中学生増やしても、かまへんやろ・・・
第2部スタートです。
基本的に、視点は『仮称:おキクちゃん』で進んでいきます。
逆だったはずの物語。
私だけ幽霊
文化祭が始まった。
通い慣れた中学校が、デコレーションされてお祭り会場へ。
私の学年は受験生だけども、本格的な受験勉強の前の最後の息抜き、中学での思い出作りと、当日は自由に回っていいことになっている。
もっとも受験生であるため、自クラスの出し物はない。
防犯のため、自分の普段いる教室はフロア単位で立ち入り禁止となっている。
私はそんな立ち入り禁止エリアになっている、自分の教室に潜んでいた。
1、2 年生が準備した出店の喧騒、体育館から聞こえる軽音部の楽器。
居心地の悪さを感じてしまう生粋の陰キャ気質が仇になって、文化祭という空気に馴染めなかった。
そもそも学校という空気を上手く吸えていなかった。
成績も、平均的よりちょっと下ぐらいで良くはない。
なんとなく話す友達はいるけど、親しい友達はいない。
クラスのグループ会話には入れてもらっているけど、自分から発言したことはない。
いなくても誰にも気づかれないほど、普通過ぎて地味な自分。
空気を読み過ぎて、1歩も動けず空気そのものと化してしまう自分。
無人の教室で、その事実を噛み締める。
まるで私だけ幽霊みたいだ。
静かなフロアにドタバタと足音が聞こえてきた。
見回りの先生かもしれない。
咄嗟にドアの影に隠れる。
「ハァハァ・・・漏れ・・・あと少し・・・」
現れたのは怪しい人だった。
英語の文字やらファスナーでデコられたオーバーサイズの黒パーカーを、頭からすっぽり被って。
パーカーの中から、ピンクミラーのサングラスをギラギラ反射させて。
指には、これでもかとイカつい頭蓋骨の指輪。
間違っても近寄りたくないような風体。
「も・・・もれ・・・うぁ・・・も、もっ、も、もれ・・・」
息を荒げながら、立ち入り禁止のフロアの廊下を進んでいく。
ブツブツ呟いている言葉は意味不明。
完全無欠の不審者だ。
この怪しげな男には見覚えがあった。
クラスの女子グループトークで話題となり、リンク先が貼り付けられていた。
動画配信を中心に活動している下級生のボーイズバンド。
結束バンド。
構成メンバーがイケメンの下級生ってのもあるけれど、話題になっていたのは1人だけ正体不明の学外のメンバーがいること。
サムネでは他の三人はわりと正統派なのに、1人だけ暗い影を落としていて印象に残っていた。
動画で見た怪しげな風体そのままに、人気のない立ち入り禁止の廊下を歩いている。
警戒心から何をするのかと、行方をうかがっていると、キョロキョロしながら女子トイレに向かっていた。
いや待って、普段主に使っている女子トイレに入ろうとしている?!
「へ、変態だ・・・変態が出た・・・」
冷や汗が止まらない。
早く先生を呼ばないと!!!
大声を出して、人を集めた方がいいかな。
あんな如何にもな格好してるんだ。
反逆されるのも怖い。
音を出しながら近づけば、人がいるって気づいて逃げるんじゃ・・・