ドラゴンとその眷属が戯れてるだけ。コントの台本のイメージで書いてみました。

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1話

 巨大な渓谷。

 

 奥にある洞穴。地の底にまで繋がっているかのようなその最奥に巨大なドラゴンがいた。

 

 地竜ジルザールは深い眠りに落ちていた。

 

「ュウサマ・・・チ・・・サマ」

 

 ドラゴンは声に反応しない。巨大な体が上下し大きな寝息が空洞に響き渡る。

 

「おい、クソデカドラゴン! 起きろコラ!」

「うあ?」

「ア・・・・・・地竜サマ、あのーちょっといいすか?」

 

 まどろみからまだ抜け出せない地竜はちろりと目を開けた。

 眼下にたたずむ土人形を見て――

 

「んだよ。お前ゴーレムじゃねえかよっ」

 

 地竜に語りかけたのは土塊と岩石の体を持つちっぽけなゴーレムだった。

 ちっぽけと言ってもそれは山ほども大きい地竜からすればで、ゴーレムも人間を踏みつぶせるほどの大きさがある。

 

ゴ「すいません。ホント、お休みのところを」

地「いや、ホントだよ。あのな、俺は休眠中なんだよ。察しろよ眷属なら」

ゴ「おお!? ボク、眷属なんすか。なんかちょっとウレシイすね」

地「だって、俺の創造物なんだから俺の子供みたいなものでしょ――いや、照れなくてから! なんで起こしたか言え。外の人間とかがまた攻めてきたのか?」

ゴ「いやぁッ、あのぅ、そういうんじゃないんですけど」

地「じゃあなんだよ」

 

ゴ「あの、ドラゴンって他にもいらっしゃるじゃないですか」

地「おう、いるぞ」

ゴ「そう、ほらあの有名な――ね? 世界の四大元素ですよ。そのそれぞれのエレメントを司る四柱のドラゴン。その四大ドラゴンの部下同士でちょっと集まることがあってですね」

地「ほぉ――ちょっと待て。火竜ベルクはここから遠く離れた火山に棲んでるし、水竜のやつは基本海にいるだろ・・・・・・当然そいつらの眷属も。」

 

ゴ「いやぁー」

地「お前らどうやって集まった? 否そもそも、なに無断で行動してるんだよ」

ゴ「いや、そこはぁ・・・・・・今ちょっと置いときましょ?」

地「いや、置いとかねえよッ!」

ゴ「まぁまぁまぁまぁ! 今日お声がけしたのはそこじゃ無いんですよ。それとは別の重要な案件でして」

地「ふうん、まあいい――あとで追求するからな――それで、用は何だよ」

ゴ「で、ドラゴンの眷属同士で集まったときに・・・・・・ちょっとね。言われちゃったんですよね」

地「なにを?」

ゴ「そのぉ、地竜様はちょっと、他の方々に比べて、“地味”なんじゃ無いかと」

地「は?」

ゴ「いえ! 言ったのはボクじゃないですよ?」

地「じゃ誰が言ったんだよ。どの眷属の奴だ?」

誤「いやいや! それは伏せときましょ。揉め事の元ですから! ただね、そう言われてしまってですね・・・・・・僕自身、なにも言い返せなかったんですよね・・・・・・」

地「いや、言い返せよ。『全然地味じゃ無い』って!」

ゴ「たとえば、例えばですよ? 火竜様だったら炎バァーーって吐きますでしょ? 火山に棲んでるくらい熱に強い。マグマの熱にも耐える。それ関係の魔法とかも使う」

地「おう」

ゴ「水竜さまはね。海や川の水を操って。そりゃもう色々できそうなイメージわきますでしょ?」

地「まあアイツは実際器用だからな。魔法も一番うまい」

ゴ「で、風竜さまですよ。風、大気を操る! 嵐起こしたり、バァーーって雷落としたり!」

地「ああ、奴はその気になったら世界の気象環境変えてしまう力あるからな。他勢力に的にかけられるから絶対にやらんだろうが」

ゴ「――で?」

地「んん?」

ゴ「いやだから、地竜様はどんなアレがあるんですか。なんかね、パッと思いつかないんすよ」

地「バカかお前。そりゃあお前――アレだよお前・・・・・・地殻変動とか? 起こすよ?」

ゴ「・・・・・・・・・・・・うーん?」

地「なにが『うーん?』だよ! それにほら、この体見てみろ! 背中のあたりとか! そそり立つ背びれや硬い鱗を! この表皮は、兄弟の中で一番強靱頑丈なんだぞ!?」

 

 ため息ともうなり声ともつかない声を出すゴーレム。

 

ゴ「――防御振りかぁ」

地「あぁ? 防御力の何がいけねえんだよッ」

ゴ「ブレスは?」

地「は?」

ゴ「いや、ドラゴンといったらやっぱブレスでしょ。口からバァーーーーっと! 何出せるんですか」

地「そりゃ、お前・・・・・・色々出せるよ」

ゴ「色々出せる?」

地「色々出せるって言ったら色々出せるんだよ! お前に教えてやる必要は無い!」

ゴ「・・・・・・そうですか。はい、ワカリマシタ」

 

地「なんか不満そうだなぁ?お前」

ゴ「いえッ、そんなことはないです。では私はこれで。お休みのところ申し訳――」

地「おい、ゴーレム」

ゴ「はい?」

地「ちなみにこれが『地割れ』だよっ」

 

 ドン! 前足で軽く地面を軽く踏みならす地竜。

 空洞内が鳴動し、地面が割れ、裂け目がゴーレムの足下に伸びる。

 

ゴ「!?」

 

 裂け目が到達した直後、ゴーレムの片足が粉々になる。

 

ゴ「ちょちょちょちょちょ!?」

 

地「大地を司る地竜ジルザールの起こす地割れには『魔法の超震動』が発生するんだよ。これのどこが地味だ? 言ってみろコラ!」

 

 ドン! ドン!

 立て続けに地割れが発生し、下半身が粉々になって底なしの大地の割れ目に落ちかけるゴーレム。

 

ゴ「あいあいやいやいやいや! ワカリマシタ! 恐れ入りましたジルザール様!」

地「思い知ったか、愚か者めが」

ゴ「はいッ、申し訳ありませんでした」

地「じゃあ、寝るからな。くだらん事でもう起こすなよ」

ゴ「はい・・・・・・・・・・・・いや、あの、その」

地「なんだよ」

ゴ「最後に一つだけいいっすか?」

地「なんだよもう!」

ゴ「これ、この地割れですけど『空中にいる奴』には効果あるんですかね?」

地「もういいよ!!!」

ゴ「え?」

地「もういいよ地味で! 何処かに行けよホントにぃ!」

ゴ「・・・・・・なんかスミマセン」

地「ホントお前は――体の半分以上粉々になってよくそんな、のんきな声していられるな」

ゴ「恐れ入ります♪」

地「褒めてないんだよ! 寝るからな!」

ゴ「はい、お休みなさいませ」

 

 

 

 後日。

 例の地割れを感じ取った周辺国家が、

 

「地竜ジルザールが活動期に入った」

 

 と恐れ、警戒し始める事態になるのだった。

 

地竜「おめーのせいだぞ! ゴーレム!」

ビ「びびってんすか?w」

 

おわり


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