百合ゲークラッシャーVS百合ゲーオタク〜百合豚JDは原作主人公に百合ハーレムを作らせたい〜 作:カオス箱
体調不良で一週間まるまる執筆お休みしてました。
ようやく体の調子がよくなりましたので、これから徐々に執筆速度を戻していく所存です。
第6話
「ゲームが……始まった(CV:マーク・大●多風)」
「マキナ、下手な物真似は止してくれないか。せっかくの2人の晴れ舞台が台無しだ」
「……ひどくない? キオも陽毬もオレ様に対して当たり強くない? 」
2人のそんな感じのつまらないコントは、周囲のアホみたいにデカい歓声に掻き消される。
「…………」
「…………………ごくり」
ルカと陽毬は剣を手に持ちながら、両者共に少しずつ歩み寄る。
大怪我しないように威力が調整されているとはいえ、元を辿れば、2人とも剣なぞ持ったことのない普通の女の子。
自身の手のなかに武器があるというだけで、心臓がバクバクとなりだして止まらない。
「…………ねえ」
「何? 」
「あなた、キオの何なの? 」
両者共に剣を構えながらじりじりとその場を歩き回っている最中、ルカは陽毬にそう尋ねた。
「一介のファンだよ。それ以上でもソレ以下でもない」
陽毬は額に汗を浮かべながら、そう答える。
「嘘だ。キオは昔から女の子に好かれていた。その中には、あなたみたいなことを言いながらキオを狙う子だって少なくなかった。騙されるもんか! 」
「いやわたしは」
「騙されるもんかっ! 」
「……………」
ルカの気迫に、陽毬は震え上がると同時に呆れていた。
(あーそうだった。原作の頃からルカってこーゆー子だもんなぁ……ハナから話にならないわけだ)
ゲームをやってる時は、“
しかし、キャラクターとプレイヤーという立場ではなく、こうして1人の人間として彼女と対峙してみてわかったことがある。
「———もしかしてわたしの推し、面倒臭い⁉︎ 」
「いきなりわけわからない悪口言われた⁉︎ 」
思わず口に出してしまった
話聞かずに勝手に喧嘩ふっかけるし、なんかさっきからキオに対する態度にちょろちょろとヤンデレじみたものが滲み出ているし、ハッキリ言ってなんか嫌だ。
しかし、だ。
一番の推しはキオだが、他の子だって好き。陽毬は欲張りなオタクだった。
「でもね」
「? 」
「それでもわたしは君が好きなんだよっ! 」
「そして今度は大胆な告白ぶぎゅひっ⁉︎ 」
女の子の特権たる大胆な告白に、ルカが動揺する。
その隙をつき、陽毬は魔法剣でルカの頭を思いっきりぶっ叩いた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ‼︎⁉︎ 」
その直後、辺りに鈍い音が響き渡り、ルカは頭を抑えながら悶絶する。
血は流れてはいない。
その代わり、ルカの頭には見事なタンコブが出来上がっている。
ルカに一撃をくらわせた陽毬は、悶絶するルカの前で、手に持った魔法剣をまじまじと見つめながら突っ立っていた。
「この剣、おもったより軽い……つーか今の感触、斬ったってよりぶん殴ったといった方が正しいような……」
「痛っあ〜〜〜ッ⁉︎ き、キオ〜〜、わたし、頭割れてないよね? 」
「大丈夫、ルカの頭は割れてないから。安心してやり返してやりなよ」
外野のキオの声を受け、ルカは立ち上がる。
そして、魔法剣片手に棒立ちしている陽毬に突撃し、
「仕返しだこの野朗っ! 」
「わたしはおんなびゅっ⁉︎ 」
バコンッ‼︎‼︎ と。
陽毬が何かを言い終わる前に、ルカの魔法剣が陽毬を横殴りにした。
まるでバットで打たれたボールのようにかっとび、地面をバウンドする陽毬。ルカはそこに追撃すべく一気に距離を詰める。
陽毬は地面を転がりながらも体勢を整えると、咄嗟に魔法剣を横に振るってルカの刺突攻撃を撃ち払う。
「今の動き…………ガチすぎない? 」
「運動は昔から得意だったからね」
どう見ても素人とは思えない陽毬の動きを目にしたルカら、思わず引きつった笑みを浮かべてしまう。
だが、その目にはまだ闘志が宿っている。
「まだこれからだッ! 本気でいくぞ! 」
「本当は嫌だけどやるしかない…………これもルカハーレムを成立させるため。そのためならわたしは鬼にでもなる! 」
少女達の戦いは、さらなる苛烈を極めんとしていた。
ガキンバキンドガハキグシャンッ‼︎‼︎ と、控えめにいってヤベェ音が演習場内に響き渡る。
その光景を見ている楼那と、彼女の近くにいる男子生徒。
「……楼那先輩」
「なに? 」
「魔術無しの決闘なんぞ御法度と言ってましたけど…………結局これ、ただの殴り合いですよね? 」
「…………しーらない」
「シラ切りやがった‼︎ 」
悲報、立会人が匙投げやがった。
シラを切った楼那は、魔力駆動の車椅子に座ったままどこかに行ってしまう。取り残された後輩くんは気の毒なことだろう。ほんとに。
彼には強く生きていただきたい。
試合開始から30分近くが経過した。
陽毬とルカは一進一退の攻防を繰り返し、ギャラリー達はそれに圧倒されている。そこにもはや、『結局魔術関係ないやんけ』という無粋なツッコミが介在する余地はない。
しばらく経った頃、観戦席からマキナが暇に助言をなげつけた。
「陽毬、そろそろ“
「…………わかった! 」
ルカの剣を避けながら、陽毬はマキナの言葉に強く頷く。
『ツキノベ』世界において、魔術師達にはそれぞれ“
“
“
つまり、だ。
魔術の素人であるルカと陽毬も、使おうと思えば“
「くう〜〜っ、キタキタキタ! まさかわたしが“
陽毬は歓喜に震えながら、全身の神経を研ぎ澄まし、体内を巡る魔力をかき集める。
マキナのレクチャーのおかげで、“
しかし、どんなことになるかは未知数。出たとこ勝負だ。
「———ハァッ! 」
カッと目を見開きながら、陽毬は“
が。
「……あれ? 」
何も起こらない。
いくら魔力を込めても、全く変化はない。
「なんで? なんで盛大に何も始まらないの? 」
テンパる陽毬。
そこに、
「隙ありじゃああああああああああああああああああああああああああっ! 」
「ばびゅひっ‼︎⁉︎ 」
ルカの魔法剣のフルスイングが脇腹に直撃し、陽毬はまたもやボールのようにかっ飛んでいく。
ルカはそれに対して、ある違和感のようなものを覚えていた。
「あれ、なんか今…………めちゃくちゃパワー全開だったような……? 」
「痛え…………今の何よ……? 」
「よ、よくわからないけど力がみなぎってきたああああッ‼︎ 今なら勝てるっ! 」
困惑しながらも、突如として降って湧いた力に鼓舞されるがまま、ルカは陽毬に追撃を仕掛ける。
「ちょあーっ! 」
「ぬおっ……‼︎⁉︎ 急にパワーが増した⁉︎ もしかしてルカの覚醒フラグ踏んじゃった⁉︎ 」
「さっきから何言ってるのかわかんないし、なんで笑ってるのかわからないんだよ! 」
「! 」
魔法剣を振り回しながら突っ込んでくるルカに指摘されて、陽毬はようやく気づいた。
(笑ってる…………そうか、わたし今笑ってるんだ)
そして、気づいてしまった陽毬は。
決壊するかのように高笑いをしだした。
「ふふふ…………はははははははははっ! 確かにそうかもね! だって楽しいんだもん! ずっと画面の向こう側だったこの世界に来られてさ! ワクワク止まるわけないじゃん! これで笑わなかったらファン失格だよ! 」
「意味わかんないし気持ち悪いッ! 」
「ぶへらっ⁉︎ 」
愛の限りを叫ぶ陽毬に嫌悪感を丸出しにしたルカは、魔力を込めまくった魔法剣で陽毬をぶっ叩く。
だが、それでも陽毬の顔から笑みは消えない。
何故ならば。
(そうだ、やれ! わたしを倒すんだ……わたしを見事に撃ち倒し、キオを手に入れてみせろ、ルカァッ! )
そう。
これこそが陽毬の狙いだった。
原作ファンである陽毬には、ルカの頑固さはよくわかる。生半可な対話では彼女を止めることはできない。初対面ならばなおさらだ。
この状況で事態を丸く収めようとするならば、方法はただひとつ。
陽毬が恋の障害としての役目をまっとうするしかない。
ルカの誤解が解けないならば、ソレを利用するまでだ。
陽毬というお邪魔虫を倒し、ルカとキオが結ばれる。それこそが陽毬にとってのハッピーエンド。
故に、陽毬はこの一撃を防ぐことも、避けることもしなかった。
「来いッ! あんたの愛でわたしを貫いてみせろ、香愛ルカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ‼︎ 」
次の瞬間。
ルカの魔法剣による渾身の突きが、陽毬の身体を貫いた。
結構小出しにしてるなぁ……
次回で一応ルカ編は終わると思います。