休日のある日の夜、栗東寮のとある部屋。一人のウマ娘がスマホとにらめっこしながらああでもないこうでもないとブツブツ呟いていた。
「ん~~こっちの写真の方がいいかな?それともこれかな?」
カワイイの権化とも言われているその名はカレンチャン。今日も日課のウマスタ更新のためカワイイを総動員しているところだ。
「よしこれでOKっと。あれ?もうこんな時間。」
気づけば門限まで後少し、それなのに彼女の同室はまだ帰ってこない。
「これは…いよいよ外泊かな??」
帰ってきたら色々聞かないといけないな~と呑気に考えていると部屋のドアが開いた。
「ただいまカレンさん。」
「あれ?おかえりなさいアヤベさん。」
そこにはカレンチャンの同室。アドマイヤベガがいつも通りに帰ってきていた。
「遅かったですねアヤベさん。今日は帰ってこないのかと思いましたよ~」
ニコニコしながら話すカレン。
「帰らなかったらどこで寝るのよ?」
変なこと言うのねと言わんばかりのアヤベ。
「だってトレーナーさんとのお出かけって気合入れてたのにこの時間まで連絡無しだったらそれは…そういうことかな~って思うじゃないですか」
「門限には間に合うから連絡しなかっただけだけど…?」
「アハハ…ソウデスネ…」
「へんなカレンさんね?」
こっそりため息をつくカレン。これは先が長そうだ…
カチャリという音で意識を同居人に向けるカレン。ちょうどアヤベが着けていたチョーカーを外して机に置いたところだった。
「ねえアヤベさん。そのチョーカーどこで買ったんですか?いつもトレーナーさんとのお出かけのときは着けてますけど。」
「これ?これはトレーナーさんがプレゼントしてくれたものだから…ごめんなさいどこで買ったのかは知らないの。今度訊いておくわ」
おおう!教え子へのプレゼントにチョーカーとは!トレーナーさんの方は攻め攻めなんだよなあ…と思うカレン。一応アヤベとトレーナーが付き合ってることは周知の事実ではある。なにせダービー直後のキスは全国放送されているしそれ以前以後も学園中でイチャイチャしてるのだから。レース直後はカレンも周りからあの二人どうなの?と訊かれまくって大変であったのだ。女子校のトレセンではこの手の噂が広まるのは早い。そして終わるのも早い。
「あの人ったら私が最初に取材でこういうのを着けてもらった時それは男に着けられたのかって訊いてきたのよ…ほんとに独占欲が強いんだから…そしたらすぐに買ってきたみたいで…でも渡すのには一週間近く迷ってたらしいの。このペンダントがあの娘と私をイメージしたから気を悪くするかもしれないってずっと考えていたらしいの…ほんとに優しいのね…あ、このペンダントはオーダーメイドらしいわ。だからこれは世界に一つのあの人からのプレゼントで…これをあの人に着けてもらったときはあの人のものになったみたいで幸せだったの。だから…」
聞かれてもいないのに延々と語るアヤベ。それを見てカレンは心のなかで先程自分が思ったことを訂正した。トレーナーだけでなくアヤベの方も攻め攻め…しかも無自覚だからよりたちが悪いんだよなあ…と
「ね?よくわからないでしょ?ほんと困った人よね?」
「ソ…ソウナンデスネ…」
そんな菩薩様のような微笑みで言ってる時点でホントは分かってるんじゃないですか?とはさすがに言えないカレンであった…
翌日の昼休み。
「それでですね!トレーナーさんったら私のトレセン音頭の練習を見てなんて言ったと思います?太鼓を叩く時は腰が重要なんだ!ってそこばっかり指摘するんですよ?え?そこなんですか?もっとこう…あるじゃないですか…なんていうかこう…ね?」
「ハーーハッハッハ!!最後が大事じゃないかなトップロードさん。」
「トップロードさんすごいです~~わたしあの太鼓一回壊してしまいました~~」
「それはそれですごいよドドウ!あれウマ娘用だよ?」
「・・・」
どうしてこうなった…トップロードさんとお昼を食べる約束はしていたからそれはいい。だけどこの自称覇王に見つかったのは運が悪かったわ…と思うアヤベ。
ここはトレセンの食堂。昼休みともなればウマ娘で溢れ返るここでアヤベはニンジンハンバーグをつついていた。
「アヤベさんも練習は見てもらったんだろう?なにか感想は言ってなかったのかい?」
オペラオーが話を振ってくる。
「そうね…」
あの時なんて言ってたかしら?
「裾が短い。だったかしら…」
「「「は?」」」
「だから浴衣の裾が短い。アヤベの生脚がそんなに見えてたら貴すぎて死人が出るって言ってたわね」
「「「・・・」」」
「アヤベは何を歌ってもカワイイしカッコいいからホントは外に出したくないとも言ってたかしら?別の時だったかしら?とにかくあの人ったら何の練習のときでもアヤベは完璧でカワイイからホントはウイニングライブなんかさせたくないしずっと独占しておきたいって言うのよ。もちろん練習だけじゃなくて本番のときも最前列は絶対譲らないし正直他のやつにアヤベを見せるなんてアヤベのカワイさで暴動が起きたらどうするんだ何かあったら困るから閉じ込めておきたいってしょっちゅう言ってるわね」
うっとりとトレーナーを思い出しながら言うアヤベ。一方の三人はというと
「「「・・・」」」
固まっていた。
「トレセン音頭で言えば『どーーすんの?』のところが破壊力高くてこっちがどうにかなりそうだ。とは言ってたわ…どうしたのみんな?」
「え~とアヤベさん…」
「その…まああれだなあ…うん」
「お…お幸せに~~ですううう」
「??」
放課後トレーナー室にて
「トレーナーさん。会いたかったわ。昨日はありがとう…またプラネタリウム行きましょうね…」
「アヤベは今日もカワイイなあ…離したくない…」
「あら離してくれないとトレーニングできないわ。」
「二人三脚が実装されないかな?」
「わたしがおんぶした方が速いわよ?」
「そこは男に華を持たせてほしいな。アヤベをお姫様抱っこしてレース。これだな!」
「もう…」
今日もアホな会話をしているがお互いしか見えていない同士仕方がないのかもしれない。
「そうだ、トレーナーさんに訊きたいことがあったわ。あのチョーカーってどこで買ったの?カレンさんが知りたがってるの。」
「ああ、あれは駅前の百貨店に入ってる…ええと店名はなんだったかな?まあ調べれば出るから後でメッセージで送るよ。」
「そうしてくれると助かるわ。ありがとう。」
「そういえばあの百貨店の上の方にあるレストラン。あそこがいい雰囲気だっていう噂だな。どうかなアヤベさえ良ければ行ってみないか?」
「あら、デートのお誘い?嬉しいわ」
こうして次の予定も立てていくのであった…
「そういえば今週はライブの練習の日があるわね。」
「そうだね、歌って踊るアヤベもカワイイからな。ちゃんと記録は任せておいてくれ。ああ他のやつになんて見せたくないんだよなあ…」
「あなた本当に独占欲強いわよねえ…好き…」
このトレーナーにしてこのアヤベである。
「そう、ライブの練習といえばお昼にトップロードさんたちと話があったの。その時にね?あなたが言ってくれた感想を言ってみたの。そしたらなぜかみんな黙ってしまったわ。なんでかしらね?」
「ライブのアヤベはすごくすごいカワイイからずっと独占してしまいたいっていつも言ってるけど…それを言ったのかい?」
「そうね…そんな感じのことを言ったわ。ねえいつになったら私を監禁して独占してくれるの?」
ピッタリ耳をトレーナーにくっつけながら問いかけるアヤベ。
「そうだなあ…やっぱりアヤベが卒業してからかなあ…アヤベは本当にカワイイだからね。」
「んん~~」
いつものマーキングを開始するアヤベ。本人たちは真面目に独占だの監禁だの物騒なことを言っている。本当にお互いのことしか見えていないのである。
実は共依存アヤベさん大好きなんですよね。今回も特にストーリーは無いんですよねえ。まあそもそも病んでるアヤベさんとアヤトレさんが共依存してイチャイチャしてる様子を壁のシミになって眺めてえなあというところからこのシリーズは生えてきているのです。
実はこのキャプション部に書くネタが思いつかないんですよね。だからどうしようかなあ~って考えてるんですけどどうしましょうかね?せっかくですからこのシリーズの設定を少し語りましょうかね。というかほぼ今までのシリーズ内で語ってるんですけどね。
今回二回目の登場のカレンチャンさんですね。基本はアプリベースなのでまあ普通のカワイイの権化さんです。アヤベさんとアヤトレさんが共依存してるのを一番間近で見てるある種可哀想?な位置ですね。二人が共依存してるのは嫌というほど知ってるけどアヤベさんが幸せそうならまあいいかなと思ってくれています。ただしアヤベさんが幸せでないとトレーナーさんに”お話”をしに行ってくれます。優しいですね。後はなにかあったかなあ…まあそのうち設定も生えてくるでしょう。