転生したらコビーになっていたのでルフィさんと一緒に海賊をやります 作:ふぁたろう
それからこの作品は原作のシナリオをなぞりながら独自の展開を入れていくイメージです。
二次創作はこれが醍醐味だと個人的には思います。
僕達は次の島である"オルガン諸島"に向けて航海をしていた。
「お前……船長のくせに航海も出来ねェのかよ……コビーがいなけりァ危うく遭難してるところだぜ」
「そうなんだよ! 俺は一人じゃ何も出来ねェからな!」
「……そこ威張るとこか?」
ゾロさんはそう言うと、ため息をつきながら、首を左右に動かした。
「僕も少し海の知識がある程度で専門的な航海術はなにも分かりませんからね……
「あと"コック"とさ"音楽家"とさァ……」
「んなモンあとでいいんだよ!」
ゾロさんはルフィさんに大声でツッコミを入れた。
そして二人はバタンと倒れ、
「「腹へった」」
と、言った。
……思い出した。
このあとデカい鳥を見つけて、ルフィさんが連れてかれるんだったなぁ。
そして、それは現実になる。
「お、鳥だ」
「でけェなわりと……」
「ルフィさん……間違っても食おうとしないでくださいね……」
「食おう! あの鳥っ!」
ルフィさんは、がばっと起き上がった。
……あれ? 人の話聞いてる?
「や、やめときましょうよ! ルフィさん!」
「まかせろ! 捕まえてくる! ゴムゴムの…ロケット!」
ばしゅん、とルフィさんは飛んで行ってしまった。
ダメだ……この人……やりたいこと後先考えずにやってしまう……。
「なるほどね」
ゾロさんは空を見上げてそう言った。
パクッ!
「は!?」
「ぎゃーっ! 助けてーっ!」
「あほーっ! 一体何やってんだてめェはァ!」
ゾロさんが全速力で小船を漕ぎだした。
……ルフィさんは本当に仕方ないなぁ、もう。
使ってみるか。
六式。
「おいコビー、お前も手伝……」
「月歩」
僕は跳躍し、空中を蹴って、鳥へと向かって行く。
「……あいつ凄ェな」
月歩は剃を応用した技だ。
落下するよりも早く軌道を変えることで飛行を可能にする。
……だけど、僕の身体能力はまだ完璧に扱えるレベルに達していない。
「と…ど…けェ!」
ルフィさんの足を掴んだ。
びよーん、と足が上下に揺れた。
「ルフィさん! 助けに来ましたよ!」
「おお! コビー!」
ルフィさんの明るい声が聞こえる。
「でもよ、コビー。こっからどうやって降りればいいんだ?」
「……え?」
鳥はまだルフィさんを咥えたままだ。
それに僕は体力が回復するまでしばらく月歩を使用できなさそうだ。
「ゾロさーんっ! 助けてくださーいっ!」
「あほーっ!」
下を向くと、ゾロさんは叫びながら全速力で小船を漕いでいた。
◇
「はっはっはっ! バカだなーお前!」
「ルフィさんに言われたくないですよ……もとはと言えばルフィさんが僕の忠告を聞かなかったからなんですよ」
「忠告? そんなのしてたか?」
「しました!」
「まァ細かいことは気にすんなよォ。なんとかなるって」
トホホ……。
ルフィさんはゴムだから良いかもしれないですけど、僕はこの後大砲をどうにかしないといけないんですよ……。
そしてアルゴン諸島の上空に入り、オレンジの町が見えてきた。
そろそろ大砲が飛んでくるな……どうやって対処しよう。
……"アレ"を試してみるか。
「おー町が見えて来たなァ」
ルフィさんがそう言うと、ドオォン! という音がした。
大砲が放たれたのだ。
「鉄塊」
大砲が着弾し、僕らは落下していった。
よし、鉄塊のおかげでなんとかダメージを和らげることが出来たぞ。
「あー助かった!」
「一応なんとかなりましたね……」
僕らは二人で安堵する。
じゃあ、後は……。
「お…! 親分っ! 助けに来てくれたのね!? 後は任せたわ!」
目の前にいたナミさんがそう言って、駆け足で僕らの後方へと逃げて行った。
ナミさんを追っていたチンピラ達を仕留めると、
「すごいっ、強いのねあんた達。剣相手に素手で勝っちゃうなんて!」
「あ! 誰だお前」
「私は海賊専門の泥棒っ! ナミって言うの。私と組まない?」
僕らはナミさんと出会った。
◇
「へーあんた達海で仲間とはぐれちゃったんだ。何人?」
「一人だ。ここお前ん家なのか?」
「ううん。私、旅の泥棒だもん。知らない人の家」
僕らは知らない人の家で会話をしていた。
「どう? 私と組んで大儲けしない? あんた達の強さ使えるのよ。分け前ははずむから!」
ナミさんは偉大なる航路に入って大儲けしよう、とルフィさん……にではなく僕に交渉を持ちかけて来た。
「あのォ……どうしてルフィさんではなく僕に話しかけているんでしょうか……?」
「そりゃあんたの方が理解が早くて話が進むからに決まってるじゃない」
「……そうですか」
否定できないのが辛いところだ……。
「もしかしてお前航海術持ってんのか?」
「当然っ! 航海の腕にかけては私の右に出る者はそうそういないでしょうね」
「そうかっ! やったなコビー! 航海士見つかったぞ! これで偉大なる航路に入れるなァ!」
「そうですね!」
「ほんと!? じゃあ決まりね!」
「ああ! お前"航海士"としておれ達の仲間になってくれよ! 海賊の仲間に!」
あ、ルフィさん……最後の一言余計かも……。
「いやっ! 私が世界で一番嫌いなものはね! 海賊なの! 好きなものはお金とみかん!」
ナミさんは猛烈に拒否した。
海賊嫌いだからなぁ……。
「まァでも困ってるみたいだから条件をのんでくれたら考えてもいいわ」
「本当か! 条件ってなんだ?」
「私と一緒にバギーの所へ行ってほしいの。別に何もしなくていいわ。それと麦わらのアンタだけでいい」
「よっしゃ行こう。どこにいるんだバギーは」
「準備もあるからちょっと待ちなさい」
ナミさんの言う準備は、ロープを持ってきて、これからバギーにルフィさんを差し出すのだ。
それではバギーを早くに倒せない。
早く倒さなければ、犬のシュシュが守っているペットフード店も壊されてしまう。
それに町長のプードルさんやゾロさんが大怪我を負ってしまう。
原作を知っている僕がそんなこと絶対にさせない!
「いえ、待つのはナミさん……アナタの方です!」
僕はナミさんを引き止め、そう言った。
「ちょ、ちょっと何……?」
「アナタが海賊専門の泥棒だということは分かりました。だから僕達が海賊と聞いた瞬間に目の色を変えましたね」
「……そうだけど、それが何? だから条件を提示したんじゃない」
「ええ、ですがアナタがやろうとしていることは裏切りです。海賊であるルフィさんをバギーに差し出して、自分はその隙に宝を盗んで逃げだそうと企んでいますよね」
「そ、そんな訳ないでしょ!」
ナミさんは言い張るが、僕はもう原作を知っている。
言い逃れは出来ない。
「なにっ! お前そんなこと企んでたのか!?」
「違うって言ってるでしょ!」
ルフィさんは全く気付いていない様子で驚いていた。
「ナミさん、新しい交渉をしましょう」
「新しい……交渉……?」
「僕達がバギーをぶっ飛ばしますから、しばらくの間僕達と一緒に旅をしてください」
「はァ!?」
「いいぞコビー!」
ナミさんは自分のペースを乱されて戸惑っているようだった。
そしてしばらく考えたあと、
「……分かった。その交渉乗るわ」
「ナミさん……! ありがとうございます!」
僕は深々とナミさんにお辞儀をした。
「……海賊のくせに律儀な奴」
ナミさんは僕達に聞こえないように、そう呟いていた。
生憎と聴力は良いので、しっかり聞こえていたけど。
「おし! じゃあバギーって奴をぶっ飛ばせばいいんだな!」
「そうですね。随分とシンプルになりました」
「これで航海士が仲間になるなァ!」
「なるかーっ!」
ナミさんは嫌そうに叫んだ。
こうして、僕らは知らない人の家を後にしてバギーのもとへ向かうのだった。