才能が野比のび太な転生者   作:色々残念

11 / 70
思いついたので更新します
忙しくなるので7月は、これが最後の更新です
申し訳ありませんが感想返信もできないかもしれません


ベオル山地への届けもの

買い込んだ極東の品々の中でも、食料品は早めに食べてしまった方が良いだろう。

 

そう判断した私は調理が必要のないものを先に食べる為に、極東の食料品が入っている保存用の魔道具の箱を開ける。

 

極東の商人から買った保存用の魔道具に幾つか入っていた食料品の中で、調理の手間なく直ぐに食べられるのは、極東のさつま芋を加工した食料品。

 

極東のさつま芋を加工した食料品は、干し芋と芋羊羹の2種類。

 

その2種類は幾つか買ってあるので、今日の内に全部食べてしまおうと考えたが、部屋でそのまま食べるのは味気ないと思ってしまった。

 

魔道具の箱から取り出した干し芋と芋羊羹をバスケットに入れ替えて持つと、中庭へと移動。

 

ホームにある中庭では自由気ままに過ごしている他の団員の姿もあり、私1人が中庭に居る訳ではない。

 

火鉢で干し芋を軽く炙っても美味しかったが、他の団員が居るなら火鉢を使うのは避けた方が良さそうだ。

 

中庭には他にも団員が居そうだと思って火鉢を持ってこなかったのは正解だったな。

 

天気の良い空を見ながら中庭で、バスケットから取り出した干し芋を食べていると、私よりも先に中庭で身体を動かしていたアマゾネスの女性が此方に気付いたらしい。

 

「それって何食べてるの?」

 

近付いてきたアマゾネスの女性は興味津々といった様子で、私が食べている干し芋を指差してくる。

 

極東の芋で作られた干し芋ですよ、とアマゾネスの女性に答えると「極東の芋って普通の芋より大きくて長いんだね。初めて見たから何だろうって思った」とアマゾネスの女性は笑顔で言った。

 

まあ、さつま芋とじゃが芋は形がかなり違うから仕方がないのかもしれない。

 

極東の芋でも甘みが強い芋なので普通の芋とは違いますけどね、食べてみれば違いがわかると思いますから食べてみますか、と私はバスケットから取り出した干し芋を1つ差し出してみた。

 

「良いの?ありがとー!貰うね」

 

何の迷いもなく私が差し出した干し芋を受け取ったアマゾネスの女性は、躊躇いなく干し芋をかじって食べて「ほんとだ!普通の芋より甘い!でも美味しいね!」と楽しそうに笑う。

 

良い食べっぷりを見せてくれたので更に干し芋を差し出してみると、やっぱりアマゾネスの女性は迷いなく受け取って食べていく。

 

ちょっと面白くなってきたので干し芋が無くなるまでアマゾネスの女性に渡し続けていると、凄い勢いで干し芋はアマゾネスの女性に消費されていった。

 

「美味しかった!ありがとー!」

 

干し芋が無くなったことを伝えると笑顔でお礼を言ってきたアマゾネスの女性。

 

「あっ、名前言い忘れてた!あたしティオナ!よろしく!」

 

慌てたように名前を教えてくれたティオナさんに、此方こそよろしくお願いします、と頭を下げてから、私はモビタと言います、と自己紹介をしておく。

 

「モビタは極東には詳しいの?」

 

ティオナさんからの質問には、極東の食べ物は好きなので、それに関してなら詳しいですよ、と答えておいた。

 

「あたしは極東に行ったことないから、どんな食べ物があるか知りたいな」

 

そう言ってきたティオナさんに、極東の商人から買い込んだ極東の食料品についての話を教えてみたが、ティオナさんはとても楽しそうに私の話を聞いていたな。

 

少々話し込んでしまったが、バスケットに残っている芋羊羮を思い出した私は、悪くならない内に食べる為に芋羊羮を取り出す。

 

「それは何?」

 

これが極東の芋を使った芋羊羮ですよ、食べてみますか、とティオナさんに聞いてみると「食べる食べる」と食い気味に答えが返ってきた。

 

とりあえず1本の芋羊羮をティオナさんに手渡してみると「すっごい美味しいよこれ!」と喜んで食べている。

 

どうやらティオナさんは芋羊羮も気に入ってくれたらしい。

 

私も食べてみたが、結構美味しい芋羊羮だったのは確かだ。

 

その後、ティオナさんと一緒に全ての芋羊羮を食べ終えた私は「またねーモビタ!」と元気に手を振るティオナさんと別れて部屋に戻った。

 

1日をホームで穏やかに過ごした日も終わり、翌日になると朝から装備を整えた私は、ギルドへと向かう。

 

団長に言われたことだが、ギルドで冒険者依頼を受注して依頼を達成し、様々な経験を積むのも冒険者には必要なことであるらしい。

 

「経験を積んできてほしい」と言っていた団長の言葉に従った私が、ギルドに貼り出された幾つかの冒険者依頼を確認していると、1つの依頼が目に留まる。

 

それはベオル山地にあるエダスの村に届けものをしてほしいという依頼だった。

 

依頼しているのは1人の商人であり、達成報酬は上質なアダマンタイトと書かれていて、ヴァリスが報酬ではないようだ。

 

上質なアダマンタイトを手に入れても加工するには腕のある鍛冶職人に頼むしかないが、それには結構な金がかかるのは間違いない。

 

報酬の上質なアダマンタイトを売り飛ばすにしても、ベオル山地は冒険者でも迷うと言われている場所であり、エダスの村を探すのは苦労するだろう。

 

以上の2点が原因で冒険者達は、この依頼には誰も手を付けていないみたいだ。

 

それでも何故か、この依頼が気になった私は、依頼書を手に取って冒険者依頼を受注することを決めた。

 

冒険者依頼の依頼主が待つ場所には商人が待っていて、私が依頼を受けた冒険者だと知ると「ちょっと待っていろ」とだけ言って商人は店舗に引っ込んでしまう。

 

仕方なくその場でしばらく待っていると木箱を抱えて戻ってきた商人。

 

商人が抱えている木箱は長方形で、小脇に抱えられる程度の大きさであるようだ。

 

「これをベオル山地のエダスの村に持っていって、村長のカームに渡してくれ」

 

そう言いながらとても大切なものを扱うように木箱を此方に差し出してきた商人から、私は依頼の品を受け取った。

 

長方形の木箱の中身が何かを聞いてみると「酒と手紙と小物だ」と短く答えた商人は、それ以上何も言うつもりはないらしい。

 

依頼の品である届けものを商人から確かに受け取り、私は初めての冒険者依頼を達成する為、オラリオの真北に広がるベオル山地へと向かう。

 

天然の山城と形容される程の山々の集合体であるベオル山地。

 

古代に地上に進出したモンスターの系譜まで棲息していて、凄まじい傾斜と悪路を有するベオル山地は、魔の山とも言われているそうだ。

 

ベオル山地が自然の残る山々でなく、樹木が存在していなければ私も苦労していたかもしれない。

 

スキル「樹木の友」で全ステイタスに高補正がかかっていた私は、ベオル山地の急な傾斜も、整備されていない悪路だろうと楽々進むことができた。

 

小脇に抱えた木箱を大切に扱いながら、ベオル山地に存在しているというエダスの村を探して山々を移動していく。

 

日が暮れる前にはエダスの村を見つけておきたいと考えていた私は、朝から昼が過ぎるまでベオル山地を探索していると、それらしき村を発見。

 

村の中に入ってみて、村人に村の名前を聞いてみると、此処はやはりエダスの村であるようだ。

 

村長のカームという人物に届けものを届けにきたことを村人に伝えると、親切な村人は村長の家まで案内をしてくれた。

 

目的の場所まで案内してくれた村人に感謝をした後、村長の家にある扉を軽くノックすると「はい、今開けます」と女性の声が聞こえ、家の扉が開く。

 

女性が村長の関係者だと判断した私は、カームさんがご在宅か聞いてみた。

 

「カームは私の父ですが、ご用件は?」

 

用件を聞いてきた女性は、やはりカームさんの関係者で、娘さんだったみたいだ。

 

オラリオの商人からカームさん宛の届けものを預かっています、と私が答えて木箱を見せると村長の娘さんは私の用件を理解して「まあ、それはどうもありがとうございます」と笑顔で感謝をしてくれる。

 

しかし直ぐに笑顔から一転して悲しそうな顔をした村長の娘さんが言うには、カームさんは病で体調を崩しているようで、客の相手ができる状態ではないらしい。

 

病であるなら役に立てる筈だと思った私は、あかぎれの残る手をしていた村長の娘さんに手をかざして「雪解けの癒し」を発動し、村長の娘さんの手を癒してみせた。

 

驚く村長の娘さんに、怪我だけじゃなくて病も治せますからお役に立てると思いますよ、と私が伝えると「どうか父のことをお願いします!」と頭を下げてきた村長の娘さん。

 

娘さんの名前はリナさんというそうで、リナさんに案内されてカームさんの元に向かうと、そこにはベッドに寝込んでいる高齢の男性が居る。

 

直ぐに「雪解けの癒し」を発動した私は、苦しそうなカームさんを全力で癒していったが、全快するまで多少時間がかかった。

 

それでも病を完全に癒すことには成功したので、カームさんが元気になったことは確かだ。

 

とても元気になったカームさんは杖なしでも歩けるようになっていたらしい。

 

どうやら私は「雪解けの癒し」でカームさんに併発していた他の病も治療していたようで、そのせいで癒し終えるまで多少時間がかかったのだろう。

 

まあ、カームさんが元気になったのなら良いことだと私は思うので問題はないな。

 

とりあえず元気になったカームさんに届けものである木箱を渡して立ち去ろうと思っていたら、治療に時間がかかったせいか、日が暮れかけていた。

 

日が沈んだ後に山々からオラリオまで戻るのは苦労しそうだな、と私が考えていると「部屋はあるので、どうぞ泊まっていってください」と言ってきたカームさん。

 

その日はカームさんのお言葉に甘えてエダスの村に泊まった私は、翌日の朝、薪割りを手伝っているとカームさんに手紙を渡される。

 

どうやらカームさんへの届けものだった木箱の中には、返信用の紙とペンも入っていたらしい。

 

「彼には伝言もお願いします」

 

依頼主ではないがカームさんの頼みも聞いておくことにした私は、カームさんの言葉を待つ。

 

「気にすんな若僧、と伝えてください」

 

丁寧な言葉使いをわざと崩してそう言うと、穏やかな笑みを浮かべていたカームさんは依頼主の商人のことを知っているようだ。

 

カームさんから見れば商人は若僧でも間違いではないが、商人とカームさんには何かしらの関係があったのだろうな。

 

カームさんの手紙は、しっかりと商人に渡しておくとしよう。

 

エダスの村の力仕事を片付けた後、今度は手紙だけを持ってベオル山地からオラリオを目指す。

 

多少強引なルートを通ったが無事にオラリオまで到着した私は、商人の元にカームさんの手紙を持って向かった。

 

店舗に居た商人に手紙を手渡して伝言も伝えると「あの野郎」と言いながらも顔が笑っていた商人は、カームさんからの手紙を読み終えて「ちょっと待ってろ」と私に言うと店舗の奥に引っ込んでいく。

 

しばらく待っていると「成功報酬だ、持ってけ」と言って凄まじく大量の上質なアダマンタイトを私に渡してきた商人。

 

神の恩恵を受けていなければ普通は持てない程には大量だった上質なアダマンタイトを軽々と持てていた商人は、何処かの神の眷族であるのは間違いない。

 

気になることは沢山あるが冒険者依頼は達成したので、黄昏の館に帰るとしよう。

 

持ち帰った凄まじく大量の上質なアダマンタイトは、私がゴブニュ・ファミリアに加工してもらう分だけを除いて、ロキ・ファミリア用に提供してみたが、感謝の気持ちとして団長のポケットマネーから直々に高額のヴァリスが私に渡された。

 

団長から渡されたヴァリスがあれば、ゴブニュ・ファミリアにアダマンタイトを加工してもらうことができる筈だ。

 

という訳で早速、上質なアダマンタイトを3つ持って、ゴブニュ・ファミリアに向かうと、加工を頼んで先払いでヴァリスを渡しておく。

 

今回作ってもらうのは兜と手甲に剣になるが、上質なアダマンタイトの加工には、しばらく時間がかかるらしい。

 

ベオル山地に行き、冒険者依頼を達成してから数日、極東の食料品を食べたりダンジョンに潜ったりしていると、定期的なステイタス更新の日がやってきた。

 

Lv3

 力:G214

耐久:H172

器用:F367

敏捷:G205

魔力:F383

 

 射撃:G

耐異常:I

 

《魔法》

 

【ガンスミス】

 

【ストリングビーム】

 

《スキル》

 

【風に愛されし者】

 

【樹木の友】

 

【竜の温泉】

 

【雪解けの癒し】

 

【誕生せしは日出ずる国】

 

【山の心】

・山の精霊の加護

・山に好かれる

・山の中での睡眠時、体力と精神力の回復速度と回復量超上昇

・魔力に補正

・地属性の攻撃無効

 

どうやらベオル山地に行ったことで私には新しく山関係のスキルが発現したらしい。

 

「山の心」と書いて「ヴノ・カルディア」と読むスキルは、のび太関係のスキルであるのは間違いないだろう。

 

今回のスキルは、裏山の心に好かれていたのび太が関係しているような気がする。

 

裏山で過ごしていたのび太は、捨てられているゴミを片付けて裏山を綺麗にしていた。

 

裏山という自然を大切にするのび太に感心したドラえもんは、のび太がもっと裏山と仲良くなれるようにと心の土というひみつ道具を渡す。

 

ハート型の土である心の土は、砕いて蒔けば、その土地が心を持つようになるひみつ道具だ。

 

のび太が心の土を裏山に蒔くと、心を持った裏山は、早速木の葉のベッドをのび太に用意する。

 

のび太は、それにとても喜んで裏山で眠ることにした。

 

裏山は、のび太にとって更に居心地の良い場所に変わっていき、のび太はどんどん裏山で過ごすようになっていく。

 

のび太は裏山で過ごすことを何よりも優先するようになってしまい、心の土を渡したことを後悔したドラえもん。

 

遅くまで裏山に行っているのび太を怒り、叱った母親に反発したのび太は、裏山でずっと暮らすと決めて家を飛び出してしまう。

 

ひみつ道具で裏山の心を呼び出して、何とか裏山を説得しようとしたドラえもんだが、裏山の心はのび太のことが好きだと答えて説得には応じない。

 

その後、のび太が現れてドラえもんと口論になり、このままだとダメになるとのび太を説得しようとするが、のび太には帰るつもりはなかった。

 

裏山にドラえもんを追い出すように言ったのび太だが、追い出されたのはのび太であり、ドラえもんは、のび太の為にのび太を裏山から追い出した裏山の心が、本当にのび太のことが大好きだったと思ったようだ。

 

家に戻り裏山に追い出されたことにショックを受けていたのび太へドラえもんは「夢を見ていたと思えばいいんだよ。僅かな間だったけど、楽しい夢を」と優しい言葉をかけた。

 

のび太と裏山の話は、確かそんな話だった筈だ。

 

考えさせられる話だと思ったが、あのまま裏山に居続けたらのび太は間違いなく駄目になっていただろう。

 

今回のスキルは有用だが、山にのめり込むことがないように気をつけた方が良さそうだ。

 

「また精霊関係やないか!」

 

そう叫んだ後、やっぱりロキ様は頭を抱えていた。

 

これで私は4つの精霊の加護を持つことになったが、隠蔽しなくてはならない情報がまた増えたことになるな。

 

精霊の加護がこれ以上増えるかは解らないが、更にスキルは増えそうな気がする。

 

今後もロキ様には苦労をかけることになりそうだ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。