緋色の英雄   作:kozmo78

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前話の補足の様なモノです。会話のみです。








第41話 外伝―Talk Only

 

 

 

 

 

「…すまないな。待たせてしまって」

 

「構わないさ。奥さんは何だって?」

 

「説教待ち、だそうだ。…読みも当たって助かった」

 

「『読み』とは?」

 

「アイツの意中の子も一緒に待ってる」

 

「そうなのか! 私の想像以上に深い関係なんだな……瑞銀少女だったかな?」

 

「家族に近い仲だ。少なくとも私にとってはもう1人の“娘”だよ。…残った問題は馬鹿息子の覚悟だけだな」

 

「愛ある拳には面食らったよ。冷静沈着な君のあの姿、“父親”としての側面を改めて見させてもらったな」

 

「……頑固な奴にはアレ位で丁度いいだろう」

 

 

 

「今更だが、良かったのか?」

 

 

「…貴方は後悔しているのか」

 

「いや。心配してるのは君の方だ」

 

「ん………?」

 

「私の健康状態は明かしても“One-for-Allワンフォーオール”については知らせなかった。コレこそ君自身が線引きをしたのだろう」

 

「あぁ」

 

「後継者────……など大層な言い方はしたくないがサーも含めて飛威炉少年を第一候補として挙げていた。…そしてあの状況。正直私は全て明かされても納得はしていた」

 

「そうか」

 

「そして、君は前者だけ・・を教えた」

 

「……………」

 

「約束は忘れてないさ。彼の『個性』を考慮して卒業まで判断を待つ、と決めたのは極めて正しい選択だ」

 

「じゃあ、何も問題無さそうじゃないか」

 

 

「しかし“彼”はもう背負う気だぞ」

 

 

「飛威炉少年はダイヤの原石……いや原石ですらないか」

 

「脱走事件をあの速度で被害者ゼロ、現役ヒーローで為せる割合は半分も満たないだろう」

 

「一度の対談でも読み取れたよ。ヒーローを目指す上での人格すら現時点で備わりつつある」

 

「彼ほど才能にも環境にも恵まれ、且つ胡坐をかかない存在は居ないと断言できる」

 

「そんな彼が『象徴』を担う気でいる。……凄い学生だよ」

 

「“All-for-Oneオールフォーワン”は確かに倒した。奴に匹敵する巨悪が現れない以上は『個性』の譲渡に強制力は無いのかもしれない」

 

「だとしても、もし後にこの事実を知れば名乗りを上げない訳が無い」

 

「そうじゃないか? …今の時点ですら君が望んでいた『普通の高校生活』とはかけ離れた道を彼は進み始めているのでは?」

 

「賢い君が何故、あんな楽観的な判断を…………

 

 

 

「いや、失言だったな。申し訳n、

 

「間違ってないさ。その通りだよ」

 

 

「フッ……約束を取り付けたのは私なのにな。飛威炉が困惑したのも何ら可笑しくない」

 

「矛盾を孕む話だ。息子には『好きな事しろ』と言っておいて」

 

「親自ら禁忌にも近い事実を教えてしまった」

 

「加えて、裏には更なる目論見も控えてるんだ」

 

「…もう父親を名乗る資格も無いかもしれない」

 

 

「言い訳、かもしれないが理由は3つほどある」

 

「まず第一に、告白も出来ない様な弱気な男に“象徴”が如何こうなど語ってほしくないからだ」

 

 

「待て。…私もその対象だろうか?」

 

「『オールマイトの恋人はこの国』だろ? 誇るべき言葉だよ」

 

「────……その選択しか無かっただけだよ」

 

「………一旦、話逸れずに続けさせてもらう」

 

 

「2つ目だ。『個性』譲渡問題は解決していない」

 

 

機動装甲服アーマードスーツの効果はどうなんだ?」

 

「確かに負担は減る。しかし回復させるモノでもない」

 

「そうか………約束は正しかったと証明され続ける一方だな」

 

「因子は受け継ぐ際に混ざり合う。この世に存在する『個性』は定説とどう乖離していようと例外を除けば1種類の因子が生む力だ」

 

「“One-for-Allワンフォーオール”の継承はソレを歪ませる行為に近い」

 

「前任者の調査も出来ていない以上、飛威炉の“エネルギーコア”と共存できるかどうかの確かめ様も無い」

 

 

「……人体に精通してる身としては、ここ最近は貴方の様な境遇に継承されたからこそ正しかったとも考えている。現段階では全くの暴論でしかないんだが」

 

「“無個性”、だったからか?」

 

 

「少なくとも飛威炉には渡すべきではない。決してな」

 

「…先日、計画発表時に無個性を対象とするとした旨にはそういう意図も?」

 

「さぁ……どうだろうな」

 

 

「最後に3つ目────……私だって全部選びたいんだ」

 

 

「“象徴”としてのオールマイトの功績は計り知れない。付き合いは浅くとも、師匠 志村奈々から何を受け継いできたかも知ってる」

 

「彼女がどんな人生だったか、それも織り込み済みだ」

 

 

「……厳しい言い方になるが吐き出させてくれ」

 

「家族も居ない」

 

「臓器を失い十分に生きられない」

 

「しかし国民の期待は背負い続ける」

 

「1人の人間として、オールマイトの人生は尊重されるべきか?」

 

「………………」

 

 

「“象徴”=孤独に責任を負う者、と定義しては駄目だ」

 

「平和を担うべきは『個人』じゃないだろ?」

 

「…耳が痛い話だな」

 

「オールマイトとは違う道を模索したいんだ。少なくとも飛威炉と璃亞にはその可能性があると信じてる」

 

「そう、か。……茨の道だぞ」

 

「だから私は何でもするさ。今回の情報提供もささやかな褒美と思ってやってくれないか?」

 

「ハハッ………今の私には君ぐらいだよ、その大胆さは」

 

「サーもそうだろ?」

 

「あぁ。しかし彼とは……」

 

「互いに譲れないのは判るが、板挟みになってる私の立場も考えてほしい」

 

「…すまないな」

 

「彼も貴方を心配してるからこそだからだ。…いつの日か和解できるのを願っている」

 

 

 

 

 

 

「よし着いたぞ。今日は本当に迷惑かけてしまった」

 

「構わないさ、君も根詰め過ぎないでくれよ?」

 

「貴方にだけは言われたくないな」

 

「飛威炉少年とはそうだな……まぁまたすぐに会えそうだな」

 

「後継者探しは引き続き手伝う。…が結局は貴方の審美眼次第だ」

 

「……善処するよ。では、またな」

 

「ご自愛を」

 

 

 

 

 

「後継者。……さて如何なものか」

 

 

「…この場合、飛威炉少年に結果を尋ねて良いのだろうか?」

 

  キャー誰か助けてーー!!

 

 

────……悪い、久悟君」

 

 

 

 「夜分遅く失礼! 私が来た!!」

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

「んふふ♪ まだ耳真っ赤だよー?」

 

「え………?」

 

「ニヤニヤしちゃってるし~嬉しかったんだよね?」

 

「も、もう……!」

 

「ねぇねぇお兄ちゃんに最初会った時の事憶えてる?」

 

「……中学時代の先輩にしつこく言い寄られて、

 

「『彼氏だ』って嘘ついて助けてもらったんだよね?」

 

「っ………うん」

 

「初対面はそんな感じだったのに何で?」

 

「…やめて。あの時の私、色々あってどうかしてたの……」

 

「ちょちょっ恥ずかしがらないで~でも私伝えたいことがあるの!」

 

「ん…………?」

 

 

「その出会いが、お兄ちゃんを変えたんだと思うんだ」

 

 

「私さ、後悔してることがあるんだ」

 

「お母さんと私が襲われた日。…ゴメンね? こんなおめでたい時に嫌な話しちゃって」

 

「……大丈夫よ」

 

「ありがと……でね? すごい怖かったよ。でもさ」

 

「泣いてばっかの私を見て、お兄ちゃんが、

 

  『俺が強くなって家族を守るから』

 

……って背中を撫でてくれながら呟いたのが忘れられないんだ」

 

 

「その日からお兄ちゃんは変わっちゃった」

 

「元々少なかった友達と遊ぶとかもしなくなって」

 

「『強くなる』のに入れ込む様に、さ………」

 

 

「…そんなお兄ちゃんが璃亞さんと知り合ってね?」

 

「段々と楽しそうに生きていた頃のお兄さんに戻ったの」

 

「学校での話も帰って話題にするようになったり」

 

「祭りとかさ、絶対に興味なかったのにね? 羨ましかったもん。璃亞さんだからなのかなって」

 

 

「思っちゃったんだ」

 

「何だかんだ大好きなお兄ちゃんが」

 

「そのお兄ちゃんを変えてくれた璃亞さんが」

 

「…両想い、なのは判ってたからね?」

 

「もし、2人が付き合ってくれたら……」

 

「2人がもっと幸せになってくれたら……」

 

「こんな幸せな、ことは…ないなぁ……って」

 

 

「だから、ホっっントーに嬉しいんだ……っ!」

 

 

 

「泣かないで。…菟希ちゃんに涙は似合わないもの」

 

んぅ……ッごめんね………」

 

「謝るなら私の方よ? 貴女にどれ程救われたのかしら」

 

「そんな、私なんか何も……」

 

「駄目。ほら、私をちゃんと見て?」

 

「ん!」

 

 

「貴女も私達にとっての“ヒーロー”よ」

 

「飛威炉は恥ずかしがって言わないだろうけどね?」

 

「とびっきりのその笑顔と優しさが………」

 

「生き甲斐で、そして日々の支えなの」

 

「…だから卑下しないで。怒っちゃうわよ?」

 

 

「うん……わかった」

 

「そ、菟希ちゃんはソレで良いの」

 

「………む~じゃあさ、お願いあるんだけどいいかな?」

 

「どうしたの?」

 

 

「『菟希』って呼んで」

 

 

「良いけど……どうかしたの?」

 

「あのね? 私が璃亞さんと一番仲良いって思ってるの。少なくともお兄ちゃんに負けないぐらいにね?」

 

「…勿論」

 

「でも雷咲さんとか、A組の皆を呼び捨てで呼んでるの見てね?」

 

 

「…嫉妬しちゃったんだもん」

 

 

「もーホント貴女って子は!」ギュッ

 

「むぐぅ」

 

「幾らでも呼んであげるわ。…“菟希”」

 

「────……なぁに? 璃亞さん」

 

「私と同じね。耳赤くなってるわよ?」

 

「えっ⁉ ………もー意地悪」

 

「お返しよ。フフッ」

 

「やられちゃった~……コレぐらいのをお兄ちゃんにやってあげれば良いのに」

 

「……まだ、無理かも」

 

「乙女じゃん。可愛いなぁも~」

 

 

 

 

 

────……じゃあさ、付き合ったらしたい事ってある?」

 

「そうね………」

 

「やっぱりキスとか?」

 

「っき!??」

 

「ビックリし過ぎだよ~だってそーゆーモノじゃないの?」

 

「………したく、は…ないわけじゃ、ないっけ、ど」

 

 

 

 

 

 

 

────……ん~、璃亞さんー……?」

 

「なにぃ?」

 

「わたし、だって…大好きだ……から…ねぇ」

 

「んふふ……判ってるわよ」

 

「ほんと~……────?」

 

 

 

 

 

 

 

「スー……────スー……────」

 

 

「………先越されちゃったわね」

 

 

「私、まだ眠れないのに……」

 

 

「…フフッ、綺麗な寝顔」

 

 

  「…よ…っか……ったね…璃……亞さ…ん…」

 

 

 

「────……おやすみ、菟希」

 

 

 

 「明日から……どんな顔で話せばいいんだろう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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