルカを宥める陽毬。

 いくら泣いたところで事態は進展しない。ここはキオの言うとおり、なんとかなるまで待ってみる他ないだろう。

 そう思いながら、陽毬は壁に寄りかかる。

 その時だった。

 

「………………………………………………ゥゥゥゥ」

 

 何処からか、不気味な唸り声のようなものが陽毬の耳に入ってきた。

 

「…………ねえ、今何か聞こえなかった? 」

「いや、なにも」

 

 首を横に振るルカだが、先ほどそう言ってトラップ発動させた前科があるので、はっきり言って全然信用できない。

 陽毬はゆっくりとあたりを見渡す。後ろと左右は壁であるから、何かがいるとすれば、暗闇に包まれた通路の先しかない。

 2人がぐるりと辺りに目を配っている今もなお、唸り声は着々と近づいてきている。この唸り声の音源は、一体どこにいるというのだろうか。

 三方を壁に阻まれた袋小路。そして、天井は暗くてよく見えない。

 周囲の環境を考慮していくと、答えはおのずと絞られる。

 

「上だっ!! 」

 

 何かに気付いた陽毬は、ばっと天井を見上げる。

 そこには。

 

「フシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ――」

「うお――」

 

 蜘蛛と狼が混ざり合ったような怪物が、通路の天井にぶら下がっていた。

 その怪物は八本の脚で天井に張り付き、よだれを垂らしながらギラギラとした眼差しをこちらに向けてきている。ヤツが何を考えているのかは一目瞭然。陽毬達を捕食しようとしているのだ。

 怪物の姿を目にした陽毬とルカは、あまりの衝撃に声すら出せないでいた。

 が。

 次の瞬間。

 

「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」

 

 おぞましい咆哮をまき散らしながら、怪物が天井から落ちてきた。

 

「どおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!? 」

 

 怪物が天井から脚を離したのと同時に、陽毬は咄嗟にルカの手を引いて薄暗い通路の奥へと駆け出した。

 驚いて固まっている場合じゃない。あんなのに捕まったら間違いなく死ぬ。それもかなりグロテスクな死体となって。

 

「ななななななななななななななんなのかなあれ!? キメラ!? 狼と蜘蛛のキメラかな!? 私達を食べちゃうつもりなのかなぁ!? 」

「わわっわわわわわわわかるわけないでしょおおおおおおおっ!? いいいいいい今はとにかく逃げよう! こんなところでお陀仏して学園生活終了とか洒落にならないしぃっ‼ 」

 

 喉が潰れる勢いで絶叫しながら、無我夢中で通路の奥へ奥へと走る2人。

 後方からは、怪物がドスドスと馬鹿でかい足音を轟かせながら追いかけてきている。振り返る余裕がないので断言はできないが、きっと怪物は、おいしそうな得物にありつけたことで興奮していることだろう。追われる側の陽毬達からすればたまったもんじゃないが。

 

「見て! 先の方に部屋が! 」

「! 」

 

 薄暗い通路を走り抜けた先には、体育館ぐらいはありそうな広い部屋があった。

 部屋の四方には大きなかがり火が存在しており、先ほどまでとは比べ物にならないレベルで明るかった。

 が。

 さらなる不幸が陽毬達を直撃した。

 

「ビャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」

「噓っ!? もう一体!? 」

 

 なんと部屋の中にも怪物が居た。

 陽毬達を前にした怪物は、ギラギラと目を輝かせながら涎を垂らしている。見るからに食べる気満々だ。

 なんというかもう、おしまいだった。

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああおわりだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」

「助けてキオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」

 

 互いに抱き合いながら大泣きする陽毬とルカ。

 まさに絶体絶命。

 ――と思われた、その時だった。

 

 

 ズパンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! と。

 風船の割れるような音がした直後、怪物が血を噴き出しながらその場に倒れた。

 

 

 

「……え? 」

「今何が――」

 

 恐る恐る、何が起きたかわからないまま、顔を上げる陽毬とルカ。

 それと同時に、2度目の斬撃がもう一体の怪物を絶命させた。

 突然の出来事に、理解が追いつかない。ひょっとしてキオが助けてくれたのだろうか? そう考えながら、陽毬とルカはあたりを見渡す。

 そこには。

 

「……テメェら、ここで何してやがる? 」

 

 身の丈ほどはある大剣を担いだ少女がいた。

 その少女を、陽毬は知っている。

 なぜならば。

 

「か、歌恋ちゃん⁈ 」

「フン、素人が来てんじゃねーよ。邪魔だろ」

 

 退田歌恋。

 探し人発見である。

 




次回……年内には出したいですね。
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