「…総評だ。勝敗としての結果は出たがそこは度外視していい、ヒーロー側と敵側の今回の良い点悪い点挙げてみろ」
「………はい」
「矢峙か、言ってみろ」
「良かった点は互いの作戦に確りと考えられていた事だと思います。個人技を頼りに独りで動いたり相手の強みを無視した作戦を立てたりする事無く、ヒーロー側は接近戦を考慮した2人での行動にヴィラン側は核の配置と階段での待ち伏せなど最悪な状況を避けた考えを基に動けてたと思います。
対して悪かった点は……強いて言うならヒーロー側の作戦に運要素が含まれていた事です。…天蟲さんの戦闘服であるガントレットを稲生さんが装備している事に気付けば展開も変わっていました。今回は初戦闘と言うのもあり戦闘服などのイレギュラーな要素が抜けていたのが結果に繋がっただけで、経験を積めば結果も変わるような部分であったと考えられます」
「……まあ大体言っている通りだな、互いに負傷無くビルにも被害を出さなかった事はまず褒める所だ。屋内戦闘で無駄な倒壊は事故を招く、今回は想定と言えど核の……───────」
訓練を終えてモニタールームに戻ってきたら総評が始まる。
自己評価でしかないが結構無駄なく戦えた気もしていた。こちら側に大きな実害は無く誰も捕まることなく勝利条件を達成したわけで、反省点を挙げずとも評価できる内容であった………で終えるのは学業として相応しくないので生徒間で話し合いを深める事に。
矢峙……確か璃亞のすぐ後ろの席の眼鏡を掛けた女子がまとめていたが、言ってる内容に関しては正しくその通りだと言えよう。
今日初めて手に取った戦闘服、その機能を知って色々な作戦が思いついた。胸部・腕部・脚部に装着したパーツには俺のエネルギーをある程度溜めておける機能が備わっていて、胸部で調整すればより安定した飛行を可能とし、腕部と脚部に溜めておいたモノは自由に放出することが出来てガントレットに関しては他社にも装着できる。
この機能を利用して一芝居打ってみた訳だが……上手くいったのは運ってのは間違ってない。やる前に蝗賀と楓馬が疑問に思わなければイケると踏んだのが理由で、成功してホッとしたのが正直な気持ちだ。
そして、稲生も訓練中によく俺の指示を把握して動いてくれた。まず俺の作戦がどうとかの以前に稲生の予想していた以上の行動力、それが彼女以外の3人にとっての大きな誤算だったと考えられる。…勿論、俺の方は良い意味で。
「───────……と言う事で初戦は終わりだ。次の対戦は………Cがヒーロー側、Hがヴィラン側だ。5分後にスタートする、対象者はすぐに配置につけ」
「(おっ、Hは璃亞のチームか。璃亞にとって入試以来の実戦、お手並み拝見だな…)璃亞、頑張って来いよ」
「…当たり前でしょ。先にあんなの見せられちゃ……不甲斐ない姿は見せられないわよ」
「おお、言ってくれるなぁ………楽しみにしてるよ」
対戦前に一声掛けておいたが気合十分のようだな。
約2年前の個性練の時から飄々としながら真剣に取り組む姿を見てきたが、中々あそこまで鬼気迫る程の表情は見ていない。推薦入試前の時ぐらいに集中しているのは確かだ。今日初めて身に纏うであろう黒と銀が基調の機能戦闘服もとても似合っている。
…学校来て2日目と言えど大事なヒーロー基礎学の初回、璃亞の持つ力を存分に発揮してほしい。
「やっと肩の荷が下りた気がする~……匠っちと楓馬くん、体は大丈夫そう?」
「いや全然っ大丈夫よ!もう痛みは引いてるから!」
「…………こっちも問題は無い、少し痺れてるが」
「良かった~…ってか!あんな危ない武器、試しもせずに使わせないよね飛威炉くん?!」
「すまんすまん。結構やるんだなこのガントレット………ま、アレくらいの奴食らわせなきゃ勝てる気しなかったからって事で許してくれ、稲生」
「むー………まぁ良いけど」
「ビックリしたよアレはなー…けど!違う意味で食らってんのはどっちかって言うとヤスの方だけどな!ここに居る誰にも負けないとか啖呵切ってたのにすぐ負けちまってイッッダァ!?」
「煩いんだよホント………モニターに集中しないと担任も俺もキレるぞ…次は絶対に負けない」
「仲良いなぁ2人共……仲良いって言うと今映ってる璃亞ちゃん!昨日の体力テストじゃ女子ナンバーワン!飛威炉くん、どうなるんだろーね?」
「…ふっ、まあ見てなって……───────
・
・
・
・
・
・
「よ、よろしくね瑞銀さん。僕は須々木って言うんだ」
「憶えてるわ、私の『個性』と似てたから………それと飛威炉との事もあったし」
「あっ確かに、天蟲くんとよく話してたのはやっぱり仲良かったからなんだね!天蟲くんには……助けてもらったよ、昨日は」
「面倒な部分もあったでしょ?ああいうのが飛威炉の悪い癖なの、迷惑かけてごめんなさいね」
「イヤイヤ気にし過ぎだよ!?」
昨日の事を謝りながらビルを昇っていく。須々木くんは気にして無さそうな雰囲気ではあるけど、私の感情としては許してない想いが邪魔して念押ししてしまった。
…こういうとこは私の悪い癖かもしれない、飛威炉と同じで。
ビル5階に着き、互いに重要になってくる核の配置をする。
正直、一番遠い所に置いておく方が安全と言う安直な考えではあるが………今回はコレで問題無いと思ってる。
作戦は先程の試合を観ながら考えていたので、まず先に須々木くんと共有しておこう。
「須々木くんの煤って、どれぐらいの範囲で使えるの?」
「うーん……室内であればこの部屋全体の範囲で目眩まし程度には使えるよ。モノを乗せたりとかだったら20mぐらいかな?…流石にあの核とかは無理だけど」
「分かったわ。私のもそんな感じだと思ってもらっていいわ」
「全然違った気がするけど……どんな作戦で戦う?核をここに設置するのは賛成するけど、相手2人の『個性』もあんまり知らないし……」
「それは…………そうね。知らない情報が多いのはその通り」
昨日の親睦会のおかげで小・中の時よりはクラスメイトの事を知れたと言えど、今日はまだ2日目でヒーロー基礎学の授業は今が初めてだ。
相手の波佐くんが手をハサミに変える『個性』で西墨くんが腕をホース代わりに広範囲に墨を吐く『個性』、そこまでは憶えてるけど2人の人となりとか身体能力とか、詳しい要素を殆ど把握していない。無策で対応しようとするなら厳しい展開になるかもしれない。
…なんだけど、今の私にあるのはこの場数十分で生まれる結果に対する不安ではない。
「…時間になったら下に降りて戦うわ。それで良いかしら?」
「良いけど…って事は前の組と同じやり方?もし読まれて対策打たれてたら危なくないかな……?」
「大丈夫。……すぐに決着つけてみせるから」
「え?」
「話したばかりで信頼は無いだろうけど…信じてほしいの」
「……うっうん、分かった…」
須々木くんは戸惑いながら私の我儘を受け入れてくれたようだ。…結局のところ、私も飛威炉と似たような事をしてる辺り、知らず内に毒され始めているのかもな。
───────……雄英に来て、期待に溢れた心持の筈だった。
初日から色々あったけれど、待ちに待ったヒーロー科の学校生活。
飛威炉と出会って少しずつ現実味を帯びてきた私が子供だった頃からの夢に、更に近付く一歩を踏み出しているのには変わりない。
だけどこの2日間、その飛威炉こそ………身勝手で変な部分でお節介焼きだけど、誰よりもヒーローへと純粋に邁進しているのを再確認させられた。
嫌に心配してしまうからこそいつも怒ってしまうけど、ああ言う姿を見ると私が飛威炉と初めて会った日を思い出す。
あの時の私は余計なお世話なんて事は思わなかった。それに、一緒に過ごせば過ごすほど彼が病的だと思えるくらい“人を救う”為の立場へと執心する精神性とそれを叶えられる努力を見てきた。
…飛威炉の活躍に納得してるし尊敬してなかった時なんて存在していないのは、間違いない。
───────……でも、一緒に雄英に通っているのに私が居ないトコロで楽しそうにしてるのは何だか嬉しくない。
席が離れたと思ったら稲生さんと仲良くなって、体力テストを乗り切ったと思ったら幽里さん達の事を助けようとして、親睦会行けば幼馴染は居る事が発覚して、初めての実戦だと思ったらコンビは稲生さんで大活躍して……………
……何故そう想うかは理解してるけど、ずっと気分が良くない。正直、心の何処かで飛威炉が楽しくするのに私が必要無いのではと考えている自分も居る。
だからこそ、証明してみせるんだ。……──────私だって居るんだって。
「(飛威炉、見てなさい。…私がどこまで強くなったのかを)」
───────………な?言った通りだっただろ?」
「うん、璃亞ちゃんツヨ~………すぐ終わったじゃん」
「流石、推薦入学者の1人で…天蟲の相方だな」
「…邂逅して1分で決着、この一瞬で強さが分かる」
モニターに視線を移して数分、意気揚々と進入していた筈のCチームは手足に銀色の拘束具を填められていた。
互いに敵を捕捉するまでは先程の試合とほぼ一緒、だが近接戦闘メインの俺達4人とタイプが違うとはいえここまで決着の仕方が違うのは観戦者に衝撃を与える内容だっただろう。
展開としては無策で突っ込んで瞬殺……って事も無く、ヒーロー側の2人も警戒しながら進攻していたし璃亞のコンビが虚を突いて奇襲に成功したって程の有利な戦況でもなかった。
…しかし、1分も経てば試合は終わっていた。
先に須々木が煤で煙幕を張り相手の視界を奪った。…体力テストの初回では記録こそ伸びなかったけれど、やはり対人戦闘では活きる『個性』なのは元々勘付いていた通りだ。初手で相手が怯んでしまいモニター上の視界が晴れた時には……この景色が映っていた。
今の璃亞なら複数の流体金属を生成でき、中距離範囲内であれば自由に浮遊させ動かすことが出来る。それも手足を縛るぐらいの動作であればもうお手の物だ。
波佐と西墨も各々の『個性』を構えた上で対応しようとしていたが……昨日見た覚えがある程度、ほぼ初見のような状態では厳しかったみたいだな。
「(春休みの間も個性練していたんだが……やっぱり凄いよ璃亞)」
「…ふふっ何だか嬉しそーなんだけど飛威炉くん?」
「嬉しそうって……そう見えるか?」
「いや見えるね。子供の時からクールな顔の印象しか無いけど良い顔してるぜ?」
「…変に茶化すなって、そろそろ戻ってくるぞ」
鏡を見ないと分からないがそんなに変な顔しているのかよ。それにクールな顔って何だ?幼少期からそこまで性格は変わってない自覚はあるけど、他の奴もそんな印象持ってんのか?反応しづらいだがソレは………。
…ま、嬉しいってのは否定しない。璃亞の成長ぶり見てると………なんだか誇らしく思えてきたのが本音だ。
この場で口に出そうものならより茶化されるだけなのが視えてるから、俺の心の内に留めておくけど。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
……キーンコーンカーンコーン……
「…丁度チャイムも鳴ったしこれでヒーロー基礎学は終わりだ。ホームルームは……明日委員会を決めるのと、…まあそんな感じだ。じゃお疲れ、教室戻ったら帰って良いぞ」
「(戻んの面倒臭いだけだろ……まあ良いか)」
「…あ、ちゃんと戦闘服は戻しておくように。下校後に雄英側で修理や洗濯をする事になっている」
忠告だけ済ませてイレイザーヘッドは校舎へと戻っていった。一担任としてはどうかと思う速さでの直帰だが、今更否定的に考えるのもお門違いだろう。
5試合あった模擬戦闘もあっという間に終わり、気付いた時には外は橙色に染まろうとしていた。
初回だったと言うのもあって疲れを滲ませる足取りが多く目に付くが、各々の表情を見ると喜怒哀楽に富んだものであった。
やれた事に満足して快活に話す者や反省点に気付き悔しそうに帰る者、疲弊しきっているのか授業から解放されたからか動きが鈍りまくっている者……なんて観察してたら最後に見つけた幽里が俺に気付いて窺いながらも近付いてきた。
「幽里、どうだっ……いや如何もこうも無いか。仰木が勝手に突っ走ってったからな」
「あっうん……そのおかげで勝てたんですけどね…」
「効率的にはそれで良いってアイツが判断したんだろうけどチーム戦としてはどうかと思うけどな」
「ご、ごめん………」
「いや、幽里が謝ることじゃない。文句があるのはアイ……
「すぐに終わったんだからそれで良いだろ?…なぁ幽里?」
「そっそそそそうかも……ですね…」
2人で振り返っていたら件の仰木が嫌に笑みを浮かべながら近寄ってきた。コイツは全然疲れて無さそうに見えるが、4試合目の余裕ぶり見てれば別に可笑しくは無いかもしれない。
ヒーロー側が幽里と仰木、敵側が滑川と多摩での対決。
もしかしたら極度の人見知りである幽里としてはまだマシな組み合わせだったかもしれないが………俺的にはそれが良くない方向に利用された気がする。
開始早々1人で飛んでいき、相手の対策お構いなしの特攻で数分も経たずに決着がついた。俺の時みたいに高速戦闘に対応できる相手でないなら正しい手段とも言えるが、璃亞のようにチームで戦った訳ではない。
幽里を置いてっての行動。独力で解決に臨むのは授業の思惑を踏まえれば好ましい判断だとも思えないし、何よりそれを反省せずに罪悪感無く幽里に絡もうとするのが気に食わないが……相澤先生が総評の時に釘を刺した以上俺が行っても聞き入れるとも思えないが。
「天蟲、もし俺と戦る時には覚悟しとけよ?手加減しないからな」
「それはコッチのセリフだ。…だが、今日みたいな授業ならちゃんと協力しろよ、変に意地張って迷惑被りたくないんでな」
「ハッ!……その時があればだけどなー」
「…あのぉ……出来れば仲良く…胃がずっと痛くて……」
「ああスマン。…アイツとは馬が合わなくてな」
減らず口を叩きながら離れていったが……本当に理解しているのか?ヒーローの本質の1つに強調し合う精神もあるってのに自分よがりな作戦は辞め……───────
───────……璃亞だったら俺も似たようなもんだと言ってきそうな話だな。結局のところ共通する部分があるのを自覚している証拠ではあるけど、そう思うと余計嫌になってきた。
…まあその話は置いといて、幽里って優しい奴だな。
自己中心的な相手にも配慮するのは性格考えると中々難しい事にも思える。幾らコミュニケーションが苦手と言えど揉め事を無くそうと発言できるトコロはヒーローを目指そうと思える1つの証明かもしれないな。
そんな事を考えていたら璃亞が寄ってきて話し掛けてきた。…因みに璃亞の表情はと言うと実戦で大成功を収めたのにそこまで浮かれた表情ではない。
実戦終わってすぐは何処となく誇らしげな表情だった気がするんだが………そこまで深刻そうでもないしわざわざ指摘はしないけど。
「どうしたの2人共?…早く戻りましょ」
「そうだな。……あっそう言えば明日の委員会決め、ってか多分学級委員決めぐらいしかしないと思うがやるか?」
「急にどうしたのよ、それに何でそう思うのかしら?」
「ふと思い出したってだけだが……入学式にも参加させない人が委員会活動とかさせない気しかしないんでな」
「あー……確かにそうね。因みに私はやる気無いわよ」
「わっ私も…ぜっっったいにムリです……」
「いや、別に幽里には期待し…何でもない。ま、質問しておいて俺も手を挙げる気は無いけどな」
「もし推薦で決めるなら飛威炉に入れておくわ、学級委員になってもうちょっと責任感とか自制心とか身に付けてくれれば私としても嬉しいしね」
「フッその戦法は通じないな。…ここは“雄英”、それもヒーロー科なんだし仕切りたがりなんて幾らでも居るだろ」
「へぇ……生意気なこと言うなら蝗賀くん達と話合わせて強引にでも就かせようかしら?」
「…他薦でOKかは分かってないのにヤメようぜ、昔みたいな事は」
「飛威炉が言い出したんでしょ。私は悪くないからねー……ふふっ」
嫌な想定を言われて中学時代の事を思い出す。
2年の頃、絮吏儕なんて成績優秀者に溢れ返ってる筈なのに変に俺の名が触れ回ったせいか半ば強制的にさせられた経験がある。
当時は学級委員ぐらいの仕事ならたかが知れていたし、勝手に盛り上がっていたクラスの雰囲気を壊すのは面倒くさそうだったから受け入れてしまったけれど……“ここ”だと訳が違う。
先程みたいにホームルームを省略したがるあの担任だ、面倒ごとも押し付けられそうである。
現時点でネガティブな想像をしてしまうような俺よりも他にやりたがっている奴に任せるのが正しいだろう。
…俺と同じように考えて誰も手を挙げなかった場合は、考えておくか。
「幽里、璃亞って俺に厳しすぎると思わないか?………ってどうしたその顔」
「ふぇ!?……ききき気にしないで下さいぃ……」
「私達の顔交互に見ながら変なモノ見つけた、みたいな顔して……どうしたのよ幽里さん?」
「いや、あっあああのぉ…お2人っていつからのおっおお知り合いなんでしょうか……?」
「また急に他人行儀な……中2の時からの知り合ったけど、それがどうしたんだ?」
話を振ってみたら馬鹿みたいに首を振る幽里に目に留まった。
普段は前髪に隠れて視線も表情も見え辛いのに今回は少し雰囲気が違う。
璃亞が言うようにまるで俺達2人が可笑しい事言ったのに気付いたような、驚愕と困惑が入り混じったような……言い表し難い形相であった。
「ってて事はやっぱり……ヤバいヤバいどうしよう聞いていいのかな聞いちゃマズイかな分かんないどう…───────
「おっおい、どうした幽里……?」
───────っ…いや、あのそのぉ……お2人はつっつつつ付き「幽里さん?もう着いたわよ?」ううぇっ?あ!?すみません!?」
急に独り言呟きだしたと思ったら何か質問しようとしてきて………その言葉は璃亞によって遮られた。
わざわざ途中で止めなくともとは思ったが、このまま幽里が変な調子で話し続けてもこちらの対応に困りそうだったので別に良かったか。
「…いつまでも戦闘服着てても熱いだけでしょ?着替えてきましょ……ね?」
「あ、はっはい!分かりました……」
「先に終わったら下駄箱前で待ってて、出来るだけ早く着替えてくるから。……じゃっ飛威炉、行ってくるわ」
「ん、ああ………ゆっくりで良いからな」
そう言って幽里を連れてそそくさと更衣室に向かっていってしまった。
結局、幽里が何を聞きたかったかは分からず終いだったが………何だったんだろうな。戻ってきたら聞いてみるか……
「(“つき”?璃亞との仲も聞いてきたし……付き合っているか、とかか?そんな事聞かれても考えてるような答えは言えないんだけどな………)」
「すすすすみません…お気を悪くしたでしょうか?」
「やめてよその言い方……私も急に話を遮っちゃったし、あと敬語も辞めていいからね?飛威炉もその方が良いと思ってるだろうし」
「あっはい…っで!ではなくて、うん……あの、飛威炉くんとはその……」
「…付き合ってないわよ?飛威炉は私にとって親友ってトコロ……かしら」
「親友……そうなんですか。………っで、でも…」
「どうしたの?」
「じゃあ……なっ何で…あの時に私を遮って……」
「……嫌だったの」
「…え?」
「飛威炉から、そう何度も言ってほしくなかった……それだけなの」
「そっそれって…」
「…早く行きましょ」
「(───────……
『もー好きって言ってないだけだろうがぁ!!』
……私もそう思う」