果実纏う武神   作:黒影・贋

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お待たせした分今回は少し長めにさせていただきました。



10、曹操で実験

10、曹操で実験

 

「お呼びですか?影虎」

 

ヘルヘイムの何処かにある巨大な砦に曹操は自分を呼びたした男、影虎と対面した。

影虎の研究室(のようなところで)では様々な器具やヘルヘイムの植物が入った気味の悪く巨大なフラスコがならんでおり、影虎と曹操の間には仕事用のデスクが設置されており大量の設計図や研究レポートなのが並んであった。

 

「あぁ、お前の戦極ドライバーがようやく完成してな」

 

影虎はデスクの上に戦極ドライバーを置いて、曹操に差し出す。

 

「そしてこいつもだ」

 

次に影虎はバナナロックシードを曹操に投げ渡した。

 

「これが私の・・・」

 

曹操は自分の両手に持っている戦極ドライバーを交互に見つめる。

 

「性能を試してみるか?」

 

曹操の返答を待たずに研究室を出て行く。

 

「あっ、ちょ、待ってくださいよ」

 

影虎が研究室を出た途端に我に返った曹操が影虎のあとを追った。

 

 

 

 

 

影虎と曹操がたどり着いた先は古い闘技場のようなところだった。蔦がそこらじゅうに絡まって所々朽ちてはいるが曹操にも、もちろん影虎にもそこが闘技場だということは分かった。

 

「さて、では始めるぞ」

 

そう言った影虎の手には二つのヒマワリロックシードが握られていた。

影虎はロックシードを開錠した。

 

すると、そこに二体の怪物が闘技場に現れる。

 

「影虎、こいつらは一体?」

 

「こいつらがインベスだ」

 

驚いた様子で影虎に聞く曹操に影虎は顔色一つ変えずに言った。

 

「インベス?でもインベスは貴方が根絶やしにしたと」

 

「あぁ、あいつらはそのインベスのデータを元に作ったクローンだ。無駄な能力を省いて戦闘力に力を注いだ・・・さあ、はじめろ」

 

影虎の言葉に曹操は頷き戦極ドライバーを装着して自身のロックシードを開錠する。

 

《バナナ!》

 

《ロックオン‼︎カモンッ‼︎バナナアームズ‼︎

ナイトオブスピアー‼︎》

 

赤いアンダースーツにバナナの鎧を装着したデュークと何処か似ているが全く別の戦士

 

アーマードライダー・バロン

 

バロンとなった曹操が闘技場に入ると闘技場全体が結界のようなもので隔離される。

 

「さあ、お前の力を見せてみろ曹操」

 

《バトルスタート‼︎》

 

「「シャァアア‼︎」」

 

開始の合図がなると同時に二体のインベスがバロンに突進する。

 

バロンはそれをジャンプすることでかわそうとするが・・・

 

「ーーっキャ!」

 

自身が予想していた以上のジャンプ力が発揮され上空に貼られた結界に直撃した。

 

「くっ・・・ハァッ‼︎ 」

 

なんとか体制を立て直したバロンは手に持つバナスピアーを地上に待ち構えるインベスに振り下ろすが。

 

「愚か者め」

 

ガンッという鈍い音が響く。

ーー曹操の振り下ろされたバナスピアーをインベスの硬い体が防ぎきったのだ。

 

「ーーなっ⁈」

 

「シャァアアっ‼︎」

 

驚いて一瞬呆気に取られたバロンにもう一体のインベスがバロンにドロップキックをかました。

 

「キャアアア⁈」

 

吹っ飛ばされた挙句、体制を立て直すことができずゴロゴロと地面に転がりまたしても結界に強打する。

 

「馬鹿かお前は?バナナアームズの特色はバナスピアーによる圧倒的な貫通力だ、ぱっと見て皮膚が柔らかい相手なら未だしも未知数の相手に槍をバットのように振り回す奴があるか」

 

影虎の言葉を聞いて曹操は自己嫌悪に陥った。

今までの相手には自身の神器に宿る力で一方的に戦えたが、今回は違う。

自分の持つ武器は高い貫通力を持つだけのランス(バナスピアー)なのだ。

 

そう思うと自分がいかに神器に依存していたか嫌でも思い知らされた。

 

だからこそ・・・

 

「シャァアア‼︎」

 

こちらに突進してくるインベスにバロンはその場を動かず寸前でバナスピアーの矛先をインベスに向ける、と

 

「シャッ⁈」

 

自身から矛先に突進する形になったインベスは急には止まれずその厚い皮膚にバナスピアーが突き刺さる・・・が

 

「シャァ‼︎」

 

致命傷ではなかったらしく、インベスは自身の体に刺さったバナスピアーを物ともせず近距離での反撃に移った。

 

「ーーっ⁈」

 

それにいち早く気付いたバロンは瞬時にバナスピアーを引き抜き退避する。

勢いよく抜かれた傷口からは緑の血液が流れ出しインベスは痛みに悶える。

 

血を流すインベスを放置してバロンはもう一体のインベスに向かう、同時にインベスもバロンの突撃に迎え撃つ。

 

「ハァッ‼︎」

 

最初にバロンがインベスに対して突きを放つがインベスは体を回転させ突きを受け流す。

 

「シャッ‼︎」

 

今度はインベスがバロンに爪を突き立てるがバロンは回避し・・・

 

「セイッ‼︎」

 

「ーーっ⁈」

 

無防備となったインベスの足にランスをぶつける。バランスを崩したインベスは派手に横転して体を地面に叩きつけた。

 

「シャァアア‼︎」

 

もう一体のインベスは痛みを押さえつけながら立ち上がり、バロンに突進する。

 

対してバロンは戦極ドライバーのカッティングブレードに手をかけた。

 

《カモンッ‼︎バナナスカッシュ‼︎》

 

「ハァアアア‼︎」

 

インベスに対して放たれた強力な突きはインベスの硬い皮膚を貫通する。

そして、今度はバナスピアーの向きを反転させ背後にいるインベスに突き刺した。

 

「「シャァアアっ⁈」」

 

一定量を超えるダメージを受けたインベスは体を維持出来ず粒子となって霧散した。

 

「はぁ、はぁ、終わりましたか?」

 

「あぁ、終わりだ」

 

影虎の言葉と共に闘技場を囲っていた結界は音を立てずに消えていく。

それを確認した曹操は大きく息を吐き、その場に座り込んだ。

 

「どうだ、戦極ドライバーの性能は」

 

「今だに扱いが難しいですね、この鎧の動きに私自身が着いてこれません」

 

「それはもう慣れるしかないだろうな」

 

鎧の動きについて来れない。

この現象は始めて変身したとき三神影虎も体験したものだった。その際にヘルヘイムのあちらこちらをボロボロにしてひどいことになったのは影虎自身にも忘れられない苦い記憶でもある。

 

「さて、早速だが曹操、お前に仕事がある」

 

「仕事?」

 

あぁ、と頷いて影虎は曹操に仕事の内容を説明する。

内容はとある地域にいるはぐれ悪魔の討伐である。これはアザゼルからの頼みでありまた、影虎の取引でもある。

 

「その際に教会側の祓魔師との接触かあったら協力に持ち込め」

 

影虎の提案に曹操は首を傾ける。

影虎のこの仕事の意味は曹操でも想像はつく、戦極ドライバーの試験運用だ。

 

そもそも、これが元々の目的だったはずだ、私を実験体にして戦極ドライバーのデータを集める。それ自体は私も承諾してなに一つ不満はないのだが、一つだけ不可解な点があった。

 

「なぜ教会側に協力を持ち込む必要が?

戦極ドライバーのデータが欲しいのなら私一人で戦う方が効率がいいはずです」

 

「私の目的は戦極ドライバーのデータだけではないからだ」

 

しかし、影虎の答えは曹操の疑問を増幅させるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

曹操を見送った後、影虎は研究室で”ある物”の運用データを纏めていた。

 

「影虎、何をしている?」

 

影虎の背中を見つめるオーフィスが、やや不機嫌気味に影虎に声を掛けた。

影虎が曹操を引き入れてから影虎は曹操ばかりにかまって漸く曹操が何処かに行ったと思ったら今度は本の虫の如く研究にへばりついた。

 

ようは嫉妬である、ヤキモチなのである。

 

無論、影虎は忙しくなってもオーフィスを邪険に扱ったことも雑に扱ったこともない、むしろ影虎にとって今一番大事なのは?と聞かれれば迷いなく”オーフィス”と答えるだろう。

そういうことはオーフィスにも分かっていた、しかし、オーフィスは無垢ゆえに頭で理解していても心では納得出来なかったのだ。

 

構って欲しい、だけど邪魔したら影虎はきっと困る。

 

そんな自身の矛盾と葛藤がぐるぐる回るオーフィスは人間にとっては永遠に等しい年数を生きているのにも関わらず誰よりも無垢で、そして幼い心の持ち主なのだ。

 

そんなオーフィスが考えに考えた結果が先程の言葉である。

影虎は面倒ごとが嫌いたが、何処か自己顕示欲の強いところがある、きっと研究者特有のものなのだろう。だからオーフィスが影虎に研究のことを聞くとは出来るだけ分かるように説明してくれる。

 

「曹操に渡していた戦極ドライバーのデータ調べていた」

 

モニターから目を離し、背後にいたオーフィスに体を向けながら影虎は説明する。

 

「あのとき、曹操に渡した戦極ドライバーにはちょっとした細工が施してあってな、彼女の中にある神器を調べていた」

 

と、カッティングブレードが使われていない戦極ドライバーを見せて説明を続けた。

 

影虎は分かりやすく説明はしているのだが、実のところオーフィスは半分程しか理解していなかった、要するに影虎は戦極ドライバーを介して曹操の神器を調べていたとしか、認識できていなかったのだ(まあ、影虎もオーフィスが全て理解しているとは思っていなかったが)。

 

淡々としているが何処か楽しげに説明する影虎がオーフィスは好きだった。

オーフィスには、その時だけ影虎が幼い子供に見えるのだ。

 

「オーフィス?どうかしたか?」

 

説明を終えてもずっとぼーっとしていたオーフィスを訝しんだ影虎が彼女の目を覗き込んだ。

 

「なんでもない」

 

そうか、とそれ以上追求せずに影虎は自身の研究データに向き合った。

 

オーフィスは影虎に懐いている、それはもう酷いくらいに、オーフィスにとって三神影虎という存在は必要不可欠。

 

だからこそオーフィスは時々考える、いずれ影虎は自身から離れる時が来るのだろうか?

 

「ーーっ」

 

想像しただけで体が震えて目が回る視界が真っ黒に染まっていく

 

嫌だ、嫌だ、嫌だ

 

影虎がいなくなるなんて・・・嫌だ

 

オーフィスは自身の想像したことのおぞましさに思わず自分の腕に手を回し、まるで泥沼の底のような瞳で影虎の背中を見つめた。

 

「影虎、我を裏切らないで」

 

オーフィスの呟きは影虎の耳に届くことなく空気に消えた。

 

 

 

 

 

 

 




一応、曹操もヒロインの筈なのにこの扱いの差とは・・・どうしてこうなった(´・_・`)
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