緋色の英雄   作:kozmo78

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第38話 イレギュラー

 

 

 

 

 正直、報道系のメディアは好かない部分がある。

 

 

 親の事もあって息子の俺にもマイクを向けられるのは慣れたモノだ。

 

 やれ「父親に倣ってヒーローを目指すんですか?」とか、やれ「プロヒーローを目指すという事は雄英高校に入学するんですか?」とか、やれ「トップヒーローで憧れているのは誰ですか?」とか………

 

 黙秘してれば在りもしない話を、少し話せば誇大化した話をな。

 だから何時の日かテレビ等の興味も薄れていった訳で……これから自らの脚でとびっきりのネタを示しに行くってのは少し億劫だよ。

 

 まぁ機動装甲服を貰った以上、その分引き受ける注目に応える責務はある。

 

 

 …初実戦で心が逸る『俺』を抑え込む必要はあるんだが。

 

 いっそ危機感知センサーに“何か”引っ掛かって状況が一変すれば────……

 

 

 

  ドゴォンッ!!

 

「えっ!? 何ー?!」

 

「爆発音、 いったい何処で……!」

 

「サー! HNヒーローネットワークによると駅から700m先の高速道路でヴィラン襲撃との情報が!」

 

 

 遠方から響き渡った衝撃音。何か大きい物体が爆破されて歪に破損させたような、明確に危険を告げる程の異音だ。

 

 『個性』使ったボヤ騒ぎならこの時世じゃ日常茶飯事だろうが嫌でも耳を刺す警鐘が響けば街道や道路に居る人々もパニックを覚え始める。

 緊急停止で路肩に停める乗用車もあれば、周りを見渡しながら不安を伝播させる通行人も増えていく。

 

 …心内にイレギュラーを望んだ自分を省みる羽目になるとは。

 

 

「じゃあ……どうしましょうか? このまま向かった方が……!」

 

「別行動だ。私とセンチピーダーは現場に向かい、先生と栗衛氏は運転代わって局の方に行って下さい」

 

「…そうだな。生放送も潰れる可能性が高いがメディアでの言質もある以上、誰かが登壇しなければ体裁を保てないか」

 

「ARCから派遣もあるでしょう。今回は私達にお任せ下さい」

 

「っていうか飛威炉クン! 君は一緒に局へ……──────

 

 

────……ってアレ? 何処に………」

 

 

 そりゃ俺を探すよな……もう其処に俺は居ないんだ。

 

 室内のスピーカーと接続してるから離れても俺からは声を聴けるが、だからと言ってこんな状況で俺を自由にさせる筈は無いか。

 “ヒーローらしくする”って役目の放棄が1つ目の罪だな。

 

 一拍置いて父さんが察したのか、怒気を含む声と共にヘルメット内部の映像を中継させられる。

 

 

「オイ飛威炉」

 

『────……バレたか』

 

「…だろうとは思ったが、自分で何をしてるか理解してるのか?」

 

「そーだよ! “資格未取得者が保護管理者の指示なく『個性』で危害を加えてはいけない”って規則! 独りで向かっちゃあ……!」

 

『いや待って下さい、まず理由が2つほど有るんです』

 

「何だ?」

 

 

 俺をよく知る父さんは半ばブチ切れ気味だ。…しかし怖じ気づいてる場合じゃない、たかが仮免も無いヒーロー未満の分際で今の暴挙をしでかした言い訳は確かに存在する。

 

 

『指示に関してはいずれ合流する御二方が居ますし、『個性』に関しては抜け道がありますから』

 

「抜け道……機動装甲服のこと?」

 

「はい。お蔭で発動もせずに戦えるんで」

 

「……下らない屁理屈を聞いてやろう、もう一つの理由は?」

 

『あんなに目立つ事しといて大人しくしてたら何云われると思います? ソレ着込んでる癖に生放送出てる場合じゃねぇだろって思われたら評判下げるだけじゃないですか?』

 

「この状況で評判など気にしてたら……」

 

『どうせ事件も報道されるんですから。別に戦うつもりも無いですし、救助者探すのに打って付けの機能を人の為に使わせて下さい』

 

 

 まぁ屁理屈だってのを否定できる権利は無い。

 …実際、救助活動を口実に初実戦を独断で挑もうとしてるだけだな。

 

 被害状況を調べる辺り………高さ13mで跨ぐ高架橋で走行中の警察車両を襲撃した結果、通行不可に至るまで半壊させたことで立ち往生を喰らったままの人も居る。

 襲撃犯はその後逃走してるらしいしプロヒーローが追跡してるようだが、肝心の負傷者の対応がまだなのが問題だ。…被害拡大を第一に防がなきゃいけないし仕方ないとしても早く誰かが動かなければ本末転倒の事態を迎えるだろう。

 

 尚、残念ながら現状の機動装甲服にHNヒーローネットワークは無い。

 通知さえ届けばヒーローの方が“気付くのは”早い。現に他のヒーローは即座に動いてる筈。

 

────……だがこの距離とスーツ、俺が一番早く辿り着ける。

 

 

『おっと見えてきました、んじゃ先に現場対応してます!』

 

「ちょっ………!?」

 

「アイツ、少し目を離したら勝手に動きやがって」

 

「停めろ。早く行かねば面倒ごとを起こしかねない」

 

「っ了解……!」

 

 

 プロヒーローが事件解決に動き、俺は負傷者の安全確保。

 言い換えれば分業だ。『個性』使って戦闘に参加さえしなければ、クラス解散の際にイレイザーヘッドに口酸っぱく言われたルールを破らずに済むだろ?

 

 現場だが………やはり早く来て正解だったな。

 

 コンクリート製の高架橋の塀が歪に欠けている。

 爆破音が導く事象の被害が透けて見える、確かに乗り捨てられた乗用車を含めても被害状況は軽く見積もれるレベルじゃないなコレは。

 一二を争う状況だ。まずは生体反応の確認を……

 

 

『(まぁ今回でコレ没収されても文句言え────……負傷者か!』

 

  「だっ…だれ、か……たっ助けてェ……」

 

『(車中のせいで判断つかんな……)“AISAアイサ”、視界に在る車全ての車内をスキャンしろ!』

 

 『了解。高架橋上ノ全車両ヲスキャンシマス』

 

 

 Artificial-Intelligence-Suite of Armament、略して“AISA”。機械的な女性声のアナウンスの下、ヘルメットの強化液晶から赤外線を飛ばすと……────

 

 

────……車中で逃げれずに居るのは16名か。

 

 怪我の具合等で優先順位を見極めなければ、もし順番ミスって悪化させたらヒーロー志望失格だ。加えてあんな啖呵切った以上は最良の選択以外は父さん達にも示しがつかない。

 一番ヤバそうなのは~……最初に声拾ったトコロだな!

 

 白塗りの軽自動車で中には親子連れの2人のようだ。親の方は兎も角、子供の方が微動だにしていない辺り移動させるのも困難な状況だろう。

 

 …こう言った場合、まずすべきは恐怖の除去。

 イレイザーヘッドに渡された教材でもデカデカと書かれていたんだが、そもそも俺がヒーロー目指すって口にした時から父さんに死ぬ程叩き込まれてんだよ。

 

『ヒーローの本分は“救助”だ。不安を煽る者は成るべきでない、助けを乞う人と目が合ったら第一に伝えろ────……

 

 

  「ひっ!? ……なっ、何!? ひ…ヒーロー……なの?」

 

  『そうです! “俺が来た”んで! 怪我は無いですか?』

 

 

 …コレ・・もオールマイトに肖ったもの。

 

 緊迫した場面をユーモアで和ませる才能は無いんで、父さんの教え通りに目指すべき人の台詞を真似てみたんだが────……

 そりゃそうだ。急に変なロボットみたいな奴が目の前に現れたら違う意味で落ち着かなくなるよな。

 

 

「私はっなんとか……でも息子が気絶して…!」

 

『一旦この車ごと運びます。シートベルトか座席にしっかり捕まっておいてください! AISA、息子さんに防護ガジェットを!』

 

「えっちょっ……きゃ!?」

 

 

 引火するってレベルの破損じゃないしな………手っ取り早く移動させる方法を選ばせてもらった。

 …乗用車を軽々運べるパワーも他者に防御を付与するガジェットも、機動装甲服が無かったら使えもしない手札だよ。

 

 サーの話ならもうそろそろ来るんだが………

 

 

『(ARCのスタッフ……っ居た!)すみません! 母親と息子の2人組です、救助お願いします!』

 

君って社長の息子さん?! 何して……?!」

 

『被害者は他に14名です! すみません戻りますっ!』

 

「ちょっ待っ……───────

 

 

 空から車が飛んで来たら流石に驚いてたが………悠長してる暇は無い。まぁニュースか何かで俺の話を知ってくれてたのが幸いだった。

 

 2人の治療はあの人に任せて、俺がやるべきは救助の続きだ。

 

 

 

 

 1台目、サラリーマンの男性1人。

 営業の途中ってとこか、緊急停止でも踏ん張りが効かず窓ガラスに頭をぶつけたらしい。

 脳震盪の可能性も有る……慎重に運ばなければ。

 

 2台目、4人乗りのワンボックスカーだ。

 前の3人と比べれば負傷のレベルはマシな方だが……子供たちが混乱して泣き叫んでいたのが問題だった。

 俺が扉こじ開けて息子さんの方は泣き止んでくれて助かったな。…事件が起きる前に手を振ってくれた子供然り、あれ位の世代に受けは良いみたいだな。

 

 

────……燈日綺矩ヒヒイロカネ、状況は?」

 

『(着いたか!)負傷者合計で16名、安全確保できたのがこれで……7名です!』

 

「君が宣った筋書き通りに動いてやろう。君は全員を救い出せ」

 

『了解! あと2分で済ませます!』

 

 

 連絡が途絶えていたが遂に決着しそうだ。

 

 …サーがこうも乗ってくれてるんだ、じゃあ更に気合入れなきゃな!

 

 

 

  「オイ誰かァ~~ってロボットぉ!?」

 

『大丈夫ですか! あと自分人間です!』

 

  「ヒーロー助け────……えっさっきテレビで観た?!」

 

『ご家族4名、全員居ますね! 捕まってて下さい!』

 

  「こっちも助けてくれェ! 足挫いちまったみてぇだー!」

 

『離れずそのままで! 15秒後に向かいます!』

 

 

 

────……ふぅ、今運んだので全員だな?

 

 時間は………オッケー宣言通り2分ちょうど。目的達成だ!

 

 

『全員救助完了、そちらの状況は?』

 

「警察車両を襲撃した犯人グループ4名を拘束した。だが問題発生だ」

 

『どういう事ですか?』

 

「移送中だったヴィランが姿を眩ましている。拷問してでも居場所を吐かせたいが時間が無い、最悪市街地に逃げられて二次被害も有り得る」

 

『…その為の技術ちからが機動装甲服にあるんで。AISA、直近30分のSNSの投稿でLIVE映像を検索!』

 

 

 そう簡単に上手く事は進まないか、しゃあない早く終わらせよう!

 

 AISAに頼んで現実と同じように混沌極めてる筈のインターネット上で証拠を見つける他無い。

 …大概が危険喚起か面白半分の野次馬、この事実は如何しようもないか。

 

 

  『検索結果コチラデス』

 

『(何でも良いから映像の中に不審な奴が居れば………いやソレだけじゃ無理だ)サー、移送してた犯人の名は!』

 

「“デッドホッグ”という名だ。明朝に逮捕されて移送する筈だったようだ」

 

  『~~~1名ガ99.9%一致シマシタ』

 

『よしっ予測できる現在位置を追跡しろ!』

 

 

 “デッドホッグ”………『個性』“針鼠”を持つ小規模の犯罪組織のリーダー格。

 

 ヒーローと警察が協力し隣の町で無事捕まった、のだが……次は脱走か。見た目は特徴的な長い鼻と剣山の如く生える長髪、映像の中で隠れながら逃亡する姿と一致するな。

 

 

 …ハリネズミらしく逃げ足も素早いようだが相手が悪かったな。

 

 入り組んだ路地に逃げ込もうと高性能AIが導き出した現在位置、ソレに狂いは無かったみたいだな。

 

 

~~~……はぁ…はぁ…っ、このまま隠れて隙見て駅にッ!」

 

 『隙なんてやらねェよ』

 

!? なっ何故ココが……?!」

 

『仲間を見捨てて逃走なんて真似をみすみす見逃すと思うなよ』

 

「糞がァ……! っだが折角のシャバ諦める訳にはいかねぇんだよ!!」

 

 

 苦し紛れに敵意を向き出してきた。

 ハリネズミらしい威嚇だな、えらく髪を逆立てて………確か個性元は針を飛ばせるみたいだし少しでも距離を取られたらまた被害を広げられちまうか?

 

 

 ……『個性』を使わずに敵の拘束。

 

 正にソレに相応しい武装が有るから自信持ってここに立ってんだ。

 

 

  『電磁カフス発動』

 

「なっ────……うびびび!?」

 

『…拘束完了。サー、待機か連行どちらにすべきですか?」

 

「あがァ……っふざけ…んなガハァ!??」

 

『気絶するほど柔じゃないよな? …了解、連行します』

 

 

 電磁波を纏った金属輪、面白いように制圧できたな。…抵抗しようとしてたから結局一発殴ってしまったんだが、こん位の対応は大目に見てくれんだろ。

 

 『連れて来い』との指示通りに引き摺ってくか……

 

 

 『発見しました! 皆さんコチラご覧下さいっ!』

 

『(なんだ急に………まぁ丁度良いかもしれんな)』

 

 『天蟲飛威炉────……いや“燈日綺矩ヒヒイロカネ”の姿です!』

 

 『抱えているのは……なんと先程の襲撃犯の1人でしょうか?!』

 

 『今回の一件、貴方が解決したのでしょうかッ?!』

 

 

 …メディアを利用した方が弁明はしやすいか。

 

 もしプロヒーロー達に「仮免も無い生徒が戦っただと?!」って詰められたら世論を巻き込んでフォローさせよう。

 重傷者は兎も角、死者は出してないんだしこの活躍ならテレビでやっかみは増えないだろう。

 

 信用は………あまり出来ないけども。

 

 

 

 

 

 

  ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 

 

 

 

 ってな訳で、まぁ色々遭って今はもう夜だ。

 

 事件も解決してメディア露出も済ませた。…酸いも甘いもあったんだが今更後悔する気も無い、今日の一件で機動装甲服の宣伝も出来たんだし結果オーライ────……なんて言い草は留めておこう。

 反感とかのレベルじゃないのは明白だな。

 

 

「────……職場体験初日、これで終了だ」

 

「ふぅ………しかし疲れたな」

 

 

 体育祭以来だな、これ程疲労が溜まったのは。

 

 先週は明確に体力的疲労で今回は精神的なモノだ。戦闘自体はしてないんだし初日にしては疲れずに済むと思ったのに……この体たらくでな。

 

 

「明日はどのような予定で?」

 

「…昼の一件のお蔭でインタビューが山のようにある、よって8時集合でそのまま休み無しだ」

 

「きっつ。まぁ仕方ないですね」

 

「厳重注意を喰らっているのを忘れるなよ? 事件解決の功績と父親のフォローによって最小限のペナルティで済んでるだけだ」

 

「いや忘れはしませんが……ホント仮免無いって事実がこれ程恨めしいとは思いませんでしたね」

 

 

 …結局、事件後は逃げようも無く報道陣とプロヒーローに囲まれるだけだったんだよな。

 

 目を輝かせながら質問攻めされたり、案の定「学生が凶悪事件に無闇に関わるな!!」ってブチ切れられたり。

 自業自得でもな? 夜が更けるまでメディア対応と説教をされたらそりゃ少し気が滅入るよ。

 

 

 …で、今日の仕事はコレで終わり。もう帰るだけだ。

 

 センチピーダーも別の仕事で出払って、事務所に残されているのはサーと俺の2人のみ。

 やっと衆目を避けられる環境になったんだし……今の内に確認しておきたい事がある。

 

 

「来月を待つしかない。期間中は目の届く範囲を離れるなよ」

 

「………1つ、質問して良いですか?」

 

「何だ?」

 

「俺は“象徴”に成れると思いますか?」

 

「……………っ」

 

 

 『象徴』と口にした一瞬で空気が一変した。

 

 サーはこう思うだろう。…何故私の考えを知っているんだ?ってな。

 

 又聞きである以上は確定じゃなくとも、眼鏡越しに見える神妙な眼差しを知ると強ち間違いじゃないんだろうな。

 

 

「オールマイトの相棒サイドキックだったサー・ナイトアイにとって、俺の未来がどう視えているのかが知りたいんです」

 

「…センチピーダーが吹き込んだのか」

 

「一応言っとくとあの人は悪くないですからね」

 

 

 疑問を抱えていた俺に配慮してセンチピーダーが話してくれたんだからな。

 

 …もし罰則が発生するなら俺だけにしてくれ。

 

 

「当たり前だ。象徴────……まず、第一前提にその話は彼の推測に過ぎない」

 

「(確かにな。そう思うって話を聞かされただけだ)」

 

「そして、否定はしないでおこう」

 

「(まぁ調子に乗るなと言われ………ん?」

 

 

 気のせいじゃないよな? てっきり思い上がった俺を叱るものだと。

 

 『否定はしない』………か。随分期待を込めた物言いに思える。

 

 

「…君が聞いてきたのだが?」

 

「ん、いや予想を反するもので………」

 

「自信家の君なら私の評価を素直に受け取る筈だと」

 

「その称号は流石に身分弁えますって」

 

「無論、オールマイトに届くなど考えてもいない」

 

「ちゃんとハッキリ言いますか……」

 

 

 判ってはいたがそんな直接的に言うんかい。

 

 サーって本当に俺のこと期待してくれてるのか?

 

 

 …まぁ良い。厳しい人だから大概のスタンスこんな感じなんだろうな。

 

 朝聞いた話が事実だと知れたんで……すぐに次の疑問が湧いてくる。

 

 

「そもそも期待を寄せるにしても早過ぎないですか? 俺の年齢もそうですけどオールマイトが引退する訳ではないじゃないですか」

 

「………あぁ」

 

「確か年齢未公開ですよね? 昔から活躍してるとは言えあの・・オールマイトが衰えるようには……ってかサーは知ってるんですか? あの人の年齢」

 

「……そうだな」

 

 

────……ん? 何だこの反応?

 

 遠慮が無い性格の人が謎に一拍置いて返答してるのは可笑しい。

 

 あの・・オールマイトだぞ? 質問しておいてなんだが、あの人の功績と現在の姿で判断すれば“衰え”なんて言葉とは無縁の存在じゃないか?

 過言だろうけど死ぬまで現役!みたいな人間………いや人間かどうかを疑う程の超人だ。

 

 

 サーが日本でオールマイトの事を一番詳しいってのは無知の俺でも憶えてる。

 

 …サイドキックを辞めた理由までは知らないが。

 

 だとしても、だ。不自然過ぎる反応を見るに………

 

 

「…気を悪くしたら申し訳ないんですが、もしかしてオールマイトに何かあったんですか?」

 

「────……私の方からも質問しよう」

 

「(キレては、ないようだな………何でしょう?」

 

「君は“3年前の4月21日”を覚えているか?」

 

 

 無礼な質問に意味不明の質問で返された。

 

 3年前? 4月21日?

 

 

 ………サーに会ったのは先週が初めてだよな?

 

 そもそも記憶を甦らす為の手掛かりが欲しいものだよ。

 

 

「今すぐに思い出せってのはちょっと……」

 

「ヒントはそれだけだ。後は自分で導き出せ」

 

「え? いやちょっ」

 

「事務仕事がある。さっさと帰りたまえ」

 

「………はい、失礼します」

 

 

 今の俺の脳には?しか浮かんでないんだがな……チャンスはもうコレっきりのようだ。

 

 云われるがままに事務所を後にして、まぁ考えるか。

 

 

 

 んー………

 

 

 

 無理だ、思い出せん。一体なんの事を伝えようとしてたんだ?

 

 

 よし、無意味に思案しても意味ないし追々ソレは調べるとして……怖いんだが携帯確認するか。通知が夥しい程に溜まっているのは想像ついちまってるし………───────

 

 

────……ヤッバいな。既読スルーしたい。

 

 

 

 

 

 

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