「ヤンデレって何かしら?」
「アヤベのことだけど急にどうしたんだ?」
「私は包丁とか持ち出さないわよ?というかそんなの危ないじゃない」
「アヤベが言うのか…」
いつもの愛の巣でいつも通り膝の上を占領しながらアヤベが尋ねる、それはいいのだが尋ねる内容が物騒である。
「それで?今日は何を吹き込まれたんだ?」
「最近流行りの漫画だかアニメがあるらしくて。出てくる人が大体病んでるらしいのよ。そうしたら恋愛はいいけど病むのはやめた方がいいって言われたのよ。変よね?こんなに普通の恋愛をしてるのに?」
「そうだなあ…まあ俺たちは普通ではあるけどなあ…」
言葉を濁すトレーナー。バッチリ依存しあってるのは誰の目にも明らかだからだ。まあアヤベに依存されるなら幸せだよなあとトレーナーも考えているのでこの二人の場合は平穏無事である。
「そうよね?いたって普通よね?」
「そうだよ。だから何も心配しなくていいんだよ?」
そういうことにしておこう…まあ誰に迷惑をかけているわけでもないし…
別の日
「トレーナーさん。私たち普通に付き合ってるだけよね?」
「そうだね。」
「普通のカップルは心中しようとしないものなの?」
「まあ…そこまで頻繁にはしようとはしないんじゃないかな?」
「そうなの…少し控えた方がいいのかしら?」
「そもそも心中しようというのはそんな軽率に言うものではない気がするんだが…?」
「挨拶の一つじゃなかったの?」
「あ〜うん。他の人には言うんじゃないぞ?」
「他の人となんかしないわよ?あなただから一緒に死にたいんじゃない」
「それならいいんだけど…」
いいのかな?まあアヤベがカワイイからいいか。そう思うトレーナーだった。
別の日
青い耳カバーみたく顔を青くしたアヤベがトレーナーに抱きつきながら泣きそうになっていた。
「トレーナーさん!私って重いの?重い彼女は嫌?捨てないで捨てないで!」
「アヤベを捨てたりなんかするわけないじゃないか?今日はどうしたんだ?」
「ヤンデレは重いから捨てられるって聞いて…」
「そういうことか…大丈夫だよ、俺はどこまでもアヤベに着いていく。いや一緒にいるから。」
「そう…そうよね…一緒にいてくれるのよね…」
「そうだよ…だから大丈夫だよ…アヤベを離したりしないさ。ずっと閉じ込めておきたいって言ってるだろ?本当は誰にも見せたくないくらいなんだから…誰にも渡したりしないよ…そうだよなアヤベを他のヤツに盗られるならその前に心中しようそれがいい。いやその前に相手を殺してしまえばいいよな絶対アヤベは渡さないからね。愛してるよ。」
「私もトレーナーさんを離したりしないわ。だからずっと一緒よ早く閉じ込めて?」
どちらも束縛心が強い同士なのである種平和なのである。邪魔が入らなければこれほど素敵な関係もないだろう。
「アヤベは重くてもカワイイよ。むしろアヤベにそこまで愛されるなら本望だよ。だからもっと一緒にいよう」
「トレーナーさん…大好きよ。好き。一緒に死にましょう?」
「一緒に死ぬのは決まってるから大丈夫だよ。でもまだ生きていようね」
頭を撫でるトレーナー。アヤベは完全に蕩けている。これがあのクールな一等星と誰が気づくだろうか?
今日も共依存が捗る二人なのだった。
その日の夜
「え?お互いに閉じ込めたいって言ってるんですか?」
「そうだけど…これって重いのかしら?」
「いや重いっていうか…なんていうか…アヤベさんはトレーナーさんに閉じこめられたいんですか?」
「もちろんそうに決まってるじゃない?あの人に束縛されてあの人しか見えない世界…私もあの人もお互いがいないと生きていけないの。素敵じゃないかしら?」
後半はうっとりしながら歌うように話す同居人を見て「お話」をするべきかどうか悩むカレンチャンさん。下手なことを言うと一応幸せな二人をまとめて敵にすることになるし実害は出てない…と思いたいところでアヤベはまだ語り続けている。
「トレーナーさんは本当に優しいのよ?私みたいな愛想もない、最初は本当にどうしようもなかった私と一緒に死のうとしてくれて…まだ死んでないけど一緒のお墓に入る約束もしてくれて…あの人に撫でられるとゾクゾクして…触られたところが熱くて気持ちよくて…このまま耳元で囁いて壊してくれたらいいのにもう彼無しじゃ生きていけないのねえこれって変なのかしら?」
もう瞳が暗く濁っているアヤベを見ながらカレンは思う。これはもうどうしようもない…と
「えーと…気持ちはわかりますけど…一般的にはちょっと重いかなって思います…あんまり外では言わない方がいいかな〜って…」
「そうなの…じゃあ気をつけるようにするわ…」
レースの度に外でチュッチュしてるからあんまり説得力ないなあと思うのであった。そしてまだ語り続けるアヤベ。
「トレーナーさんに撫でられる時耳に手が当たる時があるの。その時に耳元を指先で撫でられて…触れるか触れないかの感覚がたまらなくて…ゾクゾクして…嫌じゃないのよ彼にもっと触って欲しいのに撫でられるともう何も考えられなくてもっと先まで撫でまわして欲しくなるの…その時に耳元で『好きだよ愛してる』って甘く囁かれるとそれだけで身体がビクビクしちゃって…そうして倒れそうになるともっと強く抱きしめてくれて『カワイイ俺のアヤベ。愛してる』って言ってから耳と口の距離が近づいて吐息が耳に直に当たって…そんなわけないのに耳を舐められてるみたいで気絶しそうになるの…彼はわざわざ右耳の方を『カワイイ』って撫でたりするの。左耳をめちゃくちゃにしてほしいわ…耳を優しく触れたり時には少し強く撫でたり…でも痛くはないの絶対痛くはしないトレーナーさんの優しさなのね。でもトレーナーさんになら痛くされてもいいむしろもっと強くギュッとして欲しいっていつ言おうかしら…とにかく彼に撫でられてるこの耳カバーが羨ましくて上目遣いで抗議するとキスしてくれるの。もう何もかも捨ててこのまま溶かしてほしいってずっと思ってしまうわ…キスの時もわざわざ音を立てて舌を絡めながら唾液の交換をして…普段は優しいのに少し強引で好き…身体の内側から彼のものにされてるみたいでもう何もできなくてそれが最高に幸せなのもっともっとってはしたなくてもいいから彼に愛されたくて止まらなくて…どうすればもっとめちゃくちゃにしてくれるのかしら…好きよトレーナーさん愛してるわもっと一緒に溶けましょう…もう絶対離さない逃さない渡さないウフフ…好きよ…好き好き愛してるのにまだ足りないの早く独占してほしいの私は彼だけのものだからもっともっと独占して愛して壊して…」
特別にフワフワにしてるクッションを抱きながら完全に溶けた瞳で呟き続ける同室を見てしまったカレンチャンさんはお幸せに…と思うことしかできなかった。
そして一通り語り終えて目に光を戻したアヤベはカレンチャンに尋ねるのだった。
「ところでカレンさんに聞きたかったのだけど、ヤンデレって何かしら?」
「アヤベさんのことですよ。」
「私は包丁なんか持ち出さないわよ?危ないじゃない。」
「でもトレーナーさんと一緒に死にたいんですよね?」
「当たり前じゃない?」
「トレーナーさんに束縛されたいし束縛したいんですよね?」
「もちろんよ?」
「そういうところですよ?」
「そうなの?これって普通じゃないの?」
「うーん、なんて言えばいいのかなー!アヤベさんは自分で思ってるよりだいぶ重症なんですよ!全然普通じゃないですからね!!」
「待ってカレンさん。でもトレーナーさんの事を思うと胸が張り裂けそうで今すぐにでも彼の胸に飛び込んで思いっきり甘えながら頭を撫でられたいしアゴを撫でられて優しく持ち上げられてそのままキスされたいしいっそ手足を抑えられてそのまま押し倒されたいと思うしそのまま耳元で愛を囁かれながら一晩過ごしたいって思うこの気持ちは普通ではないの??」
「そこはまあちょっと重いかな?で済むところだからいいんです!むしろよくそこで止まってますね!お兄ちゃんも早く手を出してくれないかなあ!!」
「カレンさんにはまだ早いと思うわ?」
「絶妙にケンカ売ってます??とにかくそこまではいいんですよ!なんでそこから束縛しあいたい結婚すっ飛ばして一緒に死にたい一緒のお墓に入りたい心中したいに繋がるんですか!!」
「だって恋とか愛とかよく分からないから…」
「あ〜〜!!このフワフワした人をトレーナーさんの部屋に永久にゲートインさせたい!!!」
実は最近ここのアヤベさんの病み力が足りないんじゃないかな?「お話」しよっか?って脳内のカレンチャンさんからご指摘を頂いたのでどうすっかなあ…と三日三晩夜は八時間寝ながら考えてたら生えてきたお話なんですよね。ちょっと最近アヤベさんの病みが足りなかったからトレーナーさんの方を病ませてみたんですけどただの危ない人ですね怖いわあ…でも中央のトレーナーでアヤベさんに一目惚れするようなタイプですからね多少ちょっと頭のネジが外れてはトンカチで埋め直すような荒療治したんじゃないですかね?とにかくアヤベさんの共依存力が足りなかったのでこれでもかと詰め込んでみたらなかなかいい感じに文字数を稼げたのでこれはなかなかいい怪文書っぽくなったのではないでしょうか?アヤベさんはカワイイですからね。また明日のアヤベさんは病んでくれるでしょう。