8、二人目のモルモット
曹操は影虎が開いた奇妙な森の中で彼の後をついて行った。
「曹操、お前にこいつを渡しておく」
そう言って影虎は曹操にある物を差し出した。
「これは・・・?」
それは果実が描かれた手のひらサイズの錠前とカッティングブレードが搭載されていない戦極ドライバーだった。
「ロックシードだ、それと戦極ドライバーを合わせて使うことでアーマードライダーに変身する事ができる。
まぁ、お前に渡した戦極ドライバーでは無理だが」
「なるほど・・・所で、このロックシードも貴方が作った物なんですか?」
「半分正解だ」
「半分?」
首を傾ける曹操に影虎は戦極ドライバーを取り出し自身に装着する。
「ロックシードは元々このヘルヘイムの森に存在する果実そのものだ」
「ヘルヘイムの果実?」
影虎はそこらじゅうにある果実を適当に指で示した。
「この果実はそのまま口にすると猛毒に侵され理性を失い破壊衝動に飲まれる」
想像したのか曹操は少し怯えたように果実から一歩引いた。
そんな曹操の様子を見て影虎は少し口角がを釣り上げたが直ぐに戻す。
「そんな危険な果実から栄養分を安全かつ効率的に摂取する為に作られたのがこの戦極ドライバーだ」
影虎は適当な果実をもぎとる、すると果実は形を変えヒマワリロックシードへと変化した。
「これが、戦極ドライバーの機能の一つだ。戦極ドライバーを装着した状態でヘルヘイムの果実をもぎ取るとそのままロックシードに加工される」
影虎はそのままヒマワリロックシードを戦極ドライバーに装着する。
「そのロックシードを戦極ドライバーに装着すれば、戦極ドライバーを介してロックシードの養分を吸い取る事が出来る。まあつまり、このロックシードと戦極ドライバーの両方が揃っていれば極端な話、人間は一切の食料が不要となるということだ」
「では、このロックシード単体では何ができるんですか?」
影虎の戦極ドライバーと自身のロックシードを見比べて聞く曹操に影虎はロックシードを取り出して答える。
「ロックシード単体の機能はこの森に生息する怪物を使役する物だ・・・が、お前に渡したロックシードはちょっとした細工をしてある。ヘルヘイムの入口と出口を開く機能だ」
影虎は曹操の持っているロックシードを手に取り開錠するとクラックが開いた。
「こいつがあればこのヘルヘイムを自由に出入りが出来る」
ロックシードに錠をかけるとクラックも同時に閉じる。
「ふむ、では怪物とは?」
「怪物とはこのヘルヘイムの森に生息する"インベス"と呼ばれる種族だ」
「インベス?」
「インベスとはさっき言ったこの果実を口にして変貌した怪物のことだ。
ヘルヘイムの果実を口にした生物は遺伝子レベルで変異させ内側から支配する、そして支配されたインベスは胞子を持ってクラックを辿り、別の世界に種を振りまいてその世界をヘルヘイムと同じように侵食する」
「ということは・・・もしかしてこの森は・・・」
何かに気づいた曹操は怯えたように辺りの森を見渡しながら言う、影虎は淡々と答える。
「あぁ、このヘルヘイムも何処からか侵食された文明だったということだ」
「なら、ここにいるインベスは私達のいた世界も・・・」
「それはない」
"ある可能性"に気づいた曹操の言葉を間髪いれることなく否定する。
「何故そういえるんです?」
「私が奴らを"根絶やしに"にしたからだ。他に質問は?」
「いえ・・・もう結構」
「そうか、お前のアーマードライダー用の戦極ドライバーを制作するのには少し時間がかかる、それまでお前はこの森で待機してろ。
出るのは自由だが、面倒ごとは起こすな・・・いいな?」
「仰せのままに・・・」
曹操からの返事を確認した影虎は、彼女を残し森の奥に消え去った。残された曹操は影虎から渡されたロックシードと戦極ドライバーを見つめていた。
曹操から離れた影虎は携帯を取り出し、唯一登録されている番号に発信した。
『はいもしもし、影虎さんですか?』
「あぁ、私だ。
転生者はそちらに来たか?」
『はい、確かにこちらに来ました。
影虎さん、ありがとうございます』
「あぁ、それで頼みなんだが・・・私に忠実な手駒が欲しい」
『手駒?例えば?』
「オーバーロード・インベス」
影虎は電話越しに神様が驚いた事を聞くまでもなく感じた。
『なんの為にオーバーロードを?』
「念のためだ。もし私がいなくなった時に、この森を支配する者が必要だろう?」
この森を今、影虎によって支配され別世界への侵食は防がれているが、もし仮に影虎という支配者がいなくなったら?その先の事は影虎もわかっていない。この森は新たに別の世界に侵食するのか?それとも影虎が消えると同時にこの森も枯れ果てるのか?
後者なら別に構わないが前者だったら
面倒な事になる。
少なくともこの世界でヘルヘイムの侵食を防ぐ方法はない、そうなればこの世界も数年もしないうちにヘルヘイムの仲間入りだ。
別にこの世界のことは心底どうでもいいが自分で蒔いている責任を背負うことを拒否する程、影虎は自分勝手でもない。
故に影虎は神様に要求した。
例え自身が消えることになっても、このヘルヘイムが枯れ果てるまでこの森を支配する自身の亡霊を。
『分かりました、オーバーロードは此方で用意してそちらのヘルヘイムにお送りします』
「あぁ、悪いな」
『いえいえ、影虎さんには色々面倒をおかけしましたから、その恩返しにということで・・・』
「あぁ、ありがとう」
簡単な礼を述べた後、影虎は携帯の切ってオーフィスのもとに向かった。
結構またせてしまったから怒ってるだろうな
とどうやって彼女の機嫌をとるか頭の片隅で考えながら・・・