百合ゲークラッシャーVS百合ゲーオタク〜百合豚JDは原作主人公に百合ハーレムを作らせたい〜 作:カオス箱
ようやく原作ヒロインを拝めます。やったね!
第3話 19歳女子大生、2度目の高校入学
『えー皆様、私立
「………………ふぁー」
壇上で長々と話をする
体育館にはずらりとパイプ椅子が並べられ、その殆どは新入生や来賓の方々ばかり。
(まさか本当に…………入学しちゃうなんてなぁ)
そう。
今日は4月8日。
『ツキノベ』の舞台となる私立
朝乃陽毬19歳。
彼女は今、ちょっとキツめの制服に身を包み、2度目の高校生活にぶち込まれようとしていた。
あの後。
憎き間男を目撃した陽毬は、すぐさまマキナに頼み込んだ。
そうしたらどういうわけか、住所問題も解決した上に、こうして上府魔法高専の新入生になれてしまった。
本来なら厳しい入学試験を突破しなければならない筈なのだが、何故か陽毬はそれをすっ飛ばして入学できてしまった。まんま裏口入学だ。
当然それを知った陽毬は、どんな手を使ったんだとマキナを問い詰めたが、見事にシラを切られた。めちゃくちゃ怖い。
(裏口入学ってこんなに肩身が狭くなるもんなんだな……この気持ちは味わいとうなかったわ)
ズルして入学してしまったことを負い目に感じている陽毬は、椅子の上で縮こまりながら、入学式が終わるのを待つ。
というか、裏口入学以上にキツイのがひとつあった。
(つーか何コレ⁉︎ なんでわたしが普通に上府魔法高専に入学しちゃってんの⁉︎ わたし19だよ⁉︎ 流石に二十歳目前で高校生活やり直すのはキツイんだけど⁉︎ )
———朝乃陽毬・19歳。2度目の高校生活。
もうそろそろ飲酒も喫煙もできる年齢だというのに、なにが悲しくてもう一度高校生活をやらねばならいのか。
(原作キャラに近づく最善策としてはわかるんだけどさあ……くそぉっ! マキナの馬鹿野郎っ!)
こうなった原因であるマキナに、心の中で助けを求めるが、男子と女子とで座る場所が分かれているため、マキナに泣きつくことさえできやしない。
もう初っ端から陽毬の心労はマッハで蓄積されていた。
なんで自分だけ異世界転生ではなく異世界転移なのか。マジで解せぬ。
そうこうしている間も、入学式はつつがなく進行してゆく。
「続きまして、在校生代表からの祝辞です。生徒会長・
「…………はい」
「⁉︎ 暁月語って……」
教頭に名前を呼ばれて壇上に上がった女子生徒を見て、陽毬は驚いた。
紫色の髪を腰まで伸ばした、スラリとした長身の美女。
陽毬は彼女のことを知っている。
彼女の名は暁月語。
「新入生の皆さん、はじめまして。生徒会長の暁月語です」
(すごい……あのカタリが目の前で動いて喋ってる……やばい喜びのあまりポップコーンみたいに弾け飛んじゃいそうだ‼︎ )
遂に原作ヒロインの御尊顔を拝見できた陽毬は、ここが入学式真っ只中だということも忘れ、飛び上がりそうなほどに興奮していた。
陽毬は思わず頬が緩み、気持ち悪い笑みを浮かべてしまう。
「あ、あのー? なんかキミ、鼻血垂れてない? 大丈夫なん? 」
「あ、え⁉︎ 鼻血出てた……⁉︎ 」
隣に座っていた新入生の女の子に耳打ちされて、陽毬はようやく気づいた。
なんか鼻血垂れてた。
どうやら、カタリを直で見られた喜びのあまり、鼻血を出してしまったらしい。
「うわちょちょっ⁉︎ あーティッシュティッシュっ! 」
慌ててポケットティッシュを取り出し、それを鼻の穴に詰める陽毬。
そこに、先程鼻血を指摘してくれた、背の低い栗色の髪の少女が、陽毬の顔を覗きこみながらこんなことを聞いてきた。
「キミ、なんか派手に現れてた異世界転移者やろ? 」
「⁉︎ 」
「ウチは
「あ、はい。ドーモハジメマシテ、朝乃陽毬デス。イゴヨロシク……」
「それにしてもキミ、なんか妙に大人びてるなぁ。ええなぁー」
「ぎくっ」
「? なんや、顔色悪いで? 」
(実年齢バレたらめちゃくちゃ気まずくなるっ‼︎ 19歳が何やってるんだって白い目向けられちゃうっ‼︎ )
大人びてるも何も、実際大人なんだから当たり前だ。
陽毬は、真知の追求してくるような視線を愛想笑いでシャットアウトしながら、壇上の
「———以上、生徒会長・暁月語でした」
「あ、おわったみたいやな」
「聞きそびれた……せっかくのカタリちゃんのスピーチ……」
せっかくの原作ヒロインのスピーチを聞き逃し、がっくりと肩を落とす陽毬。
だが、まだ入学式はおわってはいない。
それに、だ。
陽毬からすれば、
「続きまして、新入生の答辞です」
「新入生の挨拶か〜、あれって基本的に主席合格とかしないとキツいんよなー。いいなあ、ウチもしたかったなぁ」
「いや待って、新入生代表…………あ! 」
新入生代表として前に立でずに羨ましがる真知。
その一方で、陽毬は先程以上に興奮していた。
なぜならば。
「新入生代表———キオ・ハーメル・
「はい」
教頭に名前を呼ばれ、小柄な銀髪少女が立ち上がり、壇上へと上がってゆく。
しんと静まり返った体育館内に、コツコツと少女の靴音が響き渡る。
小さくて愛らしくも、その中に高潔さと格好良さを含んだ立ち振る舞い。まるで全てを見透かしているかのような金色の瞳。その全てが息を呑むような黄金比の元に揃っている。
少女が口を開く。
「はじめまして。新入生代表、キオ・ハーメル・調です」
彼女の名はキオ・ハーメル・調。
『ツキノベ』のメインヒロインにして、近い将来、間男に殺される未来を背負った少女である。
(…………キオ。わたしの最推し。あんなに可愛いのに、あんな酷い仕打ちを受けるなんて、わたしはそんなの認めない)
キオのスピーチを聞きながら、改めて決意を固める陽毬。
その時だった。
「すいません遅刻しましたぁっ‼︎ 」
ギイイイッ…………‼︎ と。
大きな音を立てて、体育館の正面扉が開かれる。
中央に作られた花道に、外の陽気と光が差し込む。
「あ…………あれって」
その姿に、陽毬は目を奪われていた。
そこにいたのは、息を切らした黒髪の少女。
キオやカタリと比べたら多少見劣りはするし、特に飾り気がある訳ではないのに、彼女から目が離せない。そんな、底知れない魅力のようなものを、彼女は持っていた。
その少女の名を、陽毬は知っている。
否、陽毬だけではない。
この場に紛れている多数の転生者達も、彼女を知っていた。
そして。
いの一番に口を開いたのは、この人物だった。
「
次の瞬間。
静まり返った体育館に真っ赤な噴水ができた。
次回、原作キャラと絡み始めるかも。