才能が野比のび太な転生者   作:色々残念

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思いついたので更新します


極東から来た商人

降り積もっていた雪もすっかり解けて、新しい年がやってきたオラリオ。

 

ロキ・ファミリアでは新年の祝いとして宴会をやっていたが、酒の飲み比べで酔い潰れた人が多かった。

 

私は酒を飲まないので問題ないが、酒を飲み過ぎた面々は間違いなく二日酔いに苦しむことになるだろうな。

 

宴会が終わった翌日、二日酔いに苦しむ面々ばかりなロキ・ファミリアのホームから出た私は、オラリオを歩いていく。

 

散歩途中で露店を開いている商人を発見したが、露店で売っている商品は和風な櫛に着物という品揃えで、オラリオではあまり見かけない商品が揃っているようだ。

 

露店で売られている商品自体の質は良さそうだが、売れている様子は全くなかった。

 

此方の世界で言えば極東風の商品に人気がない訳ではないが、商品を売っている場所が悪いのかもしれない。

 

恐らくは場所取りに失敗したのだろう。

 

オラリオは様々な店がある激戦区なので、場所取りは重要だ。

 

それを知らないということは、露店の商人はオラリオには来たばかりということになるな。

 

私としては気になる商品があったので露店の商品を幾つか買っていくことにしたが、露店を開いていた商人にとっては私が初めての客だったみたいで、とても喜んでいた。

 

嬉しそうに話しかけてきた商人が言うには、極東から出稼ぎに来ていたらしい。

 

露店を開いても全く売れなくて困っていたところに商品を買いに来てくれた私が、商人には救世主のように見えたそうだ。

 

「実は他にも売ろうと思っていた商品がありやしてね」

 

そう言って他にも様々な商品を私に見せてきた商人は、期待に満ちた目で此方を見ている。

 

良い商品だったら買っていきますよ、と商人に伝えた私は、様々な商品を確認していった。

 

商人が見せてきた極東の商品の中には食料品や調味料も揃っていて、前世が日本人の私にとっては懐かしい食品や調味料があったので思わず買ってしまったが、後悔はしていない。

 

大量に購入した商品で随分と大荷物になってしまったが、商品を包む普通の袋と、食料品や調味料を保管する魔道具の箱もちゃっかり売り出してきた商人。

 

普通の袋を幾つかと、魔道具である保管用の箱もしっかり買っておき、持ち運べるように整理していると商人が話しかけてくる。

 

「まいどあり。いっぱい買ってくれたお客さんには、御守りも渡しときやすぜ」

 

嬉しそうな笑顔の商人が手渡してきたのは黒曜石で作られた石器であり、石槍の穂先のように見えた。

 

「極東の黒曜石で作られた槍の穂先なんでやすが、あっしの生まれた村だと魔除けの御守りなんでさ」

 

極東の商人は善意で渡してくれたみたいなので、御守りはありがたく受け取っておこう。

 

買うものは買ったので、そろそろ帰ることを商人に伝えると、商品が沢山売れた商人も極東に帰るつもりらしい。

 

「商品が沢山売れたんで胸はって極東に帰れやす。ありがとうごぜいやした」

 

私に深々と頭を下げた極東の商人に、此方こそ良い品をありがとう、と私が伝えると極東から来た商人は、とても嬉しそうに笑っていたな。

 

買い込んだ大量の商品を持ってロキ・ファミリアに帰ると、団長とロキ様にしっかりと許可を取ってから、まだ寒さの残る中庭に向かった私は、購入した商品の1つである火鉢に炭を入れて火を着けた。

 

火鉢に金網を乗せると、極東の商人から買い込んだ餅を金網の上に置き、しっかりと焼いていく。

 

金網の上で焼かれて膨れ上がった餅。

 

そろそろ食べ頃だろう。

 

焼き上がった餅を皿に乗せ、買っておいた調味料の醤油をかけていき、商人から購入した箸を使って餅を持ち上げて食べてみる。

 

とても懐かしい味がして、新年はやっぱり餅だな、という気分になっていると「気になって見に来たら、なんか面白そうなの食べとるやん」と言いながらロキ様が、ファミリア副団長のリヴェリアさんと一緒に近付いてきた。

 

「なんやこの白いの。初めて見たけど不思議やわ」

 

「私も初めて見る食物だ」

 

不思議そうに金網の上で膨らむ餅を見ていたロキ様とリヴェリアさんは、餅は初めて見たらしい。

 

これは餅という極東の食べ物で、餅米という米から作られているんですよ、とロキ様とリヴェリアさんに説明した私は、折角ですから食べてみますか、と提案してみた。

 

「ええの、ならもらうわ」

 

「米から作られているなら私も食べてみよう」

 

餅がどんなものなのか興味があったのか、ロキ様とリヴェリアさんは実際に餅を食べてみる気になったようだ。

 

用意していた皿に焼き上がった餅を乗せてロキ様とリヴェリアさんに渡すと、これは小豆と砂糖で作られた甘いつぶ餡ですが、餅には合いますよ、と極東の商人から買っておいたつぶ餡も一緒に提供してみる。

 

女性には甘いものが良いかと思って提供したつぶ餡をかけた餅を食べたロキ様とリヴェリアさんは、初めて食べた餅が美味しかったようで、あっという間に食べ終わっていたロキ様。

 

「あかん、もう無くなってもうた」

 

「やらんぞロキ、これは私の分だ」

 

もの欲しそうにリヴェリアさんの餡ころ餅を見ているロキ様に、リヴェリアさんは分け与えるつもりは無さそうだ。

 

まだ餅は有るんで焼きましょうか、と言った私に「モビタは、ほんまにええ子やなあ」と言いながらロキ様は嬉しそうに笑みを浮かべていた。

 

それからしばらくは餅を焼いてロキ様とリヴェリアさんに提供していったが、どうやら満足してもらえたらしい。

 

「美味かったわ、感謝するでモビタ」

 

「うむ、モビタには馳走になった。私も感謝しよう」

 

お礼を言ってくるロキ様とリヴェリアさんに、満足してもらえたようで良かったですよ、と私が言うと「ええ子のモビタには、今年はきっと良いことあるで」と笑うロキ様。

 

そんなロキ様に渡しておこうと思っていた物があったことを思い出した私は、極東の商人から購入していた品を1つ取り出して、ロキ様に手渡す。

 

「櫛みたいやけど、高かったんやないか」

 

見事な金の桜が描かれた櫛は、質は良いが値段はそこまで高くはなかったので、普通に買える値段でしたよ、とロキ様に伝えておいた。

 

神は人の嘘がわかるので、私が嘘を言っていないことがロキ様には理解できたみたいだ。

 

「これ、うちが貰ってもええの?」

 

ロキ様に渡す為に買いましたので受け取ってくださると嬉しいです、と私が言うと「おおきに、大事に使っとくわ」と喜んでいたロキ様。

 

その後「モビタには言っておくことがある」と言い出したリヴェリアさんに、私が複数の精霊の加護を宿していることを他の団員に口外しないように釘を刺されたが、風の精霊の加護についてはアイズさんに言ってしまっていることを伝えると、今後は気をつけるように言われた。

 

「アイズには私が口止めしておくが、お前が精霊の加護を複数宿していることを、特にエルフには絶対に知られないようにしろ」と言っていたリヴェリアさんはハイエルフだからこそ、エルフについて詳しいのかもしれないな。

 

精霊の加護というものはエルフにとっては無視できないもので、特に樹木の精霊の加護が、エルフにとっては素晴らしいものであるようだ。

 

そんな樹木の精霊の加護を持っているとなると、エルフが面倒なことになるのは間違いないので、リヴェリアさんとしては無用な混乱は避けたいと考えているらしい。

 

とりあえず精霊の加護については、黙っていた方が良いということになるだろう。

 

そんなことがあった次の日、定期的なステイタス更新の日が来たので、ロキ様にステイタスの更新を頼んでみた。

 

Lv3

 力:H148

耐久:H101

器用:G256

敏捷:H123

魔力:G287

 

 射撃:G

耐異常:I

 

《魔法》

 

【ガンスミス】

 

【ストリングビーム】

 

《スキル》

 

【風に愛されし者】

 

【樹木の友】

 

【竜の温泉】

 

【雪解けの癒し】

 

【誕生せしは日出ずる国】

・歴史を守りし者

・極東で生まれし者と共に戦う時、全ステイタスに高補正

・極東で作られた物を身につけている時、発展アビリティ堅守の一時発現

・石を素材とした品を身につけている時、発展アビリティ狩人の一時発現

 

「誕生せしは日出ずる国」と書いて「ジパング・バース」と読む新たなスキルは、のび太の日本誕生が関わっていそうなスキルだ。

 

極東から来た商人に貰った御守りが、このスキルが発現するきっかけとなったのは間違いない。

 

極東の黒曜石で作られた石器である石槍の穂先を貰ったことで「誕生せしは日出ずる国」が発現したのだろう。

 

のび太の日本誕生は、新しく映画となった新・日本誕生もあり、それぞれストーリーがちょっと違っていたりもしたな。

 

新・日本誕生のストーリーは、大昔の中国大陸で原始人の少年であるククルが時空乱流に吸い込まれてしまったことから始まっていく。

 

家出をしたいつもの面々で、まだ人間が誰も住んでいない旧石器時代の日本へ行こうと思い立ったのび太達は、過去へとタイムマシンで出発。

 

誰にも邪魔されない家出場所が完成したが、一時だけ帰宅することにしたのび太達は数日後に、時空乱流によって現代に飛ばされたククルと出会う。

 

ドラえもんのひみつ道具によって会話が可能になったククルと話したのび太達は、ククルの一族であるヒカリ族を救出する為、力を合わせて中国大陸へ向かった。

 

そしてヒカリ族を連行していた土偶のような敵のツチダマをひみつ道具で倒してヒカリ族を救出すると、ドラえもんのどこでもドアでギガゾンビの手も届かない場所としてヒカリ族を日本に移住させる。

 

ヒカリ族は新天地の日本でも逞しく生きていて、新たな村の建設を開始していく。

 

ヒカリ族の村が完成したことを見届けたのび太達は、元の時代に戻っていった。

 

その後のび太達が再び日本のヒカリ族の村を訪れて見ると、ギガゾンビによって村は既に滅ぼされていて、ヒカリ族はすでに中国大陸にあるギガゾンビの居城に連行された後であったようだ。

 

ギガゾンビの居城である常闇の宮を探す一行だったが、吹雪の中でのび太がはぐれて行方不明になってしまう。

 

たまたま避難した洞窟から常闇の宮を発見した一行の中からドラえもんは亜空間破壊装置の部屋に辿り着く。

 

精霊王を名乗るギガゾンビと対峙したドラえもんは、ギガゾンビが未来から来た時空犯罪者であることに気付いた。

 

ひみつ道具で戦いを挑むも23世紀の技術を持つギガゾンビには敵わず、敗れて捕えられたドラえもん。

 

ドラえもんたちが生け贄に捧げられそうになったところへ、のび太が、ひみつ道具で作っていた空想動物達と一緒に現れて助けに来る。

 

奴隷にされていたヒカリ族もクラヤミ族と戦い始め、亜空間破壊装置の部屋でのび太達はギガゾンビと戦うことになり、問題の亜空間破壊装置は決死のククルの力技によって破壊された。

 

ドラミとタイムパトロール隊も駆け付け、ギガゾンビと名乗っていた時空犯罪者は歴史破壊未遂罪で逮捕。

 

ヒカリ族は改めて日本の地で新しい村を作ることになったが、のび太が作り出した空想動物は空想動物サファリパークへ引き取られることになり、タイムパトロール隊と旅立っていく。

 

のび太達の家出は終わり、新しい村を作ったヒカリ族によって生まれた国は長い年月を経て、日本と呼ばれることになった。

 

つまりは、のび太達の行動が歴史を守り、日本誕生の元となったということになる。

 

確かそんな話だった筈だ。

 

まあ、極東の黒曜石の石器を貰ったことで、のび太の日本誕生関係のスキルが発現しても、私は納得できるな。

 

のび太を知っている私は納得できるが、普通は納得できないのだろう。

 

私の新しいスキルに頭を抱えていたロキ様は「なんで極東なんやねーん!」と叫んでいた。

 

やっぱりロキ様は納得できていなかったようだ。

 

ロキ様が納得できなくても、それは仕方がないことなのかもしれない。

 

今後もロキ様には苦労をかけそうな気がするから、私はロキ様に優しくしておこう。

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