ぼっち以外ショタ結束バンド   作:koum

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第1部 結束編
喜多少年


ため息を一つ溢した。

 

高校が始まってもう一か月。

 

友達はできないしクラスにもなじめない。

 

せめてもの抵抗に、バンドのTシャツを着て、ギターを持ってきたけれど、結局話を膨らませることはできなかった。

 

黒歴史がひとつ増えただけ。

 

わざわざ遠くの高校まで来たのにな。

 

通学しんどいし、これ以上行きたくないな。

 

ひとりぼっちの帰り道、緑の多い公園のベンチで一息をつく。

 

そんなことを考えていたら。

 

ギターの音が聞こえてきた。

 

下手だな・・・。

 

お世辞にも上手いとは言えない。

 

初心者の演奏だな、と懐かしさを感じた。

 

音を辿ってみると、そこには赤毛の少年がいた。

 

元気いっぱいの子犬のような気配。

 

成長すれば、さぞ強烈な陽の気を放ちそうな、そんな予感。

 

真新しい水色のギターを担ぎ、難しい顔でコードを押さえて演奏しようとしている。

 

「あっ・・・お姉さん! その楽器、もしかしてギター?! 良かったら教えてくれませんか!」

 

「え? え?・・・え?」

 

目と目が合ったら、突然教えを請われた。

 

ポケモンバトル・・・?

 

「おれ、喜多って言います! 中学一年!

 

 先輩のバンドに入ったんだけど、まだギター始めたばっかりでわかんないことだらけで・・・

 

来週になったら合わせの練習もあるし、尊敬している先輩にかっこわるいところ見せたくなくて!

 

もしギターに詳しかったら教えてください!」

 

 

 

 

 

 

ギターにはそれなりに自信がある。

 

陰キャは人のお願いを断るのが苦手なんだ。

 

男の子の相手ということで気おくれしてるのもあり、つい頷いてしまう。

 

「少しだけなら・・・」

 

「助かったー! ありがとうございます!」キターン

 

なに今の音(?)

 

喜多くんはいい子だった。

 

呑み込みが早くて教えていて楽しい。

 

お手本を見せてあげると、すごいすごいと褒めてくれる。

 

陽キャな男の子に褒められると、グングン自己肯定感が満たされる!

 

大丈夫かなコレ。

 

淫行罪とかセクハラとかで後で逮捕されないかな・・・

 

 

「ところで、なんで公園で練習しているの・・・?」

 

 

「やー、やっぱりバンドといったら路上ライブじゃないですか。

 

 外でやったらその練習にもなるかなって。

 

 もしかしたら教えてくれる人が寄ってくるかもしれないし!

 

 目論見通り大成功!」

 

 

喜多くんの行動力はすごい。

 

ギターやったことがないのにバンドに入るし、家の外で演奏できてしまうし、ついでに先生を見つけようとすらする。

 

ギターの腕で勝ってはいても、バンドを組めている時点で、私よりずっと先を行っている。

 

その要領の良さと行動力で、ギターの腕も追い越して行っちゃうのかもしれない。

 

お別れの際に、明日もお願い!と喜多くんにねだられて、押し切られてしまった。

 

陽キャのテンションに勝てる気がしない・・・

 

高校生活で感じる寂しさが、ちょっとだけ薄まるのを感じた。

 

 

 

 

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