「というわけで、そのトブの大森林に棲まう世界を滅ぼす魔樹を討伐しに行った。」
「世界を滅ぼす魔樹ですか」
トトラトトラの遠征に対し、堕黒百足は安否確認や安全のため、純光の聖騎士 リリ クシャトリヤを向かわせようとしていた。
「世界などと増長した言葉を使うに相応しい存在だと思われますか?」
「さぁな、実際に見たわけでは無い。」
「しかし、世界という言葉なら御方々が手に入れせし,,,あの秘宝,,,と同等の力を持つのでは?
トトラトトラ様は勝利をおさめることが出来るでしょうか」
「つまりはワールドエネミー、、、、、可能性はある、、、、、、、じゃが、この世界の存在と妾たちの感覚はちとずれておる。 そこまで大物は出てこんじゃろ。 トトラトトラから聞いたような特徴のワールドエネミーは聞いたことが無いしな」
「もしものことがございましたらこのリリ クシャトリヤ命を持ってトトラトトラ様をお守りします。」
「建前でも嬉しいの、、npcの中で防御力が高いのはお前じゃからの。頼りにしておるぞ」
「はっ!!!」
〜トブの大森林〜
「やっと来たよ!待ってたんだからね!」
「魔樹、、、は?」
「そうだね、まだ大きな動きはないんだけど、最近周りの木の栄養をより多く奪うようになってきたんだよ。これはきっと目覚める前兆だね!だから君に助けを求めたわけだけど」
トトラトトラはその魔樹に視線を向けると以前より格段と大きくなっている巨木が目に入る。
素人目からでもその異質さは充分に感じることができた。
「いつ、、、起きるの?」
「分からないよ、でも確実に言えるのは目覚めたらただごとじゃないって感じだね。」
「りかいー」
「そういえば、その首飾り、色が変わったね」
トトラトトラがパワードスーツの上からかけている冒険者プレートは銅色のカッパーから白金のプラチナが輝いていた。先日のエ ランテルのアンデッド騒動にて多くの人物がトトラトトラという空飛ぶ鎧を着た戦士がアンデッドを一掃していく場面を目撃したのだ。
その噂はエ ランテル冒険者組合に届きその報酬としてカッパーから大躍進しプラチナのプレートを授かった。1人の対応力としての力量も加味されることといきなりミスリルやオリハルコンなどに格上げしてしまうと他の冒険者の反感を買いかねないためプラチナとの対応だ。その勇姿を見た者たちはオリハルコンやアダマンタイトに匹敵する英雄だと叫んでいたが。
エ レイブルの冒険者であるトトラトトラはエ ランテルにて活躍したためにエ ランテル冒険者組合長が街を離れることを恐れ、エ ランテルへの拠点の移設を進めたが、ヴァラモンからの距離によりこれを拒否した。
「昇進、、、みたいな」
「そうか、、何か必要なことはあるかい?できるだけ協力するけd、、」
(!!!???)
地面を左右に大きな力で交互に揺らしていくような衝撃が加えられ、トトラトトラ、ピニスン共に地べたに膝をつく。同時に静止していた魔樹の枝や幹が動物のようにゆっくりと動き出した。それは木だったものとは思えないほど威圧的で他の追随を許さない力量を持っている存在である。
根本に近い部分に避けた三つの切れ目が顔と認識できるのはパレイドリア現象のせいではないのだろう。轟音と共に誕生した巨木の怪物は周囲の障害物たちをその腕か枝を鞭のごとくしならせながら弾き飛ばした。
ザイトルクワエ
数百年前、当時活躍した、後に十三英雄と呼ばれる者どもが、この魔樹の一部と戦った。
かの英雄たちは世界を救うにふさわしい実力者たちである。
彼らは勝利を収めることはできたかもしれないが決して楽な戦いではなかっただろう。
伝説に語られる世界を滅ぼす凶悪な存在の完全復活
周辺の国家の中でもこの魔樹とまともに戦える存在は手で数えるぐらいにおさまる。
その怪樹の鞭から繰り出された強風はひ弱な者では立っていることすらできない絶望感を散乱させる。吹き飛ばされた枝や幹、葉がトトラトトラたちの横を通り過ぎていく。
「あわわわわわわわわ!!!やばいやばいやばい!相当やばいと思ってはいだけど、あれは想定外だよ!ちょーやばいよ!勝てないよ!逃げなきゃ!にげなぁきぁ!!!!」
「うるさい、、、黙って」
「あんなのに勝てるわけないよ!悪いことは言わない!逃げよう!!!!」
「クシャトリヤ、、、来てないけど、、、始めて、、、いいのかな?」
「ゔゔぁぉぁぁぁぁ!!ごちゃごちゃ言ってないで早く!」
「どのくらい、、、強いん、、、だろう?」
トトラトトラはとなりで叫ぶピニスンには耳を貸さず、その巨大樹の前に飛び出す。
数十メートルある体長の威圧感にはトトラトトラも内心少し圧倒されている。
しかし、加えて、久しぶりに拮抗した実力者同士の戦いができそうなことに心を躍らせていた。
「楽しませて、、、よね」
パワードスーツに取り付けられた魔導銃はザイトルクワエを捉え、初撃を与える。
[ゾーン マーズ]
[ゾーン アース]
[タクティカルアドバンテージ]
[シェイドペイン]
四つのスキルを乗せて、銃口は赤く迸り
それに加えて、両肩に備え付けられた魔法の噴出口もザイトルクワエを捉える。
右肩には、〈
左肩には、〈
それぞれ属性的には絶大な対個人の高位階魔法である。
魔法詠唱者が付与する強化スキルを伴えないパワードスーツの魔法は幾分か威力が落ちてしまう欠点がある。しかしパワードスーツの速度を持ったまま高位の魔法を使えることはそれ以上にメリットを得られるのだ。また、魔法を二つ同時に発射できる機能もこの一撃に大きく貢献している。
「トリプルキャノン」
三門の砲は同時に赤い雷撃のようなものを纏いながらザイトルクワエに直撃した。
パワードスーツに込められた魔法の回数制限を削ってまでも繰り出された攻撃は魔樹に大きなダメージを与える。
植物系モンスターに痛覚があるのかトトラトトラは知らないが、魔樹が痛みに苦しむような声を大きく上げて持つ触手たちを地面に叩きつけ、その顔を歪んでいた。
見た目からも体力と防御力が高いと予想していたトトラトトラだが、その反応に驚いている。
確かに先ほどの攻撃はトトラトトラが今出せる最大級のダメージだが堕黒百足のような純戦士職から見ればまだ中位ほどに位置する攻撃のはず。
魔樹はその衝撃が治まったのか、空中に飛行している巨大な木の触手たちを向かわせる。
その触手たちの重量から、当たればダメージが与えられるだろうが、その分その速度は遅い。
一つ一つを丁寧に認識して、回避を行なっていく。
単調であった。
ザイトルクワエから繰り出される攻撃は独自のスキルや技能が盛り込まれた様子はなく、物理的な触手の薙ぎ払いや叩きつけしか主な攻撃方法が存在しない。冷静に対処するならトトラトトラの敵ではない存在だった。
しかし、巨大な魔樹にはダメージを与え続けている感覚があるトトラトトラはそのタフさを脅威と感じていた。HPに底のない感覚。回避を繰り返し、タイミングを測って攻撃しているトトラトトラだが、今、装備しているアポカリプスmk4は高レベルプレイヤーから決定力に欠ける代物と判断されることだろう。
世界を滅ぼすと言われるこの魔樹に出し惜しみするのはもったいないのかもしれないが、このままジリ貧になって主要な攻撃手段が尽きることは避けたい。魔導銃もリロードには時間を要する。
「どうするべき、、、か」
トトラトトラが出した答えは、
[突進]
単なるパワードスーツの重さを使った質量攻撃である。
この機体に突進に対するスキルはない。某ロボットアニメに出てくる緑の一つ目のように肩にスパイクが付いているわけではないのだ。
それに攻撃する際、こちら側もそれ相応のダメージを負う。
装備品にも衝撃が加わっていくことだろう。
しかし、トトラトトラはそれを選択したのだ。
パワードスーツの防御力と自分の負うダメージと目の前にいる魔樹に与えるダメージが釣り合っているのか?
幸い、魔樹の巨体は適当に突っ込んでも当たるような大きさだ。
くらうダメージは戦って勝ったあと回復すればいい。それなりに在庫は残っている。
トトラトトラのパワードスーツが巨大な魔樹に向かって飛び出した。
木と思えない硬度を持つザイトルクワエの肉体とアポカリプスMK4との激しい衝突音が止まずに響き鳴る。
誰もが気圧されるその超越者たちの風格は両者拮抗しているように見えた。
しかし、それも時間が経ってはザイトルクワエの猛攻が衰えていく。
その焦りからか、一度により多くの蔦がトトラトトラ目掛けて飛び込んでくる。
四方八方から三次元的に伸びてくるその攻撃はかなり精密動作性に優れていないと完全避けきれない量とスピードを有していた。しかしトトラトトラの駆けるアポカリプスMK4にはそこまでの能力はない。数度だけ掠ったり腹部に大きな衝撃を受けたことはそれ以上の攻撃を避けきれたとポジティブに考えるべきだ。彼女はそう思うことにした。
しばらくトトラトトラと魔樹の攻防が繰り返され、どちらとも疲弊が重くのしかかる。
決め手の一撃を放つためにトトラトトラはザイトルクワエとの距離を取った。
そして、そのトトラトトラが空間から取り出したのは、水色の水晶
逆さにした四角錐と平たい四角錐をくっつけたような形状に金の丸が多用された装飾がなされたものだった。トトラトトラが素早くそれを天に向け、己が力を使いそれを破壊する
ついた罅からあまりある光が漏れ出し、あたりを照らし出した。
「〈
その光たちは物体として形を持っているように空を駆け巡る。
そして、ある高さまで上がった瞬間、霧散し、どこからか女性とも男性とも取れる歌声をあたりに響かせながら黄色い半透明の幕をドーム状に広げた。
発動した魔法は
ザイトルクワエとトトラトトラ共に、体力は半分を切っていた。
両者にステータスバフがかかっても戦況はあまり変わらない。
しかし、攻撃モーションの素早さではトトラトトラとザイトルクワエには天と地ほどの差があった。
トトラトトラの駆るアポカリプスMK4は再び両肩、左手、魔導銃の
砲身、加えて、左足、右足をザイトルクワエに向ける。
そして、元の手足の形を連想できないほどにパワードスーツは変形を終えて、魔法の発動を開始した。
それぞれ、
〈
〈
など属性を持つ魔法の中で屈指の威力も持つものばかりだ。そのため、一日に使える回数が少ない。だからこそ一つの攻撃に全てを詰める。
パワードスーツに搭載された機能とトトラトトラのスキルを組み合わせて可能となる魔法を同時に発動する技能もこれが最後の一回になる。
アポカリプスMK4がもつとっておきの一つ
「ヘキサゴン キャノン」
〜ザイトルクワエが目覚める少し前〜
音が全て草木に吸収され、怖いほどの静けさを醸し出すトブの大森林奥部
上から与えられた極秘任務を遂行するためスレイン法国、六色聖典の一つ、漆黒聖典は例のものを
その隊員たちの中でみすぼらしい槍も持つ少年が、他のものに呼びかけた。
「各員、注意を。竜王はこの近くのはずです。」
ひとつひとつの足踏みが彼らの沈めようとしている
幾らかの時間が経って、彼らはあたり一帯が全て枯れた植物たちで構成された場所に出る。
不自然にしか映らないだが、この光景に原因となるだろうものを彼らは見つけた。
その枯れた植物たちとは仰々しく禍々しく聳え立つ大木である。
皆が息を呑む中、一人が口を開いた。
「隊長、あれが竜王であると?」
「最高神官長の勅命です。それに人類のために我々は尽くすだけですよ。
カイレ様、至宝の準備はよろしいでしょうか?」
「はい、合図があればいつでも可能でございます」
「それでは、各員、注意を怠らずに」
突如、地面が割れるような衝撃が彼らを襲う。
戦闘や行動力に長けた人材なら即座に対応ができたのだろうが、漆黒聖典の隊員といえどこの衝撃ではそうでないものの対処の範囲ではなかった。
「全員!!森の中に避難を!!!」
槍を持つ隊長と呼ばれる男が高らかに上げた。
〜〜〜
先ほどの揺れから十分
漆黒聖典の隊員は再び誰一人かけることなく集まることができた。さすがは英雄級たちの部隊であると言ったところか。
あの大樹を離れた地点からもう一度見返す。
揺れの収まりは早かったが、それ以上の脅威が漆黒聖典たちの双眸には写っていた。
あの大樹が動き出し、活動を再開したのだ。
生憎、口伝や占星千里のからもあのようなドラゴンの知識は出てこない。
そして、懸念すべき事項がもうひとつ
「あの…鎧は」
空を飛び、魔樹と戦い始めた鎧
滑空することも右手の装備からもただの戦士には見えない。
偶然にも自分たちの所属する部隊と同じ色である漆黒の色を全身に巡らせたそれは途轍もないスピードを持ちながらあの魔樹と交戦を続けている。
金髪を肩まで伸ばした青年が声を発した。
「隊長、、、どう致しますか?」
隊長は少しの間を持ちながら答えた。
「本来なら陰ながらあの鎧の観入をし、状況に応じて撤退するところでしょうが、、、」
「もし、あの鎧が魔樹に勝ったら?」
「至宝を使用します。」
〜ヴァラモン我央領堂、大広間2階〜
小さな刀を腰にひとつ携えた和装の少女は何もない空間を見つめながら思考を巡らせていた。
堕黒百足がこの世界に来ての目的は情報の収集、そして安全の確保、
今のところ、大した脅威らしきものは発見できていないが、懸念点ならいくつか存在する。
各地の竜王、六大神の残した国、八欲王の遺産、等々
「やはり、スレイン法国の諜報活動を盛んにしていきたい」
そのような結論に至ってまもなく、堕黒百足の耳には、怒号にも爆音にも聞こえる足音が自分に近づいてくるのが聞こえた。ダッダッダッと形容されるようなその音は通路の角から登場したクシャトリヤの登場により明確なものとなる。
クシャトリヤは今までにないほど切羽詰まった状態の如く、、、少し片膝が乱雑になりながらも堕黒百足に告げた。
「堕黒百足様!
ご報告させて頂きます。
至高の方々の一人、トトラトトラ様が
スレイン法国の下に堕ちてしまわれました」
ザイトルクワエ、体力高い描写あったんで戦闘特化じゃない100レベルキャラなら少しは苦戦するのかな。
突進て攻撃方法はどうなんでしょう。