ぼっち以外ショタ結束バンド   作:koum

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喜多:童貞
初恋は山田に一目惚れ。
男と知り寝込んだ。

虹夏:童貞

山田:非童貞

よろしく!



山田

 

 

虹夏くんに動画配信のコーチをお願いされた。

 

動画配信については、それなりに知識がある。

 

私ごときがアドバイスなんて恐れ多いけど、ギターヒーローのファンらしいし。

 

これから始める上で助言をするなら。

 

 

「人に聞かせられるレベルだったら、下手なうちからドンドンやったらいいんじゃないですかね?」

 

「その心は?」

 

「『ギターヒーロー』がウケたのは上達過程があったからかなって・・・思います」

 

 

「人はストーリーを好むってやつか。いいね。配信で一代コンテンツを築いてガッポガッポ・・・!」

 

ひょこっと、虹夏くんの後ろからもう一人の男の子?が現れた。

 

男の子?

 

男の子だよね・・・?

 

すごく整った、性的にニュートラルな顔つき。

 

ダボッとした服装だから、体型から男女どっちかよくわかんない。

 

喜多くんがボーイズバンドって言ってたし、男子のはずだけど。

 

声も、低音の女の子みたいな高さだし。声変わり終えてるんだよね・・・?

 

「ちょっと、リョウ! 配信で稼ぐお金はバンドの運営費にあてるんだからね」

 

「楽器の購入費用は運営費でしょ」

 

「確定申告じゃないんだから通りません!

 

バンドとしてじゃなくて、個人のコレクションでしょ!

 

・・・まあ余剰分がたくさんでたら分配するけどさ」

 

「その辺、どうなんです? ギターヒーローとやらの収益は」

 

動画の収益・・・?

 

「こら。名前すら名乗ってない初対面の人に、収入聞くのは失礼でしょ」

 

「これは失礼。ボクはリョウ。ベースをやっています。今後のバンド活動のために教えていただけないでしょうか」

 

馴れ馴れしい雰囲気を切り替えられて、めちゃくちゃ丁寧に返されると返答に困る。

 

「ど、どど、どうも、後藤です。ギターヒーローやってます。えーと、ギターヒーローのアカウントは収益化してないです」

 

勝手になるもんじゃないよね?

 

そんな手続きしたことないし。

 

「してないの?! もったいない・・・っ!」

 

血の涙を流す勢いで後悔された。

 

え、お金に困っているご家庭なの・・・?

 

「実際、どんなもんなんだろうね」

 

「スターリーでライブするためのチケットノルマはクリアできるといいんだけどな」

 

「高校生だったらバイトしてたろうねえ」

 

「先輩たちが高校に上がってバイトしだしたら、オレ取り残されちゃうじゃないですか! 資金面は動画配信でどうにかして欲しいです」

 

喜多くんが強く主張してきた。

 

そっか、喜多くんだけ1年、年下なんだっけ。

 

「たはは・・・まずは初めて見ないとなんとも言えないね」

虹夏くん、リーダーやるだけあってしっかり者というか苦労してそうだなあ。

 

 

 

 

//////////////////////////////////////////////

 

 

 

 

とりあえず配信用の動画を撮影しようと、カメラを置いて演奏の合わせを始めたものの。

 

「今日の仕上がりじゃ公開できない」

 

リョウくんが猛烈に反対した。

 

「まぁ、確かにね。質が悪すぎても、二度と見るかってヘイト買っちゃうし。今日は見送りかな」

 

「オレのせいですよね。すいません・・・」

 

原因は喜多くんの練度不足。

 

ボーカルをやりながらだと、ギターのミスが多発する。

 

ギターにリソースを食われて、ボーカルとしても声量が出ず不安定。

 

「喜多に負担が大きいのはわかる。けど、もっと練習してきて」

 

「はい・・・」

 

喜多くんのギター歴は3週間。

 

上達速度が早いのは間違いないけど、初心者の域から抜け出せてはいない。

 

喜多くんが頑張っていることを、曲がりなりにも師匠として見てきた。

 

私に出来ることはないかな。

 

・・・私が出来ることはギターしかない。

 

それと、バンド活動を体験したいという下心。

 

ギターヒーローのファンという虹夏くんにカッコつけ、生の賞賛を浴びたいという気持ち。

 

「あの、私が臨時でサポートギターするので、喜多くんは今日のところはボーカルに徹してもらうのはど、どうでしょうか」

 

「う"・・・後藤さんがそういうなら・・・。リードギターは譲ります。・・・自分が不甲斐ないです」

 

ひどく傷ついた表情の喜多くん。

 

バンド体験したいという下心があるので、とても悪いことをした気分。

 

やっぱり止めようかな。

 

「ギターヒーローとコラボなんて! いつか出来たらいいなと思ってたけど、まさか初日からなんてびっくりだ」

 

リーダーの虹夏くんは乗り気だった。

 

言い出したので取り下げることも出来ず。

 

なので、あっさりやってみようという話になった。

 

 

 

 

 

/////////////////////////////////////////////////

 

 

 

 

 

 

 

こんなはずじゃあ。

 

 

 

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

男子たちは沈黙して物言いたげな顔。

 

予想の中ではーーーー

 

喜多くんにお手本を見せて尊敬され、

 

虹夏くんには、流石ギターヒーロー!って黄色い声をあげられて。

 

イマイチ反応が悪いリョウくんには、実力を認められる。

 

そんな未来絵図は・・・

 

「なんか微妙だったね」

 

「普通に下手」

 

「なんで、そんな。師匠・・・?」

 

実力を認められるどころの話ではなかった。

 

リズム隊に合わせられず右往左往した演奏。

 

自信に亀裂が走る。

 

「ミジンコが調子に乗ってすみませんでした・・・」

 

喜多くんを押しのけて入って、これは酷い。

 

視線が怖くて立ってられない。

 

うずくまってしまう。

 

「おーい、お前ら、差し入れだぞ。

 

・・・なんだこの雰囲気。女の子泣かしてなにやってんだァ?」

 

虹夏くんのお姉ちゃん・・・店長さんが大皿を持ってやってきた。

 

食欲を誘う匂いが漂う。

 

山盛りの唐揚げ。

 

そして男子に向けられる怒気。

 

「ちょっと待ってよ、姉ちゃん!」

 

弁明する虹夏くん。

 

もしかして、私が何かされたと思ってる?

 

「待ってください! 私が下手くそなのが悪いんです!」

 

「あん? さっき聞く限りではかなり上手かったろ。

 

まあ、ケンカしてるわけじゃなきゃいいんだ。とりあえず唐揚げでも食べながら聞くよ。・・・つい、虹夏たちに出す感覚で唐揚げにしちゃったけど平気?」

 

「はい・・・唐揚げは好きです」

 

差し入れは山盛りの唐揚げにコーラ。

 

最高の組み合わせ。

 

ストレス発散も込めて、ムシャムシャと食べてしまう。

 

揚げたてで美味しい。

 

正直に上手く演奏できない理由を話す。

 

「そっか、ギターヒーローさん、誰かとやるの初めてなんだ。なるほど〜」

 

虹夏くんが納得したと頷く。

 

「ううっ・・・いい経験が積めました。もう思い上がることはせず、慎ましくやっていきます・・・」

 

バンドで演奏するのにコミュ力がいるなんて。

 

ギターは扱えても、私はバンドを組むことはできないんだ。

 

喜多くんはギターの扱いに苦労しても、リズム隊とのやり取りは難なくこなしてた。

 

だから勘違いしちゃった。

 

ザ・陽キャのコミュ力で、喜多くんには多分あっさり抜かされちゃうんだろうな。

 

夢が。

 

バンドで食べていくって人生設計が崩壊していくぅ・・・

 

悲しくて、泣きながら唐揚げを頬張った。

 

「本人にやる気も実力もあるのに、難しいな・・・。経験積むしかないからなぁ」

 

虹夏くんのお姉さん・・・このライブハウスの店長さんはうーんと唸り、ちらりと虹夏くんを見た。

 

「僕はギターヒーローさんが参加してくれると嬉しいけどさ。やってたら上達するだろうし。けど・・・」

 

ちらりとリョウくんへ視線を向ける。

 

「ボクは後藤先輩が本格参加するのは反対」

 

「がっ!!!」

 

サラリと放たれた言葉の凶器に貫かれる。

 

やっぱり私なんてぇ・・・

 

「そんな・・・! 良いじゃないですか!」

 

喜多くんが反論して、そのまま背中をさすってくれる。

 

ううっ、さっきは私がひどいことしたのに優しい・・・

 

「なんで喜多はそんなに肩を持つの?」

 

「そりゃ、教えて貰ってる先生だし。恩返ししたいし」

 

「ふーん、喜多は惚れっぽいから信用できないなぁ」

 

「ちょっ・・・! 『あのこと』を蒸し返すのは勘弁してくださいよ! 純粋な恩返しですって!」

 

『あのこと』ってなんだろ。

 

知らない話題に疎外感。

 

「冗談はおいといて。

 

うちのバンド『結束バンド』はボーイズバンドだよ。

 

ボクは中性的美少年、虹夏は麦わら帽子が似合う正統派青少年、喜多は年下子犬系。

 

そんなボーイズバンドだ。

 

・・・そこに女子高生が混じったら色物バンドに堕ちるでしょ」

 

抜けない槍に貫かれる。

 

ぐふぅ。

 

「自分で中性的美少年って言うかー? 」

 

呆れたように言う虹夏。

 

リョウくんの意見自身には異論ないみたいだ。

 

男子中学たちに混じる女子高生。

 

しかも混じるのは、こんな私。

 

ひどい異物混入なのは間違いがない。

 

「ボクが美少女と見紛う美形なのはただの事実。先月もいたいけな子犬系少年の初恋を奪ってしまったところ」

 

「ぐはぁっ・・・! もう勘弁してくださいッ!」

 

喜多くんが死にそうな顔してる。

 

「ちょっとリョウ! オーバーキルだよ!!」

 

さっきからなんの話をしているんだろう。

 

話に加われない沈黙を誤魔化すように唐揚げを食べる。

 

お父さんのとは違うけど、しっかり下味がついてて美味しい。

 

視線を感じた。

 

店長さんがじっと見ている。

 

「な、なんでしょうか?」

 

「いやぁ、ひとりちゃん、モリモリ食べるなぁと思って」

 

「うっ、遠慮せずすいません。美味しくて、ついっ!」

 

「食い盛りの男の子3人分揚げてきたから大丈夫だよ。でも同じくらい食べてるから足りなくなるかもしれないな」

 

「僕らと同じくらい・・・? 閃いた! ギターヒーローさんには男装してもらってボーイズバンド4人組やったらいいんじゃない? 身長も似たようなもんじゃん」

 

「おい。こんな可愛い子を捕まえて何言ってんだ、虹夏」

 

ぎろりと店長さんが鋭い眼光を放つ。

 

「可愛いと感じるんですか? 星歌さん」

 

リョウくんが店長さんの顔を覗き込む。

 

「・・・ひとりちゃん、小動物チックでカワイイじゃん」

 

ぽっと顔を染める店長さん。

 

「姉ちゃんはぬいぐるみとか可愛い物好きだからなあ・・・あいたぁ!」

 

無言で店長さんが弟の虹夏くんを小突いた。

 

結局、この日は動画撮影は無しになって、結束バンドの練習に混ぜてもらった。

 

 

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その日の夜。

 

習慣としてギターを弾きながら考える。

 

今日は楽しかったなぁ。

 

バンドにいれて欲しいな。

 

でもボーイズバンドなのは事実だし・・・。

 

もしも私の見た目が男っぽかったら良かったのかな。

 

リョウくんみたいなイメージか。

 

ダボッとした服着てたっけ。大きけりゃいいのかな。

 

もっと男っぽかったら、すんなりバンド誘ってくれたりして。

 

虹夏くん、私のファンみたいだし。

 

喜多くんは応援してくれてたし。

 

あとはリョウくんをどうにか出来れば・・・?

 

 

幸い、動画配信のコーチも、喜多くんのギター講習も下ろされていない。

 

「次行く時はお父さんのジャージ借りていこう。あとは・・・」

 

ギターの演奏を止めて脇に置く。

 

部屋を出て、廊下へ。

 

洗面所の鏡の前に行って、『それ』を掴んだ。

 

散髪用のハサミを取って。

 

 

じょぎん、じょぎん、じょぎん。

 

 

・・・前髪と違って、上手く切れないなぁ。

 

ひどいギザギザ。

 

これは自分ではどうしようもないな。

 

 

「お母さんー! 髪、整えてくれる?」

 

「んー、最近は自分で切ってたじゃない。別に良いけど、なんだか久しぶりね。って、きゃーー!なにそれ失恋?!?!」

 

「なにぃ、ひとりが失恋だって! 相手はどこのどいつだ。もしかしてバスケ部エースってやつか?!」

 

「うわぁ、お姉ちゃん、わたしより髪短くなったね!」

 

 

お父さんとふたりまでやってきた。

 

まずい。

 

男子中学生のボーイズバンドに誘われたいから、なんて理由を言えるはずもなく。

 

しどろもどろに、誤魔化す羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

 




腰まであった髪をばっさり切ってきた女の子にNoと言えるかい?
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