「あの人は…よく分からないわ…」
「アヤベさん…分かってて言ってますよね?というかこれから惚気ますっていう宣言ですよね?」
栗東寮のとあるふわふわな部屋でアヤベがカレンチャンさんに『これから惚気ます』という宣言をした。このふわふわ部屋ではよくある事だ。
「待ってカレンさん!私はただトレーナーさんに毎日抱きしめられながら『好きだよ愛してる』って耳元で囁かれるだけで脳がふわふわして幸せな気持ちになるのにキスまでされてしまって完全にパニックになってる私を見てカワイイって言いながらより強く抱きしめてくれるトレーナーさんのことがよく分からないっていうことなのよ?」
「うん、完全に惚気てるだけですよね?一切の弁明の余地なく惚気てますよね??」
「そうじゃないのよカレンさん!この前私がポニーテールにした時に散々私をどうやって監禁しようかブツブツ呟いたあげくうなじを触ってもいいのかどうかひたすら悩んでいたの。ハグもキスもなんなら束縛しあいたいって普段から言ってるのに今更何を恥ずかしがる必要があるの?って聞いたらポニーテールがカワイイすぎるって言って強引にキスしてくれるうえに首元を優しく触ってしかも頸動脈の辺りを愛おしそうに撫で回してくれるの。そのまま蕩けてしまったのだけれどどうすればよかったのかしら?」
「まず私はこの話を聞いて羨ましいと思うべきなのか、え、何やってるのこの人たち?と思うべきなのか今すぐお兄ちゃんに電話して精神科を探してもらうべきなのか三択なんですけどどれが一番カワイイのかなあってカレン考えてます♡」
「違うのカレンさん!確かにあの人はよく分からない人だけど決して異常なことはしていないの!ただ毎日こんな私を愛してくれて好きって愛を囁いてくれて将来は監禁しあいたいって話をしてお互いに離れられなくなってるだけなのよ!」
「分かりました分かりましたとは言ってませんけど一回ふわふわを吸って落ち着きましょう?まずどうして惚気てるだけなのに瞳から光がなくなっていくんですか?落ち着いてふわふわを吸ってくださいね?」
「そうね…一回落ち着くべきよね…」
「そうですよ。一回と言わずずっと落ち着いてくださいね。」
やはりどんなときでもカワイイを忘れないさすがカレンチャンさん。見事にアヤベにふわふわを与えて落ち着かせることに成功した。
「ね、よく分からないでしょ?」
「カレンがよく分からないのはなんでそんな行くところまで行っちゃってる共依存してるのに割と普通に生活できてしかもチュッチュまでで済んでるのかってことなんですよね?アヤベさんのトレーナーさんの自制心すごくすごいと思いますよ?」
しかしこのときカレンチャンさんの脳裏にある日の記憶が蘇る。ある日アヤベが何事もなかったかのように帰ってきたが首筋に赤い跡がついていたりやけにボーッとしていた日があったこと。そして耳カバーが異様によれていたこと…えっ!!まさかそこまでは行ってないと思っていたけどそのまさかだった!?ちょっと情熱的になりすぎてただけじゃなかった可能性が??
「そうね…トレーナーさんはほんとに私のことを思ってくれて…我慢させてしまっているのね…」
「でも学生ですからね。仕方ないですよ。でもお兄ちゃんはもう少し手を出してくれてもいいと思うなあ…」
「カレンさんもそう思うの?」
「それはそうですよ?お兄ちゃんは運命の人ですからね!」
「そうなのね…やっぱり首を絞められたいのは普通なのね…」
「ハイ!やっぱり恋人だから~首を絞められたいな~って…??すいません今首を??絞められたいって言いましたか??」
確認するカレンチャンさん。
「ええ…やっぱり恋人同士といえばギュッと首を絞めたくなるモノなのかしら?」
・・・???
笑顔のまま凍るカレンチャンさん。
「えっと…確認なんですけど…なんで恋人同士で首を絞めるってお話になるのかな~って。ちょっと聞いていいですか?」
「ええと…ある日トレーナーさんが私の首を絞めたり逆に私に絞められたりする夢を見たらしいの。私の事が好きすぎてと言ってたわね。あの人は優しいから色々と我慢させてしまったのだと思って…彼に絞めてもらうならいいと思ったから実際に絞めてもらって…その時の彼はすごく激しくて…でも優しくて気持ちよくて頭がふわふわして…完全に蕩けていたと思うわ…彼は私の首を絞めながらたくさん愛を囁いてくれて…キスしてキスマークをつけて…噛みついて…私は痛くて苦しいのが最高に幸せで…身も心も彼のものなんだって自覚できて幸せだったわ…」
ふわふわを抱きしめながらとろんとした表情で語るアヤベ。もちろん目に光はない。カレンチャンさんはもう一つ大事な事を確認しなければいけなかった。
「アヤベさん…首絞めは分かりました…それで…したんですか?そのう…もう一つ先の段階の…いわゆる性行為を…?」
「してないわよ?ダメよ?学生なんだから。」
「してないの!?え、そこまでやっておいてそれは頑なにしないの!?なんで!?」
「そういえば胸を触られたりもしてないわね。」
「嘘でしょ!?なんでキスから胸じゃなくて首に手が行くの??アヤベさんのドスケベボディを前にして??分からない!全然分からない!!」
カレンチャンさんは頭を抱える。
「そんなにおかしい事じゃないと思うけど?」
「イヤイヤイヤ…大分イっちゃってますよ??結構ヤバいことになってたなんて…」
「でも卒業したら一緒になってもっと愛してくれるって約束はしたわ。」
「それはいいんですよ。そのままでいてください?」
「一緒になったら監禁してもらって、首を絞めてもらいながらもっと愛して欲しいわ…」
「どうしてそういう路線になっちゃったかなあ??これがわからない…」
「でもカレンさん!彼は本当に優しいのよ?ずっと私と一緒にいてくれて、私と一緒に死んでくれようとしたり、雨の中山まで探しに来てくれて…本当は今すぐ監禁しあいたいのに我慢してくれて…首を絞めるときだってしっかり準備してからしてくれるの…ね?そんなおかしい事じゃないでしょ?彼無しでは生きていけなくなるのは当然でしょ?」
「おお…もう…どうしてこんなことに…」
「ただトレーナーさんの事が好きなだけなのよ。普通のことよね?」
「分かりました…アヤベさんが幸せならそれでいいです…ただ外では首絞めの話は絶対しないでくださいね。下手したらトレーナーさん捕まりますから。」
「そんなことはさせないわ。死ぬ時は心中するって約束してるのよ!心中できなくなったら死ねないじゃないの!!」
「そういうところなんだよなあ…」
実はアヤベさんがトレーナーさんのこと好きすぎてつい惚気話をしてしまうのが好きなんですよね。これは誰も知らない極秘事項だったような気がするので本邦初公開の総天然色の映画化待った無しなんですよね。確実に全米が泣くしポップコーンはバカ売れだと思うんですよね。まあ重要なのはアヤベさんが病んでいることなんですよね。アヤベさんがあの人はよく分からないって言い出したらこれから惚気ますの合図なんですよ。まあ確かにここのトレーナーさんはよく分からないことしてますけどね?でも全てはアヤベさんのためなのであ、この人頭がかわいそうなんだなって優しく見守ってあげてください。アヤベさんとトレーナーさんが病んで歪みあう、そういうのが大事だと思います。
あ、そうだ。全く関係ないんですけど最近ヴの三姉妹ってのが流行ってるらしいと風の噂で聞いたんですよ。ほーんそうなのかととりあえずビジュアルくらい確認しとくかなって思ってダイヤルアップ接続でやほーにググールさんを呼び出してもらったんですね。それでパッと見て感じたんですよ。このお姉ちゃん素質ありそうだなって。なんというかこう…依存力の高まりを感じてしまったんですよ。これはもしかすると化けるのではないでしょうか?でもまあまずは情報待ちですね。焦ってはいけません。ここで焦ってはアヤベさんとスズカさんと心中できませんからね。まずは冷静になるべきなのです。