転生したらコビーになっていたのでルフィさんと一緒に海賊をやります 作:ふぁたろう
偉大なる原作……グランドオリジナルか。
船旅中、僕はルフィさんと色々なことを話した。
「ルフィさんの夢ってなんですか?」
「おれの夢は海賊王になることだ!」
「……さすがルフィさん、夢が大きいですね。怖くないんですか?」
「ぜんぜん! おれがなるって決めたんだからその為に戦って死ぬなら別にいい」
出た! ルフィさんの名言!
これを聞くために僕はわざと会話を誘導しました!
「なんて凄い覚悟だ……」
「しっしっし! コビーも海賊王の船員になるんだぞ」
「そうですね、僕も覚悟を決めます!」
僕は深呼吸をして宣言する。
「僕はルフィさんを海賊王にします!」
ルフィさんはそれを聞いて、ニイッと笑顔を浮かべた。
「いいねェ、俺の仲間ならそれぐらいは言ってくれなきゃ困る」
こうして僕達はお互いの夢を語り合ったのだった。
◇
「ついたっ! 海軍基地の町っ!」
「はい! ついに!」
「お前すごいなコビー」
「え?」
「ちゃんと目的地についたよ!」
「当たり前ですよ! むしろ航海能力が皆無なのに一人で海に出たルフィさんの方が凄いですよ!」
「はっはっは! まァなんとかなってるんだから良いじゃねェか」
……この町になんとかついてよかったと心の底から思う。
「よし! じゃあ早速メシ食おう!」
「はい!」
◇
「ふぅー、食った食った」
飯屋に入って僕とルフィさんはたらふく飯を食った。
食事がかかることは知っていたので、アルビダの船から1万ベリーほど奪ってきてよかった。
僕はもう海兵じゃなくて海賊だから、略奪ぐらい当たり前だよね。
「そういや基地にいるのかな。ゾロってやつ」
ガタン!
店中の机がひっくり返った。
ビクビクと客が怯えている。
「ここではゾロの名前は禁句のようですね」
ヒソヒソと耳打ちをする。
「ふーん」
ちょっと客の反応が面白かったので、もう一つ禁句を出してみることにした。
「この町にはモーガン大佐という人もいるようですね」
ガタガタアン!!
◇
「はっはっは! おもしろい店だったなー!」
「妙な反応でしたね。気になるので海軍基地に行ってみましょうか」
「そうだなァ」
海軍基地に到着。
「近くで見るとゴツいなー。……よっと!」
ルフィさんは塀の向こうを覗いた。
「魔獣はどこかなァ」
「いましたか?」
「おう! なんかいるぞ! ゾロって奴かも」
ルフィさんは塀を降りて、近くに移動していく。
そして二人で塀に登って覗く。
「ほらあいつ」
「間違いないです……! あれがゾロさんです……!」
「あれがそうか。あの縄ほどけば簡単に逃がせるよな」
「おいお前ちょっとこっち来て縄ほどいてくれねェか。もう九日間もこのままだ。さすがにくたばりそうだぜ」
ゾロさんがそう言う。
原作通りのセリフだ。
「おいあいつ笑ってるぞ」
「礼ならするぜ。その辺の賞金首ぶっ殺しててめェにくれてやる。ウソは言わねえ。約束は守る」
「はっはっは! 面白ェ奴だなァ!」
「しーっ」
少女が登ってきた。
少女が塀の向こうに行き、ゾロさんにおにぎりを渡そうとする。
そしてそこに、
「イジメはいかんねえ。親父にゆうぞ」
ヘルメッポさんがやってきた。
このときのヘルメッポさん、筋金入りのクズなんだよなぁ……。
ガープ中将に鍛えてもらってからはちょっと改心したみたいだけど。
ヘルメッポさんは少女のおにぎりを食べて、吐き出し、踏みつけた。
少女は泣いて、海兵に塀の外に投げ飛ばされた。
「剃」
僕は少女を空中で受け止めた。
「君、大丈夫?」
少女は涙を流して悲しげな表情を浮かべている。
ルフィさんはゾロと会って、地面に落ちたおにぎりを食わせてあげていた。
それを見たルフィさんは笑顔を浮かべていた。
◇
その後、少女と話しているとヘルメッポさんが歩いてきた。
ちょうどゾロについての話をしていた。
ゾロを公開処刑する、そんなセリフを聞いたルフィさんがヘルメッポさんに声をかける。
「一か月の約束はどうしたんだ!」
「なにィ? 誰だ貴様。どこで聞いた。ズが高ェな。そんな約束ギャグに決まってんだろ! そんな約束を本気にする奴も魔獣的にバカだけどな」
その瞬間、ルフィさんはヘルメッポさんをぶん殴った。
「決めたぞコビー! 俺はゾロを仲間に引き込む」
「ルフィさんならそう言うと思ってましたよ。僕達でゾロさんを助けましょう!」
「おう」
◇
海軍基地。
ルフィさんはルフィさんなりに仲間になれ、とゾロさんと交渉をして基地に乗り込んでいった。
僕は縄をほどくためにゾロさんのもとに行った。
「おい、いいのか! おれに手を貸せばてめェが殺されるぞ!」
「覚悟のうえです! 貴方に捕まる理由はありませんから!」
「アイツといいお前といい……なに考えてんだか」
「ルフィさんは海賊王になる男ですからね。普通の考え方はしてませんよ」
「か……海賊王だと……!? 意味分かって言ってんのか」
「本気ですよ。ルフィさんも僕も。僕の野望はルフィさんを海賊王にすることですから」
「……へェ」
そのとき、パンッと銃声が鳴った。
……そんな、こんなことが起きるなんて。
僕は驚愕した。
なぜなら。
銃弾がゆっくりと近付いてきているのが“ハッキリ”と見えたからだ。
これは……!
見聞色の覇気が目醒めたのか……!?
「剃」
僕は銃弾を回避した。
さすがに直撃は免れないと思っていたが、まさか見聞色の覇気に目醒めるなんて……。
思いもしなかった。
「お前ェ……今の動き……」
ゾロさんは僕を見て驚愕しているようだった。
「でも分かっただろ。おれを助けようとすれば、お前が危険な目に遭う。すぐに逃げろ。あいつらが下りてくるぜ」
「いえ……あなたの縄をほどかないと。ルフィさんと約束したんです」
「おれはいいんだ。一か月耐えれば助かるんだから。早く行……」
「助かりませんよ! あなたは二日後に処刑されるんです! 約束なんて最初から守る気がなかったんです! だからルフィさんはあいつを殴った! 真剣に生き抜こうとしたあなたを踏みにじったから!」
「な……なんだと……!?」
「そこまでだ!」
そこまで話すと、銃を持った海兵達が僕らを取り囲んだ。
「お前達二人をこの場で処刑する!」
一斉に銃を向けられた。
この状況は絶体絶命のピンチだ。
ゾロさんは心中穏やかじゃないだろう。
だけど、僕は信じていた。
……いや、知っている。
ルフィさんが現れてくれることを。
「ロロノア・ゾロ……てめェの評判は聞いていたが、このおれを甘く見るなよ」
モーガン大佐が現れ、言った。
「構えろ!」
海兵達がみな銃を構える。
そして銃が発射された。そのとき。
ドン!
ズドドドド!
「お前っ……!」
ルフィさんが僕らの前に現れ、銃弾を受け止めた。
びよーん!
ルフィさんの皮膚がゴムのように思いっきり伸びる。
「効かーん!」
どびゅん、と銃弾を跳ね返した。
「うおおおおおおおっ!」
海兵達はみな目玉が飛び出すかのように驚愕する。
「んなはっはっはっ!」
ルフィさんは高らかに笑う。
「てめェ……! 一体何者なんだ!」
「おれは海賊王になる男だ!」にいっ
ルフィさんはそう宣言した。
「ほら! お前の宝物どれだ? わかんねェから3本持ってきちゃった」
「三本とも俺のさ……おれは三刀流なんでね……」
原作通りの会話だ!
感激しちゃうな……!
「ここでおれと一緒に海軍と戦えば政府にたてつく悪党だ。このまま死ぬのとどっちがいい?」
「てめェは悪魔の息子かよ……。まァいい……ここでくたばるくらいならなってやろうじゃねェか……海賊に!」
「やったァ! 仲間になってくれんのかよ!」
「わかったらさっさとこの縄をほどけ!」
こうしてゾロさんが仲間になるのだった。
ルフィさん、たまにこうやって本質をつくようなこと言うよな……。
改めてそう思う。
「ルフィさん、あなた達の会話を聞いていたら胸が熱くなりました。モーガン大佐は、僕が仕留めてもいいですか?」
「おう、いいぞ」
「ありがとうございます」
僕はそう言って、モーガンを睨みつける。
モーガンは斧手をこちらに向ける。
「おれを相手にカス同然のお前が一人で仕留めるだと? 笑わらせるな」
「あなたのような海軍を僕は認めません」
「認めるも認めないもお前が決めることじゃねえ。強さ! 強さこそが全てだ!」
もともと僕は海軍将校を目指していた身。
あんな男が大佐でいることに虫唾が走る。
「死ねェ!」
モーガンはそうやって僕に斧を振り下ろした。
「剃」
高速でモーガンの攻撃を避ける。
「その動きは……! 六式……!?」
モーガンは僕の動きを見て、六式だと分かったようだ。
さすが大佐なだけはある。
「はい。六式を操る僕にあなたが勝てる見込みはありません。大人しく降参してください」
「ふざけるな! おれは海軍大佐斧手のモーガンだ!」
再びモーガンは斧を振るう。
先ほどと何も変わらない。
無策の攻撃。
使ってみるか。
他の六式を。
「指銃」
僕の指がモーガンの身体を紙のように貫いた。
モーガンはそれ以上、なにも喋ることなく静かに倒れていった。
「お前……中々やるなァ」
「しっしっし! 俺の仲間だからな!」
ゾロさんはそう言った。
彼の口と手には刀があった。
もう縄からは抜け出していたのだ。
きっとゾロさんが斬ったのだろう。
他の海兵達も地面に倒れていた。
「た……大佐が負けた……!」
「モーガン大佐が倒れた……!」
海兵達はしーん、と静まり返る。
「まだ俺達を捕えてェ奴ァ名乗り出ろ!」
ゾロさんがそう言うと、海兵は顔を見合わせて、
「やったー! 解放されたー!」
そう喜ぶのだった。
◇
食事を済ませた僕たちは海軍から追い出される形で飯屋を後にした。
この町にやってきた小船に乗り、出航する頃には港に海兵達がずらーっと並んでいた。
「全員敬礼!!」
ザッ、と海兵達が一斉に敬礼をする。
「お前ら頑張れよー!」
ルフィさんは両手を大きく振って、そう叫んでいた。
ここで僕はもう海軍になることは叶わなくなった。
でも、これでいい。
真の意味で海軍と決別した僕は、港にいる海兵達に向かって、静かに敬礼をしたのだった。