緋色の英雄   作:kozmo78

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第42話 種明かし

 

 

 

 

 

 まだ、実感が無いわね。

 

 

 

 雄英に受かった時でさえまだ生きた心地してたのに……

 

 

 胸の内で幸福感と少しばかりの不安が渦巻いて。

 

 

 

 

────……話は、昨日に戻る。

 

 目覚めてすぐ菟希に染み付いて治せない上がり切った口角を笑われちゃったし、朝食の際にはアイツの顔見るなり恥ずかしさやら嬉しさやらで会話も儘ならないし。

 

 このまま天蟲家に居ては駄目だって思って急いで逃げ帰って。

 

 でも戻ろうが落ち着く訳も無く、レポート課題も碌に進まない程に呆けてばかり。

 洗面台で鏡越しに頬の緩んだ『私』と目が合った記憶しか印象に無いかも。

 

 

 だって、寝る前にアイツの連絡見たら………

 

 

 

 しかし、私の脳を占領したソレは結局は未来の話だ。

 

 …いや確実に起こるかも決まってないの。

 ひとまずは日常に戻る必要がある。

 

 今回の件は正直なところ、皆にバラしたくない気持ちが強い。

 理由は単純に恥ずかし過ぎるってだけ。…菟希と朱寧さんには時間の問題って言われたけどごめんなさい、『私達は意地張ってただけでホントは両思いでした』と打ち明けるのは待たせてほしい。

 

 今朝だって、さぁ……────────

 

 

 

  『……っ、おはよう』

 

  『ッ………うん。おはよう…』

 

  『……………皆に言うか? 昨日の事』

 

  『………まだ、良いんじゃないかしら………?』

 

  『…そうだな。付き合ってる訳じゃないしな』

 

  『うっ……うん────……』

 

 

 

 …ここから電車に揺られても尚、互いに口を閉じたままだった。

 

 ギクシャクしてばっかりで嫌になる。

 ………『好き』って気持ちが私達の関係性をこうも歪めてしまったとは。

 

 あんな状況で人前に出てはいけないと校内では包み隠そうと努力した。

 ここ最近多忙を極めた飛威炉もひと段落、仮免を取得するまでは普段通りの通学が許された様だ。…だからこそ職場体験の振り返りだろうが基礎学だろうが同じ室内に居る以上は無意識で視界に捉えてしまう。

 いっそ今日ぐらいは下らない理由でも良いから休んでくれてたら楽だったのに。

 

 

 飛威炉はまだ良いわ。実際騙せてはいたもの。

 

 

 …放課後にはもう、馬鹿な私の手筈は見透かされると言うのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずっと気になってたけどなんか変じゃない?」

 

「そうですね……」

 

「え?」

 

「いつもと雰囲気違うって言うか、どうかした?」

 

 

 夕暮れ時、駄弁りながらシャーペンを走らせてた時だった。

 

 雄英にも比較的近い幽里家にお邪魔して、先程まで『職場体験終わってすぐ中間テストってキツくない?!』とか、『夏休み何する? 合宿抜きで2週間ぐらいあるよね?』とかの雑談から一変。

 

 ジト目で見詰める2人。虚を突かれた私。

 

 

「……私から、良いですか?」

 

「芳乃っちどうぞ!」

 

「っその、朝からずっと天蟲さんに対して余所余所しかった気が」

 

「そー!」

 

「っ!?」

 

 

 いとも簡単にそんな……やはり貴女たちが最初なのね。

 

 無駄な足掻きだった。簡単な話、最早私より“私”に詳しい雷咲と芳乃に隠すという考え自体が皆目見当違いだったのだろう。

 …つくづく実感するわ。女優の娘の癖に演技は下手なのよ私。

 

 気付けば似つかない真剣な表情になった雷咲が机越しに向き合う。

 その姿に、誤魔化しは無礼だと思い知らされる。

 

 

「お昼も会話少なかったし……単刀直入に聞いていい?」

 

「………………うん」

 

「2人に、何かあったんだよね?」

 

 

 

 

 『何かあった』────……

 

 

 では、済まない事件だったわ。

 

 私の将来設計全て覆す羽目になったもの。

 

 

 しかしね? 結果としては何も起きてない・・・・・・・と同義なのが問題よ。

 

 

「……本当は隠しておきたかったの」

 

「何で? ウチたち友達じゃん!」

 

「そうです………!」

 

「違うの。貴女たちが思ってる程の話じゃなくて……」

 

「「え?」」

 

 

 今更濁しても恥の上塗りなだけ。

 

 覚悟決めたんだったらちゃんと話しなさい。

 かけがえのない………“友達”でしょ?

 

 

 さぁ、白状しましょうか………───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────……って事が、あったの」

 

 

「じゃあ…お互い好きだってのは判ったけど……」

 

「付き合、ってはいない………のですか?」

 

「…笑うなら笑って頂戴」

 

 

 そう反芻されると────……本当に間抜けな話ね。

 

『友達には囃し立てられてた上で意地張ってた癖に結局は心配されてたのが嘘のように解決、それも両想いだって互いに解っておいてまだ付き合っても無い」

 …もう私の面目丸潰れね。隠そうとした以上余計に思うわ。

 

 成功体験を期待してた、と唖然としたままの2人の顔を見て勝手に勘繰ってしまう。

 何も可笑しくないしね? こんな無様な姿……知られてしまえば内心込み上げてくる感情は普通であれば哀れみの他無いでしょうし。

 

 

「…笑わない、ってかメッチャ怒ってる」

 

「………ごめんなさい。黙ってて」

 

「さっきも言ったじゃん。ウチ達、友達でしょ?」

 

「うん」

 

「恥ずかしかったのかもしれないけどさ? ちゃんと信頼してほしいなー」

 

「っ私も、そう思ってます……! …私では頼りないかもですけど」

 

「いやカッコ付かなくなっちゃうよ芳乃っち~!」

 

 

 …そんな揶揄う雷咲と普段通りの芳乃を眺めてる内に、下らな過ぎる感情を優先してしまう様な自分がどれだけ恵まれてるかを実感してしまった。

 

 また・・、同じ失敗を繰り返したんだ。

 

 自分の物差しを信じて真実を隠そうとする────……天蟲家の皆にも叱られたのに何故学んでいないのだろうか。

 そもそも、2人が私を嗤うなんてしないの解ってたのに。

 

 

……その、私は怒れる立場じゃないので」

 

「立場って…駄目だよ! こーゆー時は流石に聞き逃さないよ!」

 

「……知ってたんです。天蟲さんの真意を」

 

「「え?」」

 

 

 

────……『知ってた』?

 

 

 

 

「黙っててすみません。体育祭の時に実は天蟲さんに聞いちゃってて……」

 

「体育祭────……えっ昼休憩のあの時?!」

 

「憶えてらっしゃったんですか………?」

 

「っ…飛威炉が何か隠してたのは気付いてたけど……ホントなの?」

 

「…ざっくり纏めると『好きじゃない訳が無いだろ』って」

 

 

 なっ

 

 

 

 

 ………色々と合点がいったわ。

 

 飛威炉が私に何か隠してたのはハッキリ解ってたけど、体育祭で明らかに芳乃の覇気が違った事を貴女に追及してなかったわね。

 あの後の打ち上げの感じとか、だから、あぁー………

 

 …その件はアイツを問い質すとしましょうか。

 

 

「その話ウチも初耳!? ちょっと芳乃っち~?」

 

……天蟲さんに『答えるから本人に言わないでほしい』と…頼まれたので……」

 

「そっか~……じゃあ許す!」

 

「あっ、ありがとう…ございます」

 

「ってか璃亞は何でそんな面白い事あって隠そうとしてたの! 藍とかソレ知ったら怒っちゃうから! ってかグループで共有して良い?!」

 

「ちょっ急に!?」

 

「まずさ、そもそも現時点でほぼ付き合ってるようなもんじゃん! なに告白待ちって……恋愛もの好きなウチでも初めてのシチュエーションだよ!」

 

「ぅ………」

 

 

 どの口が言う……って感じだけど同感ね。

 

 『見栄を張りたい』と言われても、待ってる側はどう想って生きてればいいのかしら?

 催促する気は無いけど現状を鑑みるに限界は近い。…私の方はね。

 

 

「予定とか決まってんの?」

 

「わっ…分かんないわよ……インターンがひと段落ついてからとしか…」

 

「え~~」

 

「…雷咲さん、あんまり聞くのは駄目ですよ? 璃亞さん達が決める事ですし……」

 

「芳乃…………っ!」

 

 

 ……そんなフォローしてくれるなんて感動しちゃったわ。

 芳乃はもう昔と大違い、誰かの目の色を気にして怯えている頃とは遥かに成長している。

 

 雄英での経験もあるだろうけどソレ以上に職場体験が大きかったんでしょうね。

 一緒にリュ―キュウ事務所で学ばせてもらったモノは確実に彼女の自信に繋がった筈。

 

 

「芳乃っちホント変わったよねー…明るくなった!」

 

「いやいや私なんか2人と比べたらゴミみたいな存在で……

 

「感動してる間に……まぁソレも“貴女”かしら」

 

 

 フッ……尻すぼみになっちゃうトコロは変わらないわね。

 

 人一倍優しい貴女にそう言ってもらえるのなら……飛威炉の意思を尊重して良い、と烏滸がましいけど思ってしまいそう。

 

 

 雷咲の方は────……渋々って感じでため息ついてた。

 

 

「…分かった。見守るって事で」

 

「そうしてくれると、嬉しい……わね」

 

「でも出来るだけ手助けするつもりだよ! ね、芳乃っち?」

 

「はっ…はい! 私にできることが有れば幾らでも!」

 

「私達だけじゃないからね? 今居ないメンバー全員も2人を応援するから!」

 

「────……ありがと」

 

 

 零れ落ちた小さなソレじゃ足りない位、なのよ。

 

 …私がすべきは“正しく”友達に甘える事。肝に銘じておきましょ?

 

 

「個人的には想像以上に解決するの早かったな~って思った!」

 

「……うん。確かにね」

 

「卒業するまで意地張って進展なしってパターンもあったのにさ、知らず内に1ヶ月と少しで一気に行ったのはビックリ!」

 

「『一気に』って……付き合ってすらいないわよ?」

 

「まだ言うの~?」

 

「いや、だっt……あっ………うん」

 

 

 …当然よね。口答えしない方が身の為か。

 

 最早、違和感すら覚えてる。雷咲たちとは知り合ってまだ2ヶ月も超えてないって事には。

 5月に入ってから急展開過ぎて実感こそ湧いてこないのが原因かも。

 

 飛威炉と知り合ってあまりに人生が変わり過ぎたから……私の方は短いようで長い年月だったかしら。

 だからこそ、他人から見ても不可思議な今の関係に私自身戸惑ってるの。

 

 

「ん~この感じだし飛威炉くんに『さっさと告白s、

 

 「雷咲さん?」

 

「ゴメンごめん……夏までは静観しておくよ。その後は流石のウチでも無理だからね?」

 

「…一応待たせ過ぎたら私からも、とは言ってるし。まずは本人の身の周り整理してからじゃない?」

 

「インターン、の件ですか……」

 

 

 なんとか矛先を飛威炉に向けられた。

 告白云々は私1人の問題じゃないから……許してね飛威炉。

 

 

 久し振りの登校。本来であれば話題の中心は職場体験の事なのは当然の流れ。

 蝗賀くんと婭夏葉たちは親の事務所を選んでたり、仰木に関しては期間中に知ったけどNo.2ヒーロー“エンデヴァー”の事務所を選んでたりとトピックは満載だった。

 

 良いも悪いも、現れて早々好奇な目を集めたのはアイツ。

 

 

「ヤバかったねー“MIGHT-MEET”も! もう一躍芸能人の仲間入りって感じ!」

 

「来月の試験に合格したら仮免………凄い、って言葉じゃ言い表せないです」

 

「テレビで初めて見た時は正直ハテナだったもん。どーゆーこと?って」

 

 

 口々に出る2人の台詞────……今日の学校を思い出すわ。

 

 多少のメディア露出なら学年問わずであれば居るでしょうけど、学生の身で有名番組に出演しあろうことかオールマイトと仲睦まじく話してたなんて話題にしない訳が無い。

 加えて記者会見と“HArP”の件。…初見だったら混乱するでしょう。

 

 反感憶えてる人も居たわ。仰木だけなら慣れたものだけど、数人のクラスメイトが微かに怪訝な眼差しだったのは………気付きたくなかったわね。

 私はある程度先に知ってたし幾らかマシだったけど。

 

 

「計画自体は飛威炉の今後の頑張り次第だから。別に決まった訳じゃないわ」

 

「でも何も心配無くない? そりゃ駄目だったら話変わっちゃうかもしれないけどさ、飛威炉くんだったら絶対大丈夫でしょ!」

 

「“機動装甲服アーマードスーツ”もありますし………」

 

「使わないんだって」

 

「「え?」」

 

 

 重なる2人の疑問符。

 …まず現状も理解できてないしそりゃそうよ。

 

 なら、私から説明した方が良さそうね。

 

 

「最近、飛威炉が世間でどう評価されてるか知ってる?」

 

「ん~普通に雄英で一番凄いって言われてるんじゃないの?」

 

「基本的にはね。異端な人間にあの装備はもう批判の対象になっちゃうの」

 

「…何故、ですか?」

 

 

 芳乃が納得いかない感じで小さく呟いた。

 

 口では拒んでも飛威炉を取り巻く状況を知らない筈が無い。

 『出る杭は打たれる』とは飛威炉にこそ相応しい言葉だと、賢い芳乃ならちゃんと俯瞰してれば思い至る筈でしょうね。

 

 …友達クラスメイトへの理不尽を許せるかは違うよね?

 

 

「現代ヒーローに一番求められるのは『画一性』、って話知ってる?」

 

「カクイツセイ………とは何でしょ璃亞先生?」

 

「どれだけ唯一無二か、ってことよ」

 

 

 突然の質問で話の腰を折ってしまった気もするけど、近代英雄学では切っても切れない研究結果だから仕方ないのよね。

 雄英だったらいずれ授業で扱うんじゃないかしら?

 

 “HArP”とは『技術サポートアイテムでヒーローを創り上げる計画』。

 

 …言い換えれば、『個性・・無関係にヒーローが生まれる・・・・・・・・・・・・・ってこと。

 

 

「ビルボードチャートJPでも判る様に個人の実力だけがヒーローとしての評価じゃないでしょ? 余程飛び抜けてない限りは」

 

「“ウォッシュ”などのプロヒーローがそうですよね……」

 

「うん。派手な必殺技やキャッチ―な人柄とか、そう言う別の意味での個性・・も重視されてるって訳ね」

 

「そっか~…私、何となくでランキング見てたけどやっと理解できたかも!」

 

「プロヒーロー目指すなら大事なトコよ?」

 

 

 年2回催される日本ヒーローの順位付け。最近は1位オールマイト・2位エンデヴァーは確定で、他の上位は様々な理由で変動するって感じね。

 あっ、下半期だと“ホークス”がまた順位上げてたわね。

 

 でね? 評価を占める最大値は『支持率』、要するに国民にとっては何処でも良いから惹かれる要素を見出して応援するのが現代の採点方法よ。

 更に1位が余りにずば抜けてるせいで国民が危機感を覚える程の事件が起きないし、目に視える形で戦闘能力に差を探せる様な機会も無い。コレは犯罪発生率の減少が証明してるわ。

 

 じゃあさっき挙げたウォッシュなんだけど………分かり易いのが子供人気ね。

 洗剤系CMとキッズイベントはオールマイト除けば彼(?)の独壇場。そこが投票に影響して────……気付けばトップ10の常連よ。

 

 

「……でも何で飛威炉くんは駄目なの?」

 

「もし“燈日綺矩ヒヒイロカネ”の人気が出たらどうなると思う?」

 

「どう、なるって……何だろ?」

 

「ヒントは『何』を売りにしてるかってトコロ」

 

「………サポートアイテム主体のヒーローが増える?」

 

「正解よ芳乃」

 

 

If you're nothing without the costume, you shouldn't have it.戦闘服無しで駄目なら、戦闘服を着る資格は無い

 

 

 …アメリカのある有名ヒーローが遺した言葉よ。ヒーロー基礎学の教科書でも当然が如く記されてる、歴史に名を残す程の“格言”とも言えるでしょう。

 人に支持される程のプロヒーローが特徴的な戦闘服コスチュームを纏う事は在れどソレありき・・・のパターンは皆無よ。

 

 だって、急を要する場にサポートアイテムがあるかは限らないから。

 

 「今は無理」なんて言い訳を負傷者の前で宣う人間がヒーローを名乗る資格は無い。

 自分の身一つで大勢を救う覚悟と能力、双方手にしてやっとスタートラインに立てるんだ。

 

 

 じゃあ“燈日綺矩”は? 残念だけど『身一つ』ではないの。

 

 サー達が飛威炉の能力を保証しようとも、世論が彼のスター性にどう惚れ込もうとも、学生の身で今後どれ程の凶悪犯罪を解決しようとも。

 …ヒーローの“前提”を覆し得るかを議論するのもまた世論だ。

 

 評論家が「超常社会を否定する計画」と悪辣に批判はするし、一部のプロヒーローが「武装ガジェット頼りのビッグマウスのガキ」なんて嘲笑ったりもしてる。

 当然だけど、久悟さんとKURI8への賛否も完全に半々だ。

 

 

 そう、ずっと懸念してたのに────……私じゃ結局止められなかったんだって勝手に開いてしまったネット掲示板を陰鬱に眺める度に思い知らされてるわ。

 

 

「別に現代で該当するヒーローが居ないって話じゃないけどね? 仮に『個性』の重要度が薄まる風潮が生まれたら極論AI・ロボットに任せて良くないって流れになりかねないでしょ?」

 

「そうなの? う~~ん……」

 

「…天蟲さん、大丈夫なんでしょうか?」

 

「私が一番嫌なのはアイツはそこも承知ってとこね」

 

 

 虚勢じゃないなんて解ってるわ。

 “注目を浴びれば批判など如何だって良い”と断言する精神力よ。

 

 そんな奴が気付けば超常社会を変え得る思惑の中心に居る。

 …現状が善いか悪いか、私にはもう判らない。

 

 

「それで話は戻すけど、次の仮免試験で社会に“何”を示すべきかを考えたら……」

 

「…機動装甲服無しで仮免試験をクリアすれば誰も文句は言えない、と思い至ったのですか」

 

「決めたのは上の方たちらしいわよ。本人は私に啖呵切った手前ちょっと申し訳なさそうにしてたし」

 

「あぁ~そこはそうなんだ!」

 

「告白に向けて私に全力だって事を示し、ていきたい…って………」

 

「え~どうしちゃったの~聞き取れなかったな~~?」

 

 

 昨日の夜送られてきた文面そのまま話して……また恥ずかしさが増していった。

 私、芳乃を弄る様なこと口にする権利無いわね。

 

 使わない旨を聞いたのは昨夜で、そもそも簡易的な戦闘服しか使う気が無いらしい。基礎学の実戦で普段使いしてるガントレットとかも抜きだって。

 

 …その後の謝罪と先程の台詞で許しちゃったけど、理屈や意思で見逃して良いレベルの問題じゃないわね。

 

 

「正直……だとしても失敗する姿が想像できない、です」

 

「流石に舐め過ぎよ? 体育祭で全国に『個性』が知れ渡ってるし、まず試験会場にたった1人の1年生よ? 集中砲火を受けない筈が無いわ」

 

「確かに!」

 

「………大丈夫です。飛威炉さん、ならば……」

 

 

 へぇ、それ程までにアイツを信頼────……それはそうか。私よりも先に飛威炉が隠してた真実を知ってる位だからね。

 嫉妬しちゃうわホント。

 

 

 色んな要素で心配してる反面、『見返してほしい』って気持ちもある。

 

 飛威炉は“世間知らずのガキ”でも“過大評価”でもない。

 期待も批判も、その全てを上回る人間だから。

 

 

 

「さて……如何なるものかしr、

 

 「なんかキリ良い感じになってるけど」

 

「ん?」

 

 「まだ、告白の件…話し足りないです」

 

「うっ………」

 

 

 捕まってしまった。

 

 手遅れね。…その分の贖罪、しないとかしら。

 

 

 

 だけど、あまり雑談に集中して課題を疎かにしたら後で苦労しちゃうんじゃないかしら────……って返答は言わないでおこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────……なに雷咲? こっちも忙しいのよ?』

 

「あのね藍! 実は………かくかくしかじか」

 

『は? ちょっと璃亞に変わりなさい』

 

「ハイどうぞ!」

 

「…なん、でしょうか」

 

『おめでと』

 

「(…………っ!)」

 

『ってかあのさぁ、何でアタシ居ない時に……──────

 

 

「(逆にこれだけバラして飛威炉になんて言えば良いのかしら……?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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