時間はあっというまに過ぎ、現在七時半。大広間を3つ繋げた宴会場で、生徒は夕食を食べていた。
一夏side
「やっぱIS学園って金持ちだな。昼も夜も刺身なんて。」
「そうねー、この金をもっと他に回して欲しいわ。」
「まあ夕食がおいしいって言うのはいいと思うよ。」
「そうね。」
横から俺、鈴、まどかさん、ほむらさんで、今は全員そうだが浴衣姿である。何故かこの旅館のルールは『お食事中は浴衣着用』らしい。
「そういや他の奴らははどうしたんだ?」
「シャルとラウラとセシリアは簪はテーブル席に行ってるわ、本音は友達と食べてるって言ってた気がするわ。」
鈴の問いにほむらが答えた。
「あー、確かそんなこと言ってた気がするわ。てかマドカ、前から思ってたんだけど何であんた同級生のまどかとほむらのことをさん付けで呼ぶの?」
「色々世話になってるんだ。例えばまどかさんは夜通し俺の過去を聞いて、復讐しか頭になかった俺に優しさを教えてくれた。ほむらさんは『エピオン』と『ひな』、つまり俺に力をくれた。まどかさんがいなかったら俺は今の俺じゃなかったかもしれない、ほむらさんがいなかったら俺は力のないまま終わっていた。…………………まどかさんとほむらさんだけじゃない、一つの奇跡とアナハイムの皆、母さんと師匠の、皆のおかげで俺はここにいて飯を食っている。」
「マドカ………」
「いやいや、あの時のマドカちゃんは放って置けなかったからね。」
「私はただ力を手に入れた復讐者がどう行動するか見たかっただけよ……。」
「…………………てかほむら!」
鈴は箸をほむらのほうに向けた。
「何よ?行儀悪いわよ。」
「マドカがさらっと言ったけどエピオンの制作者ってあんただったの!?」
「?、ええそうよ、ただ最重要システム積んでないからまだ七割ってところだけど。
因みにバンシィとユニコーンもまどかとの共同制作よ。」
「ちなみの天子ちゃんのウイングガンダムゼロカスタムは私が制作したよ!」
まどかが得意げに語ったが鈴はもはや理解不能だった。
「……………」
一夏はポケットから携帯を取り出し、物思いに耽っていた。
「んー?それマドカの前の携帯じゃん?なんで持ってるの?」
「ああ、この携帯には顔を見たことがない同級生のメールが入ってるんだ。」
一夏は鈴にメール画面を開き、見せた。
『一夏、今日もお前を守れなくてすまない』
『なにもできない私を許してくれ。私に勇気があれば……。』
など、様々な言葉が連ねられていた。
「へえ。誰なのこれ?
でもこの子の気持ちもわかるよ、私も春樹達に自分達が苛められるのが怖かったからあんたを助けられなかった。きっとこの子も後悔していると思うわ。」
「ああ……でもこの文体を見る限り恐らく身近な人物だと思うな。………ん?」
一夏の下に一人の女子が歩いてきた。
「マドカ…」
「篠ノ之さんか……。前よりなんか威圧的じゃなくなったな。慧音先生から聞いたぜ、打鉄のスペック以上のパワーを引き出したって。」
一夏は普通に接してくる人物は普通に接する、威圧的な人間は徹底的に煽る幽々子に倣ったスタンスを取っている。
「ああ、お前のことを祖父に話して、私の行動を言うと、『お前は人の善悪も見えない愚か者だ、鍛え直せ』と言われたんだ、今思えば酷い言いがかりだったな、すまない。あとでセシリアにも謝りに行くつもりだ。」
「こちらこそすまない、あの時はかっとなってお前を外すことを考えていた。」
(こいつ本当に篠ノ之箒か………?)
箒の最早別人と言われてもおかしくない変化に一夏は戸惑っていた。
「キャッ!」
まどかが水を取りに行く際につまづいてしまった。
「危ない!」
箒はまどかを支えた。
(ん?変な感覚が?)
まどかを支えた瞬間違和感が箒を襲った。
「ありがとう。」
「当然だ。」
「篠ノ之、ところで髪留め変えたのか?剣道部にいたころはもっと普通の髪留めだったよな。」
一夏が箒の髪留めの変化に気付いた、赤い髪留めから赤い宝石で作られた豪華な髪留めに変わっていた。
「……………ああ、確かルビーだったはずだ。じゃあな。」
箒は自分の席へ戻った。
箒が去った後、一夏達はまた料理を食べ始めた。
「そーいや、マドカ、まどか、ほむら。」
「ややこしいね……どうしたの?」
「………魔法少女ってどう思う?」
「「「え」」」
魔法少女、なぜ鈴の口からその単語が出てきたのかわからない3人は驚いた。
「な、な、何でいきなり?」
(まどか!声!声!震えているわ!平常心!平常心!)
「いや、海で遊んでたらね、白い変な動物が溺れていたから助けたら『僕と契約して魔法少女になってよ』とか喋りだしたの。」
「(インキュベーター………!)それであなたはどうしたの?」
「気味悪かったからもう一回海に沈めた。」
(流石鈴ちゃん………無茶苦茶だね)
(ざまあないわね、インキュベーター、………というかやっぱりあの物陰にいたのはあいつだったのね…)
「あなた達がそう言われて、どんな願い事も叶うって言われたらどうする?」
「うーん、復讐は自力で果たさないといけないからな、そんな力には頼らない。」
「なるほどね……ほむらとまどかは?」
「(いや、経験してるんだけど……)どうしても叶えたいお願い事があるならいいんじゃないかな?」
「私もまどかと同意見ね。でもその人を幸せにするための願い事でも一週回ってそのその人を苦しませてしまう………そんなこともあるから注意しなさい。」
ほむらはまどかの方を見て言った。
「ふーん、ありがとね。」
テーブル席 セシリア、ラウラ、シャル、簪が並んでご飯を食べていた。
「セシリア、そのお刺身貰っていい?」
「嫌ですわ♪私、好きなものは最後に取っておく主義でして。」
「そうなんだ……」
「そういえばセシリアの作った魚料理がとても美味しかったな、また食べさせてくれ」
「それくらいなら全然作りますわ。」
セシリアはイギリスでの食生活もあって最初は『生の魚を食べるなんて有り得ません!』と言っていたが鈴に無理矢理食べさせられたこともあり、今では大好きな食べ物である。
余談だがセシリアはアナハイムにいたころ、自分の作る料理の酷さに気付き、永遠亭での料理を担当している鈴仙に料理を教えてもらい、今では味にうるさいシャルロットですら『美味しい』と言わせるまでに成長している。
「………魔法少女ってどう思う?」
簪が突然話題を繰り出した。
「…………いきなり何ですの?」
「いや………笑わないでね……、なんか海辺で遊んでいて飲み物を買いに行く時に、白い小動物と会ってさ…」
「………僕と契約して魔法少女になってよと言われた……」
「なんでラウラが知ってるの!?」
「いや、私の所にも来たんだ。」
「…………私の所にもきましたわ……。」
「私の所にも来たね。」
「…………それで皆はどうしたの?」
「幻聴幻覚で流しましたわ。」
「同じく。」
「怖くて逃げ出したよ、簪はどうしたの?」
「………少し興味があって話は聞いたよ……」
「どんなのだったの?」
ーーー簪システム説明中ーー
「……どんな願いも叶うかわりに死ぬか力尽きるまで敵と戦わないといけないのか……」
「それに魂を別の場所に移されるって……」
「………魂の場所は関係ありませんわ、ただ死ぬまで戦うデメリットと引き換えに叶えたい願い事がないです。」
「………叶えたい願い事とかがなくても単純に人の力になりたいのはダメなのかな?」
「余り歓迎されることではないと思うな。」
「そう……だよね……」
簪は少し落ち着いていた。
「さて、料理が冷めてしまいますわ、さっさと食べましょう。」
「そうだな。」
ああ……簪がまどかのような事を……