まあ、今までが序章みたいなかんじだったので締めくくり的な意味で短くさせてもらいました。
9、彼女は誰よりも今の自分を知っている
「遅い」
曹操をヘルヘイムに保護(軟禁ともいう)し神様に頼みごとを終えた後、影虎は漸くオーフィスのいるところまで戻ったものの最初の言葉がそれだった。
「すまなかった。面倒なことがおきてな」
流石に影虎も悪いと思っているのか素直に謝罪の言葉を口にした。
「面倒なこと?」
「曹操が私の前に現れた」
「それで?」
「こちらに引き込んだ」
オーフィスの疑問に影虎が答えると、オーフィスは目に見えて機嫌を悪くした。これには、流石に影虎も戸惑いの表情を浮かべた。
「オーフィス?」
「影虎」
いつもよりも気迫のある表情を浮かべるオーフィスに影虎はやや圧された。
「な、何だ?」
「浮気はだめ」
オーフィスの言葉を聞いた影虎は呆れたようにため息を吐いた。
彼の目は語る「いったい何処でそんな言葉を覚えたのか」または「彼女はその言葉の意味を理解しているのか」というところだろう。
「分かっている」
が、彼女の機嫌を損ねない為にも影虎は何も言わずオーフィスの言葉に頷いた。
「ならいい」
影虎の肯定に機嫌を直したのかオーフィスは少しの笑みを浮かべる。
「では、帰るとするか。今日は疲れた」
「ん」
クラックを開き、出口に向かって歩き出す影虎にオーフィスは彼の袖を掴み並んで歩く。
最初は彼女の要望で手を繋いでいたのだが、その際に勘違いを起こしたお巡りさん達にお世話になってしまい手を繋ぐ事を拒否したのだが、彼女が影虎を引かせるくらい食い下がったので結果袖を掴むまでならと互いに妥協したのだ。その際、互いに妥協出来る部分を必死で討論してたことは二人の名誉の為に伏せさせてもらおう。
所で、と影虎は今回のことで得られる物と今後すべきことを考えてみる。
これからはこのヘルヘイムの森の研究を続けながら戦極ドライバーの改良を行いロックシードを増やさなければならない。
その代わり
こちらには曹操という新しい実験台が手に入り、戦極ドライバーのデータ収集の効率は以前よりも格段に上がるだろう。
たが・・・
「するべきことがありすぎる」
うんざりしたかのような口振りをする影虎にオーフィスは意外そうな顔をした。
「でも影虎、楽しそう」
「そうか?」
今度は影虎が意外そうな顔をする。
「楽しそう」
そんな影虎の言葉をオーフィスは続けて肯定した。
「・・・そうか」
やや納得がいかないが、オーフィスが言うのだからそうなんだろうと自分を頷かせた。なにせオーフィスは"今の影虎"を自分より知っているのだから。