一般トリニティ生の流儀   作:セイアマン

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長いです。トリカス要素が強いです。


自業自得

 

それは、古関ウイがまだ二年生の頃の話であった。

当時まだ新たな知識への探究に余念が無かったウイは、機会があるたびに古書の内容を探求し、その活用法までもを考えていた。

 

「えへへ……だんだんと、分かってきました。キヴォトスとは、神秘とは……全ては簡単なことでした…」

 

ウイはまるで自分がキヴォトスで最も賢い人間になったかのように思った。しかし、それも仕方ないほどの知識が古書にはあった。

基本的に成人男性の存在しないキヴォトスになぜ「カーマ・スートラ」などの本があったか?

それ以外にも、様々な謎をウイは紐解いていった。

 

しかしある時、ウイはとある生徒に目をつけられてしまう。

中等部から高等部へ上がり、ティーパーティーでその才覚と悪辣さを存分に振るう魔女、鴉魔キリアであった。

 

キリアは自身を『緑の騎士の主人』と名乗り、完全に秘匿されたインターネットを通じてウイに幾たびも協力を申し出た。

その内容は至ってシンプルで、「古書館を潰さない代わりに技術を提供しろ」というものだった。

 

当然、ウイは拒否した。ウイは自身の知識が大いなる破滅を齎し、キヴォトスを終焉に導くことすら出来ると自覚していたからだ。

それほどまでに、ウイは深くまで沈んでいたのだ。

 

初めに、ウイの後輩である円堂シミコが襲撃された。下手人は全身を緑色の装束で揃えた生徒だった。

幸い、シミコ自身に怪我はなかったが、その実行力を示すには絶好の方法であった。

 

シミコが襲撃された次の日、ウイの元にメールが届いた。内容は、「次は必ず消す」とだけ書かれていた。

恐怖したウイは急いで『緑の騎士の主人』の求める技術───『無名の司祭』がかつて保有した技術を分かりやすく纏めて送った。

 

それ以来、ウイに対する脅迫は無くなった。そうしてウイは心に僅かな蟠りを残しつつ安寧を手に入れた──────はずだった。

 

「よろしくお願いしますわね。この古書館が惜しいのならば」

 

(間違いない、この脅しの手口…『緑の騎士の主人』だ。でも、どうしてあの人なの!?)

 

鴉魔キリアと古関ウイは、互いに古書をよく読む仲間であった。

ウイがたまに外に出る時、見かけるキリアの姿は常にキラキラしていて眩しく見えるものだ。

だが、古書を読んでいる間だけは凛としていて静かな姿にウイは少しだけ好感を覚えていた。

 

(あの人の悪いやり口は知ってる。でも、「緑の騎士の主人』ほどだった?考えろ、古関ウイ!あの人が何をしたがっているのかを!)

 

ウイは思い出す。鴉魔キリアが『聖剣』の設計図を渡すように指示したことを。

ウイの脳内にある膨大な知識量から算出された結果は、たった一つだけだった。

 

(そうか……聖剣とは、反物質粒子砲…!だとすれば、ヨハネ分派の蔵書庫に入りたがってたのも納得できる)

 

キリアの企みに気づいたウイは急いで古書館から飛び出す。館の防備を全てシミコに任せ、自身は急いで電話台の下へ走る。

内線電話ならばローカル通信であり、傍受される心配は無く、また自身は図書委員長としてティーパーティーのホストへのホットラインがある。

ティーパーティーの現ホストならば、鴉魔キリアの暴走を止められると思ったのだ。

 

「失礼しますっ!はぁ、はぁ…!な、ナギサ様!伝えたい、ことが……!」

 

『………事情を説明してくださいますか?』

 

「ええ、実は──────」

 

ウイは思い出す。鴉魔キリアはティーパーティーの暗部そのものであると。

すなわち、ティーパーティーそのものが危険であるということ。その事を伝えるべく、ウイは言葉を選ぶ。

 

「ティーパーティーがやばいです!はぁ、ぜぇ、なッ……!あ、あなたは…」

 

思い思いで言葉を紡ぐが、背後から現れた手によって受話器を置かれてしまう。

恐る恐るウイが振り向くと、そこには笑顔の鴉魔キリアがいた。

 

「お話を、聞かせていただきますわね」

 

「へ、へあああっ!!!」

 

廊下に、情けない悲鳴が響いた。

 

 

 ──────────◆─────────

 

 

あら、気絶してしまいましたわ。

随分と緊迫したご様子で「ティーパーティーがやばい」だなんて言い出すものですから、お話を聞きたかったのですが。

ここで寝かせておくのも可哀想ですわね、保健室に連れて行くとしましょう。

 

「あっ!キリアさん、また怪我で…あれ、今日は救助する側なんですね」

 

セリナさん。私だっていつも怪我をしている訳ではないんですのよ。

ウイさんに話しかけたら突然倒れられてしまい……本当に何もしてないですわよ!

 

「あやしい。ですが良い心がけです。キリアさんが倒した不良生徒もこうして自主的に運んでくれると助かるのですが」

 

ちゃんと救助を呼んでおりますでしょう!?まだマシだと思って欲しいですわ。

ちゃんと処置しやすいように急所しか狙ってませんのよ?少しだけの間とはいえ、残る弾痕は少ない方がいいですもの。

 

「そうですね。この後何かされるんですか?」

 

ウイさんに超ロマン兵器「ビームサーベル」を作ってもらうためのアイデア出しを手伝ってもらおうとしていたのですが……この様子では。

仕方ありませんので、今日は先生と遊ぶとしますわ。

 

「先生と……?羨ま──ではなく、楽しそうですね」

 

ええ。今日は人生ゲームをする予定ですわ。目指せ子供4人ですわ!子沢山で金儲けですわよ〜っ!お〜っほっほっほ!

 

「医者として見過ごせない発言ですが……ゲームなら良いです。私が途中参加しても大丈夫ですか?」

 

ええ、むしろ人が足りませんのよ。ヒナさんか誰かを誘おうと思っていたのですが、セリナさんが来てくれるのならちょうど良いですわね。

私、先生、ヒナさん、セリナさんの四人でやりましょう。

 

「お仕事が終わり次第向かいますね。場所はトリニティ内のシャーレ用執務室でしょうか?」

 

そうですわね。それではまた後でお会いしましょう。

 

 

……さて。そろそろ先生の退屈をめちゃくちゃにしてやりますわよ!

配信開始ボタンを押して…ご機嫌よう、お久しぶりですわね皆様!鴉魔キリアですわ!

 

《久しぶり!》

《ちょっと、下半身不随って聞いたけど大丈夫なの!?》

《おはユウカ、もう常連だね》

 

大丈夫ですわよ。意外と早く治りまして、この通り元気に歩けてますわ。他の子ならあと暫くは車椅子だったとは思いますが。

私は大丈夫ですのよ!皆様の応援のおかげですわね。

 

《今日は何するの?》

《松花賞やるから賭けやるべ》

 

今日は先生と一緒に人生ゲームで遊びますわ。アポイントは取っていませんが、まあ大丈夫ですわ!

先生は事あるごとに「また遊ぼう」と言ってくださいますもの。

 

所変わってここは先生の執務室前。

呼び鈴をこれでもかと言うほど鳴らし……蹴破りますわ!

 

先生!お邪魔しま────……は?

 

《おいアレって……》

《ゲヒン学園の風紀委員行政官…》

《アコ……………》

 

い、今私が見た事を説明しますわ!

何が起きてるか私にも分かりませんが、とにかく説明しますわ!

私が先生と遊ぼうと執務室に入れば、そこでは首輪をつけた痴女と変態教師がいましたわ………。

 

「"ちっ、違うんだキリア!これはアコがやって欲しいって……"」

 

「はぁ!?先生も乗り気だったでしょう!それにこの時間は誰も来ないと!」

 

さ、最低……ヒナさん、この放送を観ていたのならすぐに約束の場所を変更しましょう。

今日はたまたま新作のスイーツの発売日ですわ。そこに二人だけで行きましょう。途中で一人参加しますが宜しくて?

 

《私は構わないけど、先生はどうするの》

 

知りませんわよ!このまま宜しくやっていれば良いのでは無いですか?

 

「"違う、本当に誤解なんだ!仕事漬けでおかしくなってただけで!"」

 

人はそれを故意と言うのですわ。

では、先生。ご機嫌よう!私はヒナさんと遊んできますわね!先生と行政官さんはそこで宜しくやっていれば良くってよ!

 

ひとまず先生は定期的にストレスを発散させた方が良さそうですわね。デスクワークに追われた人間がどうなるかは、今見た通りですもの。

しかし大人の先生がストレスを発散する方法ですか。スポーツや趣味などでしょうか?

それとも………。ええい、やめですわ。私ではこれ以上思いつきませんもの。

 

今日はヒナさんとゆっくりデートを楽しむとしましょう。

 

《そういえ纏ョ嶰、嘛㶚ィオ》

《██████████》

《███████》

 

おや、どうしたんですの?バグでしょうか…OBSの調子が頗る悪いみたいですわね。

えいっ!えいっ!叩けば治りますわこういうものは!叩くといってもキーボードですが。おほほ。

 

《キリアたん、そこどこ?》

 

はえ?おや、ここは……?

 

私がコメントに従い振り向くと、そこは見知らぬ廊下のような場所でしたわ。

機械的、ですがどうしてか自然の気配も感じ取れますわね。私の本能的な直感が廊下の奥に進んではならないと警告していますわ。

 

皆様、ここから先は恐らく通信が途絶されますわ。先程から対ジャミング装置が上昇の一途を辿っておりますもの。

一旦皆様とはここでお別れですわ。私はこの奥を調べます。もし私が三日三晩の後帰らなければ、"そうなった"と思ってくださいまし。

 

《ちょ、キリアた────》

 

さて。行きますわよ。

一歩一歩進むたびに、足が今すぐにでもこの場から離れようと力強く抵抗しますわね。

しかし私は理性をもった人間。自惚れですが、私の理性は強靭。この程度の恐怖では私の歩みは止まりませんわ!

 

「───鴉魔キリア、ですね」

 

突然私の前に現れたのは、全てが漆黒で染まった男でしたわ。顔には黒炎が揺らめいており、ひび割れたような眼窩からは知的な面を思わせる視線が覗いていましたわ。

 

何者ですの?私をここへ招待なされた方かしら。

だとしたら残念ですわね。私がなんの武装もせずにここへ来るとでも?見たところ、キヴォトスの外の人のようですが、銃を持った生徒に敵うとでも?

 

「そう結論を焦ってはいけませんよ、鴉魔キリア。貴女をここに呼んだのは私ではありません。むしろ私が『なぜ?』と問いたい所です」

 

そうですの。一応言っておきますと、私に人質としての価値はありませんわ。ティーパーティー内には私を排除したいと考えている勢力も泳がせてありますもの。

万が一があった際、トリニティに不利益が被らないように、ですわね。

 

「クックック、どうしてなかなか、子供ながらに政治は上手いですね。ですが甘い。陰の独裁者をするには貴女は優しすぎます」

 

確かに、そうかも知れませんわね。凡そ貴方は敵対者は徹底的に排除すれば良い……などとは考えず、ただ利用し、搾取することを考えているのでしょう?

 

「よくご存知で。さて、この先に貴女を喚んだ存在……マダムがいるかと思われます。マダムについてはご存知ですよね」

 

ええ。私が以前監禁されたアリウス領域の支配者ですわね。正直、名目としての「マダム」は学園の支配者としては適してはいないと思いますが。

あの怪人が私をここに呼び出したんですの?理由は教えていただけます?

 

「長いこと貴女を観察させてもらった礼としてお教えしましょう。恐らく、マダムの目的は鴉魔キリア、貴女の完全消滅かと」

 

私の……?しかし完全消滅とはどういう事ですの?私を消したとてメリットは無く、また貴方がここにいる理由にもなりませんわ。

 

「私の同僚が解析したテキスト……存在抹消爆弾は使用者と被使用者とは別に観測者が必要なのですよ。故に近場にいた私が喚び出された…という事でしょう」

 

あら、貴方が消される可能性は考慮していませんのね。そんなにも信頼できる仲間なのでしょうか?

少なくとも、マダムは私が見た限りでは二流悪党に落ち着きますわよ。

 

「クックック……マダムにその『テキスト』を貼り付けるのは貴女にとってお勧めできませんね。それと、マダムは頻りに貴女の事を消したがっていた。これ以上の情報が必要ですか?」

 

必要ありませんわ。二流…いえ、三流以下の悪党が考えることなど手に取るように解りますもの。

私がそうであったように、マダムもいずれ解る時が来ますわ。悪は決して栄えないという事を。

 

「クックックッ、そろそろ着きますよ。私も貴女を応援していますよ。共に主軸となれぬ道化として」

 

言ってなさいな。さて、ここがあの女のハウスですわね。

 

「マダム。いるのでしょう?私です、『黒服』です。鴉魔キリアと同伴しています。目的を果たしては?」

 

漆黒の君がそう言うと、マダムがいる部屋の扉が開きましたわ。

奥にいたのは、醜悪な趣味を隠そうともしない部屋でしたわ。吊り下げられているのは、数多くのヘイローのついた痩せ細った生徒たち。

本当に悪趣味ですわね。この女……。

 

「ようこそ、鴉魔キリア…ワタクシの部屋へ。どうです?良い部屋でしょう。この飾りたちが誰か、分かります?」

 

勿論、見覚えがありますわ。貴女が攫った私の部下ですわよね。

キヴォトス人の限界を試していらっしゃるの?なんとも醜悪な趣味ですわね。

 

「マダム。貴重な実験材料にこの扱いは───些か、品が無いかと」

 

「黙りなさい。ワタクシの手のこの爆弾が見えないのかしら?今からこれで鴉魔キリア、あなたを抹消します」

 

断言します。それは不可能である、と。実験はされましたか?効果は、範囲は?分かっているのですか?

借り物の力でそこまで粋がれるのも驚嘆ものですが、なにより……三流以下に負ける気は毛頭しませんのよ。

 

「小娘が……!いいでしょう、そんなにもすぐ消えたいと言うのなら、お望み通りにしてあげましょう!」

 

だから三流以下なんですわよ。私はマダムの手が爆弾を起爆する直前にダブルバレルショットガンでマダムの手を吹き飛ばしますわ。

一発、二発と入り、マダムの腕が大きく後ろに後退しましたわね。流石に捥げませんでしたか。

 

「なっ……!?どこにそんなものを隠していた!?」

 

爆弾を回収して……よし、これで完璧ですわね。あとはこの危険物を漆黒の君に渡し、閃光弾を投げつけますわ。

 

「無駄です!そんなもの私には────なっ!」

 

ミチル流忍法・天泣!ミチル様程ではありませんが、大岩程度なら破壊する忍法ですわ!

ノーモーションから繰り出される即死攻撃を喰らいなさいな!

 

「くっ…!執拗に目ばかりを狙って……なっ、居ない!?捕虜たちも、いつの間に!?」

 

部下たちが枯れ枝みたいで助かりましたわ!どさくさに紛れて連れ去ることに成功しましたわ。これであとは逃げるだけですが……

相手方も本気を出してきましたわね。触手やら何やらが好き放題飛んできてますわ。

 

これは───無理そうですわね。

私は思いっきり部下たちを出口に向かって投げ、その場でマダムを足止めしますわ。

 

「観念しなさい。理由は詳しく言いませんが、あなたではワタクシに勝てない。そういう摂理なのです」

 

部下は助け、敵の正体をある程度まで絞り込めました。あとは────もう少しだけ、耐えるだけですわね。

私の腕は不可視の触手によって掴まれ、マダムが薄気味の悪い笑い顔を浮かべながら近づいてきますわ。

漆黒の君は静観の構えですが、存在抹消爆弾はどこかにしまってしまったようですわ。

これで私の完全勝利、ですわね。

 

「この間は生徒を使ったので失敗しましたが、今回はワタクシ自らあなたを拷問し、地獄を見せてあげましょう。フフ、楽しむと良いですよ」

 

あとは、耐えるだけですわ。

 

 

 ──────────◆──────────

 

 

「ッ!行かなきゃ。今すぐ!」

 

予定よりも早く実施された聴聞会の最中、ミカは突然立ち上がって叫んだ。

ミカの中で、何かが切れた。それは理性か、はたまた堪忍袋の尾か。ハッキリと青筋を浮かべ、血が出るほど握られた拳がそれを如実に表していた。

 

「ミカさん!?どうしたのですか!」

 

「キリアちゃんがピンチかもしれないの!だから助けに行かなきゃ!」

 

「ダメですミカさん!キリアさんは─────」

 

ナギサは思い出す。古関ウイからの緊急連絡を。その連絡以来、一切音沙汰のないウイと、キリアがヘイローの消えたウイを運ぶ姿が目撃された情報。

他にも、ナギサが黙認してきたキリアの悪行の数々。

 

それらを踏まえ、ナギサは決断した。

 

「ミカさん。キリアさんを救出しに行くことは、現ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサの名において禁止します」

 

「なっ、なんで!?今回はマズイの、手遅れになっちゃうの!なんで信じてくれないの……」

 

「ミカさん────もう、お分かりでしょう…!」

 

そう言われ、ミカはハッとした顔になる。

今まで犯した罪の数々が背中を過ぎる。しかし、ミカは止まらない。怒気を孕んだ声でナギサに告げる。

 

「………心の底から後悔したくないなら、私を止めないでね。それとも、今ここでキヴォトス最悪の事件を更新してみる?」

 

「しかしっ!キリアさんにはウイさん襲撃の容疑がかけられているんです!その他にもっ!」

 

「ねえ、先生。一つだけ聞いても良いかな」

 

ミカは言葉を連ねるナギサを無視し、先生の方を向く。その瞳からは殺意のみしか感じ取れず、先生も僅かに警戒するほどの濃密な殺気を放っていた。

 

「どうしようもないクズでも、変われると思う?誰でもその気になれば、良い人にだってなれると思う?」

 

「"なれるよ。ミカも……キリアだって"」

 

「えへへ、先生はそう言うと思ったよ。ありがとう」

 

ミカはそう言うなり、聴聞会の会場がある評議室の床を叩き割り、その反動で空高く飛び上がる。そしてそのまま呼び出されていたAVALONにサーフボードのように乗り、凄まじい速度で一定の方向へ向かっていく。

 

少しして、ミカが目的地に着くと、そこにはアリウススクワッドのヒヨリが食事をしている最中の場面に出くわした。

 

「やっほ〜☆最悪な目に遭いたくなければ今すぐアリウスまで案内して」

 

「う、うひぇっ!ひゃいっ、やりますからぁっ!その赤熱した拳を近づけないでくださいぃいいっ!」

 

ヒヨリの首根っこを掴んだミカはそのままアリウススクワッドのメンバーを集めていく。

入水を図ろうとしたミサキは落ちる前にキャッチされ、サオリは急いで来た先生と共にミカに拉致された。

 

「みっ、聖園ミカ……!?離せっ!というかどうやって100メートル以上跳躍しているんだ!」

 

「ひぇええええっ!で、でもリーダー、慣れれば意外と楽しいですよ…えへへ…」

 

「吐きそう………」

 

「"ミカ!どこへ向かってるのっ!?"」

 

「あはは☆決まってるじゃんね。キリアちゃんがこっちに居る。みんなには手伝ってもらおうと思って」

 

「何を考えているんだ……!鴉魔キリアも、お前も!元々敵だったろう!?」

 

「先生は、どんな人でも良い人になれるって言ったよ。だから錠前サオリ。あなたにもそうなって欲しいな」

 

「聖園ミカ……お前は……………」

 

「なーんてのは冗談!単純に人手が足りなくてさ。たまたま降りたとこに槌永ヒヨリが居たから、ついでに全員連れてきただけ!」

 

「………ッ、頼む!聖園ミカ!私がこんな事を頼むのはお門違いかもしれないが、聞いてくれ!私たちの姫───秤アツコも、助けるのを手伝ってくれないか…!」

 

サオリの必死の懇願をミカは興味なさそうにし、その後に「オッケー☆私すごく強いし」と二つ返事で応えた。

サオリの案内でミカたちはアリウス自治区の秘奥、礼拝所まで辿り着くことに成功した。

 

「何も───ごぶはあっ!?」

「う、うわぁああっ!ごべっ!ま、前が見えねェ…!」

 

ミカは先生たちを下ろし、その腕と銃をもって直進していく。ミカがキリアの気配を一番強く感じたその瞬間、ミカの額から血が一筋流れた。

何者かにやられた傷では無い。ミカは、自身の怒りによって切れた血管が顔を汚しているのだと気がついた。

 

「なっ!何者です!?そ、その姿───ま、まるで…」

 

「…………キリアちゃん、助けにきたよ。今すぐそこの真っ赤な女を始末してあげるから、よく見ててね」

 

ミカの背後には日輪が輝いている。まるで、世界全てがミカを祝福するかのようにその場を照らす。

罪人はミカの影に覆われ、その多すぎる目で自身の罰を見た。

 

 

「あなたたちの為に、祈るね。」

 

罰は、今執行されようとしていた。




聖義のヒーロー、ミカの技をご紹介!
『パンチ』…岩も人も何でも砕くよ!
『キック』…顎で受けると顎ごと吹き飛ぶよ!
『波動砲』…理屈は分からないけど撃てるよ!当たれば相手は基本的に死ぬよ!
『眼光』…真の強者は目で殺すよ!
『超感覚』…大切な人に重大な何かがあった瞬間に察知してミカが襲いにくるよ!
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