IS~神魔と幻想に魅入られた者達   作:茶々円

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番外編 捨てられた少女

「ハァ……ハァ………」

 

 

黒の眼球に金の瞳、流れるような銀髪を持つ少女はボロボロになりながら、行くあてもなく歩き続けていた。

 

???side

 

 

「クソッ!クソッ!」

 

 

 

帰ってきた主人はとにかく怒り狂っており、物に当たっていた。

 

 

ーーーーーーー1年半前くらい前から私の主人、篠ノ之束様がおかしい、まず一番おかしいのはそれまでの束様は宇宙への憧れを持ってISを開発していた、ただ束様は変わった、しばらく留守にした後戻ってきた束様は単純な戦闘兵器を作ってるようにしか見えない。

 

 

 

「あ!電話だ!」

 

 

 

電話がかかってきたみたいなので束様は電話に出た。

 

 

 

「もしもし!はるくん!?どうしたの!?」

 

 

 

電話の相手は恐らく織斑春樹だろう、これもおかしい、束様は春樹のことは好きだったが弟の一夏の方が好きだったはずだ。

 

 

 

 

「うん、うんうん!わかったよ!今から迎えに行くね!」

 

 

 

束様が電話を切った。

 

 

 

「くーちゃん!いまからはるくんを迎えに行くよ!」

 

 

 

「…………つかぬことをお聞きしますが束様は昔、春樹さんのことは好きだったけどもう亡くなった一夏さんのこ「一夏……!?」

 

 

 

突然束様の雰囲気が変わった。

 

 

 

 

 

「くーちゃん、私の前でその名前を出すってことは死にたいの?」

 

 

 

ーーーーーーーえ?

 

 

 

「もういいよ。出てって、あなたがいなくてもはるくんを助手にしたら料理もできるし、あなたいらない。」

 

 

 

 

 

わけがわからないまま私は何もない状態で放り出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてだいたい100kmは歩いただろう。都市部に近づいた頃には私の体力は限界だった。

 

 

 

 

 

「まあ………私みたいな出来損ないにはこんな死に方がお似合いかな………」

 

 

 

 

私は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

数分後……

 

 

 

「ラウラ、付いてきてくれてありがと。」

 

 

 

「全く、ヤタノカガミの管理がなってないからだ。……………ん?シャル、女の子が倒れてるぞ。」

 

 

 

 

数m先には銀髪の女の子が倒れていた。

 

 

 

 

「ホントだ!……………ラウラ?」

 

 

 

その少女はラウラと雰囲気がそっくりであった。

 

 

 

「………とりあえずアナハイムまで担ごう。」

 

 

 

「そうだね。」

 

 

 

 

 

クロエside

 

 

「……ここは?」

 

 

 

「良かった、目が覚めた。とりあえず食え、力がつく。」

 

 

 

目の前には自分と似た少女がいた、そして目の前には天丼、ざるそば、プリンと謎のチョイスの料理が並んでいた。

 

 

 

 

「……………」

 

 

 

 

 

「私のチョイスで選んだんだが………不満なら取り替えるが…」

 

 

私は取り替えられる前に一心不乱に目の前の料理を食べ始めた。

 

 

 

「おいしい…………おいしい…………」

 

 

 

私はボロボロ涙を流しながらご飯を食べた。

 

 

 

「ああ、そうか、それはよかった。」

 

 

 

食べている内に思い出してきた、目の前のこいつはラウラ・ボーデヴィッヒ。私と塩基配列で生まれた私の妹に当たる存在で束様………いや、あいつの旅館襲撃の為の無人機『ゴーレム』を簡単に破壊した猛者でもある。

 

 

そんなことを考えている内にペロリと平らげ、プリンだけが残った。

 

 

 

「…………私も食べたくなってきた。そのプリンをくれ」

 

 

 

「やだ。」

 

 

 

「頼む。」

 

 

 

 

「やだ。」

 

 

 

やだと頼むを繰り返しているうちに、病室に白髪の女性が入ってきた。

 

 

 

 

「やあ、元気になったかい。名前は?」

 

 

 

「……………クロエ・クロニクル」

 

 

 

 

「親とか兄弟は?」

 

 

 

 

 

「……………そんなものいない。私はこいつと同じ塩基配列から生み出された試験管ベビーだからな。」

 

 

 

 

 

「………やっぱりか。」

 

 

 

慧音と呼ばれる女性が納得していると、病室の扉が開いた。

 

 

「おうラウラ、ここにいたか、探したぞ。…………ん?その子は?」

 

 

 

「あ、お母さん。この子は私と同じ塩基配列から生まれた私の姉にあたる存在らしいです。」

 

 

 

は?母さん?

 

 

 

「なんで……」

 

 

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

 

 

「なんでお前は血のつながりもない女性を母と言えるんだ?結局他人じゃないか、どうせ他人は私達を見捨てるんだ。信じる意味なんてない。」

 

 

私は思ったことをぶちまけた。

 

 

 

「…………血のつながりなんて関係ない、私は母さんに救ってもら「嘘だ!どうせこいつもお前のことを見捨てるんだ!…………うう………」

 

 

 

この妹は母と呼べる女性と出会い、更に友も得て幸せに暮らしている、対して私は母と呼べる女性に簡単に見捨てられた。そんな私の妹に対する忠告、妬み、色々な負の感情が入り混じって出た言葉だった。そしてそれを言い終わった後、大泣きしてしまった。

 

 

 

 

「………どうだ、話してみなさい。楽になる。」

 

 

 

慧音と呼ばれる女性に抱きしめられ、私は泣きながらこれまでのことを話した。試験管ベビーとして生まれたことから束に見捨てられたこと………すべてを吐き出すように話した。

 

 

 

 

「…………そうか、辛かったんだな、………そうだ!今日からここがお前の家だ!」

 

 

 

………は?

 

 

 

「どういうことですか?」

 

 

 

 

「ちょうどネットワークに強い人を秘書に欲しかったんだ、もう一人の秘書の妹紅はどちらか言えばボディーガードに近いからな。」

 

 

「ボディーガードで悪かったね、コンピューターはどうしても苦手なんだ。………あと連れてきたよ。」

 

 

 

妹紅と呼ばれる女性の横には男性がいた。

 

 

 

 

「くーちゃん!」

 

 

 

 

「えーっと、誰ですか?」

 

 

 

 

本当に誰か知らない、でもこの男は私のことを知っているようだ。

 

 

 

「解除忘れているよ。」

 

 

 

 

 

「あ。そうだったね。」

 

 

 

 

男性は変装を解除した。……………………え?

 

 

 

「くーちゃん………ごめんね、五年前にくーちゃんを見捨ててどこかへ行ってしまって……」

 

 

 

 

目の前には私を見捨てた女、篠ノ之束がいた。私の中の何かが言っている、『この束様は本物だ』と

 

 

 

 

 

 

それから私は本物の束様から色々なことを聞いた。

 

 

 

「で、どうだいクロエちゃん、私の秘書にならないか?」

 

 

 

「…………私なんかで良いんですか?アナハイムにはもっと優秀な人もいるでしょう?」

 

 

 

「いや、私はお前がいいんだ。それに1人になっちゃダメだ、今のお前には私が付いていてないといけない気がするしな。」

 

「私もだ。正直私も慧音もコンピューターの面ではダメダメだからコンピューターに強くてハッキングまでできるお前にはいてほしいんだ。」

 

 

 

………ここまで私を必要としてくれる人は初めてだ

 

 

 

 

「………私で良ければ是非……。」

 

 

 

 

「よろしく頼む、改めて自己紹介しよう、私は上白沢慧音、アナハイムの社長をやっている。」

 

 

「私は藤原妹紅、アナハイムの社長秘書をやっている。」

 

 

 

「クロエ・クロニクルです。よろしくお願いします。」

 

 

 

「いやー、慧音さんと妹紅ちゃんとくーちゃんが何だか家族に見えてきたよ、写真いいかな?」

 

 

それを眺めていた束様はそんなことを言った………今なら妹の言った『家族』の温かみがわかる気がする、慧音さんと妹紅さんが家族なら絶対に楽しいだろう。

 

 

 

 

「束様………」

 

 

 

「くーちゃん、私のことなんて様付けで呼ぶ必要なんてないよ。」

 

 

 

束様………いや束さんは私にそう言ってくれたから普通に呼ぶことにしよう。

 

 

 

「是非頼む、家族なら私が母親、妹紅がお姉ちゃん、クロエが妹だな。」

 

 

 

お母さんに………お姉ちゃん……

 

 

 

「はい、取るよー!」

 

 

 

カシャッとシャッター音がなり、3人での初めての思い出が作られた。

 

 

 

「あの…………慧音さん…………」

 

 

 

「なんだい?」「なんだ?」

 

 

私は勇気を振り絞って言った。

 

「あの………その……お母さんって呼んでもいいですか?」

 

 

「……………」

 

 

………やっぱりダメか………正直冗談を真に受けた自分がバ「全然いいぞ!むしろそう呼んでくれ!」

 

 

 

そういいながら慧音さん………いや、お母さんは私に抱きついた。

 

 

 

 

 

「なら私はお姉ちゃんだな。よろしく、クロエ。」

 

 

「よろしく………お姉ちゃん。」

 

 

 

初めて知った家族の温かみに私の頬は緩み、笑顔になっていた。

 

 

 

 

 

「クロエ、家族はいいものだぞ。」

 

 

 

ラウラが私にそう言った。

 

 

 

「さっきは取り乱してごめんなさい………ラウラにもひどいこと言っちゃって……」

 

 

 

「ああ、別に構わないぞ。」

 

 

 

 

「よーし、神奈子さん、今度家族ぐるみでの対戦でもしますか?奢り賭けて。」

 

 

 

「やだね、大体私達のISは妹紅のISと相性がかなり悪いんだ。何だよサイコミュジャックって…私と早苗のドラグーン、ラウラのDブレード、あれだけで完封されるぞ…」

 

 

「あ、そういえばくーちゃんに新ISを渡さないとね、家族的にUCだからフルアーマーΖΖとかどうかな?」

 

 

「ああ、それで頼む。」

 

 

 

 

「オーケー。」

 

 

「さて……話していても暇だな。クロエ、妹紅、どこかに出掛けるか?………と、その前に……妹紅、頼む。」

 

「ああ。クロエ、少し痛いが我慢してくれ。」

 

 

 

 

何をされるんだろう………

 

 

「行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

っ!本当に一瞬だけ腹の中から痛みを感じたがすぐになくなった。

 

 

 

 

「姉さん、今何を?」

 

 

 

 

「偽物の篠ノ之束がお前に飲ませていた監視用ナノマシンを焼き尽くした、これでお前は晴れて束の呪縛から解放されたんだ。」

 

 

 

 

あいつ………!………まあいいや、初めてできた家族と呼べる人達と本物の束さん………アナハイムに来て本当に良かった。今はこの奇跡を信じよう。

 

 

 

 

 

 

 




三日後………私の専用機『フルアーマーΖΖ』が完成したのであの憎たらしい兎の基地を破壊に向かった。


「どうだ?クロエ?」


『お前1人では心配だ!私が着いていく!』とのことでお姉ちゃんが専用機『フェネクス』を纏い、横に付いていてくれている。お姉ちゃんのISから発せられる青色の光………その光はまるで私がお母さんとお姉ちゃんから抱きしめてもらった時の温かみ………それに似たものを感じる。


「うん、大丈夫だよ、お姉ちゃん。……………見つけた。」


センサーには束のラボ『我が輩は猫である(名前はまだない)』があった、迷彩で隠しているつもりであるがアナハイムのレーダーの前では無力である。。



「!!クロエ!ミサイルだ!私が前に出る!」


束のラボから大量のミサイルが飛んできた。


「うん!」



「はっ!」



お姉ちゃんは温かい光を自分たちの回りに展開し、ミサイルはその光によって私達にたどり着く前に次々と爆発していった。





ラボ



「くそっ!」



「はるくん!ゴーレムを出して!」



「はい!」






残り2km




「クロエ!無人機だ!注意しろよ!…………ん?無人機?やっぱりいいや、ここで待っててくれ。試したいことがある。」



お姉ちゃんは前に出た。




「……………!」



お姉ちゃんは青い光をドーム状に放ち、無人機に浴びせた。するとその瞬間、無人機が移動を止めた。



「……………終わりだ。」



ラボを手の上に乗せ、それを握りつぶすように握った。すると無人機は一斉に束のラボに攻撃を仕掛けた。




ラボ


「束さん!無人機が!」 



「はぁ!?なんでなんだよ!ふざけんなよ!……………!熱源反応!?」



束が熱源反応を感じた瞬間、青色の光が束のラボを巻き込んだ。





遡ること数分前………



「クロエ、とどめはお前がやれ、そして終わらせろ、すべての過去を!」



「お姉ちゃん………うん!」





私は過去の全てを乗せ、超大型ビームライフル『ハイパーメガカノン』を束のラボに放った。




「パージ!」



ハイパーメガカノンの射出に耐えきれなかったアーマー部が自動的にパージされ、私の機体は『フルアーマーΖΖ』から『強化型ΖΖ』に移行した。





…………ん?




破壊されたラボからあの女が気絶した男を抱きかかえ出てきた。私はその女の前に降り立った。




「なんで……なんで強制解除ができないんだよ!?」



目の前の兎は焦っていた。



「これは本物の束さんに作ってもらったISですから。」



そういいながら私は牽制程度に至近距離にビールライフルとミサイルを撃ちまくる。あ、爆風で吹っ飛ばされて男が目を覚ました。




「そこの二人!一方的に殴られる痛さと怖さを教えてやろうか! 」




楽しくなってきた、こいつらの足掻きが見苦しい。……………でももう飽きた。

「君は………誰なんだよ?」



兎が私にそう聞いてきた、今思えば全身装甲だったな、せめて最後だ、姿くらいは見せてやろう。

私は全身装甲を解除し、普通のIS形態に戻した。


「………くーちゃん?」


「ごきげんよう、そしてさようなら。」


頭部に装備している武装を解放した。



「待っ「ハイメガキャ「待て」



お姉ちゃんに止められた。



「どうして止めるの?」




「お前と同じ苦しみを味あわせるならこのまま放置しておいてこの二人の住処を破壊し続けるだけでいいんじゃないか?……………それに可愛い妹に人を殺して欲しくないんだ。」





………確かにお姉ちゃんの言うとおりだ。




「それもそうね……バイバイ。」



お姉ちゃんと私は飛び立った。


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