緋色の英雄   作:kozmo78

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第43話 仮免試験《1》

 

 

 

 

 

 『トレーニング全行程終了。内部ノ温度ヲ下ゲマス』

 

「────……ふぅー」

 

 

 機体の中に響く抑揚の無い声。火照った体を冷却しながら一息つく。

 

 …カツカツと、呼吸を整えている内に俺しか居ない筈の訓練場で乾いた足音が聞こえてきた。

 

 

────……精が出てるな」

 

「来られてたんですね。丁度終わったトコロですよ?」

 

「そのスーツをココに寄越した責任者が来ない訳が無いだろ?」

 

「それはそうですね」

 

 

 今、俺がこうやって機動装甲服アーマードスーツを使えてるのはサーのお蔭だ。

 現状は責任者……つまり“HArP”メンバーの3人の許可無ければ使用不可だ。まぁ仮免も所持してないのだから当然とも言えるし、この戦闘服コスチュームに掛かってる金額を思えば訓練だろうと使って良いものか?と当事者ながら考えてしまう。

 

 そしてここ“神野QT-Base”、プロヒーロー御用達の個性特化訓練施設を貸し切れてるのもサーの名義があってこそ。

 少なくともスーツ運びながら俺独りで帰ろうものなら面倒ごとは想像に難くない。行きは俺だけだったが。

 

 

「訓練するのは構わないが仮免試験では使えない事を忘れてないな?」

 

「…雄英でも使わない以上はこう言った場面で慣らすしかないんで」

 

「なら良い。使用許可は合格後に新機体・・・共に渡す予定……抜かるなよ」

 

「はい、じゃなきゃ信用得られませんから………」

 

 

 許可はくれたがサー視点では謎かもな。来月の試験で俺自身の実力を改めて証明するって話になったのに、機動装甲服を用意させる程の練習に付き合わせてるだなんて。

 

 第一にこの戦闘服、一旦はお別れとなる訳で。

 

 俺に名付けられた二つ名 “緋色のスカーレットヒーロー”と、黒を基調としたこの試作品は若干ながら矛盾を生んでしまっている。

 『個性』さえ発動すれば問題は無いんだし……って思ってたんだが「技術者魂に反するね! 顧客に相応しいモノ造ってこそだから!!」と啖呵切られたら俺は何も言えないな。

 より良い機体貰えるなら、それこそ願ったり叶ったりだ。

 

 

 

 『身体に慣らすのなら今じゃなくて良い』

 …そんな意見だったら御尤もだ。初見で触ってある程度の感覚掴んでたし、脱走事件の時だって運用に手間取った憶えは無いんだよな。

 

 じゃあ何故? 解っていながらサーに対して誤魔化した理由は?

 

 

 その答えは……───────

 

 

「何だ?」

 

「………………?」

 

「私が先の提案をした時お前は二つ返事で答えてみせた。だというのにその腑抜けた顔は何だと聞いてるんだ」

 

「っ!」

 

 

 手厳しい、ってもんじゃないな。

 サーならば気付かない訳が無い……か。

 

 『個性コア』に負担を与えない様に手加減した訓練でこの俺の鬱蒼とした気分が晴れてはくれなかったみたいだ。

 

 …今日の登校中は隠せたと思ってるんだが、いざ隙を見せたらボロが出てしまうって訳か。

 似たような記憶が体育祭の日にも会った気がするな。

 

 

「いや、そのですね………」

 

「今更怖じ気付いたとでも?」

 

「……違いますよ」

 

「だろうな。死地に送り込んでも平静を保てる人間だ」

 

 

 言い過ぎだ。「死にに行け」と言われて怯えない人間が居るか?

 

 

 

 ………いや、そこは如何でもいいな。

 

 ホント、サーには感謝してるんだ。

 厳しくもありながら贅沢ばかりの俺に口を挟まないで居てくれる。

 

 先見の明を持つ貴方が“俺”にどんな未来を視てるのだろうか。

 

 

 

 

────……解らなかろうが、真摯に答えるのが筋だろう。

 

 

 

「サーに明かしても意味無いと思うんですが……」

 

「端的に纏めろ」

 

「告白するんだったらどんなシチュエーションが良いと思います?」

 

 

 

 

 シンプルに答えたが、絶句させてしまったか。

 

 

 …そんな気はしてたんだよな。

 

 サーがこのタイプの話に取り合ってくれるかも不安ではある。

 まぁ、弁明するしか道は残されてないんだが。

 

 

 

 「…すみません。補足しますね」

 

 「俺、好きな人が居るんです。同級生に」

 

 「で告白をするって決めたんですよ」

 

 「しかし……経験無くて碌なプランが思いつかず」

 

 「正直な話、勉強も手がつかないからココに来てて」

 

 「体動かせばスッキリするかと思ったんですが」

 

 「……反応を見るに無駄だったようですね」

 

 「今後の予定に悪影響出す気は勿論ないんで」

 

 「出来るだけ早く普段通りにm、

 

   「くふっ」

 

 「………っ!??」

 

 

 

 

 

 しかし、情けないが今述べた通りなんだよな。

 

 朝目覚めても、授業を受けてても、家帰っても変わらない。

 今朝の会話なんて尚更だ………璃亞の姿が何やってても俺の頭から離れる事は無かった。

 

 そりゃそうだろ? 両想いだなんて想定してなかったし。

 

 今までずっと秘めてきたのに、いざ口に出してしまったら歯止めが利かなくなるとはな。

 仮免試験だって近いのに脳内回路が導き出そうとしてくるのは『無知なお前が如何やって璃亞が納得してくれる程の状況を創り出す気なんだ?』って難題ばかり。

 “恋愛脳”など昔の俺には到底関わる事の無い現象……だと思ってたのが恥ずかしい位だ。

 

 これじゃ駄目だとサーに頼み込んでココを借りたが、結局は機動装甲服という情報量の塊を利用して別のナニカに意識を取り戻そうとしてただけ。

 で、時間の無駄だったんで────……ってタイミングに貴方が訪れたんだ。

 

 

 その貴方が吹き出すとは、想定の遥か上を超える反応だ。

 

 

 …いくら大人だと言え、サーが俺みたいに恋愛なんて知るか!ってタイプと踏んでたのは事実。鼻で笑われるのも有り得た筈だった。

 

 最初に貴方の琴線に引っ掛かるのがダサい生き様とは。

 

 

「ユーモアの欠片も無い奴だと思ってたんだがそうでもないようだな」

 

「…初めて笑わせられたのがこのタイミングとは」

 

「世間の目にも物怖じしない人間が恋愛沙汰で取り乱すとは、これ以上ない程にユーモラスな状況だな」

 

「予想としては咎められると……」

 

 

 正直、璃亞に打ち明けた時点で頭の片隅はあった不安。

 『象徴』が如何こう言ってる癖に恋情にかまけて、“全部選ぶ”なんて傲慢過ぎる妄想だと吐き捨てられてしまうんじゃないか?って。

 後悔は無いが………正しかったかは永遠に解らない。

 

 …その懸念を『ユーモア』と称すとは、ある意味で救われるな。

 

 

「君の学生生活を脅かす気は無い。久悟氏との契約としても、私自身の思想としてもだ」

 

「感謝しま……した方が良い奴っすよね…?」

 

「舐めた体たらくが続く様なら契約を打ち切る。…ソレだけだ」

 

「っ………じゃあさっさと吹っ切れないと、ですね」

 

 

 ……正に、仰る通りだな。

 許すのは飽くまでも一般的な学生生活を侵害しないってだけ。

 

 掲げた覚悟を守れないんだったら、クビを切られて然るべきだ。

 

 

「先ずは普段の生活に専念しろ。こんな所で油売ってるんじゃなくな」

 

「解りました……“AISA”、装着解除だ」

 『了解』

 

 

 黒鉄から解き放たれ、ココに来た時振りに生身の身体を取り戻す。

 クールダウンも済んだし体調は万全だろう。

 

 この戦闘服、俺の『個性』を動力源に別種のエネルギーを生む。仮に“エネルギー炉”を直接使うんだったら元々の負担とそう変わらないからな。

 お蔭でキツめの特訓後でも喘息にも近い症状も引き起こさないで済んでる。

 

 ちなみに………栗衛さんの研究では俺由来の燃料を『個性』抜きで増産しようとしてるらしい。

 法に触れてる気もするが大丈夫なのか?

 

 

「帰りは如何されます?」

 

「送るから早く支度しろ」

 

「重ね重ねすみません。…で、アドバイス貰えますか?」

 

「調子乗るなよ?」

 

 

 フッ………流石に釘刺されたか。

 

 助言を求めちゃ駄目だな。

 俺が決めなきゃ、なけなしの尊厳を更に失ってしまいそうだし。

 

 

 

────……って無理かもな、多分。

 

 昨日の夕食での菟希の冷ややかな視線が忘れられない。

 俺が独りで理想的なデートプランを組めると思ってる訳が無い、そろそろ「いい加減用意できた?」と詰められる頃合いだろう。

 

 …その前に菟希を納得させる計画立てておかないと、だな。

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 「遂に来たか。この日が」

 

 

 ふと呟いてしまった。誰に訊かれてるでも無いのに。

 

 

 中間テストも、幾多の基礎学も、少々のメディア出演も終えて。

 

 気が付けば────……件の6月だ。

 

 

 休日の早朝ながら周りは騒々しい。

 

 今日という1日、ヒーロー科には最重要事項と称しても良い。

 送迎バスに連なる大勢の2年次生徒、俺の諸先輩方の空気に明らかに緊張感が奔ってるのは見て取れる。

 

 …どうしても、終着点の判る“敵意”に意識は向くが。

 

 

「引率は私よ。宜しくね?」

 

「ありがとうございますミッドナイト」

 

「1人だけの引率って、初体験なんだけど」

 

「あぁ……最早俺だけで会場行くもんだとも思ってたんですが」

 

「一応学校行事の一環よ? ほら乗りなさい」

 

 

 ココの駐車場でよく見た特注車両と共に俺の引率が。

 雄英って豪華過ぎる来賓ばかりだしな、納得は出来るがたかが生徒1人の為にしちゃ有り得ないレベルの用意ではある。

 

 しかし『学校行事』か………俺だけしか居ないけども。

 

 

「そうは言ったものの、私は呑み込み切れてないわね」

 

「他の先生も大体一緒の意見でしたし合ってますよ」

 

「根津校長が認めてるって凄いわよ? そのせいで私達は何も云えないし」

 

「『自由が雄英の校風』……よくその台詞に助けられてますね俺」

 

「自由過ぎはしないかしら?」

 

 

 

 

 …先月、校長室に呼び出された時の事である。

 

 

 

  『オールマイトの事、よく分かったね!』

 

  『カマかけてる訳じゃないさ! …ボクも彼の理解者だよ!』

 

  『そして仮免試験! 各所で色々バツ出てたけどOKさ!』

 

  『僕から伝えるのは2点、まず秘密を守ること!』

 

  『国を揺るがす真実さ! バレたら雄英は守ってくれないよ?』

 

  『次に……試験だね、合格が絶対条件さ!』

 

  『仮免さえ持ってれば雄英は君を縛らないさ!』

 

  『君の望む自由はそれ相応の“結果”で示す……』

 

  『どうだい? 次代の象徴を目指す君なら、超えるべき壁だね!』

 

 

 

────……筒抜けだったんだな。流石は校長だ。

 

 

 俺が認知してる、校長の言うトコロの『理解者』は3人か。

 

 数少ない友好関係を公表してる俺の父さん 天蟲久悟。

 元サイドキック サー・ナイトアイ。

 雄英高校のトップ 根津校長。

 

 ひょんなことから俺が知ってしまったんだが、どうせ隠匿すべき真実はまだ辿り着けていないんだろうな。

 オールマイトの腹を貫いた相手が誰かも知らないし。

 

 

 まぁ色々掘り下げるべき部分を有るが一旦はミッドナイトとの話だ。

 

 俺が関わる大体の事が“雄英の生徒だから”お咎め無し………とはなってないんだけども、これ程までに自由な選択が出来てる理由の大部分を占めている。

 条件が有るとは言え、校長が味方で居てくれるのは有難い。

 

 …俺が言える立場じゃないが“敵”は多い身なんだからな。

 

 

「雄英の先輩方は別の会場って事ですよね?」

 

「そうよ。…ココだけの話、一緒じゃなくて良かったと思ってるわ」

 

「と言うと?」

 

「まず体育祭の時点で波紋が広がってたわ。インターンの為に自分の持ち味魅せなきゃって切磋琢磨してた中、別会場で貴方がその日一番の盛り上がりを魅せて」

 

「耳が痛い話ですね」

 

「仮に雄英の括りで今日の試験を共にしてたら……和気藹々と出来るとは教師目線でも保証できないわ」

 

 

 …ミッドナイトでも危惧してたんだな。

 まぁ今日の雰囲気見れば誰だってそう思うかもしれないが。

 

 2年生は国内ヒーロー科で雄英と並び称される士傑高校とかと一緒の会場と聞いている。俺みたいなイレギュラーは別として、ある程度は会場ごとに基準が設けられてる様だな。

 特にこの2校は設備等々で抜けてるし他校からしたらまず同じ条件で戦う事こそ傍迷惑か。

 

 そんで俺の方は味方の筈の存在すら敵に成りかねないと。…教師に哀しい心配されてると思うと申し訳ない気持ちになるな。

 

 

「配慮に感謝します、ってかそんな話を俺にして良いんですか?」

 

「駄目よ」

 

「………そーですか」

 

「『ココだけの話』と言ったでしょ? 忘れてもらって構わないわ」

 

「…そこもひっくるめて俺の責任なんで」

 

「貴方ねぇ~……今日会ってからずっと思ってたけど緊張とか無いの?」

 

「そりゃあ、有りますが」

 

「あら」

 

 

 思いがけない返事って反応だな。

 

 ミッドナイトと俺は少しばかりか謎の縁がある。

 中学の時に行ったイベントで居たのが貴女だ………ヴィランが仕掛けた爆弾を花火扱いして滅茶苦茶説教されたのは忘れられないよ。

 

 確かにまぁ、当事者なら俺を緊張知らずの変人と勘違いするかもな。

 

 

「意外でしたか?」

 

「てっきり即答するんじゃないかってね?」

 

「そこまで阿呆じゃないですよ。背負ってるモノを重荷と思わなければ他人の想いを踏み躙るようなプロヒーローに成りそうですから」

 

「はぁ────……生徒と話してる気がしないわ。私はね? 体ブルブル震わせて『でも頑張んなきゃ……!』って自分に言い聞かせてる若者の姿が見たかった訳!」

 

 

 …これがアレか、“18禁ヒーロー”たる姿か。

 

 ミッドナイトが青春好きって話はクラスで話題になってたがやっと納得できたよ。

 この言い分だと何が青春に相応しいか判らなくなりそうだが。

 

 すると、彼女の視線が俺の右横に向くのに気付く。

 

 

「で、本当に持ってきてないの? 事前に訊いて耳を疑ったんだけど」

 

「コレですか? はい、違う戦闘服コスチュームですよ。…まぁ機動装甲服アーマードスーツを心待ちにしてるマスコミも多いんでしょうが」

 

「そんな事言ってるなら持ってきなさいよ」

 

「申し訳ないですが、こっち・・・にも色々考えがあるんで」

 

「あっそ。あまり舐めてると痛い目合うわよー?」

 

 

 実際、事情を知らないと馬鹿げた話だろう。

 

 ハッキリ忠告してくれるだけまだ優しいよな。

 気付けば、クラスメイトにも先程の視線と同じモノを向けられてる。

 …社交性も遠慮も無い人間には相応しい待遇か。

 

 だが、ソレで凹んで何も変わらないんでな。

 

 

「舐めてませんよ。…落ちる気は無いんで」

 

「要らぬ心配だったわね解ってたけど。そろそろ着くわ、準備しておいて」

 

「了解です」

 

 

 遮音壁を跨いで見えてきたのが目的地らしい。プロスポーツの競技場を仮免試験で運用できる形に設営した様だ。

 数万単位で集客できる会場を全国規模で利用してると思うと、やはりヒーロー科において今日は特別だと再確認させてくれる。

 

 

 時刻を見れば────……おぉ、開始時間に迫ってきたな。

 

 俺の方の会場は余所と比べてスタートが早めなんだよな。

 試験内容が会場ごとに違うから終了時間にズレが生じてしまう、ソレを防ぐ為にって事だ。…どんな内容で俺達を測るかは知らないが。

 

 

 しかし、何であろうと関係ないさ。

 絶対条件を為せば、遂にインターンに参加できる。

 

 『身の周りの整理』………その1つを終わらせられるんだ。

 

 

 俺が言い出したこの状況、失敗は許されない……──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────……アイツだよな? 天蟲飛威炉って…

───……テレビで観たよりイケメンじゃない?

──……何で1年が来てんだよ? 調子ノッテんのか?

────……ミッドナイトじゃん!? オイ誰かサイン貰いに行こうぜ!

 

 

「流石の人気ね」

 

「ミッドナイトもそうじゃないですか」

 

「…嬉しいけどまだ駄目ね。合格したらやってあげようかしら」

 

 

 大半が俺への謂れで、一部がミッドナイトに対する奴だな。

 

 雄英に居るお蔭で麻痺してたが当たり前みたいに有名ヒーローと一緒に来てるって事がまず贅沢な待遇だ。

 仮免試験で浮足立ってるとしても、テレビ越しに観てた存在が現れるとそりゃ自然と意識が向くか。

 

 ……現に俺がソレで嫌われてるんだしな。

 

 

 何だかんだ周りで囁かれるだけで、受付も楽に済んだ。

 

 じゃあ更衣室行くか────……ってタイミングでミッドナイトに呼び止められる。

 

 

「時間も時間だし私はココまでよ」

 

「引率、感謝します。じゃあ着替えてきますね?」

 

「ちょっ、あっさりし過ぎ! 一教師としての激励の言葉を聞いてから行きなさい!」

 

「あぁ……分かりました」

 

 

 配慮が足りてなかったな、大事な事が抜け落ちてた。

 

 厄介ごとの権化みたいな俺を引率してもらったんだ……有難いお言葉、しっかりと頭に叩き込んでおこうか。

 

 

「オホンっ! 今回の受験、ルール上は問題無いかもしれないけどほぼ特例措置と変わらないわ」

 

「参加者の多くが貴方の存在を認めないのは理解してるでしょ? 1枠でもプロヒーロー人生を左右する意味を秘めてるの」

 

「…貴方への重圧は計り知れない。でも、雄英の“看板”も忘れないでね?」

 

 

 「合格は 絶対 よ。………じゃ、頑張ってね♪」

 

 

 

 そう言って手を振りながら立ち去る背中を見送った。

 

 

 …いや、やはり重いな。

 

 ここで仮免落ちたら全てが泡と消える。

 

 起きうる悲劇が思考を過ってこの身体を竦ませ────……

 

 

 

 

────……んな訳無いよな

 

 

 誰にも文句言わせない……その為にココに来たんだろ?

 

 

 『誰も認めない』? 『重圧』?

 

 何だって上等だ。誰にどう謂われようと関係ない。

 

 

 

 俺の実力を完膚なきまでに示して魅せる。

 

 …璃亞に認めてもらう為に、もう恥の上塗りは出来ないんだ。

 

 

 ハッキリ言ってこんなトコロじゃ躓けないんだよ。

 

 

 

 

 

 

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