一般トリニティ生の流儀   作:セイアマン

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難産でした。主人公以外のオリキャラが一人だけ出て来ます


夏夜の夢

 

ご機嫌よう、皆様。鴉魔キリアですわ!

私は今、友人であるヒナさんとリオと共に海のど真ん中に居ますわ!

と言っても、遭難したわけではないんですのよ。……というと嘘になりますわね。

 

私たちは海難事故に遭い、遭難していたところをオデュッセイア海洋学校に拾われ、現在は帰還のための設備の利用権を得るため、必死にお金を集めている所ですわ!

 

「ルーレットは私に任せなさい。確率の予測くらい難なく出来るわ」

 

「私はクレー射撃で稼いでくる」

 

ヒナさんとリオがバニー衣装を着て賭博場に歩いて行きますわ。

私たちがオデュッセイア海洋学校を出る為には、地道にも金を稼がなければなりません。

ですので、一番儲かる胴元の下で働くのが一番だと考えましたわ。その金を元手にして増やすんですのよ!

 

当然、私もバニー衣装を着なければならなく。

少し……いえ、だいぶ気恥ずかしいですが、これも慣れですわ。うう……お嫁さんに行けませんわ……。

 

「おおおっ!あれが噂の……!」

「身体は貧相だが……あの嫌がる顔、唆るぜ」

「なんでも、彼女に10連続で勝てれば、一日『ご奉仕』を受けられるそうだぞ!」

 

ちょっ!?どこから出たんですの、そんな話は!?

やりませんわよ!絶対やりませんからね!それに、あなた方はまだ一度も私に勝てていないでしょうに!

 

「一番手は私が行かせてもらおうか……ポーカーで勝負だ!君の奉仕を、受けるのはこの私だぁー!」

 

 

 ○○○○○○○

 

 

さて、100人抜きを達成しましたので、そろそろ親愛なる友人達の様子を見にいくとしましょう。

 

ヒナさん、リオ、調子はどうですの?

 

「勿論無敗よ。ルーレットなんて、作為的にイカサマでもされなければ負けることはないわ」

 

「クレー射撃も私の全勝。鍛え方が違う」

 

流石ですわね!私の方も負け知らずですわ。

これで連勝記録が丁度1000人を達成した所ですわね。

カードゲーム、ボードゲーム、その類のゲームで私に勝てると思う方が間違いですのよ。

 

「流石はトリニティの敏腕政治家ね。貴女の前では僅かな行動の機微で思考の殆どを読まれてしまうのね」

 

私などまだまだですわ。浦和ハナコさんに比べれば、私は全然ヒヨッコですのよ。

浦和ハナコさん程、人心掌握や精神分析に優れたお方はおりませんわ。あの方なら、次期ホストとしてもやれますのに。

 

まぁ、浦和ハナコさんはそう言った政治に興味は無いようですが。

しかし未来の読めた時期のセイア様とカードゲームをして互角の勝負をしていたのを鑑みると、恐ろしいものがありますわね。

 

「そういう駆け引きなら、業腹だけど万魔殿の議長……マコトも得意。あのタヌキ、とぼけたフリして壮大な策謀を巡らせてるから」

 

「ミレニアムで政治が上手い生徒は───残念だけど、思い当たらないわ。ノアなら上手くやれるかしら」

 

う、むぅ………やはり学校の特色とはいえ、伝統を重んじるトリニティは学校柄もあって、無駄に政治家が多いように感じますわね。

 

「おい、お前たち!」

 

あら?なんでしょう……?

 

見ると、如何にも成金のボンボンと言った風貌の客が横に首輪で繋がれたバニースーツ姿の生徒を侍らせて私たちに指を指してきましたわ。

生徒たちは皆、賭けで負けてしまったがために屈辱を受けているんですわね。

 

「僕と勝負しろ!僕に負けたらお前たちも僕の奴隷にしてあげるよ!」

 

「下品な犬。もう付き合いきれない。キリア、殺っていい?」

 

「AMAS、全機出動。対象、オデュッセイア海洋学校併設カジノ全域。掃討開始」

 

あ………あーあ。申し訳ないですが、勝負は出来ませんわ。なぜならこのカジノは本日で閉鎖しますもの。

私は私の生存が先生にバレてはいけないため、派手には暴れられせんが─────こうして、あなたの意識を消すくらいは出来ましてよ。

 

「ぎゃあっ!て、底辺の、クズバニー……が……!」

 

お生憎様。私はこのカジノで最も稼いだバニーですわ!それに、私を誰だと思っていますの?鴉魔、キリアですわよ?

 

「か、カラスマ……!?ち、違う!違うんです、これは───まさか貴女がカラスマの方であったとはあがががが」

 

余計なことを口走らないでくださいまし。死にますわよ。それとも、生き地獄をご所望で?

貴方の子の所業……私のお姉様や先生が知ればどうなります事やら。ねぇ?銅田暗太郎さん?

 

「な、ぜ……!僕の、名前を───!」

 

ふふ、ではさようなら。えいやっ!

 

「ぐべ」

 

さて、余計なのも始末できましたし、そろそろこのカジノ船の中枢部分を握れた頃合いでしょうね。

私もそろそろ身バレ対策に変装の一つでもしなければなりませんわね。

 

「キリア。粗方掃討は終わった。調月リオがこの船の全権を握って、自動操縦で近くのアビドス郊外の海に向かって………何、その格好?」

 

おほほ、怪盗らしいでしょう?このファントムマスクに黒地のファントムスーツ!

今回の一連の事件をこの怪しい怪盗に押しつけることにしますわ。どうせすぐにクロノスのハエどもが来ますもの。

 

「ふうん。じゃあ私も同じの着るよ」

 

「丁度良かったわ、私も身分が明かされるのを危惧していたところよ」

 

そうですわね、ではおあつらえ向きのカバーストーリーを用意するとしましょう。

作戦名────『幻影の怪盗団(ファントム・ナイツ)』作戦の概要を説明しますわ!

 

 

 ───────────◆─────────

 

 

「ご覧ください!オデュッセイア海洋学校のカジノ船が炎上しています!逃げ惑う人々、そして徘徊する謎の機械!これは一体なんなのでしょうか!?あっ、今人影が出てきました!」

 

カジノ船の甲板に影が三つ。影たちはまさに怪盗と言ったような格好に身を包んでおり、その手には宝石やクレジットが大量に入った袋を持っている。

影の一つは、流れるような銀髪を惜しげもなく靡かせ、余裕の笑みを浮かべている。

もう一つは、システマチックな外装に包まれたボディスーツを付け、その肉体美をアピールするわけでもなく魅せている。

そして、三人の中で最も小さいが異彩の存在感を放つポニーテールでボリュームのある髪を纏め、その手に大口径の機関銃を持っている少女。

 

そしてその影たちの腕には一律に幻影の怪盗団(ファントム・ナイツ)と書かれた腕章が付けられており、組織犯であることを示していた。

 

「フフフ……フハハハハ!畏れよ、しかして渇望せよ!我らは正義の執行者────闇に生き、闇より出て光を齎すものである!」

 

「このカジノ船の不浄の金品は私たちが頂いていくわ」

 

「そういう事だから。次は連邦生徒会、貴方たちを狙う」

 

ファントム・ナイツは紙切れをクロノスの報道員の乗るヘリ、その乗員席に投げつけた。

紙切れは報道員の頬を掠めて突き刺さる。誰もがその紙切れを見た時、ファントム・ナイツはすでにカメラの外へ姿を消していた。

 

「これは……予告状、でしょうか?」

 

その内容は、ファントム・ナイツの言っていた通り、連邦生徒会に対する犯行声明であった。

 

「ご覧ください!ここに確かに、犯行予告の文章があります!この時代に、なんと鮮やかな犯行でしょうか!覆面水着団との関係性はどうなのでしょうか!?おっとここで、次のニュースです……」

 

カジノ船はその進路をアビドスに進め、事件から二日が経過した頃、船はアビドス郊外の海に辿り着いた。

そこで三人の生徒が降り、カジノ船は無一文となって襲撃前と同じ海域に戻っていくのだった。

 

その一方で、連邦捜査部「シャーレ」の先生はこの事件を解決するため、知恵を借りるべくトリニティの浦和ハナコの元へと赴いていた。

 

「こんにちは先生、少し痩せられました?」

 

「"…………少し、ね"」

 

ハナコは先生の元気なさげな様子を見て、少し苦笑してからその原因となった人物に思いを馳せる。

 

(まったく……キリアさんはどうしてこう、面倒なものばかり残すんでしょうか。いえ、キリアさんはより面倒なものを片付けていったんでしたね。それに「先生には私の生存は黙っていてほしい」だなんて……)

 

「"ハナコ?"」

 

「いいえ。なんでもありません。少し面倒ごとを抱え込んでいまして」

 

「"面倒ごと?"」

 

「はい。その人はとてもワガママで、自分から厄介ごとに首を突っ込む癖に、責任感が強くて何をするにも丁寧に根回しをして、いつの間にか偉い人と仲良く一緒に悪だくみをしてるんですから」

 

「"あはは……ハナコはその人のことが好きなの?"」

 

「好きか嫌いかで言えば好きですが、苦手で。とにかく政治が上手いんです、その人。気がついた頃には全部があの人の手のひらの上で、気がついたらみんなその人に従わないといけなくなってるんです」

 

「"そっか。ハナコはそういう人苦手そうだもんね"」

 

「でも、憎めないんです。嫌な人なんですけど、放っておけないと言うか。────それで、本題に入りましょうか」

 

ハナコと先生が怪盗団について話していると、ティーパーティーの給仕役が紅茶を持ってやってきた。

先生はそれを受け取り、口にした。

 

「"ん?この紙は───?あの、あれ?いない"」

 

先生が紅茶を飲んでいる途中に、給仕役は姿を消してしまったらしく、先生がハナコに聞いても「いつの間にか消えてました」としか返ってこない。

先生はティーカップの底にあった紙を取り出して読む。

 

「"えっと?全ての謎を、解き明かしましょう……Aより、だって。ハナコ、知ってる?"」

 

「Aで探偵と言うと……名探偵の明智先生でしょうか?明智というのは偽名だとは聞いていますが、どうなのでしょうね」

 

「"明智………どんな人だろう"」

 

先生とハナコが連れ立って歩いていると、先生はふと気になる生徒を発見した。

その生徒は白い長袖のシャツに黒いスカートと言った、トリニティではあまり無い格好で噴水に座っていた。

 

「来ましたね。どうも、私がAです」

 

Aと名乗った生徒は無気力な瞳を先生に向け、先生の唇に人差し指を突きつける。

先生の瞳とAの濁った瞳が交錯し、何かを納得したかのようにAは頷くと、懐から銃を取り出し、先生に向けて撃った。

 

「"わわっ!み、水!?"」

 

「はい。ここの噴水で汲みました。先生、冷たかったですか」

 

「"冷たかったけど……ビックリしたなあ"」

 

「そういうことです。自己紹介をしましょうか、私はヴァルキューレ警察学校捜査局所属の明智アキです。よろしくお願いします」

 

「"よろしくね、アキ。ヴァルキューレの生徒がどうしてトリニティに?"」

 

「SRTはご存知ですよね。そこの情報部にいました。今回はSRTの捜査権限を用いて来ました。権利関係は大丈夫です、誰も私に手は出せませんよ」

 

明智アキは警察手帳をプラプラと弄びながらぶっきらぼうに言う。

先生がアキに意図を聞くと、アキは「暇だから」とだけ答える。終始そんな様子のアキにハナコは少しうんざりしていた。

 

「あー、そろそろ言ってもいいでしょう。私はですね、失踪したという鴉魔キリアさんについて調べに来たんです。何か知りませんか」

 

「"キリアは………もう、どこにも。どこにも……いない………!"」

 

アキはポカンとした表情を浮かべると、「おかしい」と言い考え込む。暫くした後、アキは先生に向き直り、口を開く。

 

「先生、セイアさんに会ってみてください。そこで事情を説明してもらえるはずです。では私はこれで」

 

トボトボ歩いて帰っていくアキを見届けた後、先生はセイアのいる場所へと行った。

セイアはそれを識っていたかのように着くなり話し始めた。

 

「結論から言おう。鴉魔キリアは───

 

       ──────生きている。」

 

「"なん、だと………!?"」




名前:明智アキ
学校:ヴァルキューレ警察学校(元SRT特殊学園)
学年:2年生
所属:捜査局
年齢:16歳
身長:172cm(猫背のため165cm相当)
誕生日:9/27
趣味:謎解き、マネーゲーム
「あー、はい。よろしくおねがいします。謎とかなら任せてください」
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