あえて言い訳をさせてもらうなら大学受験云々で忙しかったもので・・・
まあ、要するにこれからも遅れるかもしれないということです。
重ね重ね、申し訳ありませんm(_ _)m
12、曹操のお使い 中 /彼は謎解きが好き
あのはぐれ悪魔に敗北した曹操と祓魔師の少女は一度撤退し曹操が借りている宿に戻った。
「いったいあのはぐれ悪魔は何者だ?
祓魔師達の中でもあんな悪魔の話なんて噂でも聞いたことがないぞ」
動揺した祓魔師を放置して曹操は影虎から渡された資料を見直す。
「ん?これは・・・?」
「どうした?」
曹操が渡された資料の中に一枚だけ白紙のものがあった。
「ただの間違いか?」
白紙を覗き込んだ祓魔師が至極真っ当な言葉を口にした、そんな言葉を曹操は首を振って否定する。
「彼はそんな間違いは犯しませんよ。
必ず何かがあるはずです」
「随分と信頼しているんだな、その”彼”に」
祓魔師の言葉に笑みを返し、曹操は白紙を天井の光で透かしてみる。
「この白紙には意味がある。少し他の資料とこの白紙も調べてみます」
「手伝えることはあるか?」
祓魔師の言葉に曹操は少し思案に耽ると口を開く。
「なら少しでも体を休めて下さい、肝心な所で動けないなんて笑い話にもなりませんよ」
「なら、遠慮なく」
曹操の言葉に頷いた祓魔師は早々にベッドに入り数秒もしないうちに規則正しい呼吸をたてた
「早いですね」
祓魔師の寝つきの良さに少し唖然とした曹操は備え付けの机に向かい、資料を漁った。
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「・・・んむぅ」
暫く資料と向かい合っていたがいつのまにか自身が寝ていたことに気付いたのは深い眠りに就いてから約30分後のことだ。
「・・・レモンの香り・・・ん?」
寝起きに感じた薄く鼻をつく柑橘類の匂いに曹操は違和感を覚える。
机の上、というよりこの部屋にはフルーツの類は置いていない、ならいったいどこからこの匂いは来ているのか?
暫く辺りを見回し、ある品物に目がついた。
「・・・影虎の資料?」
まさか、と感じながら資料に顔を近付けてすんすんと鼻を鳴らすと微かだが確かに甘酸っぱい柑橘類特有の匂いがする。
「もしかして・・・」
机の引き出しに(恐らく災害対策で)常備されていた蝋燭を取り出し火を点け、そして恐る恐る白紙の資料を火で炙ると・・・
「フ、フフフッ、必死に考えた私がバカみたいじゃないですか」
焦げたような色で浮かび上がる文字が現れた。
あぶり出し、一昔前の小学生であれば手品の類として知った人間もいるだろう。
レモンの汁やお酢などで紙に文字を書き乾いた後に火で炙ると文字が浮かび上がる。
酷く幼稚で古典的で小学生でも思いつく様な種・・・だからこそ、複雑でわかりにくい。
曹操の脳裏には人の悪い笑みを浮かべた三神影虎が映る。
彼を脳裏からはじいた曹操は裏の資料がまだ断片であることを知り・・・
「ちょっとすみません。起きてください‼︎」
ベッドの上で眠りこけた祓魔師を起こした。
「っ、何事だ?どうした?」
目をこすりながら言う祓魔師に曹操は微かな苛立ちを覚えるがそんなもの彼方に追いやり、やや興奮気味に要件を話す。
「手伝って下さい!厨房に行きましょう!」
祓魔師の少女は曹操の突然の言葉に首を傾けるだけだった。
「で?厨房を借りたのはいいがここで何をするつもりだ?」
安眠を妨げられた祓魔師は曹操に不機嫌だということを隠そうともせずジト目で睨む、曹操はそんな祓魔師の視線を気にすることなく分厚い資料を嗅ぎ分けていく。
「一部資料をそちらに渡すのでオーブンの中で2〜3分程焼いてください」
嗅ぎ分けた資料の数枚を祓魔師に渡し曹操は引き続き資料を嗅ぎ分ける
「資料を焼く?・・・まあ、いいか」
寝起きで頭が回らない祓魔師はどこかおぼつかない動きで資料を掴みオーブンのあるところへ向かって行った。
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曹操が全ての資料を嗅ぎ分け、祓魔師がそれらの資料の文字を炙る出したのはそれから二時間程たった後だった、外はすっかり日の光に照らされ町人の言葉が壁や窓越しに聞こえてくる。
曹操は資料の並び替えと閲覧、祓魔師は町で聞き込み二手に別れてこの町に住むはぐれ悪魔の調査に勤しんでいた。
「どうですか?何か分かりました?」
曹操は筆記用具を片手に目の前で揺られている人形に目を向ける。
『いいや、はぐれ悪魔どころか昨日の出来事すら、この町の住民は気づいていないようだ』
その人形からは祓魔師の声が聞こえてくる。この人形は一種の通信端末で同じ物を祓魔師に渡し、連絡手段を持たない祓魔師に即席で作った品物である。
「何もきづいていない・・・ですか」
祓魔師の言葉に違和感を感じた曹操は少し首を傾けて考えるが、何もわからず結局放棄する。
『そういえば、お前は何故ここに来たんだ?』
「私はある人物にここで祓魔師と共にはぐれ悪魔を討伐しろと指示をうけたんです」
祓魔師の質問に出来るだけ影虎の名前を出さないように言葉を選んで答える。
『私がここに来ることを知っていたのか?』
「さあ、どうでしょう?少なくとも私は知りませんでしたよ?」
『その男は一体何者なんだ?』
祓魔師の言葉に首を傾けて考える。
そういえば私は影虎について知っている事なんて殆どない、ただ知っているのは
影虎はオーフィスを籠絡して側に置いている
ヘルヘイムという奇妙な森に出入りできる
そして・・・
「この戦極ドライバーを開発した男」
曹操は傍に置いてある戦極ドライバーを指で撫でて無意識に呟いた。無論、祓魔師はその声を聞き逃すことはなく
『なに?あの鎧はその男が作った物なのか?』
曹操は内心で悪態をつく。今のは言い逃れようのない失態だ、開発者を出さなければ最悪神器ということで済ますことが出来た物を・・・
「・・・えぇ、どうやってか知りませんが」
『成る程、その男がお前にあの鎧を渡した目的は、なんなんだろうな?』
「実験体らしいですよ、私」
・・・沈黙が痛い。
人形の向こうにいる祓魔師が驚きの表情を作ったことは見るまでもなく分かった。
『・・・わかってて実験体になったのか?』
信じられないと言いたげの声色に曹操はあっさりと肯定する。
「えぇ」
『どうして?』
祓魔師の言葉に曹操は少し考えた後
「彼のことが好きだからです」
簡単な理由のみを口にした。
『・・・は?』
当然、それだけ聞いた祓魔師は理解出来る筈もなく首を傾けるだけだった。
曹操のお使いは恐らくあと二作で完結すると思います。
それもあとどれくらいかかるのやら・・・