7、私の物になれ
広い森の中で黒髪の美女、曹操が手に持つ必殺の槍撃を黄色の騎士、影虎に繰り出す。
「やあっ‼・・・ハァッ‼」
「・・・・」
対して影虎は口を動かさず手に持つランスで槍撃を捌く。
「どう、しました⁈守って、ばかりじゃ!いつまでたっても・・・終わりませんよッ‼」
槍撃を繰り出しながら言う曹操に影虎は漸く口を開いた。
「そうか・・・なら、私も攻撃に移るとしよう」
瞬間、曹操の繰り出す連続の槍撃が一瞬で弾かれ、同時に影虎からの掌底が放たれた。
「ーーくッ⁈」
防ぐ手立てが無かった曹操はたった一撃の掌底で遥か後方へ飛ばされ、思わず膝を着く・・・が。
「セイッ!」
「ーーッ⁈」
態々相手の回復を待つことも無く今度はランスによる追撃が曹操を襲った。
「ーーハッ‼」
が、その槍撃は間一髪の所で回避された。
「くっ、以前よりも確実に強くなっていますね」
「そっちは、大して変わっていないように見えるが?」
影虎の言葉を聞いた曹操はキッと影虎を睨み槍を構える。
「まあいい。どの程度変われたか試してやろう」
言葉と同時に影虎は戦極ドライバーのカッティングブレードを二回振り下ろす。
《カモンッ‼バナナ、オーレッ‼》
「ハァッ‼」
影虎がバナスピアーを地面に突き立てた途端、曹操を囲むように無数の刃が地面から突き出された。
「なっ⁈」
「さぁ、お前はどの程度変われた?」
《カモンッ‼バナナ、スカッシュ‼》
ロックシードのエネルギーによって巨大化した必殺の槍が自身で生み出した無数の刃ごと曹操を薙ぎ払う。
「やったか?」
以前にも記したことだが、この台詞が出てきた場合は大抵やってない、無論今回もその例に漏れず・・・
「ーー禁手」
「うん?」
「極夜なる天輪聖王の輝廻槍‼」
やってない。
「象宝(ハッテイラタナ)、私の持つ七つの能力の一つで空を飛ぶ事が出来ます」
大きな球体に乗った曹操が地上の影虎を見下ろし彼に自身の能力の一端説明する
「ほう、確かに進歩はしたらしいな。だが、空なら私の攻撃が届かないと思ったら大間違いだ」
影虎はもう一つ、別のロックシードを取り出した。
《ブドウ‼》
「なっ⁉まだ、別の姿があると言うのですか⁈」
《ロックオン!カモンッ‼
ブドウアームズ‼
龍・砲!ハッハッハッ‼》
バナナアームズが消え去り、代わりにブドウが頭上から出現し、影虎の頭から装着する。
仮面ライダーデューク ブドウアームズの完成である。
「なんというか、毒々しい色の組み合わせですね」
曹操の言葉に思わず俺は苦笑してしまった。
「まあ、本来ベースとなる物が違うからな」
本来は龍玄との融合を想定しているからな、合わないのは仕方ない。
「ベース?」
「何でもないこっちの話だ」
ブドウ龍砲を構え弾丸を装填する。
そして、射出。
「ーーハッ!」
辺りに大きな銃声を響かせ、弾丸が空に浮かぶ曹操に音速の速さで突撃する・・・が
「馬宝(アッサラタナ)」
曹操は唐突に消え弾丸は空を切った。
「なに?ーーむ」
後ろから闘気を感じ取り即座にブドウ龍砲を構えると、同時に目の前に槍の矛先が迫っていた。
「おぉっと!」
間一髪の所で槍の軌道をずらす。
同時に掌底を放つがまたしても曹操はその場から姿を消した。
「なるほど、転移系統の能力か」
「えぇ、馬宝(アッサラタナ)は任意の物体を転移させることが出来ます」
思わず舌打ちしそうになる、これでは"生け捕り"が難しくなってしまう。
「仕方ないか」
ドライバーからブドウロックシードを取り出し、別のロックシードを取り出した。
《マツボックリ!》
《ロックオン!カモンッ‼マツボックリアームズ‼一撃!インザシャドウ‼》
「また、別の姿に・・・」
「さあいくぞ?ここからは私のステージだ」
影松を構え相手の出方を伺う。
「私相手に槍で挑もうなど、なめられたものですね」
失笑を含めた言葉を残し曹操は転移で姿を消した。
「・・・・ハッ!」
背後の闘気に反応して槍を突く・・・・が
「残念、ブラフです」
再び背後に回られ曹操は俺に槍を突き立てる。
「残念、残像だ」
「ーーなっ⁈」
《カモンッ‼マツボックリ・スカッシュ‼》
瞬時に曹操の背後に回った俺はロックシードのエネルギーを溜め込んだ影松を曹操に振るう。
「・・・ハァッ‼」
「キャアアアアア⁉」
俺の一撃は曹操ごと木々を薙ぎ倒し辺り一体を更地に変えた。
・・・殺したか?
死なない程度に手加減はしたのだが・・・目の前の惨劇にちょっとした不安に駆られた。
「おい!生きてるか?
返事をしろ!曹操!」
「生きてますよ」
声のする方に目を向けると倒れ伏した曹操が仰向けの状態で手を振った。
ため息が出ると同時に変身を解除した。
少し早足で曹操の元に向かい傷を確認する。衣類が無残に引き裂かれていたので、目のやり場に困ったが、気にしていられないのでそのまま曹操の身体を見回す。
「・・・あ、あの、そんなに舐め回すように見られると恥ずかしいのですが」
「・・・」
煩い黙れ、と喉まででかかった言葉を無理やり押し込めた。
ある程度見回し特に大きな怪我がないと確認した俺はクラックを開き、そこから適当な布を引っ張り出して曹操に被せる。
「あの一撃を受けて掠り傷程度ですむとは・・・お前はしぶとい人間だな」
「よく言いますよ、手加減した癖に」
「気づいていたのか?」
「何となく分かります。あの白い姿であれば、私ではとても相手にはならなかったでしょう。」
少し、拗ねたような言い方に引っかかりを感じたが、俺はなにも言わなかった。
暫く経つと、曹操はさっきまでの拗ねたような態度を戻し俺に質問をぶつけてきた。
「それで?何の為に手加減したんですか?・・・まるで、私に死なれたら困るように見えますが」
「そのとうりだ。正直な話、お前に死なれるのは私にとって損害でしかなくてな」
「何が言いたいのですか?」
俺の言葉の真意が分からないといった様子で曹操が俺に簡潔に言うように要求してきた。
だから曹操の要求どうりに出来るだけ簡潔に分かりやすく言葉にした。
「曹操」
「は、はい」
俺の纏う雰囲気が変わったことに気づいたのか曹操はやや圧倒されたように
俺の言葉をまっていた。そんな曹操の様子を確認した俺は口を開く
「私の物になれ」
言ってから考える
あれ?この言い方ってもしかしたらとんでもない誤解を招くのではないだろうか?
俺がその事に気づいた時にはすでに遅かったらしい。
「なっ、な、なーーー」
曹操は顔を真っ赤に染めて口をパクパクと魚のように開閉させていた。
さて、どうやって弁明しようか。
今すぐヘルヘイムの森に逃げ出したい衝動に駆られるが、何とか抑え込み曹操になんて説明しようかと思考に耽った。
木々が無残に薙ぎ倒された森の中で三神影虎は目の前の女性、曹操に先程の自身の言葉の意味を弁明していた。
「つまり、私に貴方の下に仕えろという意味で、その・・・決して貴方の女になれという意味ではないと」
後半は少し顔を紅潮させて言う曹操に対して影虎はややうんざりした顔で彼女の言葉を肯定する。
「あぁ、そのとうりだ。
・・・誤解を招く言い方をしたのは私だが、そこまで取り乱すことか?」
影虎が発した言葉に曹操は一瞬、影虎を睨むが直ぐに呆れたようにため息を吐いた。
「あぁ、そうですね。貴方はそう言う人なんですね」
「どういう意味だ?」
何でもないです、とプイッとそっぽを向いた曹操を影虎は疑念の目で見ると曹操は眼球だけを動かして影虎に質問を重ねた。
「それで?どういう心境の変化で私を引き込もうと?」
今まで見向きもしなかった癖にと内心で悪態をつく。
そんな彼女の内心を知ってか知らずか影虎は曹操の質問に答えた。
「まあ、そうだな、強いて言うなら君は私の研究の実験台だ」
「実験台?」
影虎の不穏極まりない言葉に曹操は鸚鵡返しに聞く。
「そうだ、実験台だ・・・こいつのな」
影虎は自分の戦極ドライバーをトントンと叩いて言った。
曹操は首を傾け影虎の言葉をまった。
「この戦極ドライバーは試作品だ。より完成に近い物を作りたいんだが、その為にはもっとこの戦極ドライバー運用データを採取する必要がある」
「だから私にその運用データを採取する為に協力しろと?」
「まあ、そういうことだ」
「因みに拒否権は?」
「あると思っているのか?」
やや威圧を含めた言い方に一瞬圧されるが表情に出さずに敢えて同じ質問をした。
「それでも、私が断ったら?」
「お前が頷くまで痛めつけるまでだ」
なんてことないように言う影虎に初めて曹操は恐怖した。
この男は最初から意見など求めていない。そもそも、初めからそれは分かり切っていたことだった。頼んでいる訳でも提案しているわけでもない・・・命令しているんだ。
そこまで考えに至ったらもう、曹操には諦めることしか出来なかった。
「貴方の仰せのままに」
「それでいい」
影虎は服従の意を見せる曹操を見下ろし、満足気に頷いた。
相変わらず主人公とは思えない黒っぷり。
今回は少し展開が強引だったかもしれませんね
そして、ブドウはなん為に使われたのか