一般トリニティ生の流儀   作:セイアマン

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トリカス要素があります


火と灰に染まる日

 

ついにやってきましたわ!エデン条約調印式!

これまで長かったですわね……性悪の連邦生徒会長に頭を悩ませつつ、失踪した連邦生徒会長の代わりにナギサ様が事を運んでくれました。

無論、私はその邪魔をしつつ、またその補佐をしているという意味のわからない事をさせられていましたが。

 

「キリア様、ご準備の方は宜しいでしょうか」

 

大丈夫ですわよ。ちゃんと式典用の剣も持ちましたし、携帯式折り畳みマスケット銃、それにいざという時の為のAVALON部隊も配備済み。

完璧な布陣ですわね!

 

「あ、AVALONを…?失礼ですが、キリア様。これはあくまでゲヘナとの和平が目的で……」

 

あら、相手はゲヘナですわよ。信用など出来ましょうか?貴女は信じていらっしゃるようですね、パテル分派の主論をお忘れのようですが……一から教えて差し上げますわよ。

 

「すっ、すみませんでしたっ!どうか何卒、私の地位を奪わないでください…っ!」

 

エデン条約調印後、座る席があれば良いですわね。幸運を祈っておりますわ、式部ムラサキさん。

 

「ど、どうして私の名前を……そ、それは…私の、生徒証……!?」

 

これは、保険として取っておきますわね。

ではこの場から立ち去りなさい。これは命令ですわよ。ほら早く。

 

「す、すみませんでしたっ!失礼しますっ!」

 

ここまで脅しておけば、あの生徒も余計な事をしないでしょう。私は今回、ゲヘナが何かを企んでいると考えていますわ。

理由は明白ですの。万魔殿に送り込んだ諜報員との連絡が随分前から取れないのですから、何か裏があるに違いありませんわ。

 

決して、他のみんなを巻き込ませはしません。暗闇の闘いは、私一人で十分ですのよ。

さて。調印式に行くとしましょう。AVALONに乗り込んで、光学迷彩で物陰に退避するとしましょう。

一応、すぐに乗れるように近くには居ておくとしましょうか。

 

「キリア様、お疲れ様っス」

 

調印式を待っていると、係員に扮していたスケバンが完全武装で大隊規模現れましたわ。全て私の直属ですわね。

 

お疲れ様ですわ、隊長。後のことは頼みました、私は調印式へ出席せねばなりません。

 

「へへ、任しておきなっス。あ、これ一応持っておくっスよ。なんか黒服?とかいう奴がキリア様に渡してほしいとか言ってたっス」

 

なんですか黒服って……いかにも怪しいじゃありませんの。これは危険物として処理しておきますわね。

 

「ああご無体な!ったく、忠告は素直に聞くもんっスよ?そんじゃ、いってらっしゃいキリア様」

 

 

 ──────────◆─────────

 

 

「会場はすごい熱気です!ご覧ください、ティーパーティーのお偉いさんでありながらも、動画配信サイトで人気の鴉魔キリア氏が見たことないような怖い顔をしています!」

 

エデン条約調印式。長年相争ってきたゲヘナ学園とトリニティ総合学園の争いに終止符を打つべく桐藤ナギサによって練られた平和条約。

しかし和平の場でありながら、その雰囲気は緊迫していた。

 

「オウオウ、久しぶりだなァ……?鳥貴族サン?」

「ウフフ、見てくださいあの下品な言葉遣い。まるでゲヒン学園ですわね」

 

一触即発の雰囲気の中、式は執り行われる。

式の最初に、協力の証として互いに手を差し伸べ、それを握り条約の締結を確認する儀式があった。

険悪な雰囲気の生徒達が渋々手を取り合おうとした、その時だった。

 

「あれ……何……?」

 

目の良い生徒はその飛翔物の存在に気がつき、また勘のいい生徒は慌ててその場から走り去ろうとして駆け出した。

そして策謀を巡らせていた生徒は、懐にしまっていたらしいボタンを押し、付近の生徒を押し倒して自らが盾にならんと覆い被さった。

 

直後。凄まじい爆撃と共にエデン条約調印式場は崩れ落ちた。多くの者が吹き飛び、瓦礫に埋もれ、大怪我をし動くことさえままならなくなった。

 

「やはり……私たちを騙すつもりでしたのね!ゲヘナ学園っ!」

 

ゆらゆらと瓦礫の下から起き上がり、その目を怒りに染める生徒……鴉魔キリアの姿は見るからに重傷であり、身体の至る所から血を流していて、その純白の制服を赤黒く汚していた。

それでも尚、敵を見据えて立ち上がる姿はまさに幽鬼めいていた。

 

時を同じくして、ゲヘナ風紀委員長の空崎ヒナも同じく起き上がり、状況を確認する。

明らかな異常事態。第一に疑われたのがトリニティの策謀だが、遠くで怒りのままに叫ぶキリアを見てその線が無いことを悟る。

 

(いったい何が……いや、それより先生は?アコもどこに居るか分からない。でも一先ず、目の前の敵を討つ…!)

 

ヒナの眼前に広がるのは、夥しい数のガスマスク姿の幽霊のような兵士たちと、同じくガスマスクをつけた生徒たちだ。

彼女は明らかにヒナに敵意を向けており、その隊長格は卑屈な事を口走っている。

 

程なくして、火と灰に包まれた戦場に紅い閃光が走った。それに付随するように、黒色の機械の軍隊がその場に降り立つ。

 

「キリア様!怪我は大丈夫っスか!?凄え今にも死にそうっスけど!?」

 

「私の事は、気にしないでくださいな。ハァ…今はなぜか現れた変態ガスマスクを殲滅しますわよ……ぐっ、はぁ、はぁ…」

 

ふらつく身体に鞭打ちながら紅い機体に小さい躯を捻じ込み、鴉魔キリアは闘志を燃やす。

激しい駆動音と共に青い炎を噴出しながら地上を舞う。その様子は応戦中のヒナにも見えていて、的確にガスマスクの兵達だけを30mm口径弾が撃ち抜き一撃で戦闘不能にしていく。

 

「風紀委員長ッ!状況の説明をしなさいな!」

 

「その声は……鴉魔キリアね。私からも状況の説明を頼みたいのだけど。でもその前にこのガスマスクを殲滅してから。先生もまだ見つかってないし」

 

「先生が……?くっ、風紀委員長!私の上に乗りなさいな、砲手が足りないと思っていたところですのよ!」

 

ヒナはAVALONの上に乗り、亜音速の速度を無視するかのように的確に弾をばら撒き、ガスマスクの兵士たちを撃ち抜いていく。

しかし、彼女たちが向かう先は兵士達が集中する箇所。エデン条約における最重要地点であった。

 

 

 ──────────◆──────────

 

 

う、うごごご………ぜ、全身が痛いですわね…

GoTubeの皆様ご機嫌よう、鴉魔キリアですわ。

今私はゲヘナの風紀委員長と共に敵を駆逐していますわ。

 

《おいおい、キリアちゃん死にそうだよ!?》

《血まみれじゃん…》

《クロノスの方で映ってた紅い閃光ってやっぱキリアちゃんかぁ》

 

突然ですが、皆様にお願いがありますの。

というより……これを見ているであろうヴェリタス様にお願いがありますのよ。

単刀直入に言いますと、先生が行方不明ですわ。もしかすると瓦礫の下かも知れません。

どうせ発信機をつけているのでしょう?位置情報を任せましたわよ。

 

《視聴者に頼るのってどうなの……?任せておきなさい》

《先生が!先生そのものがァァァ!!!》

 

「鴉魔キリア。さっきから撃ち漏らしが多い。何してるの?」

 

おっと、失礼しましたわね風紀委員長。

私はちゃーんと狙っておりますのよ?生体反応がある場所に瓦礫があったらそれを退かすように弾をばら撒いておりますの。

適当に撃っているわけではない事をご理解願いますわね。

 

「そう。それなら良い……三時方向から爆撃」

 

ナイス報告ですわ!おほほ、蜂の巣にして差し上げますわよ〜っ!

 

《うっわ酷え……あれじゃ肉片も残らねえよ……》

《いーや、ありゃ完全記憶消失コースだな》

《漏れは骨髄損傷に賭けますぞ》

 

おや、ヴェリタスから通信ですわね。少し離れたところに先生を発見したようですわ。無傷ですが、普段からずっとつけっぱなしのタブレットの電池が切れているようですわね。

 

先生、ご無事ですか?

 

「っ、その機体……キリアだね。ミカから聞いたよ」

 

「先生、乗って。鴉魔キリア、先生は私が支えるから、このまま戦線を離脱しよう」

 

いいえ風紀委員長。あなたは降りなさいな。

見たところ、怪我は私ほど深くはないのでしょう?

 

「……それは、そうだけど」

 

実のところ、私はもう限界ですわ。万全ではないにしろ、能力が落ちていない貴女なら先生を守ってくれると信じますわ。

それに……この件はゲヘナとはあまり関係ないようですし。先程墜落していた万魔殿の飛行船がそれを証明していましたわ。

 

「万魔殿が……分かった、私に任せて」

 

そういう訳ですので、ご機嫌よう先生。

私が生きていたらまた会いましょう!

 

………本当に、生きて帰れたら良いのですが。

 

《俺キリアたんを手伝おうと思って急いで参戦したトリニティ生なんだけど絶賛死にかけてるwww》

《安らかに眠れ》

《あかんコレじゃキリアが死ぬゥ!》

 

ふふ、ありがとうございます。皆様。

おや?幽霊じゃない方の兵隊の指揮が乱れてますわね。指揮官が不在なのでしょうか?

 

《ほなチャンスやね》

《今のうちに先生に合流すべ》

 

そうですわね。キヴォトス最強の風紀委員長が付いているとはいえ、孤軍奮闘はキツいものがありますわよね。

フル性能でぶっ飛ばして先生に追い付きますわよ!

 

《キリアたん、レーダーになんか映ったよ?》

 

あら、なんでしょう……かっ!?こ、このダメージは……エイティ・エイト!?なぜ敵が……

 

「全砲門、放て!」

 

くっ、回避が間に合いませんわ……!

耐衝撃シールド展か…きゃああああっ!?

 

《キリアちゃん!?大丈夫かー!?》

《コメントしてる場合じゃねぇ!俺は出る!》

《あ、穴が!お腹にでっかい穴が……》

 

ゲホッ、痛くて、苦しくても……コイツらを野放しには、出来ませんのよ……!

こうなりゃ自棄ですわ!百鬼夜行に伝わる最強奥義、【神風】で行きますわよ!

 

《乗るなキリア!戻れ!》

《キリア!》

《おいよせキリア!突撃するな!》

 

最速力で突っ込み……その途中で離脱っ!パラシュートを展開して…わお、ビューティホー。

ご覧なさいな、汚い花火ですわよ〜っ!おーっほっほっほ!

 

がくり。

 

《キリアァーーーーーー!!!!》

《まさか……パラシュート降下中に気絶するとは》

《高笑いと爆音、戦場にめっちゃ響いたな……》

 




Q,AVALONとアビ・エシュフが戦ったらどっちが強い?

A,アビ・エシュフです。なぜなら、AVALONは現行の一般的なキヴォトス技術で量産可能なのに対し、アビ・エシュフは量産不可能かつAVALONよりも圧倒的に高性能だからです。
エリドゥのバックアップさえあれば、完封できるでしょう。
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